風雅遁走!(ふうがとんそう)

引っ越し版!フーガは遁走曲と訳される。いったい何処へ逃げると言うのか? また、風雅は詩歌の道のことであるという。

「号泣しながら「千の風」……」で思うこと(補足その2)

2007-02-28 23:46:55 | コラムなこむら返し
 (d)昨日の記事(c)で書いたようなことで、なぜ苦言を呈するかと言えば、「TVにネット世代はなんの幻想もいだいていない」ということをTV関係者に認識してもらいたいからである。ましてや、NHKは受信料の義務化も将来的に検討しようとしているのだったら、番組制作スタッフおよびマスコミ人の倫理観をこのような時に問いただしたいからである。

 これまで、TVは有名人(言葉を代えて言えば「セレブ」?)が、出演するものと思われていた時代なら、TV取材は「驚くべき出来事」だったかもしれない。だが、いまやTV会社が既得権を守るために死守しようとどう画策しようとも、将来TVはメディアとしてネットに呑み込まれてしまうとボクには思われる。
 双方向性は、デジタル放送にして実現するものではなく、映像や放送権をもふくめた「表現する権利」が、国民にどう保証されるかの問題だと考える。そうであるならば、それはユーチューブのような画像・映像を発信するメディアを個人が「権利」としてネット上で「安価に、自由に」実現することができるかということが実は問題なのである。
 今回「首都圏ネットワーク」のディレクターもボクが教えたこのブログの記事によって、ボク自身を知り得たのみならず、ボクの「樹木葬」の思想そして実践を具体的に知り得たはずである。現に、勉強になりましたと、ディレクターは言っていたから……。
 そう、もうすぐあなたたちはその「参考資料」にしているネットに呑み込まれますよとボクはここで断言しておこう。

 (d)「千の風」をとりあげた今回の「クローズアップ現代」の番組では、ボクが号泣したエピソードで、農道のようなところを三人の姉妹たちが手を振りながら、スタッフの乗ったロケバスを送るシーンまで映し出していた。
 まるで『ウルルン滞在記』のラストシーンのようなこのカットの採用が、この「千の風」のドキュメント部分を撮ったNHKのスタッフおよびディレクターの「意識」を映し出しているような気がしてならない。
 この番組のドキュメント部分を撮ったスタッフも、ひとりのタレントが見知らぬ場所へわずかの時間滞在して号泣して別れを惜しむという『ウルルン滞在記』の気分になっていたのが、おおい隠せないと思う。

 TVにまだ、「幻想」をもっている善良な民衆に依存する分なら、TVクルー(番組制作スタッフ)は、「訪れる神」に等しい「客人(まれびと)」かもしれない。そして、きっとこのようなカットの採用そして、平然と取材先で接待を受ける感覚が、このような「客人(まれびと)」意識の上に成り立っているのだろうことを予想させる。
 TVクルーはいわば、旅人に似ている。だが、旅人はわずかなりとも現地に金を落とす。しかし、「客人(まれびと)」意識の上で「(訪れる)神」だと、無意識の中で思っているTVクルーは素朴なひとびとの夢と人生を踏みにじっても平然とできる程度の鈍い感覚に漬かったままなのである。
 才能のないタレントには、出演料を払っても人生を踏みにじった無名の庶民には、接待は平然と受けても金は一銭も払わないのだ。

 (e)さらに、これは根本的な疑問だが、取材する方は、取材の間中どんなに理解したそぶりを見せようとも、取材が終わると一過性の番組の材料としか考えてなかったのかとぶ然としてしまうケースが多い。
 同じ人生、生活をかかえた人間どうし、その生きざま、生き方で交流しましょうと肚を決めて、かかってきて欲しい(笑)。
 じゃなかったら、出演料をよこせ(笑)!

 (注)実は、このような歓迎すべき取材態度で取材を受け、mixiなどでマイミクして関係が続いているマスコミ関係者も何人かいることを申し添えておきます。


「号泣しながら「千の風」……」で思うこと(補足その1)

2007-02-27 23:56:01 | コラムなこむら返し
 (a)正確には「千の風」という翻訳書名は存在しない。新井満さんの翻訳(正確には意訳)書名が『千の風になって』であり、先行する翻訳が『1000の風』だからだ。先行する三五館版の『1000の風』は、もう10年以上前に出版されている(1995.6)。訳したのは南風椎(はえしい)さん。近い内に南風さんが訳したもう1冊の本のことについても書くつもりだ。
 原詩の「a thousand winds」は、英語圏ではかなり昔から知られていた。

 (b)NHKの番組「クローズアップ現代」では、ゲストは新井満さんだったが、映し出された書物は南風椎訳の『1000の風』の方だった。後発の新井さん訳の方は、そのバリエーションの多さ(絵本で2冊、写真詩集が1冊、CDブックが1冊など、それに新井作曲の歌曲が加わり、それも競作されている)と、電通出身の企画力とメディアタイアップのうまさでたちまちのうちに総発行部数は南風版を抜き去ってしまったようである。AMAZONの読者コメントでは、南風椎さん訳の支持者が多いようだ。

 (c)番組に登場した子どもたちのけなげな姿に号泣したとは言え、このような他人の家、人生にTVカメラがズカズカと入り込んで涙をさそうドキュメンタリィを作るといった番組制作のやりかたをボクは好ましいとは思っていない。むしろ、後味がいつも悪い。
 と言うのも、ボク自身も「被害者」のひとりだからだ。

 昨年、秋、「樹木葬」についてNHK地方番組『首都圏ネットワーク』でとりあげた時、ディレクターの意向を受けた住職に頼まれて仕方なくそれへの出演を了承してしまった。事前の電話取材で、ボクはディレクターにかなり突っ込んだ質問をされ、家庭の事情も含めてディレクターに正直に話した。母を何故樹木葬にしたのか? 母が離婚家庭であるために、長崎にある父方の墓に入れない事情などなど。そして、樹木葬についてボクがつらつら考えている「哲学」(?)などを……。
 その上で、我が家に来て、ボクが仏壇に祈っている姿などを撮りたいというので、それはボクは断った。第一、ウチには仏壇というような体裁のいいものはないし(それは、母の死とともに母のところからもってきた小さな入れ物があっただけだ)、ウチに来られるのは困ると言ったのだ。どうやら、ディレクターには撮りたい「絵」が頭の中にあるらしい。
 で、結局はなしは振り出しに戻って、ボクは断られ、出演は生前契約の御夫婦になった。番組としては、それの方が結果としてよかったのかもしれないが、まだ顔も知らないディレクターにかなり立ち入った話しまでしたボクは納まりがつかなかった。出演しないのはいいのだが、「失礼な連中だ」という気持ちは押さえがたかった。
 で、「樹木葬秋の集い」の時、ボクはいつものように裏方の寺男として手伝っていたが、その場ではじめて会ったディレクターやカメラは意識的に避けてしまった。それでも、カメラの後ろで働いているボクの姿は写ったものだった。

 さて、さらにボクの憤まんはあるのである。番組スタッフは寺での収録のあと、これは寺の好意なのだろうが、樹木葬会員参加者が参加費を払ってお昼に食した食事と同じものを接待され、遠慮することもなく「役得」のようにスタッフ4名が食べていった。かれらは、二度とこの寺、樹木葬地に訪れることはないだろうにである。
 お寺としては、宣伝をして樹木葬を広めていただいてという気持ちの上での好意だったのだろうが、番組作りにかかわる立場と言うのは「黒子」に徹して、このような接待、好意はすくなくとも一度は辞退すべきではないのかというのがボクの感覚である。スタッフは嬉々としてこの接待を平然と受けていったのだ。

(つづく)


号泣しながら「千の風」の番組を見たこと

2007-02-26 23:58:53 | コラムなこむら返し
 26日19時30分の『クローズアップ現代』を号泣しながら見てしまった。「”千の風”5000通に託す思い」という番組タイトルで、この作者不詳の英詩の訳者新井満さんのもとへ寄せられた読者のお便りからNHKがセレクトした3組のケースを取材して紹介するというNHKのお得意とする番組の作り方だ。
 ところで、番組を冷静にみていたボクは3組めの母子家庭の三人姉妹のけなげな様子におもわず目頭を押さえたはずが、涙が止まらなくなってしまった。
 番組でも、ゲスト出演の新井満さんも目頭をぬぐっていたが、まだ幼い三人姉妹に「お父さんを忘れずに頑張って生きていくんだよ!」と、声をかけたくなったのでありました。
 娘思いのお父さんだったらしく、お風呂に入れ、寝る前には絵本の読み聞かせなどをやっていたらしく、きっと娘よりも前に寝息を安らかに立ててしまうようなお父さんだったのでありましょう(身に覚えがあるもので、すみません)。
 その良き父が、2年ほど前、交通事故で突然亡くなったらしいのです。享年39歳のあまりにも早すぎる事故死でありました。残された娘たちは大好きだったお父さんが、突然失われたショックでPTSD(心的外傷ストレス障害)のような症状をみせていたと言います。
 ところが、知り合いにもらったという「千の風」のCDブックで、こどもたちも歌を覚えてしまい、それからいままで一切ふれなかったお父さんのことを絵に描いたり、口に出すようになったといいます。
 いや、ボクは最初少しマユつばだったのですが、子どもたち自身がはっきりと口に出して言いました。
 「お父さんにぴったりの詩」って!
 ボクが泣いてしまったのは、本棚からアルバムを引っぱり出して、それはお母さん(現在40歳)との結婚記念写真で、白い上下のスーツで決めたお父さんを見て、おそらく4~5歳くらいの末の娘さんはこう言い放ったのです!
 「お父さん、カッコイイ!」

 今日は、番組の感想レベルです。実は、「千の風」についてはボクなりの考えがあります。それについては、明日以降書くことにしましょう。なにしろ、まだ目が紅いもので……。


3/2 E.G.P.P.100/Step68/「弥生 三月 桃の節句に あくせく アクセス!」

2007-02-24 23:16:51 | イベント告知/予告/INFO
Nagasihina04●オープンマイク・イベント/TOKYO POETRY RENAISSANCE
E.G.P.P.100/Step68

テーマ:「弥生 三月 桃の節句に あくせく アクセス!」
(Birth Day Partyつき?)
2007年3月2日(金)開場18:30/開始19:30
参加費:1,500円(1Drinkつき)
MC:フーゲツのJUN
(出演)フーゲツのJUN(ポエッツ)、マツイサトコ+BUNNY、アリ、かし、ココナツ(以上うた)、イエス北村(コメディ)、小堀イチエン(ボウズパンク・予定)……エントリーしてくれたあなた!
会場:ライブ・バー水族館(新宿区百人町1-10-7 11番街ビルB1)
問:03-3362-3777(水族館)http://naks.biz/suizokukan/
主催:電脳・風月堂 http://www1.ocn.ne.jp/~ungura/

 3月は「雛まつり」の前日になります。毎月第1金曜日に開催する定例イベントだと、節句に重なる機会が増えます。で、昨年から恒例になりつつありますが、今年も自ら自分のバースディを祝っちゃいます! 女の子の祭りである「ひな祭り」近くに生まれた男の子の宿命です(笑)。ですから、3月生れはとりわけ集合です! 一緒に自分で祝いましょう!

 まるで、「流し雛」のお内裏さまの心境で、流れ易い世相の中で、女の子の「穢れ」をともに帯で結びお雛様と一緒に、河に流されてみせましょう! まるで「心中」、「道行き」のような「流し雛」の有り様が、痛くこころに沁みてきます。

 一般オープンマイクへエントリーなさる方には、このテーマ設定は関係ありません。御自分の表現・テーマで挑戦して下さい。
 ※ポエトリー、うた、バンド問わずフリー・エントリーが可能です!
 事前エントリー専用BBS(TOKYO POETRY RENAISSANCE/EGPP 100 BBS)にエントリー表明を書き込んで下さい!→http://8512.teacup.com/5lines/bbs

E.G.P.P.100 MIXI内コミュアドレス→http://mixi.jp/view_community.pl?id=230706

(写真は「流し雛」)



「ボビー」という映画

2007-02-23 23:59:41 | コラムなこむら返し
 いや、そんなに大袈裟に言い立てるつもりもないが、これも引き続いておこったシンクロニシティなのだろうか?
 J・F・ケネディの暗殺のことを書いた翌日、またボクはビックリしてしまった。夕刊の広告で明日から公開だという映画『ボビー(BOBBY)』というのを見つけたから……。
 はたして、それはJFKの弟にしてケネディ政権で司法長官をつとめたロバート・ケネディのことを描いた映画作品らしい。そんな映画が製作されていたことも知らなかったが、ましてそれがボクがJFKの暗殺について書いた翌々日からのロードショー公開であったとは!

 検索して調べてみると、映画はどうやらボビーの愛称で兄ジョンに劣らぬ人気をもっていたロバート・ケネディが、やはり兄同様に暗殺された当日(1968年6月5日)のLAアンバサダーホテルに泊まっていた人々の群集劇であるようだ。
 ロバート・「ボビー」・ケネディは、日本ではその兄ほどその仕事ぶりが知られていないようであるが、司法長官という職分(兄ジョンに取り立てられた)柄、CIAとりわけFBI長官などとも対立し、またマフィアからも敵対視されていた。マフィア撲滅作戦を積極的にすすめたからである。

 ベトナムからの即時撤退を公約に大統領選挙出馬を表明、カルフォルニア州での予備選挙の大勝利の最中にLAのアンバサダーホテルで銃で撃たれて6日に死亡した。

 ロバート・ケネディの暗殺の2月前、4月4日には公民権運動のシンボル的存在だったM.L.キングJrが射殺されると言う事件が起きている。ロバートは、その葬儀に列席したが、このキング牧師の暗殺自体FBIの関与が疑われていた。

 映画自体の評価は見てから書きます。パリ5月革命を描いた『恋人たちの失われた革命』に続く1968年をテーマにした映画です。


J・F・ケネディ暗殺事件のもうひとつの記録フィルム

2007-02-22 22:37:05 | コラムなこむら返し
Kenedy_dead PP&Mの時代を語るくだりで、アメリカの公民権運動の最大級の集会だったワシントン行進についてふれ、そしてその同じ年の1963年11月22日にJ・F・ケネディがダラスで暗殺されたことを書いた。この事件は何万人もの沿道の市民の目の前でおこった暗殺であり、アメリカ合衆国に底しれない闇の部分があることを世界中に知らしめた事件だったが、その真犯人および背景などははっきりと断定された訳ではない。

 そのFBI、CIAなどの捜査の過程にも、闇の手が忍び入っていたことを告発したのがオリバー・ストーンの『JFK』だった。その映画にも使われていたと思ったが、その瞬間を記録したフィルムが存在する。ケネディ大統領とジャクリーヌ夫人が乗ったオープンカーがダラスの教科書倉庫ビル前に差し掛かった時、凶弾は発射され大統領はうしろへのけぞるかのように倒れる。ついで、それがまた不思議な行動なのだが、ジャクリーヌはオープンカーの後ろの車体に飛び散った何かを必死に拾い集めるかのような行動をとるのだ。
 これは、あとでジャクリーヌは、車の上に飛び散った夫の脳漿や骨を拾い集めていたことが分かった。大統領は3発狙撃されそのうち2発が命中し、胸から頭蓋骨を貫通した1発が致命傷となった。
 この貴重な記録フィルムは8ミリでアマチュアカメラマン(エイブラハム・ザプルーダー)によって撮影された。また、このザプルーダー・フィルムにもCIAによる改ざんがほどこされていたことが後に発覚した。

 そしておりしも事件から43年たったこの2月21日にもうひとつの未公開の8ミリフィルムがダラスの博物館に撮影者のアマチュアカメラマン、ジョージ・ジェフリーズさんと義理の息子が寄贈したと言う記事が新聞に掲載されていた(21日付け「朝日新聞」国際欄)。まるで、またシンクロニシティが起こったかのようだが、そのフィルムは暗殺の1分半前とあるだけで、なぜ未公開だったのかを含め詳細は分からない。だが、笑っているケネディ大統領の横顔と、やはり満面の笑顔のカメラ目線のジャクリーヌが写っている。幸福の頂点にいる笑顔である。
 で、この新聞の写真で見る限り、それは望遠レンズで写されたものであるようで、これほど表情までわかるフィルムは貴重である。背景には併走する白バイのヘルメットの警官ふたり。そして、さらにその向こうには画面としては流れているが沿道につめかけた市民たち。
 ケネディ暗殺の場面のオープンカー・パレードはユーチューブで見れるが、このフィルムも無性に見たい!

※注:このブログは鬼畜サイトではありません(笑)!
(写真は35代アメリカ大統領J・F・ケネディの暗殺直後の検死写真です。喉元の傷が鮮明にわかります。このような写真は趣味ではありませんが、貴重性を考え載せてみました。なぜならこの検死写真ひとつで教科書倉庫ビルの上部から狙ったと言うオズワルドが真犯人ではないことがわかるからです。ケネディ大統領は前方のど元から後頭部に貫通した銃弾によって殺されたのです。以下のサイトが写真の引用もとです。パレードも見れます。→http://www.jfklancer.com/media.html




『日本ノ霊異ナ話』『鬼譚草紙』に流れるコテンコテン

2007-02-21 03:12:11 | コラムなこむら返し
 「鬼」にまつわる読書が止まらない。このテーマは深すぎる。この国の歴史・文化に埋もれれたディープな側面をあらわにしてやまない。
 なんだか、結論から書くみたいなことになりそうだから、いまの段階では秘しておくが(秘してこそ花/By 世阿弥)21世紀の現在を生きる私たちのこころの闇の部分には、いまだに鬼が棲み、そして中世と言える平安時代の心象がひそんでいるらしい。

 最近2冊の小説を読んだ。「鬼の研究」の一環として選んだ小説だった。そして、びっくりした。その2冊ともがいわゆる「古典」の焼き直し、そういって悪ければ材を古典に求めた翻案のような内容だった。

 これは、ともに朝日文庫だったが、その選択に他意はない。
 最初の1冊目は、詩人である伊藤比呂美さんの小説『日本ノ霊異(フシギ)ナ話』である。これはタイトルからも分かるように、8世紀ころに奈良薬師寺の僧景戒によって編纂された『日本霊異記』(日本国現報善悪霊異記)からインスパイアされた話で構成された、それでいて詩人らしい力技で押し切った伊藤比呂美節の物語になっている奇怪な小説である(笑)。現代語超訳という言い方も可能かとも思うが、面白く読んだ。とはいえ、骨格は『日本霊異記』であって、それぞれの原物語は指摘できる小説である。現在カルフォルニア在住の詩人に、このような日本的もしくは仏教的心象がきざすこと自体が、ボクには不思議に思える。カルフォルニアの空の下で夢見られた1200年以上前の「日本」が、不思議な説得力で立ち上がってくる。(評価:★★★1/2)

 2冊目は、朝日文庫から昨年9月に刊行されていた夢枕獏と稀代のイラストレーター天野喜孝がコラボしたという『鬼譚草紙』である(2000年頃「アサヒグラフ」に連載された作品らしい)。1日で読了してしまったが、この作品にはクレームがある。というのも、ここに収録された3話ともが『今昔物語』などの古典作品からの翻案である。であるにもかかわらず、そのことがどこにも付記されていない。これは、どうしてなのか?
 夢枕獏氏は、SF作家としてデビューしている。大衆小説のひとつとしてのSFの有り様だったら、このようなパクリは理解できる。神話的な古典を未来の小説に仕立てると言う次元なら、SFのスペースオペラものなら得意とするからである。しかし、この小説では時代は平安時代なのである。『今昔物語』を現代風に翻案したのであれば、そのことはひと言ことわるべきではなかったのか?

 もっと言えば、夢枕獏氏は『隠明師』シリーズで大ヒットした物語作者だ。この作品は、マンガ化されさらには映画化されてそれぞれがヒット作となった。安倍晴明の伝説それ自体が『今昔物語』に物語としてのルーツを持つものだ。

 そしてさらに、言えばこれはボク自身が「鬼」をテーマとするなかで、知り得たことだが、『鬼譚草紙』の「ネタ本」らしき書物はいまのボクには指摘できる。これまたボク自身が、30年ぶりに再読することによってシンクロしてしまった書物だ。夢枕獏氏の作品『鬼譚草紙』は、馬場あき子氏の『鬼の研究』に多くのアィデアを得ている。(評価:★★1/2)


「SONG FOR MEGUMIとPP&Mの時代」(補遺)

2007-02-20 02:17:05 | コラムなこむら返し
Ppm_puff 昨日のエントリー記事は18日の夜に書いたものですが、同日19日の午後9時のNHKニュースに横田夫妻とともにポールが、生出演し全曲をスタジオで歌いました。このニュースもたまたま見ることができ全曲を聞きました。それによると「SONG FOR MEGUMI」は、日本語の詞からはじまるようです。

 「めぐみこっちへ来て/あなたはどこに/風の中に/あなたの声が聞こえます」

 圧巻は、転調してのサビの部分で

 「荒ぶる大海の向こうより/力の限り魂を叫びなさい……」

 というくだりをして、めぐみさんの母堂早紀江さんが「(拉致された)めぐみを探しあぐねて誰もいない浜辺を声の限りにめぐみの名前を呼んでいたことを思い出します」と、言わしめたドラマチックな詞の部分である。

 1963年リベラルなケネディ政権下で最高潮に盛り上がった公民権運動の、これも歴史的なM.L.キングの演説(「I have a Dream」「わたしには夢がある」)がひとびとを感動の渦に巻き込んだ8月28日のワシントン大行進(ワシントンDC、リンカーン記念公園。20万人以上の参加者)で、PP&Mは「天使のハンマー」を歌っている。ピート・シガーが編曲した曲だ。これは、1961年にデビューしたPP&Mのビルボード誌トップ10位以内を数週間つづける最初のヒット曲になる。

 日本では「歌声運動」真っ盛りの頃で、歌声喫茶もそうだが、アコーディオンが主な伴奏楽器であったため、澄んだフォークギターの音色と3人のハーモニーは新鮮だった。
 この同じ年、PP&Mがリリースしたアルバム「風に吹かれて」の中に「PUFF」(Puff the Magic Dragon)がある。パフという名の海辺に住む魔法の竜を物語風に歌ったポールによるオリジナル曲である。
 魔法の竜パフはジャッキーペーパー少年が相手をしている時は、恐ろしくもあり威厳もあったが、少年が大人になってパフと遊ばなくなると元気も無くなり悲しみに打ひしがれて洞窟の中に身を隠したという。緑のウロコさえもパラパラとはがれおちたという。
 この魔法の力も失せてしまった竜パフに、金正日書記長に率いられる北朝鮮のすがたを見てしまうのはボクだけだろうか?

 さらに、この1963年の11月にはJ・F・ケネディ大統領の暗殺がおこり、アメリカという国が大きくゆらいでゆくその片鱗があった年でもあった。



「SONG FOR MEGUMI」

2007-02-19 01:33:47 | コラムなこむら返し
 PP&Mというフォークグループ、つまりピーター・ポール&マリーの名前をいったい何年ぶりに聞いただろう。それも音楽番組ではなく一般ニュースの形で聞いたのだ。「花はどこへ行った?」「500マイル」などのヒット曲を長身で秀才風の風貌でみごとなハーモニーで聞かせてくれたポールはフルネームがノエル・ポール・ストーキーだということも、今回のニュースではじめて知った。年齢は今年69歳だそうだ。

 で、なぜそのような懐かしい名前がニュースで流れたかと言うと、そのポールが「SONG FOR MEGUMI」という拉致被害者横田めぐみさんの救出を祈り、支援するために彼女をリスペクトした曲をつくった。そして、その曲をめぐみさんの御両親である横田夫妻に贈るために来日し歌を披露したと言う内容のニュースだったのだ。
 ニュースでは2コーラスくらいしか曲は聞けなかったが、なかなか美しいメロディの曲でした。この曲は21日からシングルCDで発売され、その売り上げは横田めぐみさんの救出のための資金に提供されるのだそうです。

 北朝鮮では16日の首領さま金正日書記長の生誕を祝う連休が終わって、引き続いて春節の旧正月の祝賀および休日に入っているはずである。ポールの歌声は北に届くとはとても思えないが、めぐみさんの生存を信じる御両親の熱意と使命感は、こうしてアメリカの60年代のフォークグループのメンバーのこころを打ち、うたごころを刺激した。

 そう言えば、フォークソングって白人の音楽にせよ、メッセージソングの別名でもあった。静かな祈りのようなポールの「SONG FOR MEGUMI」は、そんなうたの原点のようなものさえ思い出させてくれたのでした。


「春節」と「黄金の豚年」

2007-02-18 01:58:16 | コラムなこむら返し
 実は、この3年ばかり(もっとかもしれない)ムーンカレンダーで過ごしている。もちろん、日常生活は太陽暦でいっている訳だが、太陰暦つまり旧暦という月の運行が身体のバイオリズムになじむというか、フィットする。それに、この国のひとびとが長い間感じていたろう季節感が、(太陽暦では分からぬものが)微妙に感じられる。
 またこれは、農事暦でもあって、むかし百姓の真似事をした時に、その知恵にいたく感動したことがある。農作業は太陰暦での方が植物の成長、植栽の季節に一番シンクロするのではないかと思う。

 そして、もうひとつ強調したいのは、太陰暦はアジア的な暦でもある言うことだ。歴史的にも、密接な韓国や、中国そしてベトナムやシンガポールなどの華僑社会では行事や、休暇はこの太陰暦の方で執り行われる。
 すなわち、新月のきょう2月18日は、正月元旦なのである。春節ともいい新しい年は、今日から始まるのである。そして今年は、そうイノシシ年。しかし、猪と書いても、中国や韓国ではそれはブタ(豚)を表わす。干支は、もちろん、中国から伝わったものだが、干支の中にブタはあってもイノシシはいない。「孫悟空」の相棒に猪八戒がいるが、あれはどうみてもイノシシではない。猪は豚を意味する。

 そして、今年はその上に60年に一度の「金猪年」(干支が5回めぐってくる年。12×5。5は、陰陽五行の5。金木水火土が組み合わさり、今年は「金」と「猪」が組み合わさった)で、これは「黄金の豚年」で、この年に生まれた子どもは大金持ちになると伝えられており、中国ではベビーブームが予想されていると言う。

 中国経済は高度成長どころか現在バブルに突入しつつあるという。中国の人は、とても金銀製品が好きだ。長い戦乱の歴史の中で、それしか信用ができるものがなかったからだというのだが、我が国に数々の文芸や文化や仏教を伝えた歴史をももつ文化大国でもあったはずだ。バブルの狂乱で、身を持ち崩すことがないように思いたいが、拝金主義の中国と共産党政権と言う組み合わせの事実がどうにもしっくりとこない。

 ま、それはともかく、春節おめでとう!



新手の「振り込め詐欺」の手口(引っ掛からなかった体験談)

2007-02-17 02:48:46 | アングラな場所/アングラなひと
Sagi 昼間グダグダしていた時間にかかってきました。家電です。手当りしだい電話帳でかけまくっているのでしょう。せめて、このブログを読んで下さってる方がひっかからないように知り得た手口を公開しておきましょう。

 「○○さんのお宅ですか?」いたって丁重な物言いです。声は若い男です。
 「はい、そうですが。どちら様でしょうか」対応するこちらも丁重な物言いです。ま、当たり前でしょう。
 「こちら国税庁関東甲信越事務所の小林と言いますが」
 「国税庁さんですか。あ、何でしょうか?」
 ちょうど今は、確定申告の時期ですからね。ちょっとドッキリします。自家営業者や、お年寄りはこれでアタマから信用してしまうかも知れません。
 「実は、平成3~5年度の国税の件です」
 「え、平成何年ですって?」
 「あ、ずいぶん前で申し訳ないのですが、こちらの手違いであなたさまは税金を納め過ぎていることがわかりました」
 「……」(こころの中はしめしめです。)
 「ついては、この納め過ぎの分を還付させていただきたいのですが……」
 「ああ、そうなんですか。お願いします」
 と、このあたりで、ボクはもうこれが噂に違わぬ「振り込め詐欺」なんだなと、うすうす気付いてしまったのです。
 で、話をさえぎってもう一度、所轄局と電話番号をここで聞きました。答えは、それらしい電話番号です。「03-○○○○-1212です」と言うのです。もちろん、メモしました。事務所は千代田区だというのです。ま、そうでしょうとも。
 「還付金額は、どのくらいなのですか?」
 「還付金は2万4,600円です。」
 なんだか、うれしくなるような手頃な金額じゃありませんか。第一、そんな払ってないけどね。
 「どうなさいますか? 取りにこられてもいいですし、お忙しければ口座に振り込むこともできますが。」
 ああ、来たな、と思いました。でも、その時、時間のなかったボクは(いつもは時間があるためにか)「取りに伺います」と答えてしまったのでした。
 すると、相手は、一瞬絶句しました。これは、ボクもいくら時間がなかったとはいえ、あとから失敗したと思いました。やつらの手口を知るためには、どのような振り込ませ方(それこそが、「振り込め詐欺」の手口な訳です)をするのかを聞き出した方がよかったのです。ある報道によれば、還付するといって相手の言う口座になにがしかの金額を逆に振り込ませるというのが、手口だと実は、そのような「還付金詐欺」があるのを知っておりました。還付なのに金を振り込ませる。その摩訶不思議なテクニックを知って公開する方がよかったのです。
 「いらっしゃれる! ああ、そうですか。では、こちらから書類をお送りします。」(落胆をかくす努めて事務的な口調です。)
 「お願いします。住所はわかってますよね。」
 「もちろんです。」怒ったような口調です。
 「では、よろしく!」と言って、ボクは電話を切りました。

 では、なぜこれがすぐ振り込め詐欺だとわかったのか。もちろん、電話を切った後、すぐメモした電話番号に掛けてみたのです。その電話番号の先は、千代田区にある某会社の番号でした。そこは、国税局でも、関東甲信越事務所でもなく、一般の会社でした。

 もちろん、これで還付の書類が万が一でも届いたとしたら、ボクはそこが国税局でなく、ヤクザの事務所だとしても還付請求に行くつもりですけど(笑)。

国税庁HP内の「振り込め詐欺」お知らせページ→http://www.nta.go.jp/category/topics/attention.htm

(画像も国税庁の「お知らせ」ページから)



2日遅れの「聖バレンチノの日」報告

2007-02-16 23:39:10 | トリビアな日々
Varentaine07 聖(セント)バレンタインは、そんな習慣は残してはいない、といくら力説しても女性には負け惜しみにしか聞こえないらしい。もう、女性の洞察力には、はじめから降参しているから、その通りでなにも言えない。

 古代ローマの多産と豊穣を祈るまつりが、3世紀に実在したローマ兵の結婚をとりもった聖人バレンタインとむすびついたことが起源とされるが、いうまでもなくチョコーレト会社の謀略である(笑)。バレンタインは英語で「わたしのいいひと(愛するひと)」という意味でも使われるらしいが(出典わかりません(笑))、それならばと我が家ではイタリア語風に「聖バレンチノの日」! と呼ぶことを提唱したが、却下されてしまった。
 で、ウチでは健全にも「聖バレンチノの日」(ひとりだけ、言い続けるのだ!)は、家族間でのプレゼントの交換の日となっている。ああ、情けなくもこれが波風をたてない「大人」になるとすることなのよね。
 誰か、こっそりとチョコ頂戴(笑)!

(写真:本年の健全チョコです。娘の「かのん」からのもの。3月14日の「お返し」が大変です!)




ロック共和国建国記念日2007!(photo_6)

2007-02-14 00:54:54 | アングラな場所/アングラなひと
Vinbous_republic_2 ビンボーズってほとんど、40年前のフーテンみたいだった(笑)。なかなかいい連中だ。耕さんが、長い旅から還ってきたらあらためてライブを企画したい。

 という訳で、「ロック共和国建国記念日祝賀行事」はつつがなく進行し、終了したのであります。サマー・オブ・ラブ40周年おめでとう! ロック共和国建国バンザイ! まだまだつづくSUMMER OF LOVE2007!!
 2007年今年の夏が楽しみだ! い出よ! フーテン! でてこい! 新世紀の部族(トライブ)!



ロック共和国建国記念日2007!(photo_4)

2007-02-14 00:19:30 | アングラな場所/アングラなひと
Netazoku_republic_2 ほら、このようにオニの一族いやこの場合、「ねたぞく」ですがカメラに写りません(笑)。しかし、ただの爆音バンドからサイケデリックな凄いバンドに変身しつつあります。ジャーマネとしては、鼻が高いです(最近、マネージャーらしいことはとんとしていないが……)。
 来月(3月21日)レコ発から『ねたのよい/月桃荘』のアルバムが出ます! みなさま、よろしく!