左手を窄めて作るジンジャーの花に右手で雨を降らせる
次の曲へ移るときの間いくつもの口がボトルの水飲みにゆく
(近藤かすみ フラの約束)
ひとつ置きに点る照明その下を選び読みおり「桂信子句集」
新しきスパイクに紐を通しいる夫の背中の少年めきぬ
(北帆桃子 ほうき草)
長靴を履きて素手にていどみおり夏草抜くには思想は要らぬ
ゆで卵食えば元気が出るゆえに大学病院の売店にあり
(室井忠雄 夏草)
わたくしの縁(えにし)のリストを所有して薄つぺらなるスマホの余裕
神戸元町壱番街地下
サックスの音に誘はれ元町の萬屋宗兵衛カフェに入りぬ
(山科真白 梅雨の栞)
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短歌人10月号、秋のプロムナードより。
次の曲へ移るときの間いくつもの口がボトルの水飲みにゆく
(近藤かすみ フラの約束)
ひとつ置きに点る照明その下を選び読みおり「桂信子句集」
新しきスパイクに紐を通しいる夫の背中の少年めきぬ
(北帆桃子 ほうき草)
長靴を履きて素手にていどみおり夏草抜くには思想は要らぬ
ゆで卵食えば元気が出るゆえに大学病院の売店にあり
(室井忠雄 夏草)
わたくしの縁(えにし)のリストを所有して薄つぺらなるスマホの余裕
神戸元町壱番街地下
サックスの音に誘はれ元町の萬屋宗兵衛カフェに入りぬ
(山科真白 梅雨の栞)
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短歌人10月号、秋のプロムナードより。