目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

木下沢梅林へ、リハビリ・トレック

2022-10-10 | 山行~中央線沿線・大菩薩

地蔵峰 標高 352m 木下沢梅林 310.5m 東京都

2022年3月21日(日・祝)曇り 

メンバー 山の神と私

コースタイム 9:10高尾駒木野庭園駐車場--駒木野庭園9:30--10:11八王子城山道標10:20--地蔵峰--11:05摺差バス停への分岐(標高421m分岐)11:15--旧甲州街道--12:00頃 高尾梅の郷 まちの広場(昼食)12:37--13:20木下沢(こげさわ)梅園13:40--14:00頃 ふじだな14:30--15:15駒木野庭園--15:22駐車場

足腰が痛んでいるとなかなか山に行こうという意欲は湧かないものだが、仕事の繁忙期も収束に向かい、近場でお花見ハイキングくらいならリハビリにもなるし、気分転換にもなるしということで高尾の丘陵を歩きつつ梅林に行ってみることにした。

ゆっくりめの6:20に起床し朝食をとったのち、山の神とともに自宅を出発した。近所のコンビニで買い出しをし、中央道にあがってあっという間に高尾IC。事前に調べていた高尾駒木野庭園駐車場を目指した。カーナビに駒木野庭園を入れていたのだが、いつの間にか通り越していた。この駐車場へ曲がる道は意外に細くてわかりにくいので注意が必要だ。


左:高尾駒木野庭園駐車場(無料、トイレなし) 右:小仏関跡

駐車場は9:00に開けられるが、9:10到着ですでに3台駐車中。山の神と出発の準備をしている間に1台やってきたから、すぐに満車になったのかもしれない(キャパは10台くらい)。下の河川敷にも車が停まっていて、駐車場として開放されているようだった。

駒木野庭園のトイレを借りて9:30出発。小仏関跡に着き、地蔵峰への分岐を通り過ぎたと知る。少し戻るとトレランの人が曲がっていくのが見えた。そこだと山の神と行くも、道標などは一切なし。初めて来た人はまず見落としてしまうだろう。


左:梅が咲く農道に入る 右:八王子城跡ハイキングコース入口

中央本線をまたぐ小さな橋を渡り、農作業をする年配の方々を横目に見ながら、梅林のある農道を進む。やがて八王子城跡ハイキングコース入口に着いた。ハイキングコースと謳っている割には、険しそうな入口だ。

 狭い登山道をたどる

登山道に取りつくと、いきなりの急登。左手奥には高速が見える。いまのところ足腰に若干の違和感はあるものの、歩みに問題なし。久々の山歩きだが、なんとか歩けているし、なんともないかもとこのときは思った。


左:地蔵峰 右:八王子城山の道標

やがて地蔵峰。山の神と私を軽々と追い越していったパーティが小休止をしていた。ここには、後ろに江戸時代のものと思われる古い小柄なお地蔵様二体、前に真新しい背の高いお地蔵様二体の計四体のお地蔵様が鎮座していた(写真)。休むにはまだ早いと通過。

すぐに「八王子城山」とある道標に出てザックを下ろした。この辺りに唐沢山と命名されているピークがあるはずだったが、ここだったのか、結局わからずじまいだった。

 
左:八王子城山・摺差バス停分岐 右:分岐界隈でかろうじて咲いていたツバキ

11:05旧甲州街道に下る分岐が出てきて山の神とともに休憩にした。いま歩いてきた尾根の名前が太鼓曲輪尾根であるとここに標示があった。聞いたことのない、地図にも出ていない名前だ。


左:下山路は落ち葉の道 右:八王子JCT

11:15早くも山歩きは終了で下山を開始する。落ち葉を踏みしめながら下降していくと、すぐに八王子JCTが見えてくる。


左:中央道の横に下りてくる 右:道標完備で迷うことはない

このルートはバスを使う登山者やハイカーのために道標が完備され、まず道に迷うことはない。


左:トンネルをくぐる 右:高架下に出る

道標に従い歩いていくとトンネルが出てきた。先日の雨で土砂や灌木類がトンネル内に流れ込み、荒れていたが、通過するのに支障はない。トンネルを抜けると高架下。下っていくと、中央本線を横切る踏切に出る。

 見上げると高い

この時点では、予定より若干遅れている程度だったが、すでに腹が減っていてどこかこの近くで昼食をとれるような梅林はないのかと、八王子市提供の木下沢梅林のマップを見ると、近くに湯の花梅林があった。ここだと山の神に告げ、木下沢梅林とは逆方向に進み始めた。いま思えばこれが大間違いだった。

梅林はあったけれども、お弁当を食べるような場所ではなく、皆散策しては素通りしていく。


2点とも:高尾梅の郷 町の広場にて

結局お弁当を広げられるところと探し続け、車道を延々と歩く羽目になった。結果高尾梅の郷 まちの広場(トイレあり)まで来てしまった。それでも梅がきれいに咲いていて、地面を芝がカバーしており快適だったのには救われた。鼻白むのは、圏央道の高架がそびえていることだったけれども、見上げなければ視界には入らない。やっと腰を下ろし昼食をとっって人心地ついた。

さて腹がくちると、次は山の神とどうしようかとなる。ここまで来て、最終目的地である木下沢梅林をパスするのもなあと私。梅の開花時期だけ一般開放されている場所だけに、この機会を逸するともしかしたら、一生来ないかもしれない、なんて考えたら、行かない手はない。


左:木下沢梅林に到着 右:高架下を回り込んでいく

でも、歩き始めると車道がやけに長く感じる。やっと先ほど下山して来た分岐まで戻って、まだ半分も歩いてないことに愕然とする。長い、とにかく長~い。観梅の客が多く歩いているのも、そう感じさせる要因かもしれない。前方から観梅客が途切れることなくやってくる。

13:20木下沢梅林に到着した。あれっ、「こげさわ」とフリガナがついている。ここに来るまで「きのしたさわ」だと思っていた。きっと強引な当て字なんだろう。


紅梅がアクセントになっていていい雰囲気

中央道の高架下を梅林に沿って進んでいく。左手に回り込んでいくと、梅林の入口があった。天気がいまいちの割には人出があり、レジャーシートを広げてくつろいでいる。でも全体を見渡すと、だいぶ花は終わりかけの様相を呈していて、場所によっては完全に花は散っていた。


花は終わりかけのものが目立った

13:40山の神と梅林を後にし、また長い車道歩きが始まった。とはいえ、梅林に来る道すがら帰りはここに寄ろうとあたりをつけていた「ふじだな」というカフェを目指すという楽しみをとっておいていた。

そのカフェの建物が目に入るや、歩く速度もアップし黒塗りの目隠し板張りの店内へ。狙っていたテラス席は座ることができず、室内の席につく。どっかりと腰を落ち着け、コーヒー(¥350)をいただく。サービスに焼き菓子がついてきて山の神とポリポリ。


左:名物摺差のとうふドーナツはうまそうだった 右:駒木野庭園内の建物

ふじだなを出ると、あとはひたすら駐車場に向けて歩くだけだ。と思いながらも、摺差のとうふドーナツはうまそうだなと寄り道。店内を覗くも売り切れっぽいなと退散する。その後昼食をとったまちの広場を通過。私はすでにこの辺りでヨレ気味だった。そんな私を尻目に、山の神は先頭に立ち、スタスタと歩いていく。必死についていく私。でも舗装された道は足腰にはすこぶる悪い影響を与える。そのうち右足が動かなくなってきて、引きずりながら歩くことに。途中から川沿いにつけられた遊歩道を行けばよかったものの、地図をきちんと見ていなかったため、道のわかりやすさを優先して車道を進んでしまった。

それでもなんとか駒木野庭園にたどりつき、安堵のため息だ。結果的にはリハビリではなく、破壊しに行ったようなものになってしまった。

リハビリはつづく。

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山梨百名山曲岳・黒富士と升形山

2022-01-02 | 山行~中央線沿線・大菩薩

曲岳(まがりがだけ)標高 1642m 黒富士 1633m 升形山 1650m 山梨県

2021年10月10日(日) 晴れのち雨

メンバー 山の神と私

コースタイム 7:35観音峠上、曲岳登山口駐車スペース7:49--めまい岩--8:46曲岳山頂8:54--八丁峠--八丁平--9:54黒富士山頂10:06--八丁平--10:36升形山山頂10:37--八丁峠--11:03林道手前(昼食)11:32--11:38林道--12:15曲岳登山口駐車スペース

5:05山の神とともに車で自宅を出る。中央道に上がり、今日は気分を変えて談合坂をパスし、釈迦堂PAで朝食をとった。まだ店舗は閉まっているが、自販機はいつでも使える。缶コーヒーを買い、持ってきたパンをかじる。

高速は韮崎で下りた。あらかじめ調べておいたセブンイレブンで買い出し。Googleマップでは、ICから登山口までの途上で唯一のコンビニだ。その後昇仙峡グリーンラインを走り、茅ヶ岳深田記念公園や太刀岡山の駐車場にけっこうな台数の車が停まっているのを横目に観音峠を目指した。


左:観音峠上、曲岳登山口駐車スペース 右:曲岳登山口

太刀岡山の辺りを過ぎると、交通量はないといっていいくらい閑散としてきた。観音峠から曲岳登山口の駐車スペースにあがると、5、6台は停められるかという広さがあるが、予想外に1台も停まっていない。やはり曲岳に簡単に登れてしまうので、メジャーコースではないようだ。


左:いきなり急登が始まる 右:岩峰の左を巻く

7:49登山口にとりついた。しばらくは等高線が詰まっている。きついねえと山の神に話しかけながら進むと、すぐに切り立った岩が目の前に現れる。これはどうやって登るん?と山の神の目が点になっている。当然ナイフリッジを行くわけではなく、左に巻き道が付けられている。

この辺りはなんともなかったのだが、、

ナイフリッジを巻いてなんなく稜線に出ると、その岩がめまい岩だった。たしかに先端を歩けば、「めまい」を起こしそうだ。この辺りから振り返ると深田久弥終焉の山として有名な茅ヶ岳に連なる金ヶ岳を一望できる。


左:通過したのは、めまい岩だった 右:振り返ると金ヶ岳

ここは序の口で、次に曲岳の最大の難所に差し掛かった。


左:トラロープを手繰って登る 右:山の神、最大の難所へ

岩と岩がくっつくかというくらいに迫った、その隙間を強引に上がって、トラロープが垂れた岩を下降する。足がかりをすぐに見つけられずに難儀な場所だ。私は早々に下って山の神を待つが一向に顔を出さない。そのうち、ここはどうやって登ったの~?と山の神の困惑の声。

ひとりじゃだダメかと私は自分のザックを下ろして登り返した。

狭い隙間を越えたら、切り立った岩を下る

山の神はまずダブルストックをしまい、両手を自由にするが、今度はザックが岩に阻まれて登れない。それならとザックを渡してもらい、身一つで登ってもらうことにした。なんとかなりそうだ。

山の神がようやく岩を乗り越える。私は山の神のザックを背負って、先にトラロープを伝って下降。山の神もようやく下りた。最初はここをピストンする予定だったが、無理そうだなとこの時感じていた。


左:最大の難所は展望ブリッジという名(?) 右:曲岳山頂

再び稜線に戻ると、先ほどの場所の上部に「展望ブリッジ」という名がついていることがわかった。

8:46地味目の狭い曲岳山頂に到着した。展望はほとんどない。山梨百名山の96年の制定時のものなのか、古い標柱が設置されていた。


左:曲岳から八丁峠を目指し下る 右:鹿が多いのか笹の丈は短い

8:54山頂を後にして八丁峠を目指す。この時にはもう、帰りはこの道をたどらずに八丁峠から林道へ出るエスケープルートを使うことに決めていた。

八丁峠の指導標

八丁峠にはあっけなく到着。木の幹に道標が雑然と括りつけられていた。


左:きれいな黄葉に目を奪われる 右:八丁平を越えると美林が続く

獣道のような細い登山道をたどっていくと黄葉したきれいな木が1本。思わずカメラを向ける。升形山への分岐、八丁平を越えて、黒富士へと進路を右にとる。カラマツの美林が続き、快適な道だ。


左:黒富士山頂、山梨百名山の標柱 右:真新しい甲府名山の標柱

曲岳山頂からほぼ1時間、9:54にこれまた狭い黒富士の山頂に着いた。登山者は一人もいない。曲岳同様、古い山梨百名山の標柱、そして少し離れたところに甲府名山と記された標柱も立てられていた。検索して調べてみると、甲府名山は開府500年事業として最近選定されたようだ。

小腹が減ったなと山の神とここでスコーンを食べてのんびりする。


左:升形山への直登道 右:山頂が岩場のため直下に建てられた升形山の甲府名山の標柱

10:06ちょっと長居しすぎたかと黒富士を後にする。カラマツの美林を抜け八丁平に戻り、升形山への直登コースに入る。なんか怪しい雲が出てきたなあといっていると、ポツリと雨粒が落ちてきた。


升形山山頂から黒富士を一望

10:36甲府名山と記された升形山の山頂標示を越えて、岩に這い上がる。山の神は岩の下でもうここでいいといっていたが、やはり登ってきた。先ほどまでいた黒富士が見えている。雨がぽつぽつと普通に降り始めてきて、すぐに山頂を退散する。


升形山から昇仙峡方面をみる

天気予報では、雨が降ることはなかったはずだが、みごとにはずれだ。


葉が枯れているものもあるが、少し紅葉もしている

どういうことかねえと山の神。仕方なくザックカバーとレインウエアの上をはおって元来た道をたどる。

八丁峠からは曲岳へ登り返さずに林道へ向けて下る。林道に出る前にお昼にしようと、適当な場所を物色しながら下るが、なかなかいい場所がない。とはいっても、決めないと林道に出てしまう。もうこの辺りでいいかと半ば妥協気味に腰をおろして昼メシにした(11:03)。運よく雨はちょうど上がっていた。


左:八丁峠から林道へ下り始める 右:後から知ったが、食べられるヤマボウシの実(登山口近く)

昼食をとった場所は、林道からすぐのところだった。片付けて歩きだすと、本日初めての登山者とすれ違い、その人が停めたと思われる車1台がすぐに見えてきた。

11:38林道に出る。ダンプが走っていたが、とくに危険はない。また雨が落ちてきた。青空も覗いているが、どうも安定しない天気だ。

 
左:登山口(数台は駐車可能) 右:林道に出て、車を停めた場所へ移動開始

12:15車のところに戻る。もっと時間がかかると踏んでいたので、ちょっとラッキーな気分だった。しかしラッキーな気分は、中央道にあがると無残にも木っ端みじんに打ち砕かれた。連休でまたコロナのため、普段運転しない人たちが大勢高速を走っていたのだろう。相模湖あたりで事故を起こした方がいて、激しい渋滞が発生していた。通常の所要時間プラス2時間、17時の帰宅とあいなった。

 

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甲斐黒川金山跡と鶏冠山

2021-07-21 | 山行~中央線沿線・大菩薩

鶏冠山(けいかんざん)標高 1716m 山梨県

2021年7月17日(土) 晴れ

メンバー 山の神と私

コースタイム 7:17落合鶏冠山登山口路肩駐車スペース7:28--ハンノキ尾根--8:28鶏冠山・横手山峠分岐8:38--9:28鶏冠山山頂9:35--10:10立岩沢--経塚--10:35黒川金山循環歩道入口手前10:45--10:58黒川金山跡11:03--11:30寺屋敷尾根手前(昼食)12:04--立岩沢--巻道--13:09休憩13:19--13:38横手山峠13:45--14:35登山口駐車スペース

7月連休にいきなり高い山に行くには、山の神がしばらく歩いていないことから、ちょっと厳しいかとなって、足ならしになるような近場の山でそれなりに標高のあるところをと探してみた。まず思いついたのは、柳沢峠から黒川山・鶏冠山ピストン。前回訪れたのは20年近く前になるだろう。さっそく先日購入した2021年版の「大菩薩」の山地図を眺めてみると、鶏冠山の近所に甲斐金山遺跡、黒川金山跡と出ている。こんなところに金山があったのか、捨てずに残していた2000年版の地図を見ると出ていない。検索してみると、地元の役所主催のツアーで訪れた記録がヒットした。ほお、これは行くしかないなと最短コースを探った。

丹波渓谷からが最も近いのだが、21年版地図では林道崩壊と記載されていてコースは点線表示だ。反対側から行くとすれば、ハンノキ尾根を上がっていくのが最短。しかし駐車場がない。GoogleMapのストリートビューで確かめてみると、登山口付近の路肩に1台車が停まっていて、ザックが置かれているのが写っていた。停められそうだと判断して計画を立てた。


左:鶏冠山登山口の路肩スペース(3,4台) 右:いい感じのさわやかな森

自宅を山の神と4:38に出発した。高速に入り順調に走って、いつもの談合坂SAで朝食をとる。SAを出る頃には、交通量もそこそこあり、帰りは渋滞必至かとちょっと心配になる。勝沼ICで高速を下りフルーツライン、そして大菩薩ラインに。少し戻ってコンビニで買い出しをし、トイレもついでに済まそうとしたが、なんとトイレに並ぶ人が。思わぬ伏兵で時間ロスだ。

そんなこともあり駐車スペースがいっぱいだったら、柳沢峠に戻るつもりだったが、結果は1台も停まっていなかった。意外と知られていないのかと思いながら、粛々と登山準備にかかり、7:28山の神とともに登山口へ。道標にしたがって車道を上がっていくと、すぐに2、3台は停められる駐車スペースが出てきた。実際帰りに1台停まっているのを見かけたが、すぐそばに沢があるので釣りの人かもしれない。

そのまま集落の横の道を上がっていくと、猛然と犬に吠えられる。登山者が脇を通過するたびにこうなのか。すぐに山道になり、いい感じのさわやかな森の登高となる。

 

野鳥がさえずり気持ちのいい道だねと山の神と話していると、カラスが寄ってきてカアカアとうるさい。興を削ぐなあといっていると突然それを打ち消すようにピーッ、ピーッと甲高い声が山中に響いた。何の音だろうと音のするほうを見ると、遠くにシカが1頭いた。母シカとはぐれたのか、強く大きい悲鳴のような声を発し続ける。しかし歩いているうちに山影に入って、その声も聞こえなくなった。


左:鶏冠山・横手山峠分岐 右:分岐の手前であえぐ山の神

ホタルブクロ(冒頭写真)の群生地を抜け、写真を撮りながらゆるゆると進む。なかなか柳沢峠からの道と合わさる分岐に出ない。少しペースを上げるかと山の神を見るとバテ気味だ。私はひと月ぶりの登山だが、山の神はほぼ2か月ぶり。間が空きすぎたか。昭文社の山地図の標準コースタイム40分よりも10分余計にかかって、ようやく分岐に到着した。


左:苔むした岩場を縫っていく登山道 右:樹間から青い山と青い空

分岐で水分補給をして鶏冠山へ向かう。日陰の登山道で涼しくていい。苔女子御用達の山域といっていいほど、きれいに苔むした岩場が連続して現れる。


左:鶏冠山・黒川金山跡・横手山峠分岐 右:鶏冠山山頂

鶏冠山・黒川金山跡・横手山峠の分岐に出て、すぐに鶏冠山かと思ったのだが、それは間違いだった。ここからが思ったより距離がある。歩きにくい岩場、偽のピークなんかもあって、9:28ようやく祠のある鶏冠山山頂に到着した。これまた標準タイムより遅れている。この区間はそれほどゆっくり歩いていないのにおかしい。元々あまり歩かれていないコースだから健脚者のコースタイムが記載されているのだろう(ということにしておこう)。


鶏冠山からの展望


鶏冠山から富士山も見える

鶏冠山からの展望はいい。富士山も遠望でき、山頂を踏む価値はある。


左:石積みがされた九十九折の下山路 右:立岩沢

9:35鶏冠山山頂を後にし、分岐から黒川金山跡に向けて下り始める。九十九折の長い道で、傍らに石積みが延々と続く。何か建物か畑でもあったのだろうか。予定よりもだいぶ時間がかかっているので、立岩沢は通過し、先へと急ぐ。


左:寺屋敷経塚と書かれている 右:近くにこんもりした場所。これが経塚?

山地図には出ていなかった「寺屋敷経塚」という標示が出てくる。奥のほうに土を盛ったような場所があったので、そこが経塚なのかと思ったが、どうなんだろう。私の勝手な推測では、金山では落盤事故などで亡くなる鉱夫が多かっただろうから、その供養のためにお経を納めて経塚をつくったのではと思った。


左:黒川金山跡上 右:沢を渡る

この辺りから長い下りに入り、山の神を不安のどん底におしやった。もしや寺屋敷尾根を下っているのでは?という疑念が膨らんだようだった。私を呼び止め、地図をチェックし始める。そういわれてみれば、下りすぎかもと私も地図を見る。でもまだ立岩沢から30分程度しか歩いていないし、この道が寺屋敷尾根なら左手にくっきりはっきりとついた登山道があったはず。そんな道は明らかになかったし、経塚から尾根を下ってきたような感覚はまったくない。進むべしと腰を上げて歩き始めると、5分もしないうちに「黒川金山上」と書かれた道標が出てきた。やはり間違いではなかった。


左:黒川金山跡循環歩道入口(立入禁止) 右:昼食(セブンのおにぎり、右上は辛味唐揚げ)

少し下って沢を渡ると、黒川金山跡循環歩道入口に至る。ここから少し循環歩道を歩くつもりだったのだが、なんと立入禁止だった。上部の入口が立入禁止なのは事前に知っていたものの、こちらも禁止なのは知らなかった。残念だが、引き返すほかない。また来ればいいんじゃと言い放ちつつ、入れないとわかると今度は腹が減ってきた。沢沿いでお昼にしようかと山の神に提案すると、すげなく熊が出そうだからもっと上に行こうという。少し押し問答をしたのち、結局は今下ってきた道を登り返すことになった。ほとんど無言で汗をかきかき登り、ちょっとした小広いスペースを登山道の左手に見つけ、そこでやっと昼食にありついた。


左:台風で傷んだ登山道にハシゴ橋 右:林道に出る

昼食後は来た道を戻り、途中の分岐から鶏冠山方面には上がらずに巻き道で横手山峠をめざした。まだ峠に出ないのかとじれていると、台風か何かで派手に登山道が崩落した地点を通ることになる。ちょっと渡るのが恐いハシゴ橋を越え、倒木をくぐり、豪快に崩れた沢を横切る。そこからしばらく耐えて歩いていくと青々とした芝生の空き地に出る。ここは一体なんだと思って視線を上げると、林道だった。


左:横手山峠でひと休み 右:シカに遭遇

林道沿いに進み、13:38横手山峠に到着。そこそこの暑さの中で予想外のロングトレッキングとなり、疲労感がにじむ。水分補給して10分ほど休憩し、最後のひと踏ん張りと気合を入れて歩き始める。とすぐに茶色い物体が左の眼の端を動いていくのがわかった。シカが走っていた。もしや朝目撃したシカだろうか。お尻が真っ白で子どものシカのように思える。手を振ってみると、何をしているのだろうと遠くからこちらをうかがっているように見える。そのうちそのシカは関心を失って、遠くに去っていった。

大菩薩ライン近くまで下りてくると、バイクの爆音が聞こえてきて、少しもわっとした熱い空気が流れてくる。戻ってきたぞ。そして集落を通過するときにまた犬に吠えられる。暑くても元気な犬だ。予定より1時間以上も遅れて、14:35マイカーに戻った。ドアを開けると、高温の空気がなだれをうって出てきた。あぢ。

帰りの高速は予想したよりは混んでおらず、渋滞はちょっとだけ。17:00過ぎに無事帰宅した。

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人気の「牛奥ノ雁摺」再訪と小金沢山

2021-06-28 | 山行~中央線沿線・大菩薩

牛奥ノ雁ヶ腹摺山 標高 1990m 小金沢山 2014m 黒岳 1987.5m 山梨県

2021年6月12日(土) 曇りのち晴れ  

メンバー 私単独

コースタイム 6:28大峠駐車場6:39--7:30急登取り付き7:36--尾根分岐--7:50黒岳--8:53牛奥ノ雁ヶ腹摺山9:03--9:38小金沢山9:46--10:18牛奥ノ雁ヶ腹摺山(昼食)10:48--11:20川胡桃沢の頭11:25--11:52大峠への分岐11:57--12:46大峠

週末晴れそうだから山へ行こうと山の神を誘うと、実家に行くというので、梅雨にどっぷり入る前に一人でお山に行くことにした。行き先はいつの間にか名前が長いというだけで有名になり、人気も出てきた牛奥ノ雁ヶ腹摺山だ。ついでにGWに山頂で富士山を拝めなかった小金沢山まで足を延ばすことにした。牛奥までは山の神と行っており、いつだっかたと調べると2004年だったから、なんと17年ぶりになる。

4:25自宅を車で出発した。大月で高速を下りてから登山口までコンビニがたしかなかったよなと思い、自宅近所のコンビニで買い出しをして高速にあがった。交通量はそれほどでもない。談合坂SAで朝食をとり、サクサクと進んで甲州街道から見覚えのある交差点を大峠に向けて右折する。集落が意外と途切れずに長い。こんなに長い道だったかというくらい走り、2010年に雪で車をスリップさせ、側壁に激突したのはどこだったろうかと探しながら進んだがわからなかった。


大峠からの富士山

6:28大峠の駐車場に到着。この時間ですでに何台か停まっていて、もしかして前日からかと思いながら、山支度にとりかかる。隣の先着様は、出発する様子がなく、そのうちサンドイッチにかぶりつき始めていた。


左:大峠駐車場。左端にトイレ。奥のゲートは閉まっていた 右:牛奥ノ雁ヶ腹摺山登山口

6:39トイレに寄って大峠を後にする。登山口からはしばらく急登が続き、やがてトラバース気味に進んでゆるやかな上りになる。


左:登山道からツツジが見えた 右:枯れ木地帯を通過

倒木、枯れ木地帯を抜け、歩き始めて50分。そろそろ休憩にしようと腰を下ろした場所は、再び始まる急登のほんの手前だった。天気は予報通りの曇りで、雨が落ちてくるような厚い雲ではなく薄曇りだった。


左:尾根の分岐に出た 右:黒岳山頂。展望はない

水分補給をして歩き始めると、すぐに尾根に出た。このとき本日初めて登山者とすれ違った。女性の単独者でザックが大きかったから上で一泊したのだろう。大峠に下るようだった。

私は黒岳へ。前回来た時には黒岳をカットしたのではないかと思い込んでいたので、とりあえず行かなければと向かったのだが、実際にはしっかりとこの山頂を踏んでいた。記憶なんてあやふやなものだ。


左:笹原の道は気持ちがいい 右:絶好の休憩ポイント、川胡桃沢の頭

黒岳から引き返して牛奥へ向かう。少し行くと、笹原が現れ、新緑の快適な雑木林が続く。やがて川胡桃沢の頭に出る。ちょっと開けた場所で富士山のビューポイントでもあり、休憩にはもってこいだ。


この時期、曇っていれば快適な笹原の道

川胡桃沢の頭から新緑の森を抜けていくと笹原のだらだら上りの道に出る。日が照っていると暑くて大変そうな道だが、ラッキーなことに太陽は隠れたままで涼しい風が通り抜けていく。


左:牛奥ノ雁ヶ腹摺山山頂 右:牛奥山頂からの富士山

しばらく忍耐力が試されるが、振り返れば富士山が応援してくれている。8:53無人の牛奥ノ雁ヶ腹摺山の山頂に到着した。高度が上がった分裾野もばっちりと見えて富士山の存在感がすごい。


左:牛奥から笹原の道を下る 右:だれもいなかった小金沢山山頂

少し休憩して、小金沢山に向けて笹原の道を下り始める。雑木林を抜けていくと、2組のパーティとすれ違い、この界隈にもそれなりに人がいるのだとそのときは思ったのだが、9:38見覚えのある山頂に到着してみると、またもや無人だった。無人で静かなのはいいが、静かすぎるのもどうか。


小金沢山からの富士山

それはさておき、GWに訪れたときには、富士山を拝めなかったけれども、今回はその姿をこの目に焼き付けることができた。欲をいえば、バックにもっと青空が欲しかったが。

9:46元来た道を戻り始める。牛奥ノ雁ヶ腹摺山近くに来ると、単独者から数人のパーティまで登山者が次々にやってくる。やっぱり人気の山塊なのか。10:18牛奥の山頂に再び到着し昼食の準備にとりかかる。

すると先ほど私を追い抜いて行ったカモシカばりの身軽で軽快な足運びの単独お姉さんが私の目の前を横切り、知らぬ道へ下っていく。あれっと思い、声をかけた。どちらに? 黒岳です。黒岳はそっちじゃなくてと、私は立ち上がり往路で歩いてきた道を指さした。その方向に視線を送った彼女ははっきりと登山道がついているのを確認したようだった。私が下ろうとしたこの道はどこに行くのでしょう?と聞かれたが、よくわからない。途中で道がなくなるよと答えた。山地図を見れば、明らかなバリエーションルート。途中で引き返すことになっただろう。あぶない、あぶない。


青空が出て日が照ってくると暑い

いつの間にか、10人くらいになった山頂で昼食をとり、10:48下山開始。雲が徐々に流れて日が差してきた。これから山頂を目指す人たちとすれ違い、それから登り返して川胡桃沢の頭に上がると、今度は後ろから追いついてくる人たちが。私のペースが落ちたのかと思いながら、暑いなとひとりごち、汗をふきつつ下った。喉の渇きを感じれば、立ち止まって休憩し、夕方でもないのにヒグラシがやかましく大合唱する中、消耗したという確たる実感をもって12:46駐車場にたどりついた。

帰りも交通量は少なめで順調。談合坂SAで山の神に下山メールを送り(返信なし)、自宅には14:45頃到着した。山の神はまだ帰宅していなかった。道理で返信なしなわけだ。

蛇足:単独行のときの山行記録は、ものの見事に風景写真になる。あれだけ登山者とすれ違ったり、会ったりしても、やはり写真にはとらないものだ。

参考:当ブログ
牛奥ノ雁ヶ腹摺山・黒岳(2004年)
雁ヶ腹摺山・姥子山(2010年)

笹原とカラマツ林を抜けて小金沢山へ(2021年)

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登山道が整備された源次郎岳

2021-05-30 | 山行~中央線沿線・大菩薩

源次郎岳 標高 1476.6m 山梨県

2021年5月2日(日) 晴れのち雹 →ひょう

メンバー 山の神と私

コースタイム 嵯峨塩鉱泉9:50--11:11源次郎岳11:25--12:25嵯峨塩鉱泉

源次郎岳は、昔の山地図では常にルートが点線になっていたけれども、ここ何年か(もっと前か)で整備されて一般の登山者も気兼ねなく登れるようになった。山梨百名山に入っていることからだいぶ前から行ってみたいと思っていたところ、このコロナ禍で近場にしか行きにくい状況となって、奇しくも実現することになった。


左:山の神、宿の強アルカリ水をボトルに詰める 右:登山口。後ろが嵯峨塩鉱泉嵯峨塩館入口

前泊は嵯峨塩鉱泉嵯峨塩館。9:30頃チェックアウトし、車はチェックインタイムの14:00までに出すことを約して宿にそのまま置かせてもらうことにした。山の神と登山靴にはき替えて9:50出発した。


左:日が差して明るい雑木林 右:カラマツの新緑が目にやさしい

いきなりの急登で息もはずむ。畑付近まで来ると、富士山がよく見えた。写真を撮ろうかと思ったが、ちょうどその場所で年配の方2人が立ち止まって息を整えていたので、後でいいやと通過してしまったのが運の尽き。この後二度と富士山の全貌を拝むことはできなかった。


左:未舗装の林道に出ると道標 右:樹木が切り払われた広場の横を進むと林道が目の前を横切る

新緑のカラマツ林を抜けていくと、やがて樹木をきれいに切り払った広場に出た。何か大規模な施設でもつくろうというのか、かなりの広さがある。そこに未舗装の林道が通っている。登山道はその林道を横切り、林の奥へと続いている。

 2本目の林道(舗装路)を横切る

落ち葉を踏んでいくと、2本目の林道、嵯峨塩深沢林道に出る。道幅は狭いながらも、きれいに舗装されている。近くに駐車スペースがあって2台停まっていた。この後山頂で会ったファミリーのものか。意外とここまで車で上がって来られるというのは知られていないかもしれない。


左:牛奥峠。中央の石に「山神」と刻まれている 右:苔むした蛤岩

2本目の林道を越えるとすぐに牛奥峠と標示された場所に出る。そこには蛤岩(はまぐりいわ)と呼ばれている、中央を鋭い刃物でばっさり切られたかのような岩があった。


左:下日川峠と源次郎の分岐 右:源次郎への下りは予想以上に長い(中央の点は山の神)

下日川峠に出ると、快適な森歩きも終わりだ。ちょっとしたピークから下りに入る。こんなに下るのかといいつつ、私が写真を撮っていると、寒い、寒いといいながら、山の神が私を追い越してどんどん先へ進んでいった。やたらと谷筋から冷たい風が吹いてきて、山の神を追い立てたのだ。


源次郎岳山頂の広場

しばらく下って、気持ち登り返すと源次郎岳のピークだ(11:11)。山頂はやりすぎではないかというくらい、ものの見事に木が切り払われた広大なスペースがあり、眺めもいい。先着さまは7、8人のファミリーで、われわれを途中で追い抜いていった単独登山者の方との会話がもれ聞こえてきたところによれば、帰省してきた子や孫たちと登ってきたという。ちょっとしたハイキングで楽しそうだ。コーヒーを沸かしてくつろいでいた。


富士山は雲に隠されていた

山頂の上空は青空が出ているものの、白い雲がもくもくと広がっており、富士山頂は隠れたままだった。前日の小金沢山からの富士山がまったく姿を見せなかったのに比べれば、よほどましだが、残念な感じは否めない。登りはじめの時に見えていた富士山の全貌を堪能しなかったのは悔やまれる。


金峰方面を一望する

11:25山頂で一服して下り始める。往復で2時間くらいと思っていて12:00には下山するつもりだったのだが、予想外に時間がかかっている。往路ではヤシオの花(下の写真)を愛でていたが、復路は早く下ろうとわき目もふらずに通過だ。


左:ヤシオがところどころで咲いていた 右:もうすぐ下山というところで雹が来襲 

最初の舗装された林道を横切ったころ、いつの間にか曇天に変わっていて、ポツンと冷たいものが落ちてきた。雨か? そのうちパラパラと来て、思わず山の神と目を見合わせた。ヤバい。地面を見ると直径1ミリ程度の白い粒が枯葉の上ではねている。なんと雹(ひょう)だった。山の神は脱兎のごとくスピードアップし、小走りで下っていく。私もその後に続いた。

嵯峨塩鉱泉にたどり着いた12:25には、直径2~3ミリの雹に変わっていて、しばらく宿の前の東屋で雨宿りならぬ雹宿りをした。その間、雹の降り方は激しさを増していく。しかしそんな天候急変も、数分であっけなく何事もなかったように収まった。

やれやれと宿を出て、道の駅甲斐大和に移動し、休憩&ワインを購入(前々回の記事一升瓶の甲州ワインを買ってみる)。昼飯は笹子トンネルを越えて大月に入ったところにある和食レストランか、近辺の食堂に入ろうとしていたのだが、、、コロナのせいかあちらもこちらも休業中だった。道の駅でソバを食べればよかったと臍をかむ。結局中央道にあがって談合坂SAに入り、14:00過ぎにようやく焼きそばにありついた。その後は順調で渋滞に巻き込まれることもなく帰宅した。

笹原とカラマツ林を抜けて小金沢山へに戻る

コメント
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