バイユー ゲイト 不定期日刊『南風』

ブルース、ソウルにニューオーリンズ!ソウルフルな音楽溢れる東京武蔵野の音楽呑み屋バイユーゲイトにまつわる日々のつれづれを

B.B.キング83歳のニューアルバム

2008-11-28 | 音楽

Bbkingfavor 最近のバイユーのヘヴィローテーションです。ブルースの王様、B.B.キングのニューアルバム『One Kind Favor』。実に丁寧に作られた素晴しい出来です。心よりお薦めいたします。
83歳のB.B.キング。もしかすると「全盛時と比べると」や「年齢的な衰えが…」「ギターの切れ味が」~ウンヌンと一部分に対して否定的なまるで見当違いの評を目にしたりするやもしれませんが、そんなものは無視です無視!私が保証します。人間皆歳はとるものです。そんな枠を飛び越えた良い音盤です。特に若きBBのレコードを持っていて、彼に興味のある方は是非ご購入をお薦めします。

巷で話題になっていた本盤、ですが購入したのは割と最近です。なんとなくモタモタと躊躇していました。反省です。1曲目の最初の音で素晴しい作品であることがわかりました。アルバムのタイトルが歌詞に出てくる『See That My Grave Is Kept Clean』。「俺の墓を綺麗にしておいてくれよ(ひとつお願いだ)」と歌われるBBの先人にあたるブルースマン、ブラインド・レモン・ジェファーソンの曲です。そう、これが話題の原因です。この、ファンならいろいろと考えさせられてしまうブルースナンバーがネットリと少しダークでファンキーに始まるとすぐに " ただ楽曲を集めてブルースセッション的に演奏して作られたもの " ではなくしっかりとプロデュースされたアルバムであることがわかります。オルガンがなんともいい感じです。作品コンセプトとしてはBBが聴いてきたであろう先人のブルースマンの楽曲をカヴァーしたというものなのですが、全編に渡ってつくりが丁寧で飽きさせません。80歳を越えたBBの声をレコーディング技術で飾ったりすることなく痩せた部分まで柔らかな手触りで見せて聴かせてくれています。ギターの音も同様。これが今のB.B.キングなんだ、、、とジーンとするような出来です。例えば、一聴するとなんだか音を探りながら弾いているかのようなスローなギターソロもよく聴けばこれが唸るような音の並びを残しています。鋭い切れ味や凄いフレーズ!という価値観だけでなく、音楽の蓄積が生み出したようなメロディに日々感激したりしています。枯れても問題なし、です。聴き手にとっては決して寂しげなジャケットとタイトルからイメージされるような印象はなく、BBが80歳を過ぎても素敵な音楽を聴かせてくれているという事実の持つ喜びをたっぷりと感じることができます。
そうそう、これは不思議なのですが…収録されているのはブルースナンバーばかりだというのにブルースのアルバムを聴いている!という感覚があまりしないのです。ブルースを超越しているような手触りです。ボブ・マーリーを聴いていると、レゲエを聴いているというよりボブ・マーリーを聴いているという感覚になるのとなんだか似ているのかも。
そんなアルバム・プロデュースはTボーン・バーネット!凄い仕事ぶりです。尊敬!!今作のM.V.P決定です。

と、お薦めしまくりのB.B.キングですが~実はワタクシ20数年前はどちらかと言えば嫌っていました…。それも " コマーシャルなブルースマン " というあまりにもバカバカしく的外れなイメージだけで。「マウント・フジ・ジャズフェスティバルなんかにフュージョンの人たちと混じって出る奴やろ?」や「全然ローダウンでダーティじゃない!!」こんな感じです。「あんながは売れ線やき!やっぱライトニンやハウンドドッグ・テイラーやろ!?」…こんな感じです。ああ、思い出しても恥ずかしい。。。
その後、勿論聴いてはいましたがB.B.の真の素晴しさにようやく覚醒したのは15年ほど前のことです。

その後悔と恥ずかしさからでしょうか、素晴しい新作を強く褒めてみたくなったのは…?是非もう一度生のステージを体験したいと熱望いたします。