気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2012-10-14 13:54:46 | 朝日歌壇
何処となく雨の匂いがして来れば次々閉じる図書館の窓
(筑紫野市 二宮正博)

十までの数を覚えて十のあと一へと戻る子朝顔の花
(館林市 阿部芳夫)

頼まれたわけじゃないけど孫の名を考えている海辺のカフェで
(越谷市 黒田祐花)

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一首目。実感を伴う歌。図書館の本は、やはり湿気を嫌うから雨の日は窓を閉めるのだろう。下句に勢いがある。窓には、パソコン(ウィンドウズ)も含まれるのじゃないかと思った。雨でパソコンを閉じることはないけれど、雷が鳴ると閉じる。
二首目。何歳くらいの子どもだろうか。覚えたことをすぐ口に出す可愛い様子が目に浮かぶ。結句「朝顔の花」と跳ぶところが、現代短歌的。
三首目。いずれ孫ができると聞いた作者の静かな喜びが伝わる。作者自身もまだお若いのではないか。海辺のカフェが、粋で洒落ている。