LUNACY

cygnus' blog

『カナリア』

2005-04-12 08:36:00 | 映画
仕事早めに切り上げて映画館へ(笑)。サボり病(笑)。
『害虫』の塩田明彦監督・脚本。カメラマンは山崎裕。

オウム真理教事件とその後の展開に着想を得て書かれ撮られたストーリー。是枝裕和監督“DISTANCE”が加害者の家族で教団外の人々を描いたのに対し、これは実際の教団内部にいた人々をフィクションとして描いています。
そのストーリーの性質上、"DISTANCE"が観客の想像力を必要とする部分が多いのに較べ、これはもっと直接に訴えてくるというか、直球が投げられてくるように感じました。
あと、森達也監督ドキュメンタリー“A”と“A2”未見なので(大恥)、これとの感じ方の差は論じられませぬ。

公開されてだいぶ経つのでネタバレありで。

マインドコントールについて考えさせられることの多い作品です。

見ていてつらくなるトコロが結構あります。泣いちゃいます。

あの事件は許されざる犯罪だし、あんな行動を起こせるほど突き抜けることできないし、冷静な理性がストップかけると思うのね。ただ、論理じゃないトコロで、ボクはほんの少し「どこか他人事じゃない気がして」しまうのね。その辺りをほんの少し説明してくれている気がしました。

セリフの中にも出てくるんだけれど、要は教団管理施設内部は単に人間の作り上げた「もう一つの社会システム」なんだよね。それを上手く描いていたと思います。

ラストは「絶望のなかにあっても、なお『希望』」という感じ。
『バトル・ロワイヤル(第一弾)』とラストの科白が同じだし(笑)。コレに是枝さんの去年の『誰も知らない』のラストを足して二で割ったような感じだけれど、このラストがベストなんじゃないかと思いました。青山真治の"Helpless"のような終わり方もあるとは思うのですが。

宮崎駿さんアニメに多い「少年のひと夏の成長物語」みたいにストーリーを追うことも可能です。ただ『天空の城ラピュタ』より残酷な状況設定ですが。

自分のなかで、西島秀俊といえば「演技下手」の筆頭(ごめんなさ~い!!)だったのですが、今回は違います!!
キーになるところも外さずに締めてます。

つまらない人も多いかもしれないけれど、この春「印象に残る一本」です。
新宿武蔵野館と渋谷のアミューズCQNにて。21日までかな。
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