気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人12月号  同人1欄  その3

2010-12-22 01:46:52 | 短歌人同人のうた
しづかなりけふの夕陽の沈みかたペダル踏み込む膝の伸びかた
(菊池孝彦)

夕光の白曼珠沙華の一列や集ひし子等も帰りゆきたり
(望月さち美)

フランスへ行きしことなきわれの頭に泡立てているマルセイユ石鹸
(北帆桃子)

古賀さとこ、小鳩くるみの童謡を聞くことなくて運動会終る
(林悠子)

殆ど惚け時々正常その時にわれの心を逆なでる義母
(山本栄子)

かに玉のあんかけのやうに吾(あ)をおほふさびしさありて一夜(ひとよ)眠れず
(橘夏生)

また一人別れもつげず逝きしなり初蝉遠くきこゆるまひる
(大和類子)

訃報とは不意にくるもの呆然としつつ世界に踏みとどまりぬ
(宇田川寛之)

有り無しの艱難を大仰に言うなかれ秋の山々静かに色う
(西勝洋一)

かの人もかの人も逝き常のごと身にまつはるは大いなる悔い
(三井ゆき)

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短歌人12月号から、心に残った歌。
今年はいつになく多く、訃報が続いた気がする。さみしい。
生かされている今を大切にしなければ、と思う。