気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

ディーゼルの列車 向山文昭 

2019-07-16 00:18:04 | つれづれ
たそがれを感じて点る街灯に時間差のあり秋のかえり道

花びらが散るというより少しずつ枝が現わる窓の桜木

脱ぎおきし靴下をまた履くときに残る形が左右を示す

引越しに運び出しゆく冷蔵庫水平に持てば柩の重さ

三色のボールペンの胴やや太く中に色別棒グラフあり

空からの我が家の写真この点は犬の墓だと家族のみ知る

実をもてば枝と枝とにある格差おなじ幹へとつながりながら

戦地からの父のはがきを見つけたり裏にある絵はジャワの踊り子

ブランコを押してくれとはもう言わぬ一年生の音読の声

大小の画面ならべる電気店十人の安倍と向かい合うなり

(向山文昭 ディーゼルの列車 青磁社)

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