BIKEBIND自転車日記ブログ2

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シマノとカンパニョーロ

2009-09-29 21:30:00 | 自転車


これは三ヶ島の続きです。

あっちにいれると、文のバランスが崩れてしまいそうなので。

ホイールメーカーは数多ありますが、ハブが秀逸だといえる完組ホイールは(勿論性能は当然)、シマノとカンパニョーロだと思います。

それは何故か?

カップアンドコーンのベアリングを使用し、ラジアル方向だけでなく、アキシアル方向の動きにも対応し、ロックナットによってベアリングに与える圧力を調整出来るからです。

最近は高級ハブにもカートリッジベアリングが使われています。そのような製品をハードコンディションで使用してベアリングがダメになり、丸ごと交換し直ったなんていう事例も目に入ります。

それは当たり前です。

根本から交換しているのですから。

大切なのはそう言う状態にならないこと。想定される状況でちゃんと性能を発揮できること。これが大切です。シマノがMTBハブをパララックス化(うわあ、知ってます? 太くする事を当時そう言っていたのです)したとき、シール部分を大胆にゴム製にしたのはその為です。このゴムを外せば、ハブは非常に滑らかに回ります。しかしその性能に敢えて目をつぶっても防塵性能を優先したのです。

こう考える人もいるでしょう。

「モーターサイクルや車にも使われているような性能を持つ、カートリッジベアリングが何故自転車の使い方ごときでダメになるのか?」

と。

もっともな考えです。

でも

「ダメになるんです」

何故か? それはベアリングが小さいと言うことが響いています。回転性とそこに掛かる重量と負荷の割合が思いの外厳しいのです。ベアリング屋さんの話を聞くと、ほぼ口を揃えて

「自転車くらいの回転負荷のなら、そんな精度は必要ない。そんなに高いグレードは必要ない」

と言います。

ここにキーポイントがあると思います。

結局、車やモーターサイクル、工業機械などを見てきた人は『動けばいい』のです。ところが自転車は感覚善し悪しを決めるものです。その場合『よりよく動く、より軽く回る』ということが求められるのです。

回転性能を上げたいために、シール性が高くない製品を使っているというのも一要素です。これは前述にも関わるのですが、自転車の重量と人間の重量を合わせても100キロに満たない場合がほとんどです。これくらいだとシール性が高いベアリングを使用するとかなり回りが悪く感じます。モーターサイクルなどは車重が桁が違うので、ベアリングの重さを感じることはまず無いはず。


自転車を趣味とする人でも、一般車のBBを触ったことがある人は少ないでしょう。回せばその重さに驚くはず。でもペダルを踏むときに重さを感じることは少ないでしょう。

手なら分かる。脚では分からない。

これがキーポイントです。そう
力のない存在にこそ、負荷なく回ることが重要なのです。

でもベアリングの等級を上げればいいという話ではありません。

ベアリングはワン、玉押し、ボールの共同作業です。玉だけグレードが高くても意味がないのです。

それのいい例がカンパニョーロボーラウルトラです。現在のTWOになる前、赤いハブキャップの付いたウルトラシリーズがありました。玉だけがセラミックだったのです。こうなるとバランスが保てずに強度的に劣るワンと玉押しが負けてしまうのです。ウルトラは確か1年で通常のベアリングに戻しました。

現在のカルトテクノロジーは専業メーカーと共同でワンと玉押しを共同開発したので、セラミックベアリングモデルを作ることが出来ました。なのでTWOは再びセラミックベアリングを採用できたのです。

今おそらく、一番高級なベアリングを使っているのはデュラエースでしょう。ステンレス製です。でもこれも他のアルテグラなどに使うと高性能になるかというと、それも違います。デュラエースはダイヤモンドツールでスーパーボラゾン加工をワンと玉押しに施しています。他のグレードは一つ下のボラゾン加工か、もしくはしていないのです。この技術があってステンレスベアリングの価値が初めて発揮できるのです。

ここまで厳しめの意見ですが、この二つのメーカーが優れているのはやはりカップ&コーン構造を採用していることです。

そしてシマノにはデュラエースグリスがあります。カンパは今グリスはラインナップしていないので、私としては大きなポイント差を付けたくなります。

デュラエースグリスは優秀です。もちろんこれより粘度(ちょう度)が低いグリスや耐久性に優れたグリス、防水性に優れたグリスなどもあります。しかしこのグリスはバランスが優れているのです。

ベースはカルシウム石けん。モリブデンも含まれています。これによりわずかなキズなら穴埋めする機能があります。そして粘度。あれくらいだと水がかかったときに巻き込んで乳化することで金属の錆を防ぎます。

これがイモグリスのように硬すぎるグリスだと、乳化せずそのまま残り錆が生じることがあります。逆に柔らかすぎると乳化が早すぎて、潤滑剤の役割を果たしてくれなくなります。

劣化は水だけのせいではありません。空気に触れる事での酸化。そしてなによりベアリングが回転するときに生じる熱による酸化です。天ぷら油でも分かるように、使用が進むにつれて油の粘度G落ちていきます。これにより熱の伝達も遅くなり、短期間でからりと揚げるということが出来なくなります。

ベアリングのグリスも同じです。さらに新品ではなじみが出るまでに生じるスラッジにより、グリスのみならず、ベアリングも傷つけてしまうのです。これがグリスを定期的に交換しなくてはならない理由の一つです。

グリスは重要です。これがなければ耐久性が著しく落ちます。セラミックベアリングの回転抵抗が少ないのは素材に依拠しているのではなく、グリスをあまり使わなくて良いという事のほうが要因なのです。

これを試す方法があります(やる人は自己責任で)。

カートリッジ、カップアンドコーンでどちらでも分解して完全脱脂します。そして、粘度の低いオイルを使用するのです。カートリッジの場合は両面のシールも外します。

これで走った場合、セラミックベアリング並の軽さを手に入れることが出来ます。

しかし寿命はあっという間です。

理由は……、言わなくてもいいでしょう。

こういうことも覚えておくと、製品の意味がわかる一助になります。



えらい持ち上げていてなんですが、幾ら構造的に優れていてもメンテナンスは必要です。特に下級グレードになればなるほど。デオーレクラスでおおよそ2000~2500キロくらいに達したらオーバーホールをススメします。もちろんその前でも違和感やゴリゴリ感を感じたら、ワンなどが傷つく前に処理をしましょう。

さらにリム、タイヤなどをD系の剛性の高い製品を使用すると、さらにメンテナンス頻度が上がります。ここでもバランスが重要です。

ガタが生じるのは工業製品である以上、なにより金属である以上避けられない事態です。ですがそれは常に織り込み済みの自体であるべきです。そしてカップアンドコーンなら手を入れれば長い間使用できる。メジャープロダクトとしてこれは大切なことではないでしょうか?

ちなみにカンパの兄弟ブランド、フルクラムの製品は上位機種はカップアンドコーンでボトムレンジはカートリッジベアリングを使用しています。

本来はカートリッジベアリングでもアキシアル方向の動きに強い、アンギュラコンタクトの製品もあります。しかしハブには使用されていません。ハブに使用するカートリッジベアリングを交換した人なら分かると思いますが、リペアの製品には方向指定がありません。こだわってもいいと思うのですが……。すでにヘッドセットには使用されていますから。







三ヶ島・カスタムヌーヴォ

2009-09-29 15:19:00 | 自転車
いやあ、体調が悪かったんで随分空いてしまいましたね。

もちろん書きたいことは山ほどあるんですが、ストックが貯まっていく一方で、何に惹かれたのか分からないやつもあったりして……(汗)。

今回はペダルのことを。

WBSにてまた自転車製品が取り上げられていました。

昨日はキャットアイでしたね。

先週でしょうか、三ヶ島ペダルが紹介されていました。

ここのペダルは競輪の認定を受けているだけあり、高級品の精度は一級品です。

私が今までに最も衝撃を受けた回転性能を持つペダル、それが


カスタムヌーヴォ



です。

一見すればただのペダルです。それどころか、最新のビンディングペダルや、削り出しのフラットペダルにくらべたら、遙かに見劣りがするでしょう。

一度手にするまでは。

手に取り、回せばもう、衝撃が走ります。セラミックベアリングなんか目じゃありません。

滑らかさ、静粛さ、一点の力もロスしないような精度。ただただ絶句です。

このようなペダルは世界の何処にも存在しないでしょう。カンパニョーロもスラムもシマノもサンツアーもタイムもルックも作ることは、まず無理です。

番組で初めてその秘密を知りました。

必ず存在するペダルの個体差に合わせて、0.03ミリ~のコンマ単位のシムを用意し、一つ一つ調整していくのだそうです。

三ヶ島ペダルは古くからあるメーカーなので、通常のペダルも作っています。それらは流れ作業です。

しかしカスタムヌーヴォを含むNJS認定品は熟練の作業員が専属で、手作業で組み立てていきます。

はあー、ため息が出ます。

勿論強度も折り紙付き。日本にいや世界に競輪選手ほどパワーのあるペダリングをする人間はそんなに存在しませんからね。壊れたら使ってもらえません。壊れないのが当たり前、そしてきちんと回るのもまた、当たり前なのです。

回したとき『フワン』という何とも言えない、音無き音が聞こえた気がしました。それとともに南極の氷を触ったような冷たく絶対的な剛性を感じました。

古くから自転車をいじっている人なら、今主流のクローズタイプのベアリングではなく、カップアンドコーンの常に調整が必要な回転系を覚えているでしょう。ベアリングの調整は自転車屋の腕の見せ所であり、1/32回転以上の細かい締め具合の微調整で成り立っていた部分でした。その場の軽さだけでなく、クイックを締めた状態での金属のたわみ具合も計算して余圧を与えていましたね。

その手間を知っている人なら、なおこのペダルのすごさがわかるでしょう。

別にセラミックベアリングやカートリッジベアリングが悪いと言っているのではありません。

しかしどのような製品にも個体差が存在し、はめるだけ、締めるだけでは絶対に最高峰には近づけないのです。

カスタムヌーヴォはそれを教えてくれます。



2010 NEW カーナッツエアー

2009-09-24 13:16:00 | 自転車





カーナッツエアーの2010年板です。リザーバータンクがホースで取り回しトルクロッドに取り付けていたのに対して、通常のよくある位置になっています。

引っかけたりトラブルがあったのでしょうか? リザーバータンクそのものはオイルの容量を増やして熱だれを防ぐのが目的です。ホースを長く取ることにより、より冷却効果を見込めます。

それを無くしてきた理由は……?

カーナッツは他のメーカーとは異なり、モーターサイクルに匹敵するサイズとオイル容量を持っています。今さら更に増やす必要はないのでしょうか?

R7に乗った知人の感想ですが

「まるでコイルサスペンションのようだ。非常に良く動き、接地性も抜群だ」

とのこと。

あそこまで容量を増やせば、エアスプリングのプログレッシブ効果を抑えることができるようですね。コイル式のカーナッツのスプリングは高価、かつ手に入れるのに時間が掛かりますから、極限を追求する人やレーサーでなければ、エア式がベターな選択ですね。

で、で、でんきー!!

2009-09-24 13:09:00 | 自転車










2010キャノンデール・レフティの
最新型SHIMON
です。

何なのかと手っ取り早く言ってしまえば、

電子制御サスペンション

と言うことになります。シマノのDi2を皮切りに、ついに電装が自転車にも始まったのかも知れません。

これはサイクルコンピュータ状のモニターで、コンプレッション、リバウンドなどのほかに、アンチボビング、踏ん張り特性などをセッティングすることが出来ます。しかもハンドルに取り付けたボタン一つで。

これが本当なら、素晴らしい技術です。サスペンションを、惹いてはMTBを激変させる可能性を秘めています。

F1で電子制御サスペンションを初めて取り入れた年には、あまりにも性能性つきすぎて翌年から禁止になったほどです。タイヤも大切ですが、足回りという点ではサスペンションも重要度では劣りません。

しかし……、キャノンデールの電子制御への取り組みは今回が初めてではありません。

以前電子ロックアウトを作りましたが、失敗しました。

今回はどうなのでしょう?

XTR 10速は2011年発売

2009-09-23 21:16:00 | 自転車


http://www.bikeradar.com/news/article/shimano-xtr-to-get-10-speed-cassette-for-2011-23307

何度かここでも書き記してきた
XTR 10速化ですが、
2011年に持ち越しになったようです。

うーん、残念。

ですが、どのタイミングで出てくるかはわかりませんね。ミッドモデルのような扱いで出てくるかもしれませんし。もしくはDi2のように遅れるかも知れませんし。

正直、スラム・XXは高すぎますからXTRやXTへの10速導入を見計らってメジャーシフトする可能性は高いです。今年の傾向を見ると、各社XXを採用したモデルを必ずと言っていいほど用意していますが、カーボンリジッドなどに会わせたXCモデル、軽量モデルが主です。実はこれではXXの真価を発揮できません。10速の意味もそうです。

皆色々な形で10速の恩恵を授かろうとするでしょうが、XXのカセットスプロケット単体で5万円に手が届こうとする価格はどんなに高機能であっても、普及には妨げ以外の何者でもありません。

さてどうなりますかね?