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アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

崔文洙氏による弦楽合奏の味わい

2018-04-14 22:00:00 | 音楽/芸術

日頃はオーケストラのコンサートマスターとして多忙にされている崔文洙氏だが、今回彼が音楽監督として弦楽器の仲間達を招集し演奏会を催すとのことで大阪まで出向いて来た。

今回はいつもの新日本フィルではなく、大阪フィルのメンバー40人にもならんとする方々が有名なヴィヴァルディの四季やメンデルスゾーンの八重奏曲を演奏したが、その演奏内容たるや思っていた通りの充実ぶりであり大変感激したのである。

そこに姿を現した音楽は、アントンKが今まで聴いてきたヴィヴァルディではなく、メンデルスゾーンに至っては、弦楽合奏がまるで大シンフォニーのように聴こえてきたのだ。音色の浮き沈みが鮮明に映し出され、音がいつもしっかり鳴っていて細部の表情付けですら深く味わいがある。ヴィヴァルディの四季では、崔氏がオケの中心に立って終始演奏していたが、彼のソロを含めた旋律の豊満な響きは、相変わらず素晴らしくゾクゾクしっぱなし・・・ヴィヴァルディでここまで気持ちが入った音楽は聴いたことがない。バロック音楽だからとか、ロマン派だからだとか、過去の例には全くとらわれず、自分たちのやりたい音楽が明確に我々の前に出現した訳であり、アントンKは一番そのことに感銘を受けたのである。いつも言う独自性の強い音楽から受ける刺激は、今回も凄まじく、熱演も相まって大変貴重な時間を体験した思いだった。

そもそもアントンKが、この手の演奏会に出向くこと自体が珍しいのだが、崔文洙氏の気持ちの入った響きを聴きたいという思いだけで来阪し、今回も期待以上の音楽をまたもや演じて下さり、感無量で帰路に就いたのだった。

今回の会場が、大阪フィルハーモニー会館といって、大フィルがいつも練習場としている場所であったことも、アントンKには有難かった。天井が高く残響という面では不利に思える会場だったが、演奏者がすぐ目の前で演奏するくらい近くで奏し、楽器の音色をダイレクトに受け止める感覚で、身体全体で鑑賞するイメージだった。終演後の聴衆達から聞こえてきた感想は、どれも好印象に思ったがそれもそのはず。演奏中の気持ちの張りは、会場全体を包み込んでいたのだから当然な結果だろう。アントンKは、このフィルハーモニー会館が朝比奈隆ゆかりの地であること、そしてこの日の聴衆たちが、決してかしこまることなく、本来音楽が好きで、大フィルが好きで集まってきていることに感銘を受け、いつも聴く演奏会とは別の意味での感動を味わったのである。とかく日本では、クラシック音楽というと敷居が高く高尚なものと思われがちだが、本当の意味は全く別のところにあるということを再確認させてくれた演奏会だったのかもしれない。こんな素晴らしい機会を、そして演奏を享受してくれた崔文珠氏に今は感謝したい気持ちで一杯なのである。

弦楽合奏の愉しみ~大阪フィルのメンバーによる

ヴィヴァルディ 協奏曲集「四季」 OP8-1~4

メンデルスゾーン 八重奏曲 変ホ長調 OP20 (弦楽合奏版)

アンコール

グリーグ 過ぎし春~ふたつの悲しき旋律 

レスピーギ パッサカリア~リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲より

大阪フィルハーモニー交響楽団

コンマス  崔 文洙

2018-04-14     大阪フィルハーモニー会館