去る10月8日(月・祝)に古峰ヶ原(こぶがはら)高原へ赴いた際に地元の方から聞いた古峰ヶ原高原ヒュッテ殺人事件!の裏をとるべくネット検索してみた。結果、それはどうやら殺人事件ではなく、強盗事件のようだった。
毎日新聞の記事をブログにあげていた方の孫引きだが、2006年4月30日午前0時頃に事件は起きた。50代の夫婦が古峰ヶ原高原ヒュッテに泊まっていたところへ男が現れ、15センチほどのナイフを夫の首につきつけ、「金を出せ、食べ物を出せ」と脅した。現金1万円とパンを奪い、夫婦の手足を紐で縛った。犯人は確実に逃げるために、妻を車で連れ去り、30分間じっとしていろと言い残し逃げた。
この事件には尾ひれがついていて、犯人は殺人を犯して服役し刑務所を出たばかりの男であるとの話になっていた。そこから殺人事件という話に飛躍してしまったのだろう。私は疑うことなく信じてしまい、峠には平成7年建立のお地蔵様があったから、その話と結びつけて犠牲者の供養のためにお地蔵様を安置したのだと推測までしていた。
ちなみにこの事件、犯人がつかまり解決したのかどうかはわからない。意外に続報というものはないものだ。
強盗事件のあった古峰ヶ原高原ヒュッテ
【教訓】
車道から近い山小屋に泊まるときには覚悟が必要。いつなんどき、強盗が来てもおかしくない。
この巨岩の上に安置されているへつり地蔵
強盗事件からだいぶ遡った江戸時代、この地に伝わる怖ろしい話がある。深山巴の宿(じんぜんともえのしゅく)で修行をしていた若い僧侶が修行の厳しさに耐えかねて、逃げ出したそうな。仏道に入り、修行する僧たちは厳しい戒律のもと満行(まんぎょう)を必ず果たさなければならない。果たせない場合は自刃するほかない。それが修行僧の厳しい掟だ。
逃げ出した修行僧は、この巨岩の辺りで追っ手に捕らえられ、殺されたという。地元の人がそれを知り、供養のためにつくったのがこのへつり地蔵だ。
案内板の説明では、冬場の修行はとくに過酷で衰弱死する僧侶もいたというから、逃げ出したのも理解できる。想像を絶する状況がそこにはあったのだろう。
へつり地蔵の祠には、なぜかたぬきの置物も
人里離れた、こんな山奥で修行をしていたという事実。修行というよりは、ただのいじめだったのではないかという気さえしてくるし、この地で亡くなった修行僧たちの迷える魂がいまだ彷徨っているような気がしてくる。おおコワ。