BIKEBIND自転車日記ブログ2

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iQボルト、軸力が目視出来るボルト

2013-11-01 01:20:00 | ボルト&ナット
これは良いボルトですね! なんとかヘックスに対応してくれれば、すべてのボルトがこれに置き換わっても良いかもしれません。




http://www.infastech.co.jp/


昨今はカーボン製品も普及もあって、スポーツバイクを組むのにトルクレンチの活用が当たり前になりました。スチールの時代から一応は適正トルクというものはあったのですが、基本的にはフレームを含むほぼすべてのパーツがそれらをオーバーしても大丈夫なようにかなり大きめのセーフティマージンを取って作られていました。しかしアルミとカーボンの台頭によって、これが一変します。

極限の軽さと性能を追求しはじめたことにより、5Nなどの違いが危険につながるパーツが出て来ました。もちろんこの数字を守れば問題ないので、問題と言って良いのかわかりませんが(苦笑)。そして緩みをチェックするための締め増しが以前よりも高頻度で行われるようになったのが今です。……誰です、おいどんのバイクはもう2年もそんなことはしていないなんて思った人は(笑)? 特にハンドル周りは気をつけたいところです。

しかしみんながみんな、高精度のトルクレンチもっていないというのもまた事実。さらには持っていても定期的に精度のチェックをしているところも少ないでしょう。測定器具は正しい数字を保ってこそ意味があります。でも、でもです。

そういった手間を半減させてくれるのがこの軸力目視式ボルトです。頭の中央にあるインジケーターが、負荷なしだと赤く、締め付けると黒くなっていきます。この色が変わる負荷は調整することが出来るようです。設定された力に対して±10%以内の精度らしいので、よほど細かいところでなければ十分自転車でも使えるでしょう。しかも再使用が可能です。

構造としては、内部にピンがあり軸力が掛かることで(ボルトを締めることで)徐々に沈み込んでいくことで色が変わります。

もちろん少々重量は増えてしまうでしょう。アルミやチタンボルトなどにこだわったりするほどの軽量モデルなら交換すればいいだけのこと。普通のバイクはボルトがちゃんと締まっていることのほうが絶対に重要です。

トルクレンチが悪い訳ではありません。高級モデルではこちらの方が正しいでしょうし、これからも使われ続けていくことでしょう。しかしこちらの方が確実さでは上かなと思います。トルシエ型などトルク管理をボルト&ナットのほうで行う製品は今までも見てきましたが、これは決定版かなと。ヘックスボルト対応すれば……。

いやあ、ボルトの世界も日々進化していますね。


エンザート、セルフタッピング能力を持つメスねじ復活材

2012-10-29 10:44:00 | ボルト&ナット
エンザート

私の頭の中では、ねじ山復活の機材はヘリサート加工で止まっていたのですが、いつの間にかこんな便利なモノが出ていました。







http://www.kan-to.com/Item/nat/otnat_ssno.htm
http://www.kkv.co.jp/

ヘリサートと機能はほぼ同じなのですが、非常に使い勝手が良くなっています。

まず下穴へのタッピング加工が不要、専用工具はあるけれど普通のボルトとナットで代用可能、トングを最後に折る必要がない、一体型なので接着剤を用いてより強固に固定する事が出来る。

という感じです。絵を見てもらえばわかりますが、専用工具ではなく、内径にあったボルトとそれに合うナットとの組み合わせで埋め込むことが出来ます。タッピング時に生じる切り粉は先端にあるスリットに溜まるようになっているのです。

ヘリサートもしくはリコイルはスプリング状になっているので、接着剤などを用いると内部に染みこんでしまい、ボルトを入れるのに不具合を生じます。しかしエンザートは一体型なのでそのような心配がありません。

厳密に言えばヘリサートの方が強度が高いらしいのですが、アルミなどには問題なく使えるようなので、自転車にはかなり使えそうですね。

ねじ山がなくなって泣いていた人に是非!



ボルト&ナット part4 スーパースリットナット

2011-08-08 02:31:00 | ボルト&ナット
最初と二番目の写真は違うように見えますが、両方ともスーパースリットナットです。この手のナットやボルトは『スーパー』とか『ハイパー』とかが好きですね(笑)。でも実際、スペースシャトルや新幹線、飛行機など現在人類が作り出した最高峰の機械に使われるのですから、あながち誇張とも言えませんね。










http://www.com-wel.co.jp/products/osusume/superseries.html
http://www.incom.co.jp/productnavi/index.php/product/14379
http://www5a.biglobe.ne.jp/~nejimats/yuru_suri_1.htm

ナットの上部に切れ込みをいれることで、スリットより上が動くように成っているのですね。その開いた部分が戻ろうとする力が働き、固定力を上げているのです。セルフロック式なので、パーフェクトロックナットのように2つ合わさらなければ固定しないということはなく、締め切っていなくても緩まないようです。

このナットは自転車にはかなり使いやすいのではないでしょうか? ハブとかにはちょっと厳しいでしょうが、ただ締める部分には手間も必要なく、すぐさま置換できます。アルミ製はちょっと厳しいかも知れません。アルミには靱性がないですから。

もちろん軽い自転車は大歓迎です。でもどうしても緩んで欲しくないような部位にはあえてスチールのこのような緩み止めナットを使うというのも手ではないでしょうか? 例えばカーボン化して300グラム軽くなった。でもこのような高機能ナットやボルトを使ったので、実際は軽くなっていない。というのもアリだとおもいますよ。

チタンボルトやアルミボルト、カーボンボルト(!)なんかで命をかけて軽くするのも好きですけどね(笑)。

ボルト&ナット part3 ハイパーロードナット

2011-08-08 01:26:00 | ボルト&ナット
これも素晴らしいアイディアが込められています。他の緩み止めナットと比べて優秀だと思う点は、スプリングを取り付ける加工を施せば素材を問わず作れること。ハードロックナットなどは全体を作らなくてはいけませんからね。









http://www.k-hi.jp/index.html
http://www5a.biglobe.ne.jp/~nejimats/hl_n.htm



このナットは、始めにハイパーロードスプリングという製品がありきです。このスプリングはボルトの雄ネジの谷に取り付けることで、緩み止め能力を発揮します。ただ自転車には、このようにボルトがナットを貫通した後もはみ出しているというのは、あまりよろしくありません。重量の面でも、空間の面でも。

そこでぐっときたのが、ハイパーロードナットです。ナットにスプリングを組み込んだんですね。なるほど、素晴らしいアイディアです。

このナットは何回でも使用可能です。ただし通常のスパナで外すときは、ちょっと出ているスプリングを緩める方向へ力を掛けてから回さなければなりません。

スプリングが引っかかってしまう所には使えませんが、それ以外にはなかなかのナットだと思います。

ハードロックナット、開発者が語る。

2011-05-10 01:41:00 | ボルト&ナット
なんで今更なんだかわかりませんが(苦笑)、やっぱり開発者の話は面白いですね。


以下引用
 東日本大震災でビクともしなかった東京スカイツリーには“絶対にゆるまないネジ”が使われています。世界唯一の技術を発明したハードロック工業社長、若林克彦さん(77)の経営哲学は「喜んでもらうこと」。約40年前、その見解の違いから無償で会社を手放してしまいます。(喜多由浩)

【浮世絵】180年前に描かれたスカイツリーに似た尖塔

 イギリスやドイツ、台湾の高速鉄道、日本の各新幹線、瀬戸大橋…。“絶対にゆるまないネジ”は、今や世界中で引っ張りだこ。従業員わずか50人弱の大阪の中小企業が、誰にもまねのできない技術を持っているのである。こんな痛快な話はない。しかも百パーセント国内生産。まさに、「ものづくり」で長く世界をリードしてきた日本企業のお手本ではないか。

 「ウチのネジ(ナット)は鉄道、橋梁(きょうりょう)、高層タワーなど、絶対にネジがゆるんではならない場所に使われています。これまで世界中のメーカーから、多くの類似商品やコピー商品が出てきたが、同じ品質の商品を作ることはできませんでした。詳細は明かせないが、『絶対にまねができない』という自負がありますよ」

 根っからの発明家だ。先の大戦中、長野県に疎開していた10歳のとき、楽に種まきができる「種まき機」を発明。以来、万年筆のインクがいつも一定量になるように工夫した「定量付着インク瓶」、厚焼き卵を手早く作れる「たまご焼き器」など生活に密着した発明を数多く世に送り出してきた。

 その原点にあるのが、「たくさんの人たちに喜んでほしい。よいアイデアは人を幸せにする」という信念。それが今も自身の経営哲学に反映されている。「たらいの水の原理」という考え方だ。たらいの水は、「相手の方」へ押してやると自然に「自分の方」へ返ってくる。

 「お客さんに喜んでもらえるよう努力すればするほど、自分にも利益が生まれる。逆に目先のもうけにとらわれて欲をかきすぎるとダメ。たちまち水はこぼれてしまうんですね」

 約40年前、その経営哲学を象徴するような出来事があった。かつて経営していた会社が作っていた商品に、顧客からクレームが来たのだ。

 その商品もやはり「絶対にゆるまない」ことをキャッチフレーズにしていた。だが、技術的に完成されておらず、激しい振動を受けると、わずかにゆるむことがあった。そこをただされてしまった。「絶対にゆるまないはずじゃなかったのですか」と。

 共同経営者は、そのクレームをさほど重要視していなかった。依然として圧倒的に多くの顧客から信頼されているのだし、単なるひとつの苦情じゃないか、というわけだ。

 ところが若林さんは放置できなかった。「人に喜んでもらえるはずのアイデアがお客さんを怒らせてしまうなんて…。ならば本当に“絶対にゆるまないネジ”を作ってみせようじゃないか」


 そして、自ら創立した月商1億円以上の会社を無償で共同経営者に譲り、わずかなスタッフとともに現在のハードロック工業を新たに立ち上げた。残ったのはその商品の特許料だけ。「家内にはだまってやったんです。後で話すと、開いた口がふさがらないといった様子で、あきれてましたね。でも私はがまんできなかった」

 そして約40年後、その会社と競い、東京スカイツリーでの採用を勝ち取ることになる。

 昨今の「金さえあれば何でもできる…」といったような風潮ががまんならないという。日本の技術を追っかけてきたアジア諸国の中にも、こうした“無法なやり口”で、強引に技術を盗もうとする国が少なからずある。

 「日本の企業と合弁でプロジェクトを立ち上げておきながら、メドが立つと、『ハイさよなら』と追い出してしまう。でも実際は、日本が何十年もかけて開発した技術をわずか3、4年でまねしようったってできないんですよ」。その国は若林さんのネジの模造品も多数作っているが、結局、品質面では及ばない。

 同時に、日本の“脇の甘さ”も気になる。「先端技術を持った技術者が外国に引き抜かれ放題です。このままじゃ日本はジリ貧ですよ。どうしたら付加価値が高くまねができない商品を生み出せるか。行政も一緒になって知恵を出し、体制をつくらねばなりません」

 --発明には何が大事?

 「常に好奇心をもって『欠点』を探すこと。商品に完成品などありません。そう思った時点で思考停止してしまうでしょ?逆にその商品に足りない点が見つかった時点で発明の半分は成功しているのです」

 --1970年代のヒット商品「たまご焼き器」もそれで…

 「私は厚焼きたまごが好きなのですが、普通の平たいフライパンで焼くとどうしても5分はかかる。『もっと早く焼けないものか』と考えて作ったのが、このたまご焼き器です。スーパーなどで実演販売をやり、1個980円の商品が1日5000個も売れました」

 --経営者というよりも心は発明家?

 「今でもアイデアがひらめいたらすぐ会社に行って試作品を作ります。そのためにずっと無休です。でも自分が考えた商品が世に出ていくのは本当にうれしいことですよ」

 〈わかばやし・かつひこ〉昭和8年、大阪市生まれ。大阪工業大学卒。バルブメーカーの設計技師を経て独立。49年には、ハードロック工業(本社・大阪府東大阪市)を設立し、“絶対にゆるまないネジ”を開発した。世界中の鉄道、橋梁、高層建築物などに採用されている。著書に「絶対にゆるまないネジ小さな会社が『世界一』になる方法」(中経出版)。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110508-00000502-san-soci
引用終わり

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緩み防止ネジ、ナットというのは数多くあるんですけど、ハードロックナットはそのなかでもトップクラスの性能をもちます。しかし意地から以前作った会社を手放してしまうとは……、社長さん個性が突き抜けています(笑)。

色々な同系製品に言えることなんですが、基本的に座面でしか固定出来なかったボルト&ナットを異なった方向、方法で摩擦力を稼ぎ出しています。

ハードロックナットはナットを二つ使う共締め形式なんですが、両方の座面の摩擦力で固定するのではなく、くさびの形状をナットに応用することでボルトとナットの間に強い摩擦力を生じさせているのです。

トルシエ型ナットのように自壊して規定トルクを表しつつ、緩みを防止するものもありますが、ハードロックナットは何回でも繰り返し使用することが可能です。……まあソニータイマーとは対極にある製品ですね(笑)。皆壊れなかったら商売あがったりですから(苦笑)。

それでもこういう製品を作るというのは、頭が下がるばかりです。