LUNACY

cygnus' blog

「関心領域」"The Zone of Interest"

2024-07-15 20:31:58 | 映画
恵比寿ガーデンシネマ

話題にもなっていたし、気になっていたので観てきた。

壁を隔てた向こう側で起きていることは、映像として描写はないわけで、そこは完全に観客の想像力次第という点で恐ろしい映画。歴史に詳しい教養のある人ほど、深い闇を感じるはず。
背景の音が、本当に不気味。

いや、ちょっと難解なところもあったし、ラストの方のカットで僕も解釈に迷うところもある。だけれど、上映終了後の若い子の「全然わからなかった」発言に絶句。
ホロコーストについての知識が少しでもあれば、何となくでもフォローできる部分あるやろ。日本人ヤバいな。

原作とはだいぶ違うみたいなので、帰りがけに原作も買っておいた。

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「東京ランドマーク」

2024-07-14 21:17:45 | 映画
横浜シネマジャック&ベティ

藤原季節の初主演映画が陽の目を見た(2018)とのことで観に行ってきました。

タイトルの意味を、まだあれこれ考え中。
北海道も舞台となるのは、藤原季節の出身地ということもあるのかな?
手持ちカメラの箇所もけっこうありましたね。
テーマとしては、家族とは?という要素が多めだったかな。

トークショーはちょっとグダグダ気味(苦笑)。制作集団の自己紹介&全国キャラバンします・したいです&ミニシアターをよろしくが、メインで作品についてはあまり触れられていなかったかも。
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『瞳をとじて』"Cerrar los Ojos"

2024-05-26 22:02:04 | 映画
CINEMA NEKO
ビクトル・エリセ監督
2023年カンヌ国際映画祭プレミア上映。

監督の31年ぶりの長編。

フライヤーに「詩情豊かに綴られるワンシーン・ワンカット」とあるけれども、本当にそんな感じ。
テンポがゆっくりの映画なのは、氏の作品群から想定していたけれども、本作後半はそれをあまり感じませんでした(つまり眠くならなかった)。

ラストは、観客が自由に考えてということなのだと受け取りました。答え合わせをするものでもないし、複数の可能性を併存して意味を保留し続けるのもありということかな。

ニューシネマパラダイスじゃないけれども、映画への愛を感じる作品でもありました。
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「悪は存在しない」"EVEL DOES NOT EXIST"

2024-05-14 23:19:23 | 映画
濱口竜介監督
シネマジャック&ベティ
第80回ベネチア国際映画祭銀獅子賞&国際批評家連盟賞&映画企業特別賞&
人・職場・環境賞。

朝日新聞に載った蓮實重彦先生のコメントは、このあと読みます。

タイトルの悪は存在しないというのは、表裏含めて作品内のいくつもの文脈を意味しているのかな?と思いました。
よくわからないというか、どう考えたらよいのかな?というところがあったので、機会があればもう一度観ておきたい。いや、答え合わせをしても仕方ないのはわかった上で。

音楽に触れている記事をよく目にしたけれど、ぼくはそれよりもカメラワークが秀逸に感じました。
ラストの方、東山魁夷の絵を思わせるカットが印象的でした。


これは、蛇足ですが、開発業者の木で鼻をくくったような対応、最近、仕事で受けたばかりで、既視感がありました(苦笑)。
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「君たちはどう生きるか」(映画)

2024-03-10 23:23:39 | 映画
やっと観ました。しかも、東京(下町)大空襲の日。

吉野源三郎の原作からは、だいぶ離れている印象。
ちょっと難解なところもあって、本当ならもう一度観て考えてみたいような作品。
キリスト教のボキャブラリーも引用されていたかな?ノアの箱舟とか、出エジプト記とか。

とりあえず、久石譲の音楽だけでなく随所にジブリのテイストというかモチーフの重ねがあり。
コナンとラナ(或いはパズーとシータ)っぽいカットも出てきましたね。
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「ファイアバード」"FIREBIRD"

2024-02-27 23:03:30 | 映画
シネマジャック&ベティ

プログラムを買っておいたので、これを読んで後で追記するかもですが。

旧ソ連を舞台に同性愛の困難を描いた作品で、現在のロシアを批判しようという制作意図もあるのかな?

ラストのエンディングスクロールが終わった後のあのカット。意味深長だよね。いろんな含意がありそう。

ファイアバードってのは、ストラヴィンスキーの引用だったのか!
不勉強なので、ストラヴィンスキー「火の鳥」をよく知らないのだ。僕がわかっていない、もっと深い引用やアナロジーがキャラクター設定やストーリーにあったのかも。

旧ソ連が舞台のストーリーなのに、映画の台詞が全て英語。僕でもかなり聞き取れて理解できるレベルの。
何かロシア語じゃないと違和感があるなぁ。
それに、実際もそうだったのかもしれないけれども、演劇の引用がシェークスピアばっかりってのも、なんかしっくりこなかった。

音楽。とくにエンディングの曲が好かった。

キャラクター。セルゲイ役はハマっていたよね。
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「ほかげ」

2024-01-28 20:12:48 | 映画
ユーロスペース
塚本晋也監督

時間の長さの割に凄い濃密な作品でした。
それは、脚本などもあると思うのだけれども、各キャストの演技の迫真に依るのではないか?と思いました。
戦争の爪痕は、人びとを痛めつけるとつくづく感じさせる作品でした。
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「ウィンターボーイ」"Winter boy", "Le lyceen"

2023-12-24 21:00:56 | 映画
シネスイッチ銀座
クリストフ・オノレ監督

監督の自伝的作品。
原題の直英訳は"The High school Student"だし、Winter boyって英語として意味なしてなくね? それとも越冬期の少年という意味かな?だとしたらもうちょっと工夫しようよ。

父の死の喪失感と回復の物語。

どうなんだろう?のめり込めた、ないし、共感できた気もするし、そうでもない気もする。
それは、単に、自分がティーンエイジャーの頃にこれほどの喪失体験がなかったからでもあろうし、余計なこと考えている暇もなく走り続けるしかなかったということでもあるのかなと思う。悩めるだけの余裕がなかったというか。その反動として、齢とってから僕がいろいろ拗らせている、取り戻せないことがある、片付けておくべきことが未完であることは認めるけれども。

主人公のアームウォーマーがけっこうかわいらしくてツボかも(笑)。
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「シチリア・サマー」"Stranizza d'Amuri"

2023-12-17 12:19:31 | 映画
UPLINK
俳優のジュゼッペ・フィオレッロが監督。

原題はイタリア語だと思って翻訳アプリにかけたら変換できず。シチリア語だそうで、「愛の不思議」といったくらいらしい。

ジャッレ事件という事件がモチーフになっているそうで。結末がそれを踏襲。

同性愛よりも、とにかく若い2人がみずみずしくて眩しい。

シチリアの風景もこれでもかってくらい。

イタリアは家族の結びつきが、とくに母親と息子が強いよね。それも、これでもかってくらい。

残念なのは音楽で、歌が下手だったよね。
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「キリエのうた」

2023-12-16 23:10:24 | 映画
シネクイント

岩井俊二監督。
見逃すわけにいかなかった。
けれども、公開からだいぶ経ってしまったし、これを書いているのも観てから1週間以上経ってしまった。。。。

原作は、発売されたてに読んでいた。
けれど、ストーリーというかエピソードを、結構、あ、そうだったか、と忘れていたことを復習した感じ。

なんか、過去の岩井監督自身の作品から引用というか重なるところが多かったかな?という印象。
歌やバンドがメインキャラの職業で、映画の音楽担当が、小林武史って、「スワロウテイル」っぽいし。
江口洋介も「スワロウテイル」を思い出させるし。
奥菜恵も、エンディングスクロールで名前がクレジットされるまで気づかなかった(恥)けれど、「打ち上げ花火〜」に登場しているし。
雪景色を広角で撮って、新雪のなかに足アトつけているところとか、"LOVE LETTER"っぽいし。
バレエは、「虹の女神」を思い出させるし。
先輩後輩ネタは、いくつもの作品に使われているし。

松村北斗はヘタレキャラがハマっていたと思う。
村上虹郎が、ことのほかミュージシャンが板に付いていたんじゃないかな。

東日本大震災。
僕としても、実は、僕のなかで整理が付けられていないことを思い出させられた。
岩手県出身なのに何もしなかった・できなかった自分を思い起こすというか。

できれば、もう一度、観ておきたい作品。
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『蟻の王』"Il signore delle formiche"

2023-12-04 08:02:42 | 映画
恵比寿ガーデンシネマ

イタリア映画。ブライバンティ事件を元にしたストーリー。
同性愛がまだ公的に迫害されていたころの同性愛者の愛の物語。師弟愛も絡んでいる。
そして、第2次大戦後のイタリア共産党と左翼運動。チラリとイタリアの南北問題。
タイトルは、意訳せずにそのままの訳みたいだね。

いまは、日本が人権問題的に遅れているよなぁと思いつつ。
それでも、いまの日本は、強制?矯正?入院や裁判(教唆罪)などにされなくて済む、気持ちに正直に生きられる度合いの高くなった社会でよかったとも思ったり。

ただ、ひとつ気になっているのが、このストーリー、上流階級のお話だよね?労働者階級のお話ではないよね?そこは見落とさないほうがいいかも。

それから、イタリアでの、映画(含めた)文化人×同性愛×事件となると、どうしても主人公とパゾリーニが重なってしまうかな。


映画のラストに「アイーダ」のラストを被せてきていたけれども、ラダメスとアイーダのように、せめて、あの世では一緒に幸せにということを準えたのかな。
というか、シェークスピアのロミジュリのように、イタリア人には「アイーダ」か愛の物語の手本ということかも。
他に、詩(と朗読)がよく出てくるのも(ヨーロッパの)文化的な背景かなと思う。

キャスト的には、教授の寵愛を受ける若者が新人なのかな。
スザンナ役のおばあさんの演技が好い!
あと、記者役のお兄さんも以前に別の映画で見かけた気がする。

街並みもロケだと思う(しかし、イタリアにはチネチッタもあるからな...)。美しい北イタリアのイメージを崩さない。
音楽もちと過剰気味にも思ったけれど、まぁいいかな。
とにかく、イタリアの映画監督の巨匠たちの影響をあちこちに(雰囲気も含めて)感じました。

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「サタデー・フィクション」/"Saturday Fiction"(英題)/『蘭心大劇院』(原題)

2023-12-02 23:07:29 | 映画
ロウ・イエ監督,UPLINK

コン・リー主演。もはや独壇場という趣。
スパイという設定もあるから銃撃戦勝ち抜いて、カッコいい(苦笑)。
コン・リーはどうしても『花の影』のイメージが僕の中では強いけれど、やはり、主役を張れる女優さんかと。
(んでもって、何故か『さらば、わが愛/覇王別姫』の印象が弱い...汗)

前半、眠くなりそうだったけれど、後半は、アクション要素が出てきて見続けられました。
愛の物語でもあり。ただ、あまり、そこには何故かのめり込めなかった....(汗)。
養父と娘の物語を組み込むのは、中国お得意の親子愛ネタですかね。

「サタデー・フィクション」は、劇中劇の作品名。蘭心大劇院は、それが演じられる劇場。

エンディングで、横光利一「上海」が文献として明示されていて、不勉強な自分を恥じるなど。

あと、とにかく手持ちカメラでアップが多いカメラワーク。個人的には動きが多すぎる気もした。
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「福田村事件」

2023-11-19 19:30:38 | 映画
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公開から2ヶ月かな?やっと観られました。

脚色してメロドラマいれたりして薄めている感じしたけれども、とりあえず、日本の過去に起きた恥ずかしい事件が題材になってる。

田中麗奈が駆け寄るシーンから涙。
豊原功補演じる村長のやるせなさが強烈。

自分への宿題は、水平社宣言を読んでおくことだな。
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「アアルト」"AALTO"

2023-11-19 12:03:07 | 映画
UPLINK

アアルトは興味のある建築家。見逃さずに済んでホッと。

てっきりアルヴァ・アアルトについての伝記映画かと思っていたら、そのパートナーのアイノ、アイノ死別の後のパートナーのエリッサとの協業のストーリーでもあり。(おそらくだからこそアアルトというタイトル)

基本的には編年体のストーリー展開。
つくづく多作の人だったんだなと思いました。
ヘルシンキの駅前のホテルのソコス・ヴァークナが出てきていなかった気がするが、作品論的にはあまり大事じゃない建築だったんかな。

字幕翻訳だけれど、カトリックの教会ならば、礼拝堂よりむしろ聖堂としたほうが望ましいことが多いかも。
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「たかが世界の終わり」

2023-09-17 23:49:56 | 映画
演出:内田健司。
テアトル新宿の藤原季節特集上映。観に行けた〜(今日がこの作品の上映最終回でそれに間に合ってホッとしている)。急遽、上映後に出演者舞台挨拶あり。
藤原季節は気になる俳優さんで、他の映画出演作品も観ているんだけれど、舞台演劇出演作を観る(と言って良いのか?(ダメかもしれんが...))は初めて。

えぇと、作品として整理しておくと、まず、フランスのジャン=リュック・ラガルスの戯曲"Juste la fin du monde"(英題"It's Only the End of World")があって、邦題「まさに世界の終わり」として翻訳されていた、と。
そこに、グザヴィエ・ドランが映画化して、その邦題が『たかが世界の終わり』となって、そのタイトルの方で広まったと(僕は認識)。
広まった理由は、言うまでもなく、カンヌ国際映画祭グランプリ受賞。そして、それのみならず、グザヴィエ・ドラン人気。
そして、新型コロナ禍の期間に、演劇として撮影されて配信されたのが、今回、内田健司演出のこの演劇版の作品。
んで、配信を観れていなかったし、今回のテアトル新宿での上映チャンスは逃したくなかったというワケ。

長い前置きだw。

僕自身、このドランの映画を観ていたから、今回も、ストーリーを追い切れたと思う。
原作翻訳を読んでいないけれど、おそらく、そのままなのかな?と思ってる。
家族のしっくりいかなさを描いていて、糾弾しあうのが観ていて時として苦しくなるけれど、
でも、どの家族にもそういう部分あるよね、みたいな感じ。

俳優さんたち、よく長い台詞を覚えるねぇ(すごい)。
そして、さらに、カメラが舞台を(俯瞰で)映しているんじゃなくて、舞台の中に入っているのが、
普通の演劇やオペラの中継・録画とまったく違う点だね。
しかも、この作品、カメラもワンカットで撮りきっているよね。
さらにいうと、カメラも手持ちのところでアングル揺れていて、その効果を出そうとしているのかな?

ラスト。ドランの映画とちょっと違うね。ドランの映画の方が脚色なのかな。
いや、単に、映画では、ルイが人差し指を口に当てて、そーっと家を去って行くシーンが強烈に頭に残っているだけ(苦笑)。

まぁともあれ、この作品に藤原季節というキャスティングはハマっていたと思う。
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