風雅遁走!(ふうがとんそう)

引っ越し版!フーガは遁走曲と訳される。いったい何処へ逃げると言うのか? また、風雅は詩歌の道のことであるという。

還暦ロックな夜

2007-09-18 01:36:04 | コラムなこむら返し
Ari_60_5 二日目(16日)は、アリの還暦祝いバースディ・ライブだ。言い出しっぺは本人で(笑)、会場もアリにとっては近所のよしみの国立「地球屋」だ。このところボクはケンゴの新しいユニット(これが滅法いい!「ひかりまつり」「911BE-in」で目撃)は聞いているが、アリ、ケンゴ、ヤスの「YARZ」フルメンバーとして揃い踏みして聞くのは全くの久方ぶりで、本人たちがそう言っているんだから確かだろう。
 還暦ライブにひっかけて一番「YARZ」でライブをやりたかったのかアリ自身で、実はボクは前日のYUCOの小品展で60歳を前にしたアリの決意のようなものを聞いたばかりだった。
 「或る」ギャラリーのオーナーが問うた。
 「アリさんって、すごく器用で色んなことをやってるけど、自分ではなにが一番やりたいことなの?」
 アリは答えた。「音楽だね。音楽しかないよ」
 これを、還暦を前にして言える男の言葉としては立派だと思う。アリはあらためて60歳からの出発として、音楽を選んだのである。このひと言で、ボクは翌日に読むポエトリーが決まった。
 それが、ボクがYUCOにつづいてソロでリィディングした「俺は詩(うた)う!」である。ボクなりにアリの還暦の決意を褒めたたえ、励ます意味でのポエトリーであった。

 アリたちYARZが歌い出した時、会場から「イェーイ!還暦ロック!」という掛け声があがった。これは「監獄ロック」のもじりとして本人が言ったかどうかは別にして、言い得て妙であった。
 そう、この日は、「還暦ロック」がはじけ「地球屋」をゆるがした。世界ハーモニカ(ブルースハープ)大会で優勝したこともあるユーシンが飛び入りし、長いお勤めを終えた伊藤耕が客席から乱入した!
 それは、「YARZ」が得意の持ち歌とした「ひとつに溶けて」の時で、伊藤耕は即興で歌いだしたのだが味があって良かった。その詞は高い塀の中に幽閉された監獄ロックで、還暦ロックと響きあったのだ。歌はいいなぁ、歌うことはいいなぁとボクも興奮しながら踊っていた。
 この日、感激したのは赤いものは着ないと言っていたアリが、ボクがプレゼントした赤いTシャツに着替えて終始、その衣裳で還暦ロックしていたことだ。超特大のハート型のバースディ・ケーキのロウソクを吹き消す時もアリは幸せそうだし、いや、還暦にしてYUCOのスウィートな愛の詩をプレゼントしてもらうアリはセカンドライフとかいうつまらない言葉を吹き飛ばすくらい青春のロックな生き方を見せつけたもんだ。
 おめでとう! アリ、そしてYUCO。これからも「YARZ」は聞き続けるつもりだ。いつまでも、インディーズのクラプトン(って、ボクが名付けたのだったが)にとどまることなく若いロッカーのカガミになってください。