気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人10月号 秋のプロムナード その3

2012-10-09 22:12:10 | 短歌人同人のうた
左手を窄めて作るジンジャーの花に右手で雨を降らせる

次の曲へ移るときの間いくつもの口がボトルの水飲みにゆく

(近藤かすみ フラの約束)

ひとつ置きに点る照明その下を選び読みおり「桂信子句集」

新しきスパイクに紐を通しいる夫の背中の少年めきぬ

(北帆桃子 ほうき草)

長靴を履きて素手にていどみおり夏草抜くには思想は要らぬ

ゆで卵食えば元気が出るゆえに大学病院の売店にあり

(室井忠雄 夏草)

わたくしの縁(えにし)のリストを所有して薄つぺらなるスマホの余裕

 神戸元町壱番街地下
サックスの音に誘はれ元町の萬屋宗兵衛カフェに入りぬ

(山科真白 梅雨の栞)

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短歌人10月号、秋のプロムナードより。