気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

夏のうしろ 栗木京子歌集

2006-02-01 20:50:29 | つれづれ
舟遊びのやうな恋こそしてみたし向き合ひて漕ぎどこへも着かず

晴れわたる卯月の空よわが一生(ひとよ)ひとを殺さぬまま終はれるか

どうでもよいことはきちんとやり遂げて海峡を渡る恋などもせず

ぶらんこを真すぐに止めて降りしのち二十年(はたとせ)は過ぐ恋もせぬまま

指に合ふ手袋はめしことのなき生かなしみぬ聖夜の街に

(栗木京子 夏のうしろ 短歌研究社)

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栗木京子の歌には、恋という言葉が何度も出てくる。しかし彼女は、賢い奥様で決して手を汚さない。もし何かあったとしても、あの上品な容姿で黙って押し通すのだ。だからこそ栗木京子なのだ。

胸元を開いてなせしあれこれはおぼろおぼろとなりてゆめ ゆめ
(近藤かすみ)


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