気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2009-12-07 18:19:49 | 朝日歌壇
調子はずれに聞こえても最後にはきっちり合ってた知床旅情
(塩尻市 百瀬 享)

ありのままこのままそのまま秋さなか母の午睡の南の小部屋
(アメリカ ソーラー泰子)

こんなにも笑った頃があったのだ子育て時代の四人の写真
(松戸市 猪野 富子)

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一首目。森繁久弥への挽歌。この歌自体、意味で読んでいくと、75587になっていて調子はずれであるが、三句目からは韻律を回復して辻褄があっている。内容と歌のかたちが符合している面白い歌だと思った。
二首目。三回出てくる「まま」の繰り返しで母(ママ)のことを詠っている。作者のお母様を見る目があたたかい。ありのままを受け入れてもらえることは、幸せだとつくづく思う。
三首目。「子育て時代」という言い方にやや抵抗があるが、たしかに子どもを育てることだけに一生懸命にならざるを得ない時期があった。笑っただけでなく泣いてもいたはず。子供がいると感情があらわになってしまう。我が家にもそういう時代があって、今は写真の中に残っているだけ。思い出はおよそ暖かい。