気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2006-10-02 19:27:08 | 朝日歌壇
昂(たか)ぶりを三枚におろす釣果なる鯵の形に濡れるまないた
(東京都 花 美月)

タクシーを待たせて墓に参る女(ひと)かたちにせねば見えぬものあり
(青梅市 山田京子)

幼きは青い画用紙を一頭の鯨で埋めて夏逝かんとす
(四万十市 島村宜暢)

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一首目。釣りをしたことのない私にも、わかる歌。下句でまないたを持ってきたのが良い。
二首目。わかるようなわからないような歌。墓参りする気があまりないのに、アリバイ作りのように、タクシーであわてて墓に参り、心がこもっていない。そんなに慌てるのなら行かなきゃよかったのにと作者は見ている。しかし、アリバイとして花が飾ってあれば、あとから来るであろう親戚に顔が立つ。それなら行った意味がなくはない。この辺りの心情がやはり私にはわからない。
三首目。幼児が画用紙いっぱいに描いた鯨が生き生きするようだ。でも、主語が幼きと夏と二つあって、ややこしいように思う。逝くは死んで帰って来ないように読めるが、来年また夏は来るはず。わたしにはわかりにくい歌。