気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2012-10-08 22:30:56 | 朝日歌壇
病室の夜明けの壁の柔らかき白さにひそと秋冷立てり
(小松島市 関政明)

砂漠地に届きし茗荷汗かきてパック開けば山の気の満つ
(アメリカ 中條喜美子)

炊き上がるご飯の匂ひたちこめて稲の花の香甘く漂ふ
(宮城県 大友道子)

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一首目。病院の壁というと堅いイメージなのだが、作者は柔らかき白さと言う。それほど長く馴染んで来られたのだろうか。秋冷立つも何か生き物が立っているように感じられる。独特な感性が魅力的。
二首目。作者はアメリカ在住だが、アメリカでは茗荷は食べないのだろうか。実は茗荷は私の大好物。遠くから届いたパックを開けたときの山の気の香り。作者の喜びが伝わる。
三首目。稲の花の香りというものを知らない。しかし嗅いでみたい気がする。上句ではご飯の匂いを、下句では稲の香を言って、対比が面白い。食べ物の歌は美味しそうなのが、一番。