気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

夜光 吉川宏志歌集

2006-10-18 23:18:07 | つれづれ
卓上の本を夜更けに読みはじめ妻の挟みし栞を越えつ

しらさぎが春の泥から脚を抜くしずかな力に別れゆきたり

ねむいねむい僕に代わりに月光のえのころぐさを見張ってほしい

ひのくれは死者の挟みし栞紐いくすじも垂れ古書店しずか

抱いていた子どもを置けば足が生え落葉の道を駆けてゆくなり

(吉川宏志 夜光 砂子屋書房)

************************

吉川宏志の第二歌集『夜光』を読む。
この人の歌は、しんとしている。ハズレがない。