気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2005-08-10 21:57:31 | 朝日歌壇
さようならわたくしの過去すがすがとピアスの穴に夏の風吹く
(今治市 池内カナエ)

揉め事を喜ぶ本音ひた隠しそを憂うがに装うテレビ
(横浜市 我妻幸男)

息そろう太極拳のゆるゆると気は満ちてくるはつ夏の朝
(東京都 佐藤佳子)

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一首目。親からもらった体に自分で傷をつけてはいけないという考えがあって、私はまだピアスをしていない。ピアスをするとすがすがと風が通るのだろうか。この作者は何歳くらいの方なのだろう。さわやかな風を作者と一緒に感じることが出来た。

二首目。この歌が作られたのは、ひと月くらい前だろう。若貴兄弟のことだろうか。テレビという枠で切り取られたものを見ながら、わが身にひきつけ、平凡がいいかと思うのは、多くの人に共通するのだろう。ときどきそんな自分が卑しく思える。

三首目。太極拳の動きらしきものを少々やったことがあるが、汗をかく。緩やかな動きに中に神経を張り詰める。宝ヶ池公園や御所で、こういうことをやったら気持ちいいだろうな・・・

「風信」に奇しくも歌友、風間博夫さん『動かぬ画鋲』、資延英樹さんの『抒情装置』が紹介されたいた。多くの人に読んでいただきたいと思います。

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2 コメント

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風など吹きません (ひょう)
2005-08-13 10:53:04
突然の書き込み失礼致します。

私も「朝日歌壇」でこの歌を読み、大変疑問に思っていた者です。

結論から言うと、ピアス穴は通常は0.8mmほどのもので、ピアスを外しても風など吹きません。この作者が実際にピアスを装着なさっているかどうかはわかりませんが、かなり観念的な歌だと思います。

ただ、「アクセサリーを外して過去と決別する」というのは、今までは「指輪」や「ネックレス」で語られた事象ではないかと思いますので、それを「ピアス」で詠んだところに、作者の斬新な視点を感じました。たぶんお若い方なのでしょう。

では、お邪魔致しました。
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読者の意識 (かすみ)
2005-08-13 13:30:10
ひょうさん はじめまして。



>さようならわたくしの過去すがすがとピアスの穴に夏の風吹く(今治市 池内カナエ)



作者が風を感じたのは、首筋や耳のあたりで、ピアスの穴のごく小さい部分ではないでしょう。でも、ピアスの穴に意味を感じているのでそれを「さようなら」した過去と結びつけているところが面白いと思います。

しかし若い人にはピアスはもう開けていて当然のものかもしれません。うちの娘は「お母さん、ピアス開けるのやったら、夏はジクジクしやすいから秋になってからがええよ」と言います。

短歌は短いので、読者の意識を反映しますね。

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