マジョルカピンク

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ユリゴコロ

2017-10-17 11:13:16 | 映画
暖かく過ごしやすい秋でしたが、めっきり寒くなり急速に秋が深まっております。
去年の秋は野球が楽しかった(泣)今年は久々にCSに関係が無くちょっと詰まらないですわ。

さて先日「ユリゴコロ」を見てきましたので感想を。

沼田まほかるさん原作の、いわゆる「嫌ミス」に分類されるジャンルの作品ですね。
この方の作品は「九月が永遠に続けば」しか読んでおりませんで、この作品も文庫が出たので買っていたのですが、映画公開前に読もうと思っていたものの結局読んでおらず。内容をよく知らないまま映画を見ました。

おそらく賛否両論だろうと思いますが、私は好きな作品でした。
他人を平気で殺せる少女の手記を自宅で発見し、その手記を貪り読む青年。それはフィクションなのか事実なのか。その少女と青年の間に何か秘密があるのか…というお話なのですが。
まあ映画なので。少女の手記のターンを見ると時代背景から、ああこの人は彼とこういう関係なのだろうなと容易に想像がつきます。なのでミステリーとしては弱い。そもそも湊かなえ氏とか嫌ミスじたいあまり好きではない私。独特のカタルシスはあるものの、読者をただ驚かせたい、暗い気分にさせたいと奇を衒った作品が多いように思います。「九月が永遠に続けば」も、予想がつかない展開にぶんぶん振り回されるのでそれに快感をおぼえる人もいると思いますが、私は登場人物誰にも共感できず、「ねーよ」と最後には本を投げ出したくなりました。
この作品もその類だと思うのですが、おそらく監督の手腕がこの嫌ミスを感動の物語に変えているのかなという気がします。
前半は猟奇的モダンホラー風の演出で、おそらく怖いのや痛いのがダメな人は前半で脱落してしまうでしょう。はっきり言ってキツいです。でもそれが後半からは穏やかな家族愛の物語になり、最後ちょっと泣いてしまった。途中でガラっと印象が変わるのが実に興味深いです。
サイコパスと言われる人も、ひょっとしたら人生のどこかで心から愛する人に出会い愛されたなら、人間は変われる可能性があるのかな?そんな可能性を感じてしまいました。生まれつき悪い人間なんてそうそういない。環境が人間を作るだけ、と性善説を信じたい私には救いのある作品に思えました。
この物語に深みと説得力を与えているのが主演の吉高由里子さんと松山ケンイチさんさんの演技です。私は二人のファンで、共演をずっと待ち望んでいました。昔「GANTZ」で共演したことはあるんですが、「GANTZ」好きじゃないし(ごめんなさいよ)そういう共演じゃなくて…って感じで。以前「ノルウェイの森」で共演するって噂もあったのですが、ガセだったのか実現せず残念でした。直子役も緑役も、吉高さんならどっちも出来たのになー。
で、この度ようやくガッツリ共演。これですよこれ。自分が待ち望んでいたのはこういう作品で演技バトルする二人が見たかったのです。
生まれついての殺人者とこれ以上ない優しさと愛で主人公を包んでくれる男。吉高さんは表情にも仕草にもニュアンスがあり、ファムファタールを演じるのにこれ以上適した女優さんはいません。冷酷な殺人者なのに、逃げて、助かってと思わせてしまう悲しみと切なさに溢れている。
松山さんは本人の持つ役者としての素材なのか、どこか汚れていないピュアさと温かさがあり、
まさにこの殺伐とした作品の良心。映画を見ている側が松山さんの役にホッとするから、吉高さんの心情を観客が追体験できるのだと思います。

最後に印象的なこの「ユリゴコロ」というタイトルですが、映画を見ればわかるのですが「拠り所」と医者が言ったのを子供だった主人公が聞き違えてという話からきています。しかしこの「ユリゴコロ」を「ユリコ」さんが主演することになったというのは偶然にしても、不思議な巡りあわせだと思います。あまりヒットはしていないようですが、吉高さん松山さんにとっては大事なキャリアとなった作品だと思います。


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