気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2010-08-30 19:26:32 | 朝日歌壇
百円分歩きらくだはゆっくりと前足を折りわれを下ろせり
(町田市 阿部光子)

ケロイドの項(うなじ)は汗をかかざりし被曝の疵も古稀を迎へぬ
(高石市 木本康雄)

隣り家の樫の大木倒されて吾は深ぶか大空を吸ふ
(仙台市 坂本捷子)

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一首目。遊園地のような所のアトラクションとして、百円を払ってらくだに乗るのだろう。らくだがお客を下すのは、指図する人が居るからだとは思うが、居なければ、またすごいことである。余談だが、わが家の子どもたちが幼かったころ、鳥取砂丘へ行ったものの、らくだには乗らなかった。あのとき乗っておけばよかったなあ。むかしの夏の家族旅行を思い出すと、涙が出てしまう。
二首目。被曝した皮膚は、正常に働かなくて、汗もかかない。そんな状態で作者は古稀を迎えられた。被曝の影響が一生涯ついて回ることの悲しさが、しっかり伝わってくる。
三首目。長年見慣れてきた樫の大木。なくなってみると、空が一層大きく感じられたのだろう。「深ぶか大空を吸ふ」の表現が生きている。

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