気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人10月号 秋のプロムナード その4

2012-10-20 13:01:51 | 短歌人同人のうた
心にはまだ熱がある両手には昨日は鳴子今日はペンライト

左下奥歯が痛むさはあれど日本語をなお嚙みしむるべし

(西川才象 鳴子とペンライト)

<森の香り>のルームスプレー選びおり童話の中にしか知らぬ森

海に浮かべば二晩ほどはからだから波が去らないことおぼえてる

(砺波湊 夏の跡)

あしひきの多摩の横山削られてレゴ組むごとくホスピスが建つ

可憐なる少女の名にも聞こゆるを イペリット ジフェニール サリン

(八木博信 炉座)

生きている図書館、死んでる図書館と巡りて夏の半日は過ぐ

金だ銀だと小煩き日々過ぎゆけり小夜中を聴くキリギリスの声

(烈夏短章 西勝洋一)

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短歌人10月号、秋のプロムナードより。