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チャイナ・シンドローム

2012-03-09 22:39:58 | 映画
もうすぐ東日本大震災から1年。
長かったような短かったような。東北と日本にとっては厳しい試練の1年でした。
日本全体としては一見かつての日常を取り戻したかのようにも見えますが、被災地はまだまだ深い爪痕を残しておりようやく復興に向けて一歩一歩歩み始めているといったところでしょうか。国内外から膨大な義援金が集まり様々な形の支援やチャリティーなどもあり、また仙台あたりでは公共事業の建設バブルで夜の街は活気付いている、なんて話も耳にしたのですが。本来の日本人のパワーからしたらまだまだ復興への道のりは遠く。
最もそれを妨げているこの震災最大のガンが福島原発での事故です。この原発事故さえなければもっともっと復興のスピードは速かったでしょう。人もお金も東北に集中し、全力で街を甦らせようと本当の意味で日本人が一つになったはず。
各自治体の足並みが揃わず、瓦礫の処理も進まず、東北に旅行に行こう被災地の物を食べて応援しようというのが今ひとつ盛り上がらないように思うのは、すべからく今も放射性物質の放出に悩まされているあの原子力発電所のせいだと私は思っています。
地震と津波にもそれはそれは驚かされましたが、福島原発から白煙がたちのぼって刻一刻とどうやら制御不能な事態に陥っているらしいと悟ったときの絶望感は忘れられません。
数日たつとネットでこの言葉が囁かれはじめました。「チャイナ・シンドローム」と。私はもうPCの前で「嘘でしょ」と呆然としたのをおぼえています。

チャイナ・シンドロームとは炉心融解で融けた燃料が地面を貫き、地球の中心を通り越してアメリカの反対側の中国まで突き抜けるという意味。
1979年制作の「チャイナ・シンドローム」はまさにこの原発事故の恐怖を告発した社会派サスペンス映画です。なんと当時公開の12日後にスリーマイル島で大規模な原発事故が起こるという怖ろしくも奇妙な符合があり、そのせいもあってか大ヒットを記録しました。
私はこの作品のことについては大まかなことしか知らず、ただ原発事故というと真っ先に頭に思い浮かぶのはこの映画のことでした。
ぜひ今こそ後学のために見ておきたいと思ったのですが、古い作品のため最近までTSUTAYAにはなかったんですね。最近入荷したので、あらためてじっくり見てみることに。

いやーこれはなかなか見ごたえのある傑作です。
アカデミー賞で評価されたのも頷ける。
どういう撮影方法を取り入れたのかわかりませんが、あの原発の内部は本物?それともセットなのでしょうか、よく出来ています。
原発の存在のアンタチャブルな感じ。原発利権に翻弄され、安全性という最も大切なものを優先しなくなってしまう人間の弱さ。狡さ。それでも原子力を愛し、自分の仕事に誇りをもっている技術者ゴデル。タブーを侵しても危険を伝えようとするキャスター。
なんか去年から今年にかけての今の日本と30数年前のアメリカの姿がダブって見えます。日本てこの映画に描かれている時代からあんまり変わってないのね…。せめて東電の方々がゴデルのようにプライドと勇気を持っていたらなー。
人間ドラマとしても企業ドラマとしても面白く、何よりエンターティメントの力で原発の危険性を広く世界に広めた功績は称えられるべき。やっぱりハリウッドって凄いなあ。
原発に関する映画ってドキュメンタリー以外の娯楽作品て非常に少ない気がするのね。
どこからか圧力がかかるのかもしれないけど。まあ多分原発の危険性と業界の腐敗ぶりを描いたこの作品は完成度が高く、これ以上のクオリティというとなかなか難しいのかもしれません。日本人なら今一度見てみるべき映画だと思います。







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