ちょっと舌たらずになってしまうが、会期は明日19日(日)までなので、間に合う人に行ってもらうために急いで書いておく。金坂健二は、いまでは忘れられた存在に等しいが、60年代後半アングラ映画運動と鋭く過激な評論活動で、一世を風靡した人物。だが、内ゲバ的な内紛で疎んじられ、アングラ映画の流れをひくイメージフォーラムや、インディペンダント・シネマの世界から名前を抹殺されたアングラ映画監督だ。その経緯を書ける立場にボクはないので、その中味は今ははぶく。
ともかくも、「アングラ」という言葉は金坂健二と『映画評論』誌の映画評論家佐藤重臣が作ったようなもので、状況劇場や天井桟敷が、代名詞のように思われている「アングラ」は、そもそもは「アンダーグラウンド・シネマ」から来ている。
ボクはアングラ映画監督の岡部道男に紹介されて、新宿「風月堂」で金坂健二と会い、すぐさま『ドロッパワー』というアングラ・ペーパー(地下新聞)の刊行に誘われたのだった。
その懐かしい金坂健二のみずからプリントして残された写真展が、原宿のT.H.C.(トーキョー・ヒップスター・クラブ)で開催されている(明日までだ!)。
生プリントの写真が貼りつけられ、それなりにオシャレにレイアウトされているとはいえ、生々しい60年代のアメリカ、アンダーグラウンド・シーンを垣間見るような写真である。写真のあいだに、金坂の著作からの引用が壁面を飾るが、それは写真の説明では一切ない。もう、会期修了も押し迫っており残念ながらパンフレットを買うことができなかったのだが、アンディ・ウォホールや「ファクトリー」、パティ・スミス、アレン・ギンズバーグなどのスナップ写真、おそらくベトナム反戦集会や、ピースフェスでのスナップ写真、いまや絶滅動物であるヒッピーの姿などが、写された貴重な写真だ。それらの写真は、おそらく知り合いの金田トメ吉が、晩年の金坂のアパートをたずねたとき見たものに相違ない。さまざまな印刷メディアに発表したものであろう。
ビデオからダビングされた『ホップスコッチ(石けり)』は、そう1967年に金坂がアメリカで製作した映像作品で、ボクは帰国直後だったと思うが、たしか「草月ホール」で見た作品だと思う。ともかくも、10分26秒の小品だが、ボクはほぼ40年ぶりに見た。ちなみに、その頃は金坂健二と親しく口がきけるとは思ってもみない20歳くらいのフーテンの若造だったのだ、ボクは。
金坂健二展「アメリカを撮る」4月19日(日)まで TOKYO HIPSTERS CLUB(渋谷区神宮前6丁目16-23)TEL 03-5778-2081