井筒監督の最新作。先日レディースデーの日に見に行ってきました。
吉本の若手芸人コンビジャルジャルを主演に据えたりして、一見監督得意のガキ帝国→岸和田少年愚連隊→パッチギ！の流れを汲むヤンキー映画と思いきや、かなりの問題作、との前評判。ちょっとドキドキ不安に思いながらシネコンに足運びました。
うーん。
面白かったです。
私やっぱ好きだこの監督の映画。
暴力シーンが残虐で救いが無いとか、目も当てられないなどと言われておりますが、意外にそんなに気にならなかったな。
むしろこの作品に描かれている、しょうもない人間のクズみたいな若者像が妙にリアルで生々しいことに感心してしまって、やっぱり相変わらず上手いなあと唸ってしまいました。
ジャルジャルの２人以外は私は見たことのない役者さんたちだったんですが、みんなすごく上手い。やっぱこの監督、演出の力がすごくあると思う。多分他の監督じゃこうはいかんでしょ。暴力に取り付かれて段々エスカレートしていく狂気じみた感じとか、いかにもこう頭のあまりよくなさそうな卑小な感じとか、すごく出てて。生の迫力があるんだよ。だから絵にも話も説得力があって。
他の青春ムービーに比べて今回の作品はユーモアに欠け、笑えないなんて評判でしたが、結構可笑しかったです。
そんなクスクス笑えるとかじゃないけど、たとえばリンチの末相手を殺してしまったかも…って場面のとき、手下のチャラ男の携帯がピロピロピーって鳴って「え？今？今はちょっとぉ…」ってカラオケの誘い断るとか。
ケンカの相手を呼び出すとき声色使って、「アカデミー賞もんだろ。堤真一より上手いだろｗ」だとか。本当は到底笑えない緊張した場面なのにしょうもなく滑稽なやりとりがあったりして、やっぱりこの辺井筒節だなあと思いました。
この映画に出てくる若者たち。本当にどうしょうもなくバカで、浅はかで、軽くて、いい加減で、全く共感とかできないんだけど。
なんでこういう若者像にリアリティを感じちゃうのか。こういう若者を輩出した現代の社会ってなんなんだろうと色々考えさせられるね。
短いワンシーン、一言二言のセリフでこの若者たちが抱えている鬱屈とか背景をうまーく説明してるんだけど、各々馬鹿なりに将来への夢とかあって、ヒーローショーに出てた事の元凶のアイツは俳優に、司会の女の子は声優に、主人公のユウキはお笑い芸人に、配管工のユウキはいつか沖縄でレストランひらきたいとか、新庄似の兄貴と生田斗真似の弟のイケメン兄弟も政治家の親に迷惑をかけたくないとか親と違う道を歩みたいとか、色々夢があったのになんでこんな最悪なことになっちゃうのかと。この暴力が暴力を呼ぶ負の連鎖。悪夢のような話なんだけど、でもこういうことって現実によくあるのよね。
惜しむらくは、ラストが近づくにつれてちょっとグダグダっぽくなってしまったことかなあ。一度ユウキを開放してやったのに、また連れ戻す必要なかったんじゃないか？
前半の不穏な空気はすごく良かったのに、クライマックスがどの辺りなのかはっきりしなかった。
主演の２人は後藤くんのほうはすごく上手くて役者顔負けの存在感。福徳くんはごく普通のダメな若者って感じがよく出てた。
エンディングの「ＳＯＳ」も本編の内容と全然関係ない歌なのに、妙に歌詞とかマッチするところがあって面白かった。
残念だったのが、レディースデーだったにもかかわらず、客が全然いなくて。
私を入れて４人（！）なんだもん。公開１週目でしょ？これはないわ。
有名な役者も出てないし作品としては小粒だし、ヒットにはほど遠いと思うけど、アニメやテレビドラマばかりの邦画業界でオリジナルでこれだけの問題作を作り上げた手腕は評価したいし、こういう作品が日の目をみなければ映画シーンじたいがダメになっていくだろうと思う。
吉本の若手芸人コンビジャルジャルを主演に据えたりして、一見監督得意のガキ帝国→岸和田少年愚連隊→パッチギ！の流れを汲むヤンキー映画と思いきや、かなりの問題作、との前評判。ちょっとドキドキ不安に思いながらシネコンに足運びました。
うーん。
面白かったです。
私やっぱ好きだこの監督の映画。
暴力シーンが残虐で救いが無いとか、目も当てられないなどと言われておりますが、意外にそんなに気にならなかったな。
むしろこの作品に描かれている、しょうもない人間のクズみたいな若者像が妙にリアルで生々しいことに感心してしまって、やっぱり相変わらず上手いなあと唸ってしまいました。
ジャルジャルの２人以外は私は見たことのない役者さんたちだったんですが、みんなすごく上手い。やっぱこの監督、演出の力がすごくあると思う。多分他の監督じゃこうはいかんでしょ。暴力に取り付かれて段々エスカレートしていく狂気じみた感じとか、いかにもこう頭のあまりよくなさそうな卑小な感じとか、すごく出てて。生の迫力があるんだよ。だから絵にも話も説得力があって。
他の青春ムービーに比べて今回の作品はユーモアに欠け、笑えないなんて評判でしたが、結構可笑しかったです。
そんなクスクス笑えるとかじゃないけど、たとえばリンチの末相手を殺してしまったかも…って場面のとき、手下のチャラ男の携帯がピロピロピーって鳴って「え？今？今はちょっとぉ…」ってカラオケの誘い断るとか。
ケンカの相手を呼び出すとき声色使って、「アカデミー賞もんだろ。堤真一より上手いだろｗ」だとか。本当は到底笑えない緊張した場面なのにしょうもなく滑稽なやりとりがあったりして、やっぱりこの辺井筒節だなあと思いました。
この映画に出てくる若者たち。本当にどうしょうもなくバカで、浅はかで、軽くて、いい加減で、全く共感とかできないんだけど。
なんでこういう若者像にリアリティを感じちゃうのか。こういう若者を輩出した現代の社会ってなんなんだろうと色々考えさせられるね。
短いワンシーン、一言二言のセリフでこの若者たちが抱えている鬱屈とか背景をうまーく説明してるんだけど、各々馬鹿なりに将来への夢とかあって、ヒーローショーに出てた事の元凶のアイツは俳優に、司会の女の子は声優に、主人公のユウキはお笑い芸人に、配管工のユウキはいつか沖縄でレストランひらきたいとか、新庄似の兄貴と生田斗真似の弟のイケメン兄弟も政治家の親に迷惑をかけたくないとか親と違う道を歩みたいとか、色々夢があったのになんでこんな最悪なことになっちゃうのかと。この暴力が暴力を呼ぶ負の連鎖。悪夢のような話なんだけど、でもこういうことって現実によくあるのよね。
惜しむらくは、ラストが近づくにつれてちょっとグダグダっぽくなってしまったことかなあ。一度ユウキを開放してやったのに、また連れ戻す必要なかったんじゃないか？
前半の不穏な空気はすごく良かったのに、クライマックスがどの辺りなのかはっきりしなかった。
主演の２人は後藤くんのほうはすごく上手くて役者顔負けの存在感。福徳くんはごく普通のダメな若者って感じがよく出てた。
エンディングの「ＳＯＳ」も本編の内容と全然関係ない歌なのに、妙に歌詞とかマッチするところがあって面白かった。
残念だったのが、レディースデーだったにもかかわらず、客が全然いなくて。
私を入れて４人（！）なんだもん。公開１週目でしょ？これはないわ。
有名な役者も出てないし作品としては小粒だし、ヒットにはほど遠いと思うけど、アニメやテレビドラマばかりの邦画業界でオリジナルでこれだけの問題作を作り上げた手腕は評価したいし、こういう作品が日の目をみなければ映画シーンじたいがダメになっていくだろうと思う。