意外です、意外すぎます。
すでに2012年の話題が出ている中で、なんと2011年モデルの発表です!
……まあ、ここら辺の年度区切りはすでに有名無実化していますから、どうでもいいんですけどね(苦笑)。パソコンと一緒で欲しいときが買い時です。モデルの熟成、ファーストロットは避けるなんてしていたら、いつまで経っても買えません。在庫が潤沢にある時代は終わっています。圧倒的な差があるならともかく、完成車も部品もライバルとの差があまりありませんから、トヨタ・カンバン方式にならざるを得ないのです。
それはそれとして、
コルナゴ・EPQ
稀代の名車、EPSの新型モデルです。コルナゴを救ったと言っても過言ではないエクストリームパワーから数えて3代目となります。最新作・C59がコルナゴのすべてのレーシングバイクを統合したと思いきや、どっこい生きていました。
http://www.cyclingnews.com/news/sneak-peek-colnagos-new-epq
http://www.colnago.com/ja/bikes/2011/epq
EPQというあまり強そうではない名前で出てきました(笑)。これは新型シートステー・Qステーに由来するのでしょう。C59に使われた技術がそのまま投影されたようです。今までのEPSの前三角とQステーを合体させたのですね。そのほかにはワイヤの内装化、そしてシマノ・Di2対応という感じらしいです。
んで、今までコルナゴのホームページを見ても気がつかなかったのですが、EPSのカーボンについての解説が載っていました。まったく人が悪い(苦笑)。
オメガカーボン
EPSのカーボンチューブ技術ですが、EPQやC59にも通じる技術と考えて良いでしょう。コルナゴにはラグ式だけでなく、M10が引き継いだカルボニッシモ、E-1、プレジデント等のモノコック式の系譜もあります。どちらも一長一短があるということかと。両方諦めないところが偉いですね。
製法は要するに『マンドレル方式』なんですね。鉄の心棒にカーボンファイバーを巻き付けるのが一般的なマンドレル式なんですが、コルナゴはプリプレグを用いるようです。面白いですね。ただ書いたり訳したりした人間がカーボン技術に明るくないと間違えてしまう可能性があるので、トウプリプレグ(糸に樹脂を含ませたカーボンファイバー。プリプレグシートが布状なのに対して糸状)の可能性も否定しきれません。マンドレルを利用したフィラメントワインディング方式には、こちらのトウプリプレグを使うのが一般的です。
マンドレルに巻き付ける方式が何故優れるかというと、プリプレグ同士の重なり部分がなくなるためです。これにより均一で軽い、優れたカーボンコンポジットが出来上がります。余計な重なりは層を生み出し、界面になってしまいます。残留空気の可能性も上がります。そうするとエネルギーは界面に留まってしまい、思い通りの性能が出なかったり、最悪破断しています可能性があります。釜で焼いた部品はバックでエアを排除するため、ほどんどありませんけど。
基本的にマンドレル方式は、オートクレーブ釜で成形されます。自転車フレームを丸ごと釜で焼くのとは異なり、内側にバックを仕込まなくてよい分手間が省け、鉄芯のおかげで高精度に仕上がります。F1や飛行機のように予算を問わなくて良いならもちろん、内、外両方にバッグを使い複雑な形状にしても問題ないのですが。パイプ状なら場所も取らなくて済み、(比較的)大量に作ることも可能です。コルナゴの宣伝文句に、フェラーリと同じところでカーボン部品を作らせているとありますが、まず間違いなく釜を持っているでしょう。
プリプレグはマルチディレクションとユニディレクションの両方を用いています。こうして『3PRSチューブ』ができあがるのです。
この作り方は最上級のカーボン製法の一つです。ですが最上級の肉を使っても、塩加減一つでまずい料理を作ることが可能なように、製法がすべてではありません。フレームの製法のみで完成車の性能を語るのはナンセンスです。
コルナゴが極上の料理であるか否かは……、プロレーサーや世界のサイクリストが証明していると思います。
ちなみにラグはハンドレイアップのようです。形状が複雑ですからね。でもオートクレーブで焼いているようです。12層とのこと。いやいや、高い訳です。これでコルナゴがラグドフレームにこだわる理由が分かりました。なるほどなるほど。
ちなみにEPSの最終工程はここに動画があります。「コルナゴ・EPSの作り方」
あとチューブ内部にリブがあるのも特徴の一つなんですが、多分、これが関わっている可能性が高いです。図らずも日本の技術ですね。
角形断面繊維強化複合材梁の製造方法
多段角型の金属マンドレルにプリプレグをハンドレアップすることにより中リブを構成する。その外周に樹脂を含浸した炭素繊維をフィラメントワインディング 法で処理する。減圧バグーオートクレーブ硬化してマンドレルを脱芯してなる中リブを有する角形断面構造用炭素繊維強化複合材梁を製造する。
http://www.patentjp.com/07/F/F100196/DA10003.html
さらにですね、注目して欲しいのはジオメトリーなんです。メーカーが手を抜いていないか簡単に見極める方法があります。それはチェーンステーの長さを見ること。手を抜いているメーカー(コスト削減のため、仕方ない面もありますけど)はここのサイズが身長200センチのライダーのフレームも、140センチのライダーのフレームも全部一緒なんていうのもザラです。コルナゴはすべて違います。
397、399、402、405、407、409、412、413(シートサイズ420~580スローピング)
たいしたもんです。いや本当に。ホリゾンタルフレームはまた違う寸法です。
一見すれば、他社の最新フレームよりも地味に見えます。ですが自転車に乗っている人なら、長いこと関わっている人なら……。この凶暴的とも言える凄味が伝わってくるでしょう。
現時点での最強バイクの一台ですね。
すでに2012年の話題が出ている中で、なんと2011年モデルの発表です!
……まあ、ここら辺の年度区切りはすでに有名無実化していますから、どうでもいいんですけどね(苦笑)。パソコンと一緒で欲しいときが買い時です。モデルの熟成、ファーストロットは避けるなんてしていたら、いつまで経っても買えません。在庫が潤沢にある時代は終わっています。圧倒的な差があるならともかく、完成車も部品もライバルとの差があまりありませんから、トヨタ・カンバン方式にならざるを得ないのです。
それはそれとして、
コルナゴ・EPQ
稀代の名車、EPSの新型モデルです。コルナゴを救ったと言っても過言ではないエクストリームパワーから数えて3代目となります。最新作・C59がコルナゴのすべてのレーシングバイクを統合したと思いきや、どっこい生きていました。
http://www.cyclingnews.com/news/sneak-peek-colnagos-new-epq
http://www.colnago.com/ja/bikes/2011/epq
EPQというあまり強そうではない名前で出てきました(笑)。これは新型シートステー・Qステーに由来するのでしょう。C59に使われた技術がそのまま投影されたようです。今までのEPSの前三角とQステーを合体させたのですね。そのほかにはワイヤの内装化、そしてシマノ・Di2対応という感じらしいです。
んで、今までコルナゴのホームページを見ても気がつかなかったのですが、EPSのカーボンについての解説が載っていました。まったく人が悪い(苦笑)。
オメガカーボン
EPSのカーボンチューブ技術ですが、EPQやC59にも通じる技術と考えて良いでしょう。コルナゴにはラグ式だけでなく、M10が引き継いだカルボニッシモ、E-1、プレジデント等のモノコック式の系譜もあります。どちらも一長一短があるということかと。両方諦めないところが偉いですね。
製法は要するに『マンドレル方式』なんですね。鉄の心棒にカーボンファイバーを巻き付けるのが一般的なマンドレル式なんですが、コルナゴはプリプレグを用いるようです。面白いですね。ただ書いたり訳したりした人間がカーボン技術に明るくないと間違えてしまう可能性があるので、トウプリプレグ(糸に樹脂を含ませたカーボンファイバー。プリプレグシートが布状なのに対して糸状)の可能性も否定しきれません。マンドレルを利用したフィラメントワインディング方式には、こちらのトウプリプレグを使うのが一般的です。
マンドレルに巻き付ける方式が何故優れるかというと、プリプレグ同士の重なり部分がなくなるためです。これにより均一で軽い、優れたカーボンコンポジットが出来上がります。余計な重なりは層を生み出し、界面になってしまいます。残留空気の可能性も上がります。そうするとエネルギーは界面に留まってしまい、思い通りの性能が出なかったり、最悪破断しています可能性があります。釜で焼いた部品はバックでエアを排除するため、ほどんどありませんけど。
基本的にマンドレル方式は、オートクレーブ釜で成形されます。自転車フレームを丸ごと釜で焼くのとは異なり、内側にバックを仕込まなくてよい分手間が省け、鉄芯のおかげで高精度に仕上がります。F1や飛行機のように予算を問わなくて良いならもちろん、内、外両方にバッグを使い複雑な形状にしても問題ないのですが。パイプ状なら場所も取らなくて済み、(比較的)大量に作ることも可能です。コルナゴの宣伝文句に、フェラーリと同じところでカーボン部品を作らせているとありますが、まず間違いなく釜を持っているでしょう。
プリプレグはマルチディレクションとユニディレクションの両方を用いています。こうして『3PRSチューブ』ができあがるのです。
この作り方は最上級のカーボン製法の一つです。ですが最上級の肉を使っても、塩加減一つでまずい料理を作ることが可能なように、製法がすべてではありません。フレームの製法のみで完成車の性能を語るのはナンセンスです。
コルナゴが極上の料理であるか否かは……、プロレーサーや世界のサイクリストが証明していると思います。
ちなみにラグはハンドレイアップのようです。形状が複雑ですからね。でもオートクレーブで焼いているようです。12層とのこと。いやいや、高い訳です。これでコルナゴがラグドフレームにこだわる理由が分かりました。なるほどなるほど。
ちなみにEPSの最終工程はここに動画があります。「コルナゴ・EPSの作り方」
あとチューブ内部にリブがあるのも特徴の一つなんですが、多分、これが関わっている可能性が高いです。図らずも日本の技術ですね。
角形断面繊維強化複合材梁の製造方法
多段角型の金属マンドレルにプリプレグをハンドレアップすることにより中リブを構成する。その外周に樹脂を含浸した炭素繊維をフィラメントワインディング 法で処理する。減圧バグーオートクレーブ硬化してマンドレルを脱芯してなる中リブを有する角形断面構造用炭素繊維強化複合材梁を製造する。
http://www.patentjp.com/07/F/F100196/DA10003.html
さらにですね、注目して欲しいのはジオメトリーなんです。メーカーが手を抜いていないか簡単に見極める方法があります。それはチェーンステーの長さを見ること。手を抜いているメーカー(コスト削減のため、仕方ない面もありますけど)はここのサイズが身長200センチのライダーのフレームも、140センチのライダーのフレームも全部一緒なんていうのもザラです。コルナゴはすべて違います。
397、399、402、405、407、409、412、413(シートサイズ420~580スローピング)
たいしたもんです。いや本当に。ホリゾンタルフレームはまた違う寸法です。
一見すれば、他社の最新フレームよりも地味に見えます。ですが自転車に乗っている人なら、長いこと関わっている人なら……。この凶暴的とも言える凄味が伝わってくるでしょう。
現時点での最強バイクの一台ですね。