風雅遁走!(ふうがとんそう)

引っ越し版!フーガは遁走曲と訳される。いったい何処へ逃げると言うのか? また、風雅は詩歌の道のことであるという。

多事争論/「世界平和記念日」に思う

2008-11-11 23:57:41 | ブル新の楽しみ(今様新聞批評)
 今日、11月11日は第1次世界大戦にもとづく記念日であるらしい。1918年のこの日に、ドイツとアメリカが停戦協定に調印して、4年の長きにわたった第1次世界大戦が終わった。「WAR IS OVER」のこの日はヨーロッパでは祝日が多いらしい。ほぼ一世紀前の記憶が、まだまだ祝日として現役である。
 そこで、この日は「世界平和記念日」なのだそうだ。

 ボクは以前から疑問に思っているのだが、なぜ8月15日を祝日(平和記念日。そして8月6日も9日も記念日として祝日に!)としないのだろうか?
 いや、国民がおしなべて靖国神社に参拝するために祝日としようと提案するのではない。軍国主義と天皇崇拝の世界の嫌われものだった神国日本が、軍隊や軍事力を永遠に放棄した世界に名だたる平和憲法の下に平和国家となり復興と建設に戦後いそしんだ、その原点となる記念すべき日なのに、なぜそれを祝わないのか疑問だったのである。
 自衛隊が違憲のままに存在しているように、この国のありようがどこか本音と建て前のダブルスタンダードで成り立っていたことのほころびが、今回の更迭された田母神(たもがみ)空幕長の「思想」だったのではないだろうか?
 政府の公式見解と真っ向から異なった「史観」(謀略によって日中戦争や太平洋戦争にひきずりこまれた。侵略国家と呼ぶのは濡れ衣など)を、懸賞論文に応募して更迭されたというのが、今回の騒動を簡単に述べた経緯だが、このような「思想」や「史観」は、一部の日本のネオコンと呼ぶべき新保守層には共有された思想ではないだろうか?
 戦後の平和憲法と教育を自虐史観と断じて、自分たちの「思想」や「史観」にもとづいた教科書作りをすすめている「新しい歴史教科書をつくる会」(つくる会)などの「史観」と重なる見解がある。

 対外的な影響をおそれて火消しをしてそれで良しとするのでは不十分で、与党の保守系政治家とも共有しているに違いないこのような「本音」と「建て前」の二枚舌を使うダブルスタンダードが、成り立っているのがそもそもおかしいのである。


祖国のために 身捨つるや?

2006-08-07 01:24:18 | ブル新の楽しみ(今様新聞批評)
 ヒロシマに原爆が投下されてから61年めの8月6日は、甲子園全国高校野球選手権大会の開会式と第1日めの3試合が行われた(その第2試合は西東京で勝ち進んだ早稲田実業で、素晴らしい猛打が炸裂した。第1試合の白樺学園対高知商業の試合も素晴らしかった)。野球など全然みないボクが胸を熱くしてTV観戦していたくらいだ。

 平和なのだ。最近の新聞記事を任意にコラージュすると、かくのような日本(人)像が浮かび上がるだろう。
 私たちの国は世界で16パーセントの億万長者が141万人もおり、それは欧米のそれぞれ半数程の数でアジア全体の57パーセントをしめる。しかし出生率は1.25で少子高齢化が進み、それどころか人口は今後ますます減少する。若年労働力が貴重になるはずなのに、製造業の現場では実際には「派遣」であるにもかかわらず、「請負」として低賃金、劣悪条件(ボーナス、昇級なし、社会保険なしなど)で若者を働かせており、これは大企業と言われるメーカー(キャノン、日立、ニコン、東芝、松下、富士重工、トヨタ、コマツなどの子会社などの名前があがっている。トヨタはすぐに改善策をとり正社員化をすすめるらしい)にも見られる傾向である。このような「偽装請負」で働く若者は空腹に絶え、流動化する労働力層をつくっている。これは、新聞には書いてなかったが、いわば労働ジプシー(ロマ)化し、ホームレス予備軍としての底辺労働者となって、いざと成れば税金を払いたくないために海外に住民登録し、「日本居住」を「偽造する」先の金持ち層のさらに上奏のひとびとをささえている(村上ファンドの村上が典型。さらに「ハリポタ」の出版と翻訳で屈指の大金持ちになった某女史もそうだ)。

 さらに、「世界価値観調査2000」によれば、「戦争が起きたら国のために戦うか」という設問に日本人は「はい」と答えたひとが15.6パーセント、「いいえ」が46.7パーセント、「わからない」が残り37.7パーセントだった。「はい」の回答率は図示された10ケ国の中で最低だった。「はい」とこたえた率が高かったのは、ベトナムで、中国、イスラエル、韓国、ロシア、アメリカ、イタリア、フランス、ドイツ、日本の順だった。下から2番目のドイツでさえ「はい」は、33.3パーセントもいて、日本はその半分以下である。
 この軟弱さは、この国の長く続く平和の素晴らしさだ。また、これをして「平和ボケ」などと言う手合いがいないように願いたい。これを掲載した朝日新聞日曜版(8月6日)「Be」でさえ「日本は敗戦で不戦を誓った。この結果を「情けない」という必要はないと思う。」と坪谷氏名義で書いている。

 そうだ。むしろ情けないのは口を開けば「日本は法事国家だ」と秩序を公序良俗を求めて自分の私有財産を必死で守ってきたはずの大金持ちが、自衛隊も警察もそれこそ行政機関も養い、福祉制度も国家予算もそれで成り立っているはずに義務としての納税を拒否し、海外への「偽装」逃亡をはかる方が「情けなく」「ふがいない」。

 「売国奴」という差別語は、かっては戦争に反対する良心的厭戦主義者や、左翼の「主義者」に向かって差別、村八分的に発せられたが、そもそもは国を売り渡す行為、裏切り者に対しての言葉だろう。国を売り渡すどころか、一銭も国などに払うものかと言う富裕層の本音は、守銭奴(ドケチ!)をも越えて、「(死)滅国奴」(めっこくど! 造語です)とでも言うべきなのかも知れない。
 ま、先の「戦争が起きたら……」のデータ記事には以下のような記述もあったから、これはかって香港から香港返還にともなって大量の中国系富裕層がその財産とともに海外移住した現象とのアナロジーもあるのかもしれないが……。
 つまり、60ケ国の国民の価値観を調査した先のデータで、自国の軍隊(日本は「自衛隊」)を「非常に信頼する」と答えた日本人は8.5パーセントで、上から43番目だったんだそうだ。

 この国はこれまでの行政府の無能・無策がたたって、平和ボケどころか内側から崩壊しかかっているのかもしれない。これから、世界中に日本人と言う民族の難民が増えていく時代になるのかも知れない。


今日のTOPは飯島愛を選びたい(レッドリボンキャンペーン2004) (Take1)

2004-12-18 23:14:34 | ブル新の楽しみ(今様新聞批評)
ai_iijimaブログのネタとして、気楽におふざけで書けるものも欲しい。それは、ここのところ毎日更新しているブログの執筆対策としても必要である、いわば苦肉の策だ。
で、思いついたのが「新聞広告批評」である。もちろん「広告批評」という雑誌があることを、承知の上で試みる(朝日新聞をとっているので、朝日の場合は紙名をわざわざ書きません)。

12月18日(土)朝刊
2面下5段抜通し 新潮社 『私は、産みたい』野田聖子・著
(コメント)……。職場結婚とは言え、代議士どうし。それもイケメンと美人と言う組み合わせ。誰もがうらやむ国会の「聖子ちゃん」にこんな悩みがあったとは……! 「44歳の赤裸々な告白」とのことだったが、郵政事業の民営化問題は、どう産み落とされるのだろう? 聖子ちゃんのせいじゃないよね、難産なのは?

6面全面広告 レッドリボンキャンペーン2004企画広告 『デュレックス(エスエスエル ヘルスケア ジャパン株式会社)』5段抜通し
(コメント)はい、絶句しました。コピー文をそのまま読んで下さい。
「昨日、コンドームしないで関係をもった
恋人でない人と/名字の知らない人と/連絡先のわからない人と
うわさでその人がHIVだと聞いた
今、好きな人がいる/昨日、コンドームをしないで愛しあった
最低だと思いませんか?/飯島愛」

はい、あの本を思いだしました。決して、笑ってはいけませんよ。飯島愛さんは、「世界エイズデー」キャンペーンのメインパーソナリティに選ばれて2003年から活動しているといいます。→http://www.jfap.or.jp/

7面下5段抜通し 朝日出版社 『G線上のマリア』平本照麿・著
(コメント)「フォネット詩集」だそうです。フォネットは写真(Photo)とソネット(sonnet)を組み合わせた「新しい形の四行詩」だと言うんですが、それって写真詩集ですよね。昔からあります。
しかし、ダサくありません? こんなソネットらしいですよ(広告より転載)。

「ああ、マリア」
ぼくの体の中を風が吹き抜ける
なんと爽やかな朝の淫靡な残香
冷徹な肌に激しく燃え尽きた欲情よ
マリア、きみはぼくを狂わせた!

コピーに曰く。「女のもつ天使性と娼婦性。その魔性に振り回される男の宿命を、経営者の孤独な魂が歌い上げた、鮮烈のフォネット。」
これ、膨大な広告費用も自分でもった自費出版最大の道楽じゃないの? そうじゃ、なかったらこの時代錯誤の仰々しさをブチ上げる編集者の顔を見てみたい!
(ちなみにボクは「五行詩」というのを提唱しています(笑)!)

19面下5段35行 集英社 『コスモポリタン』2月号
(コメント)「総力大特集「男に『大切にされる女』大研究」」表紙モデルが『冬ソナ』のヒロイン「チェ・ジウ」! ヨン様の影に隠れてちっとも目立ちませんが、この女優さんを特集してくれたら買いますけど……(ブツ…ブツ)。

11面全面広告 東京電力グループ 『TEPCOひかり/Phoneひかり』
(コメント)いやぁ、文字のみで全面広告。それも、マゼンダ(赤)色一色と思ったらロゴの下「Powered Internet」というのが、そこだけ墨(黒)色でした……。

13面下7段抜通し コスモ石油
(コメント)「エコカード」を作って、環境保全事業に当ててますと言う広告ですが、それはいいことですが、なんかCO2の問題を抜きにして環境保全を唱えることが、免罪符を作ってるみたいです。でも、ロゴの上の「ココロも満タンに」って、ココロには何を給油すればいいのですか? コスモさん? まさか、お金? だって、コピー文が「使うたび、地球にいいこと」。地球のためには、消費を抑えるのが一番なんですよね。でも、産業界は困るよね?

14面下5段抜通し ユーリーグ株式会社 『テンダー・ラブ』 日野原重明・著
(コメント)コピー「93歳「愛」の書き下ろし/これからは愛する人にこう言って下さい。テンダー・ラブ。それは愛の最高表現です。」
きっと、このタイトルは編集者がつけたんでしょうが、これってプレスリー? ボクのカラオケの持ち歌です。「ラブ・ミー・テンダー」は……。読書の際のBGMにどうぞ(爆)!

結構、こうしてあらためて取り上げてみると広告って面白い。ヒマつぶしになるかも…(ヒマな時には、ですけど)。気が付かなかった。
他に面白かったのは(と、言ってもいいよね)、「この面白さは、カーンにも止められない!」(プレイステーション2ソフト)、「お嫁さん、お婿さん」。「ICHIRO写真付き切手」。文字だけ広告、墨一色「わーず・わーす創刊号」。「愛されてお金持ちになる魔法のカラダ」などが面白かったですね。ええ、ここの基準は「面白さ」です。丁度、同日に広告もありましたが、「Good Design」や「公共性」、ましてや「社会性」ではありませんので、最初に断っておきます。
といいながら、本日はのっけから「公共性」「社会性」で選んだような印象。むしろ今日はインパクトで、選びました(ちなみに12月1日は「世界エイズデー」でした)。→http://redribbon.yahoo.co.jp/

本日、飯島愛さんをTOPに推します。
(飯島愛さんの画像は、本年8月の横浜市で行われたAIDS文化フォーラムの公演プログラムから引用させていただきました。感謝します!)