気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人7月号 同人のうた

2013-07-12 00:53:58 | 短歌人同人のうた
羊の群れ大河をなして流れ出す谷に夕なの祈りのひびき
(本多稜)

最後のハイヒール思ひなく捨つるとき物としてふと美しかりき
(酒井佑子)

塾の灯のもとにぼんやり子は待てりゆくあてのなき杜子春のごと
(春畑茜)

けふ最初のキレイなさよなら黄金の輪つかが朝の紅茶にうかぶ
(橘夏生)

呆然とさくら眺めしふたとせのまへを思へと強き余震来る
(洞口千恵)

鯉のぼりの口より入りしはつなつの風は真鯉の形におさまる
(藤本喜久恵)

取り澄まして「この世の花」を唄いおりし頃の島倉千代子こそ花
(宮田長洋)

しあわせはいずれまさるか眠るように死ぬのと死んだように眠るのと
(加藤隆枝)

スクリーンにフラッシュバックする過去の字幕翻訳戸田奈津子とぞ
(藤原龍一郎)

かばんの中にあるおにぎりを胃の中にふたつ移して昼の食をはる
(小池光)

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短歌人7月号、同人1欄より。