BIKEBIND自転車日記ブログ2

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セガール・サードジェネレーション・マグネシウムバイク

2010-09-19 21:44:00 | 自転車
カーク(新家はここのパテントを利用しました。日本ではキリやキリクと呼んでいましたが、カークの方が正しいみたいです)を第1世代、メリダ(アンカー)とピナレロ・ドグマを第2世代として、自らを第三世代と名乗るマグネシウムフレームが登場しました。日本人としては第2世代にテスタッチ・マゴウを加えたいですね。

セガール

と読むと思います(苦笑)。

どこも取り上げませんねえ。マグネシウムは時代ではないと……?

確かにマグネシウムはバイクにおいてあまり主役の座に居座ったことはありませんでした。フレームもリムもブレーキも。

唯一の例外がフロントサスペンションのアウターレッグくらいでしょうか。

でもマグネシウムには独特のメリットがあります。他を圧倒する振動吸収性、高い剛性、高い比強度など。軽さだけではないのです。


http://www.light-bikes.de/forum/pics/index.php?c=131






http://www.segalbikes.eu/

テスタッチ・マゴウが採用していたAZ31は、決して悪い素材ではないのですが、言うなれば2000番系か5000番系のアルミと同じ。

そしてマグネシウム合金にはAZ91という強度、剛性、軽さにおいて上を行く製品があります。加工方法が完全に確立仕切っていないので、量産ベースとしてはまだですが。6/4チタンも引き抜きやバテッドは不可能だと言われていた時代がありましたから。



技術は欠点を克服していくのだと思います。そして新たに生まれたAZ91は軽さと強さの優れた特性を備えています。

例えばとても心配な錆び。これを陽極酸化処理することで克服出ます。

[[youtube:9B-GrRS60jk]]

しかしチューブとしてでなく、フレームとして見た場合、マグネシウムには2つ、難点があります。

一つは溶接が難しいこと。元々燃えやすい素材なので、鉄やアルミのように気軽には溶接できないのです。合金化はその性質を押さえるために行っている面もありますが、やはり燃えやすいのは間違いのないことです。

もう一つは溶接劣化が激しいことです。マグネシウムではまだT6などの強度を戻す熱処理技術や時効硬化で強度が戻ってくる7N01の様な製品がないのです。このためテスタッチ・マゴウもピナレロ・ドグマも1000グラムを切ることがなく、マグネシウムが持つ、軽さや振動吸収性を生かすことが出来なかったのです。

セガールのマグネシウムの品番は分かりません。しかし9年間の開発期間を経たというところに興味があります。今になってメジャーデビューということはAZ91に近い合金かなと推測します。AZ61も熱的に安定しているので可能性は十分です。

540ミリで1020グラムなのでメリダ、ピナレロより遙かに軽量です。軽さは確実にメリットなんですが、UCIの規制が解けない限り壁は不動です。逆説的ですが今の状況なら1000グラム近辺でも全く問題はないのです。

マグネシウムの振動吸収性はアルミに比べて260倍近くあります。振動収束性ではありません。とんでもなくエネルギーの内部損失が多いのです。理由は結晶の形状だったはずです。深い理由は忘れてしまいましたが……。ちなみにスチールやカーボンは素材自体にそんなに振動吸収性はありません。また違った意味でそれを為しています。そこら辺はまた後日。

http://www.ofic.co.jp/mg/video/Mg_test_01_L.wvx

この特性なら金属フレームにありがちだった弾かれ感も、相当抑えることが出来るはずです。

自転車業界においてはステンレスと並んで、まだまだ新しい素材です。色々な製品、色々なアプローチがあると思います。