南無煩悩大菩薩

今日是好日也

カエルツボカビ菌の教え。

2020-07-08 | つれづれの風景。
(/観月蛙之図 伝蹄斎北馬筆)

2006年12月、1980年代から世界中で流行していたカエルツボカビ症という、両生類を死に至らしめる感染症が、日本でも発見されたというニュースが流れた。

この病気は、カエルツボカビ菌という真菌の一種が病原体とされ、世界では、この感染症によって絶滅した種や個体群が報告されており、両生類の多様性の大きな脅威とされていた。

この菌が、日本でペットとして飼育されていた南米原産のカエルから見つかったことで、ついに日本にも本菌が上陸したとして、日本の両生類も絶滅の危機に立たされるのではないかと懸念された。

そこで立ち上がった研究グループは、その菌の国内分布状況を調べるため、日本各地の一万以上の両生類個体からサンプルを採取して調査し、さらに遺伝的変異を分析した。

その結果は、なんと、このカエルツボカビ菌は、日本が起源である可能性が高いことがわかったという。

菌の日本侵入の最初の報道以降、結局日本国内で、この菌による野生両生類の被害事例は皆無に近く、研究グループによる感染実験の結果からも、日本のカエルは発症しないことが示された。

日本の両生類は、カエルツボカビ菌と古くから共進化しており、免疫を持っているため、感染しても影響を受けないと考えられるという。日本の固有の菌がペットとして海外に持ち運ばれた日本の両生類や、食用として流通した外来種ウシガエルとともに世界に広がり、免疫を持たない外国の両生類を危機に陥れていたようなのだ。

「ごめんなさい」と素直に言えない偏見を自らただすにはインテリジェンスとオープンマインドは欠かせない。
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