気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

空庭  黒瀬珂瀾  つづき 

2010-10-10 18:44:14 | つれづれ
クラウンが道具片せる晩秋(おそあき)の広場の日暮れ死の匂ひせり

Welcome to JFKと死者の名の大き文字見ゆ機窓より見ゆ

おおここに高々と「無」が聳えをりグラウンド・ゼロ風吹くばかり

黄昏を浴びて世界はグラウンド・ゼロへと進むパレードである

昼まだき古書肆の奥処棚ひえて「新鋭歌人叢書」一束(いつそく)

ハローキティに口無きことを忍従の日本女性の像と読みつつ

一斉に都庁のガラス砕け散れ、つまりその、あれだ、天使の羽根が舞ふイメージで

(黒瀬珂瀾 空庭 本阿弥書店)

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黒瀬珂瀾は、昭和52年生まれ。若い。でも歌には「死」の匂いが多く歌われている。若いからこそ死に敏感なのだろう。われわれの年になると、「考えたらやってらんない」状況になってしまう。
今後の活躍がますます期待される歌人だ・・・と私が言うのもおこがましいが・・・。

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