気まぐれ日記☆着物の小部屋

2007年耳下腺癌の手術で顔が変わり、生活が一転。街歩きと着物と芝居のブログをどうぞ宜しく♪

写真のこと

2010-03-20 23:29:32 | 病気・後遺症

 ある日突然・・・・・・

 

「あなたの顔は変わります。醜くなります」 と言われたら

女性はどんな反応を示すのでしょう。

何で顔の癌なのだろうか?

見えない場所だったらどんなにか良かったのに。

さすがに病院の帰りの船の甲板で、海を見ながら泣きました。

 

正確に言うと最初は手術で耳がなくなると言われました。

耳なんて・・・・ハリウッドに行けば何とかなるさ「猿の惑星」を見てごらん。

精巧な偽物が作れるさ。夫は言いました。

娘はネットで日本でも精巧な顔のパーツを作る工房を探し出してきました。

これで大丈夫。耳がなくても平気。

 

でも次の診察で、顔左側の神経の束の根元を切るので、神経の再生も移植も不可能と言われました。

顔がダラッと下がるそうです。

これからどうなるのだろう、ショックと不安で一度だけ泣きましたが、

心の一方で、それしか治療がないなら運を天に任せるしかないと居直る自分もいました。

 

手術前日、家族と一緒に集中治療室の見学をしました。

もう一組、同年代ぐらいの男性と奥様がいました。

男性は顔は真っ青、手がガタガタ震え、声も上ずっています。

私は 「意気地なし!!私なんか顔がダメになるって言われているのよ」と思いました。

手術が終わり集中治療室を出たあと、その男性が舌癌で、声が出なくなったことを知りました。

男性はショックで意気消沈、動けるはずなのに、個室から一歩も出ず、全て人だより。

奥様が疲れ果て、ガーゼだらけの私に嘆いていました。

男性は仕事を続けてきたプライドもあり、ショックの深さもわかるような気がします。

でも声が出なくなるのと、顔がダメになるのとどっちがいいのだろう?

・・・・・・声が出なくなるほうが大変だろうなぁ~。

私は4人部屋でしたが2人は再発再発で、何回も手術されていた方たちでした。

一人は顎をすっかり取り、声も出ず、食事も口からとることはできません。

もう一人は15時間の手術、集中治療室に20日もいて8ヶ月も入院、

そして縫った傷口はまだふさがらない状態です。

この二人の方に私はどれほど励まされたことでしょう。

ご自分の体のほうが大変なのに私をいたわってくださる優しさに

どれほど救われたことか。

お二人とも明るいのです!!

なかなかすんなり歩けない3人が、ゆっくりと夜の病院を散歩したのも懐かしい思い出です。

そんな方たちと接するうち、自分はたいしたことがなくてラッキーなんだと

思えるようになりました。

 

そして退院。 写真の話です。

顔が変わるって事は、自分自身の存在がよくわからなくなります。

個性って何だったんだろう。自分が自分であるには変わらない顔が必要なのでは?

自由に動かない顔、表情が作れない顔。自分のものではない感じがします。

醜くなったということは別にしても、この存在感のない顔に愛着ももてないし、

好きになるのも難しい気がしていました。

そしていろいろな場面で、自分はいったいどんな顔をしているのだろう?

喜びや、悲しみが表現できる、伝えることができる顔なのか?

次々疑問が湧いてきます。

早い段階から友人と会あっていましたが、楽しい時は楽しそうにしているらしいということがわかり、

まずは一安心しました。

 

最初の外出は、六本木ミッドタウンができた時、安藤忠雄の展覧会でした。

この時夫が外で初めて私の写真を撮りました。被写体になるのは嫌でした。

痩せて、弱々しいし、何より顔がゆがんでいるし・・・・

ひどい写真で、見るのも嫌だけどしっかり見ました。

そのあとも、夫は嫌がる私の写真をたくさん撮りました。

さすがに、最初の頃の顔に瘤をつけているときはひどかったです。

何回も手術を繰り返すうちに、以前と違う顔だけれど、

普通に近く見える写真が増えてきました。

旅行に行った時も沢山写真を撮ってくれました。

そして、いろんな場面の写真を撮ることで、自分は今こんな顔をしていると

わかるようになりました。

女性にとっては顔の傷は心の傷です。

傷には違いないけれど、この顔でやっていく自信もだんだん出てきました。

そして写真に写る時は、ここに気をつけようというポイントもわかってきました。

手術から3年2ヶ月、これが自分の顔と納得できるようになったのは大きな進歩です。

 

手術1年前の写真、サモアで。

手術2カ月前、姪の結婚式、まだ元気な母と。

とりあえず、皆様に笑顔をお届けしますね~。

こんな顔してました

暇で家にいるのでついいろいろ思い出してしまいました。

お付き合い有難うございます!

 

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16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
写真 (shigeko)
2010-03-21 11:45:47
初めて手術後の自分を見たとき・・今でも忘れません、 この年齢で良かったと・・
写真は今でも・・鏡では、動いている自分ですが、写真はほんの一瞬ですから、この一瞬を上手く残す努力でしょうか(笑)
病気で無くとも、心は顔に出ます!
内面から磨く努力ですね~私達。
これからも元気のお裾分け待ってます~♪


返信する
変わってないわよ! (ラッシーママ)
2010-03-21 22:21:41
銀河さん、手術前の写真見せて貰ってありがとう。
今と全然変わってないですよ。

同じ癌でも、顔以外になってくれれば未だ悲しさは違ったろうに・・・
銀河さんは何故か神様が、この人なら忍耐に堪えられる人と思って、選ばれてしまったのです。
銀河さんはその試練を、見事に乗り越えて今は
お顔の違った銀河さんで人生を楽しんでいらっしゃる

私は今の顔の銀河さんと知り合ったのであって
今の銀河さんと話しているのが楽しいのです。
今のままの銀河さんで良いのです。
これからも宜しくね。
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sshigekoさん (☆銀河☆)
2010-03-22 09:33:05
 そうそう一瞬を残す努力ですね。
私うまくなりましたよ。
もっとも最近はひどい写真は消してしまうし、
人に渡しません
そして、いい顔のイメージをを自分に植え付け
気分よく暮らすようにしています。

内面からにじみ出るもの、大切にしていきたいですね。
内も外も磨き甲斐のある私たち、
shigekoさんがいて心強いです。
返信する
ラッシーママさん (☆銀河☆)
2010-03-22 09:50:24
 エッ本当ですか?
今と変わっていない?
そして今のままでいい?
力あるお言葉有難うございます。

一番悩んだのが、顔と心の乖離状態です。
心はハイテンションなのに、顔は全く静か。
今の自分はこの顔と、新しいお友達には
敢えて昔の写真を見せることはないのですが、
時々、こんな明るい顔もできたのよ~と言いたくなります。気の迷いね。

ラッシーママさんの明快なお言葉、
力になります。ありがとう

追伸・・・昨日から活動開始です!
返信する
Unknown (夢路)
2010-03-22 10:13:30
今も昔も素敵ですよ!
優しいご家族に励まされ、逞しく美しく日々生活していらっしゃる銀河さん。
このハンドルネームのようですね。
顔が少々変わっても、心までは変わりません。
これからもどうぞよろしくね。
返信する
支えたい (スーザン)
2010-03-23 00:06:19
初めまして。母が同じ病となり、毎日必至にネットで調べるうちにここへたどり着きました。 子供たちが自立して、これから夫婦二人でのんびり過ごそうとしていただろう中での突然の出来事でした。前とは違う顔でも私にとって大切なお母さんであることは変わらないけれど、本人が少しでも明るい気持ちになれるのなら一緒に悩みの解決策を考え力になってあげたいです。




返信する
Unknown (うさママ)
2010-03-23 15:08:20
☆銀河☆さん~
今の髪型の☆銀河☆さんが一番よ~~♪
チャーミングでセンスも抜群!

shigekoさんと☆銀河☆さんの見習うところいっぱいです。
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夢路さん (☆銀河☆)
2010-03-23 18:20:21
 こちらこそ~
これからも宜しくお願いします。
家に入ると良くないですね。
ふさぎ込むわけではないのですが、
行くのは母のところだけ、
つい女々しくなったみたいです。

抜糸も済み、今週は大忙し、
まとめてお出かけの予定です。
有難う!!
返信する
スーザンさん (☆銀河☆)
2010-03-23 19:16:00
 スーザンさん始めまして!

優しいお嬢様に支えられて、お母様は幸せですね。
傷ついている時はご家族や友人達の
いたわりや、優しい言葉が身に沁みます。
そして人は一人では生きられないと痛感する日々を私は過ごしました。

お母さんの話を聞いてあげてくださいね。
深刻にならずサラッと・・・
我家では「今日は顔曲がっている!」なんて言ったり、言われたりしています。

また、気分転換できるように、
できれば外に連れ出してあげてください。
一緒に散歩もいいですね。
お母様が今はどの状態かわかりませんが、
私は最初の一年間は外に出るたび、人が振り返ったり、
子どもがついて来たり(珍しい顔をしているので)
知り合いから「誰?」といわれたりしました。
でも綺麗な色のスカーフをかぶって出かけました。
家に閉じこもるよりは、多少ものめずらしがられても
外気に触れているほうが気楽です。
お嬢様と一緒の散歩ならきっとお母さまも
喜ばれると思います。


このブログは病気中心の内容ではないのですが、
敢えてタイトルに耳下腺癌という言葉を入れてあります。
耳下腺癌の情報はとても少ないので、
検索に引っかかればと残してあります。
私の経験が、少しでもお役に立てばと思います。

「普通の生活を取り戻す」事は大変ですが
お嬢様がいらっしゃればきっと
お母様も元気になります。
何かあればいつでも相談に乗ります。

また、いらしてください。
スーザンさんもいろいろご心配でしょうが
明るく~~~ね

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Unknown (TOMO)
2010-03-23 20:08:05
ステキな笑顔ですね。
でも、きっと今の銀河さんも同じように輝いていらっしゃると思います。(^^)v
私の顔面麻痺は半年だけでした。手術後10日に次男の幼稚園の運動会がありまして…退院を早めて参加しました。その後ビデオをみて自分の麻痺の現実を知りました。(~_~;)でも、あの時は生きて子供を見守ることが1番の目的でしたから、前向きに頑張れました。
今ほぼ5年をクリアーできて、安心してるはずなのですが、今の方が、元気ありません。(~_~;)初心忘れるべからずですよね。
銀河さんの記事をみていつも元気もらってます。私の知らない世界を沢山みせてくれる銀河、大好きです。お互いがんばりましょう!!(^^)/~~~
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