BIKEBIND自転車日記ブログ2

BIKEBINDの自転車日記ブログの移転先。過去が消えるのも忍びないので…。

2012 パッソーニ

2011-10-30 23:35:00 | 自転車
時代はカーボンでもチタンで頑張るのがパッソーニです。良いバイクや走るフレームと評される製品は数多いですが、『ラグジュアリー』という雰囲気をまとえるバイクは限られています。同社は数少ないそのメーカーだと私は思っています。

前年度からの持ち越しも多いですが、新型も結構ありますね。


トップジェネシス
●フォーク コロンブス・ミニマル
●フレーム チタン


トップエボリューション
●フォーク コロンブス・タスクストレート
●フレーム チタン

トップフォース
●フォーク コロンブス・ジーニアス
●フレーム チタン


トップフォースワイヤード
●フォーク コロンブス・ジーニアス
●フレーム チタン


XXTi
●フォーク コロンブス・ジーニアス
●フレーム チタン×カーボン


ネロ
●フォーク コロンブス・マッスル
●フレーム カーボン


ネロXL
●フォーク コロンブス・ジーニアス
●フレーム カーボン


ミラー
●フォーク コロンブス・ミニマル
●フレーム コロンブス・XCRステンレス


ライトスチール
●フォーク コロンブス・タスクストレート
●フレーム スチール


トップパスファインダー
●フォーク FRM・エアウェイ95SSV
●フレーム チタン


シングルスピード
●フォーク コロンブス・タスクストレート
●フレーム チタン


ヴァレンティーナ
●フォーク コロンブス・スピリット
●フレーム スチール
http://www.passoni.com/



一番最初のトップジェネシスはかなりクラシカルな趣ですが、新型です。この時代にあえてこういったモデルを作れるのはレーシング一辺倒ではないからでしょう。完成車販売ではダブルレバー、木リムなど道楽と言っていいスペックになっています(笑)。いや、好き者はどこにでもいるものです。

他にはストレートブレードのコロンブス・タスクストレートフォークを採用しているのが2012年の新型のようです。トップエボリューション、ミラー、ライトスチールが新作かな? ステンレスは昨年もあった気がしましたが、うーんどっちだったでしょうか……?

継続モデルのトップフォースなどはチタンとしてはかなりファットチューブを使っていますし、ヘッド規格もワンポイントファイブテーパーコラムであったりするので、レーシングとして捉えた場合はこちらの方が実戦的でしょう。

パッソーニは最も安くてもかなり値が張るので当たり前かも知れませんが、チューブもかなり高級品を使っています。だいたい3/2.5か6/4です。カーボン系はT800なのでまあまあです。

個人的にはミラーが気になります。ステンレスとチタンは溶接技術が似ているのか、普通の溶接所でも扱いを併記しているところが意外なまでに多いです。バイクビルダーでもいくつかありますね。ライトスピードのようにカーボンにシフトしてしまったメーカーもありますが……(涙)。

チタンはバテッドやテーパーなどの加工が難しい素材です。ハイドロフォーミングもまだまだ一般的ではありません。パッソーニのワンポイントファイブテーパーコラム対応のヘッドチューブもおそらく削りだしでしょう。そのせいか、自転車乗りにはなじみのあるストレートなシルエットを保っています。

こういう外連味のない、ストレートなバイクも良いですね。



2012 ロックレーシング

2011-10-30 17:32:00 | 自転車
ん? ロックレーシングってフレーム作っていましたっけ? チッポが復帰したときくらいからの記憶しかないのですが、確か彼のブランドフレームを使う使わないの問題で結局完全復帰には至らなかったような……?

そこら辺は周りの事情。バイクにはなんの罪もありません。見てみれば、かなりユニークなバイクです。


















RX5Ri i

■スペック
●インテグラルシートポスト、非対称シートチューブ、プレスフィットBB




RX4Si

■スペック
●素材 アウターカーボン・1K、インナーカーボン・T800
●プレスフィットBB、非対称チューブセクション、ワイヤ内装
●重量 1000グラム


X-3Si

■スペック
●素材 アウターカーボン・3K、インナーカーボン・T800
●プレスフィットBB、非対称チューブセクション
●重量 1000グラム
http://www.bikerumor.com/2011/10/29/2012-rock-racing-road-bikes-made-in-italy-aircraft-inspired-honeycomb-frames/#more-36965
http://www.rockracing.it/index.html



最近のバイクとしては結構細身だなあというのが第一印象でした。で読み進めていくと下位機種のRX4SiとX-3Siよりも細い。

???

そして現代カーボンフレームのセオリーであるダウンチューブ&シートステーがシートチューブよりも細い……。というよりシートチューブだけがエアロ形状? 不思議なバイクだなあと思っていたら、素材に秘密がありました。ただのカーボンではなく、カーボン×ノーメックスハニカム材を使っているのですね。

言わずもがなですがハニカムとは蜂の巣を指します。転じてこのような立方体のことも指すようです。この部分には紙やアルミ、アラミドなどが使われます。ロックレーシングにはデュポンのアラミド繊維、ノーメックス(商品名、ケブラーと同じようなもんです)を用いています。

この素材は剛性の向上もさることながら、振動吸収性、消音性にも優れています。ある意味ムセウと同じような乗り味かも知れませんね。

ハニカム材を使うバイクメーカーは非常に少なく、私の記憶ではコラテックとトレックが過去に使ったことがあるくらいです。なんでも宇宙分野や航空分野から素材や技術を持ってくればいいものではありませんが、構造体としてとても優秀なので採用されないのはコストか技術の問題なのでしょう。個人的にはホイールなどに使えばかなり良いのではないかと思っています。あとはステアリングコラムやハンドル、シートピラーなどの締め付けられる部分ですね。

さらにダウンチューブにはリブが真ん中に入っています。これも効きます。自転車のカーボンではタイムがスティフ構造として、チューブの中にマイナス形状とプラス形状のリブを作る特許を持っていたはずです。国産のエヴァディオはマイナス形状をフォークブレードに使っていましたね。メリダもどこかに使っていたような……? でもそれくらいの非常に珍しいチューブです。これもわざとセンターに持ってきていないようですね。このことでピナレロのように左右の力の適正化を図っているようです。

さらに! 成形はモノコック式ではなく、各チューブをオートクレーブにて焼き、それをつなげていくいわゆるチューブtoチューブ形式を採用しています。ロックレーシングではオープンモールドと呼んでいるようです。この作り方なので、3種類ともカスタムオーダーが可能なようです。

……こうやってスペックだけ並べてみても何やら尋常ではありませんね。ま、乗ってみないと分からないのが自転車ですが(苦笑)。

しかしまあ、他のスペックが分かりません。RX4SiとX-3Siは重量が1000グラムなどちょいちょいインフォメーションがあるのですが……。ヘッドチューブもテーパーコラムっぽいのですが、これもよく分かりません。なんだか(苦笑)。走りの要であるフロントフォークにも触れていませんし。でもRX5Ri iはかなり走りそうな感じです。

X4SiとX-3Siは快適志向に振ったモデルのようです。ダウンチューブなどは他社と同じく極太ですし、トップラインのアーチシェイプも取り入れています。X4Siはさらに突っ込んでチェーンステーも曲げています。アンカーのアルミもコンフォートモデルがこのようなデザインですね。

謎が多いのは否めませんが、好事家の興味の対象になりそうなバイクです。


2012 IRC・ミトスXC 29er チューブレスレディ登場

2011-10-29 23:28:00 | 自転車
ノーマルのチューブレスタイヤにこだわり続けてきたIRCですが、遂に世界でスタンダードとなりつつあるチューブレスレディモデルを29erに投入します!


http://www.irc-tire.com/en/bc/products/mtb_xc/mythos_xc-tl-ready/

形式 チューブレスレディ(要IRC・シーラント剤併用)
サイズ 29×2.1
重量 未定



私は国産タイヤでいうとIRC派です。パナも結構使いましたけど、タイヤの出来というか安定性、作り、何より走りですね、そこらへんに本当に信頼が置けます。そういうのがロード、MTB、高い、安いに関わらずどの製品ももって居るんです。不思議なメーカーです。チューブレスで言うとシラクが一番好きです。ミブロとかより。走りが軽くそれでいてグリップ力に長ける、本当に良いタイヤです。

IRCが評価されるのはそれだけではありません。ドイツの某誌のテストで最高の評価を得たチューブレスタイヤの密閉性もその一つです。これはMTBでのことなのですが、ロードタイヤも然り。世界中のタイヤメーカーが自社では出来ず、ハッチンソンに依頼している(しかもそれを隠すこともしていないのです(苦笑)この状況で、数少ないロードチューブレスタイヤの自社生産を行える高い技術を持った会社と言うことが出来るでしょう。

ロードバイクのタイヤは大体7バール近辺の高い圧を必要とします。もちろん世の工業製品はこれ以上の圧が掛かるものは数多くあります。ですがタイヤではなかなか無いみたいなのです。

話を戻しましょう。

そんな高いチューブレステクノロジーを持つIRCとしては、チューブレスレディはあまり好みではなかったでしょう。信頼していないともいえます。どう考えても全てがきっちりとシールドされた通常のチューブレステクノロジーの方が安心でしょうから。

ただ、他社と異なるのは単にビード部分だけをチューブレスタイプにしたのではないということ。『マイクロゲージ・インナーシール・システム』という新たな技術をひっさげてチューブレスレディに挑みます。詳細は……、勉強してきます(汗)。

チューブレスとチューブレスレディには決定的な差があります。それは重量です。例えば……、ミトスXCチューブレス26×2.1が645グラム、同サイズのノーマルのミトスが595グラムです。使うチューブにもよりますが、単純にチューブレスレディでは50グラム近く軽くすることが出来るでしょう。29erではその差はさらに拡大します。

一般ライダーはチューブレスでもシーラントを入れている人も多いはず。そうすると……。答えは言わずもがな。

29erに初採用なのも、やはり軽くしたいからでしょう。なによりIRCは29erで完全に後れを取っています。2012年の完成車メーカー各社のラインナップを見てみれば、29erが特殊なセグメントではなく、主流になろうとしているのがごく簡単に分かります(日本やアジアではもうちょっと先かも……)。同社はメーカーのスペックインがほとんど無い状況です。ここでアフターマーケットも逃してしまえば、死活問題になってくるでしょう。

ロードタイヤでチューブレスは成功しているとはいえ、レースシーンの主流であるカーボンリムチューブラーに対応するタイヤを生産していないのは厳しい要素の一つです。

ここは頑張って29erの世界で一勢力を築いて欲しい物です。



2012 ポルシェ・クロスバイク、RS&S

2011-10-29 22:35:00 | 自転車
ちょっと前、電動アシストタイプのバイクを作っているのが明らかになりましたが、どちらかというとこのクロスバイクシリーズの方が力が入っているように見えます。

RSがフルカーボン、Sがアルミニウムのハイブリッドとなるようです。








ポルシェ・RS




ポルシェ・S

http://road.cc/content/gallery/46182-porsche-bikes-2012

以前作っていたときもデザインはポルシェでしたが、製作は初期はボーテック、後期はストークでしたのでどうしても製作会社のにおいが漂っていました。これはどこで製作しているのかは分かりませんが、すっきりしてデザイナーの意見がそのまま通った印象を受けます。今までのMTBよりロードバイクよりらし感じです。

デザインとしては遠目からはすっきりとして面白く、近くに寄れば凝っていて面白いです。トップチューブからシートチューブへのアーチシェイプデザインというのは近代バイクのお約束です。ダウンチューブとヘッドチューブの接合角を鈍角にふる曲げ加工もそこまでいやらしくない範囲で収めています。さらにヘッドチューブ上側もエアロブームのせいか面白い形状が流行りつつありますが(ルックMTBやスペシャ・ヴェンジなど)、意識しているかわかりませんが個性的です。

個人的にはワイヤ処理などはこういうデザインバイクとしては、内蔵にしたいですね。そしてフロントフォーク。サスペンション前提のスケルトンなのは仕方ないですが、クラウン部とタイヤとの間に空間がありすぎてちょっと間が抜けています。

しかしこういうものが本気で作れるのが、ヨーロッパの懐の深さを感じさせます。


驚愕のボーイング・787

2011-10-29 15:09:00 | その他
先日、WBSでボーイング・787の特集をやっていたのですが、いや驚きました。まあ私はエンジンなどはあまりわからないので、機体となる部分の技術についてなのですが。

カーボン、厳密にはCFRPについてです。いや、まさに世界の最先端なのですね。す、すごすぎる……!


http://www.ana.co.jp/promotion/b787/
787は50%をカーボンが占めるそうです。アルミ合金だったところを大胆に置き換えているのですね。

日本企業が多くの部品を納めていることでも有名です。その割合は35%にものぼります。これはボーイング本社と同じ比率だとか。この不景気な時代に頑張っていますね。うれしいです。それらのほとんどがカーボンに絡んでいるようです。昔から飛行機のトイレはオートクレーブで日本企業が作っているということは知っていましたが、時代はさらに進んでいるようです。

で、驚いたのはそういうところではありません。前部胴体を担当する川崎重工業の工場を取材していたのですが……、製法がとんでもなかったのです。いや、製法ではないですか、そのサイズですね。

確か777は胴体はアルミのフレームにパネルを接着剤で貼り付けていたはず。なのでカーボンとはいえ、今回もそういう方式かと思っていたのです。

ところがどっこい、全く違いました。なんと! あの巨大な胴体部分を一体成形、すなわちワンピースモノコックで作っているのです!! しかもオートクレーブで!!! もう度肝を抜かれました。787は中型機といえど、胴体の直径は7、8メートルくらいはあります。長さだって多分15メートルかそこら。それを釜に入れて一括して焼いているのです。

さらにさらに! プリプレグも通常のUDでもMDでもありません。トゥプリプレグ(トゥプリプレグは大体ガムテープのように巻いてあります)といって細いUDみたいな自転車界ではあまり知られていない製品を使っています(なのでおそらくウルトラハイモジュラスのような超高弾性カーボンはもろい側面もあるので使っていないでしょう。糸はインターミディエイトクラスかと)。それをマンドレル(金属製などの硬質な型)に巻き付けていくのです。このマンドレルも787胴体の実寸大の大きさがあり圧巻でした。確かに円形なので出来ることは出来るのでしょうが……。その発想の大きさにひたすら驚嘆します。

ひょっとしたら新世代のスペースシャトルとか作れるかも知れません(笑)。そして応力の掛かる部分には厚く、少ない部分には薄くしてあるのです。この技術もスゴイですね。

あれだけ巨大な物体がモノコック、しかもオートクレーブで成形されるなんて……、大きさとしてF1のシャーシなんて目じゃありませんから。車とかで利用が期待されるハイサイクルタイプのカーボンは焼いていませんし。

釜もスペシャルらしく、中身は撮影禁止でした。おそらく内部の熱を循環させ、大きい物体でも均一に熱が通るようにしてある最新型のオートクレーブ釜でしょう。

樹脂も破断や衝撃に強い特殊なものを使っているようです。東レが787のカーボンに深く関わっているので、ピナレロで使ったナノアロイのような物かも知れません。ひょっとしたら良いテストだと思っていたのかも……(笑)?

これなら桁違いに軽く、丈夫に出来るのも納得です。スケールにただただ圧巻されたニュースでした。