風雅遁走!(ふうがとんそう)

引っ越し版!フーガは遁走曲と訳される。いったい何処へ逃げると言うのか? また、風雅は詩歌の道のことであるという。

雲が血に染まった日のサプライズ

2007-09-13 14:18:14 | コラムなこむら返し
Sunset_9_12_1 どうやら「繰り言」を呟きたかったのは、ボクだけではなく、この国のリーダーだったはずの安倍首相が昨日(12日)突然の辞任表明をして国会内外に激震が走った。なにしろ、午後1時にTBSTVでテロップが流れた時、当の自民党議員でさえ言葉を失い、だれだか知らないがヘナヘナと椅子に倒れ込む議員さえニュースには映っていた。街には号外が配られ、誰しもが目を丸くした。なにしろ、職を賭すると発言した組閣後の、所信表明演説から二日も経っていないのだ。
 参議院選挙での大敗にも関わらず、政権維持への執着心を見せた安倍晋三氏が、その美しい国ビジョンも、祖父の悲願たる憲法改正への意欲もふりすててこの時期(テロ特措法の期限切れ直前)に、折れ落ちるように辞意表明をすることは無責任のそしりをうけても仕方ないだろう。政治的キャリアの長くはない安倍晋三氏は意外なほどのもろさを持っていたことになる。

 でも、ボクには意外に思えない。街のインタビューの反応にもあったが、安倍氏はお坊ちゃん首相だったのだ。その上、ボクは1年前の政権発足の頃にも書いているが、安倍氏は戦後のそれも「シラケ世代」が生んだ首相だったのである。このような「無責任」な政権の放り投げ方は大いに考えられたのだ。
 組閣するたびに身の内から不祥事があいついだ。安倍氏が光り輝いていたのは官房長官時代で、拉致被害者家族への支援策や、北朝鮮に対するタカ派まがいの断固たる態度といったもので求心力を獲得していた。やたら見栄ばかり切る「荒事」の小泉政権の中では理知的に見えたのだ。
 ところが、首相に就いたとたん、人事的センスのなさや議院運営の手腕がほころびだした。「美しい国」のあたかも理念のひと(であったはず)の率いる安倍政権は国民投票法や教育関連法案などの重要法案で強行採決をくり返し、その有無を言わせぬ強権的な態度、連発する「戦後レジームからの脱却」がすっかり国民、民衆から乖離してしまった。そこに追い討ちをかけたのが、社会保険庁の年金管理のずさんさである。大量の国民の納付データが消え失せていた。さらに、つい最近発覚したのが社会保険庁だけにとどまらない地方の窓口勤務の職員による「年金横領」である。この国はかって東南アジアの社会システムの私物化、ワイロ体質を笑っていたが、その実、内閣の一員である大臣から、地方公務員まで隅々までゆきわたった「横領着服」、「二重計上」の誤魔化し、横取りの横領大国だったのである!

 「他人の払ったものは自分のもの」と懐にいれただけでなく、毎月の給与まで税金からもらい、果ては発覚して自主退職したのはよいが、退職金までもらった不届きものまでいるのだ(大阪市城東社会保険事務所の職員と国民年金業務係長)。公務員大国とはよく言ったものだ、公務員を肥え太らせるために国民は、貧困を強いられ生活保護を断られ飢え死にまで強いられるのだ。

 「シラケ世代」の安倍政権の一年。この国が「美しい国」だと思えたことは一度としてなかった。

(写真:この国の首相が突然の辞意表明をした12日夕刻の空。まるで、血のように真っ赤に筋雲が染まった。それはこの国の人民の血だったのか?)