目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

展望の山、守屋山

2016-04-30 | 山行~八ヶ岳とその周辺

標高 西峰 1650.3m 東峰 1631.2m 長野県

2007年5月20日(日) 晴れ 

メンバー 山の神と私

コースタイム 8:45駐車場(杖突峠茶屋の先)8:55--9:52東峰直下9:58--10:10東峰10:15--10:35西峰(昼食)11:45--東峰--12:30避難小屋12:35--13:03駐車場

守屋山といえば、ザゼンソウが有名だけれども、5月ともなれば当然花は跡形もない。ザゼンソウの次にこの山のアピールポイントといえば、360度の大展望だ。あいにく雲がかかって、北アルプスは望めなかったものの、ウワサに違わず、最高の眺めを堪能できた。

5:35自宅を出発。コンビニで買出しをし、中央道に上がった。いつものように談合坂SAで山の神と簡単な朝食をとり、そこから順調に走って、高速最後の休憩を原PAでとった。諏訪ICから勝手知ったる茅野の市街地とは逆方向に進路をとり、杖突街道に入った。少し走ると、峠の茶屋、その先に無料の大駐車場が出てきた。車を入れると、この駐車場のあまりのだだっ広さにあっけにとられてしまう。そんなに人が来るのか。あるいは、何かレジャー施設でもこれからつくろうとしているのか。

 
左:杖突峠茶屋の先にある無料の大駐車場 右:美林の中の登山道を進む(復路撮影)

駐車場の中途半端なところにおじさんがたたずんでいて、いかにも怪しげなオーラを放っていた。車上荒らしじゃないかとにらんだが、確証はない。その昔ジムニーに乗っていたとき、編笠山の観音平駐車場で、車の鍵を壊されたのを思い出してしまった。幸いこのときは何もとられなかった。

8:55身支度を整え、山の神とともに駐車場を後にした。のっけから気持ちのいい新緑の樹林帯となる。

 青空に映える新緑。登山口付近

写真の順番が逆だけれども、少し登ると、あとは平坦なカラマツ林の中を横移動することになる。

避難小屋近くに来ると、あたりかまわずに騒音を撒き散らす、“移動居酒屋”のような集団がいた。ときどきこうした集団に遭遇してしまって鼻白むけれども、なんとか自制していただけないだろうかとお願いしたい。人数が多いとどうしても、こうなりがちだよね。

 
左:東峰(復路撮影) 右:東峰から諏訪湖を望む

立派な登山口の道標、そしてザゼンソウの群落を通り過ぎると、急登が始まる。やがて駐車場から1時間ほどが経ち、9:52腰を下ろせる適当な場所を見つけて休憩にした。山の神とお茶を飲んでいると、移動居酒屋が後方から近づいてきた。急き立てられるように休憩を打ち切った。

守屋山東峰は、なんと、そこからすぐで10:10に到着。休まずに歩いたほうが正解だったかもしれない。見晴らしは抜群ながら、さすがに雲には勝てず、北アルプス方面がシャットアウトされていた。


東峰から八ヶ岳を望む

西峰には東峰から20分ほどで着いた。東峰は大勢の登山者でにぎわっていたのだが、こちらはまばら。というのも、東峰のほうが眺めがよく、広々としているからだ。でも、空いていてゆったりできると、ここ西峰でレジャーシートを広げ、山の神と昼食にありついた。5月にしては強い日差しで暑かったのだが、そのうち雲が空を覆い始め、時折日差しを遮断しては冷んやりとして、その落差に戸惑わされた。

 
左:西峰 右:西峰から中央アルプスを望む


西峰から南アルプスを望む

西峰に続々と登山者がやって来た11:45、山の神と片付けを終え下山開始。来た道をピストンで戻り始めた。

 
左:避難小屋(簡易トイレあり)、奥に東屋 右:ヒトリシズカ

12:30避難小屋まで下り、休憩にした。奥の方にある東屋では、団体が昼食をとっていてにぎやかだった。山の神がお茶を飲み終えるのを見計らって5分ほどで腰を上げる。あとは駐車場までわずかだ。再び歩き出すと、朝、私や山の神に余裕がなかったのか、花が咲いていなかったのかはわからないが、まったくその存在に気づかなかったヒトリシズカの群落があった。そっちでも、こっちでも花が咲いていて壮観。名前とは異なり、オオゼイオオニギワイといったたたずまいだった。

駐車場には13:03到着。ザックを車に積んで、寄り道せずにまっすぐ中央道へ。談合坂SAで唯一休憩をとり、山の神とアイスクリームを食べてクールダウン。たいした渋滞もなく、16:20無事自宅にたどり着いた。

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『外道クライマー』

2016-04-24 | 山・ネイチャー・冒険・探検の本

 『外道クライマー』宮城公博(集英社インターナショナル)

著者の宮城公博さんは、沢や。私は沢はまったくやらないので、沢やさんとのお付き合いは基本ないが、沢やさんで強烈な印象があるのは、一度、天候いまいちの越後三山の避難小屋で彼らと遭遇したときである。日が暮れてきて外はしのつく雨。山の神とこの山小屋を独占だと、のんびりしていると、数人のヘルメットをかぶった粗野な男どもが、濡れるがままのびしょびしょ状態で、戸をガラガラと開けて入ってきた。こんちは~といいつつ、腰につけたカラビナ類をガシャガシャいわせながら、、小屋の奥に陣取った。そして豪快に放屁。下品なやつらと思ったものだ。会社の山の会の年配者からは、沢やは変人、全裸で川を渡渉する。何が楽しいんだ?といっていたのを思い出す。角幡唯介さんは解説のなかで、宮城さんがセクシー登山部と名乗っていることを明かしているが、全裸渡渉に由来する名前なのだろう。

前置きが長くなってしまったが、この本、めっちゃめちゃおもしろかった。「やりたいことを、とことんやる」という姿勢。いいねえ!スカッとする。冒頭には、神域である那智の滝を登って、警察に捕まったエピソードが出てくる。どうしても登りたいものはしょうがないか。彼のやんちゃぶりは、読んでいるこちらの気分も昂揚させる。

しかし那智の滝は、ほんの序章にすぎなくて、その後に大きくページが割かれる、象やトラや体長5メートルの蛇が登場するタイのジャングル46日間の沢登り、未踏であった称名廊下や、それをはるかに凌駕する巨大ゴルジュを要する台湾のチャーカンシーへの挑戦、称名滝・ハンノキ滝の冬期初登攀とエスカレートしていく。次々に押し寄せるアドレナリン出まくりの状況は、鳥肌ものだ。

タイ・ジャングルに入る前には、ミャンマーのカカポラジ奥の未踏峰、もしかしたらミャンマー最高峰ではないかといわれていた山を狙っていたとも書かれていて、実際にミャンマー入りしていたというから驚く。このブログでもとり上げた、NHK登山隊、ナショジオ隊、そして遭難したミャンマー隊が入山していた頃だ。へええ、宮城さんは、表現者であると角幡さんは評していたが、メディアの方々と同じタイミングとなるとは、なにか持っているのかもね。

私は、セクシー登山部には入りたくはないけれども、どんな沢登りをするのか、今後の彼の動向が楽しみだ。

「カカポラジ」参考:当ブログ
Nスペ「幻の山カカボラジ」
「カカポラジ山行記」ナショジオ2015年9月号 

外道クライマー
クリエーター情報なし
集英社インターナショナル
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西丹沢県民の森から檜洞丸

2016-04-17 | 山行~丹沢・道志

標高 1601m 神奈川県

2016年4月6日(水) 晴れ 

メンバー 私単独

コースタイム 8:01西丹沢県民の森8:10--9:12尾根の踊り場9:21--石棚山--10:14テシロノ頭先のシカ柵地帯10:22--11:08檜洞丸山頂(昼食)11:38--12:45尾根の踊り場13:00--13:40西丹沢県民の森

晴れの日を狙って代休をとった。山の神はお仕事なので、連続して単独山行となる。山の神を起こさないように静かに準備し、5:25家を出発した。近所のコンビニで買出しをし、ガソリンを満タンにし高速に上がる。前回の丹沢山行(3月の連休時)と同じように圏央道、厚木PAで朝食をとり、東名の大井松田ICで下りた。ここまではすこぶる順調だったのだが、必ず通らなければならない国道246号は通勤道路だった。そうとは知らず、予定よりかなり早く登山口に着きそうだとほくそえんでいた。

 
左:西丹沢県民の森 右:県民の森の駐車スペース。この直下にもある

通勤の車の量はすごかった。246号への合流地点から西丹沢へ曲がる手前まで、延々と渋滞。のろのろ運転が続いた。ようやく246号を離れ、道の駅山北で最終休憩。登山口となる西丹沢県民の森へと向かった。前回誤って県民の森への林道をあがってしまったときに目星をつけていた駐車スペースに車を置く。平日だから、予想どおり誰一人いない。

 
左:石棚山登山口。向かい側には公衆トイレもある 右:濡れてつるつるだった石畳

8:10車道を歩き始める。橋を渡ると、すぐに登山口が現れた。昨日の雨で石畳と階段はしっとりと濡れていて、足を踏み出すとつるりと滑った。油でも流したように摩擦係数0みたいな状態だ。そろりそろりと注意深く階段を上がった。

その先にも石畳が続き、難儀した。ただ登山口ほどには滑らない。東屋の横を抜けて上がっていくと、ミツマタの群落があって、3/21に見たあの花を咲かせていた。

 切り株が並ぶ尾根

県民の森を越え、尾根に出ると、歩きやすくしたのか切り株地帯が出てくる。ここからいよいよ急登地帯に突入する。

 
左:尾根上の唯一の平坦地で、唯一の休憩ポイント 右:激しい上りが延々続く

アキレス腱が伸びきるすごい急登が続く。歩き始めて1時間余りで、ようやく休憩できそうな平坦地に出た。尾根上で平坦なのは、ここしかない。ザックを下ろして、ひと休みした。樹間から富士山、遠くに冠雪した南アルプスが小さく見えた。

腰を上げて歩き出すと、続くわ、続くわ、これでもかという急な上り。まるでトレーニングコースだ。 

 
左:石棚山の稜線 右:シカさん親子。先に3頭くらいが走り去った

やがて箒沢からの道と合わさり、ホッとする。ここからしばらくはなだらかだ。冬枯れた道を進んでいくと、右手のほうからガサガサと音がした。何だろうと視線を送るとシカが3頭くらい勢いよく逃げていく。しかし、親子連れのシカは、どうってことないと思ったのかまだ立ち去らずにその場に留まっていた。カメラを出して撮影を始めると、子ジカ2頭が危険と思ったのかダッシュして去って行く。親ジカだけその場に留まって、こちらをじっと見ていた。そのうち私が何もしないと判断すると、悠然とまたエサを探し始めた。

この後にシカ柵だらけの道に突入するが、この一帯はシカの駆除地域に指定されている。それだけ大繁殖してしまっているようで、私が見かけたシカさんたちもいずれは駆除されてしまうのだろう。

 
左:ブナ林の道 右:ウソが何羽も枝に止まっていた

テシロノ頭を越えて、シカ柵だらけの道をしばらく進むと、テーブルとベンチが置かれていた。そこで2回目の休憩をとる(10:14)。汗をかいたこともあり、もってきたペットボトルのお茶もあっという間に飲んでしまいそうだ。

そこからさらに進むと、野鳥の楽園が突如として現れた。登山者がいないことが幸いしたのか、カラフルな鳥たちを多く見かけた。最初はデカめの鳥、アカハラ。それから早く立ち去れとばかりに私の近くに来て、鳴きわめいていたシジュウカラ、そしてのど元が鮮やかなオレンジ色をしたウソがたくさんいた。木には葉が一切ないから、目立つこと目立つこと。意外にも逃げるそぶりさえ見せないので、ウソを撮影できた(バカちょんだからピンをうまく合わせられなかったのだが)。


檜洞丸山頂から蛭ヶ岳方面を望む

檜洞丸の山頂には、11:08に到着した。山頂手前で2人、山頂には数人の登山者がいた。平日なのに、さすがは丹沢のメジャーな山だけのことはある。その後も昼食をとっていると何人か登ってきた。

11:38昼食を終えて下山開始。上り時よりも、雲がとれてすっきりと富士山が見え、思わずカメラを取り出した。


檜洞丸山頂直下から富士山を望む

往路でカラフルな野鳥を見てしまったので、復路でも、またいないか、もっといないかときょろきょろしてしまった。まずヤマガラを発見、続いてコガラ。コガラは幹の下部に留まって下からくるくるまわりながら、虫を探して登っていく姿が愛らしかった。野鳥がいなければ、来た道なので、サクサクと進んでしまう。野鳥の楽園を抜けると、あっという間に西丹沢県民の森への分岐に来てしまった。ここからは激しい下りが始まる。ガレ場や足場の悪いところがしばらく連続するので、慎重に足を下ろしながら進んだ。下山は13:40。朝到着したときと何一つ変わらぬ状況で、ポツンと愛車エスクードが1台だけ停まっていた。

帰りは、朝ほどではないものの、246号が詰まっていた。東名に上がると、すんなりと流れ、家に16:00前に到着。のんびりと午後のコーヒータイムとなった。 

参考:
玄倉登山口から大撫ノ丸(2016年3月21日)
西丹沢自然教室から檜洞丸(2007年5月)

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御荷鉾(みかぼ)山

2016-04-10 | 山行~上州

標高 西御荷鉾山 1286m 東御荷鉾山 1246m 群馬県

2009年5月10日(日) 晴れ 

メンバー 山の神と私

コースタイム 8:55東御荷鉾山登山口駐車場9:13--尾崎喜八文学碑--投げ石峠--休憩--10:20東御荷鉾山山頂10:27--11:27西御荷鉾山中腹11:35--11:50西御荷鉾山山頂(昼食)12:44--13:00駐車場

2014年に御荷鉾山にほど近い赤久縄(あかぐな)山を訪れている。山頂からは、おわんを2つ伏せたような御荷鉾山がよく見えた。赤久縄山山行記録をブログにアップする際に、せっかくだから御荷鉾山の自分のブログ記事へリンクをはろうと、サイト内を検索してみたのだが、なんと該当の記事がなかった。書いていなかったのだ。それから1年半も経ってしまったが、季節もぴったりということで、さっそく。

5:34自宅を出発した。自宅からいちばん近かった今はなきファミマで買出しをし、高速にあがった。圏央道狭山PAで朝食をとり、関越に入る。本庄児玉ICで下り、途中まだオープンしていない道の駅上州おにしに立ち寄り、トイレ休憩(トイレは使用可)。ちなみに「おにし」は漢字では、「鬼石」と書く。弘法大師伝説があって、大師が鬼を追い払ったときに鬼が捨て身で石を投げたのが、東御荷鉾山と西御荷鉾山を分ける投げ石峠、その麓の町が鬼石ということだ。

 
左:御荷鉾山登山口駐車場。小さいながらもトイレはある 右:駐車場前の巨大鉾

国道462号から狭い御荷鉾スーパー林道を上がって、現在休館中のみかぼ高原荘の上、御荷鉾山登山口駐車場に8:55到着した。駐車場は広くて、樹木を模した小さなトイレもある。身支度をし、地図を確認してから、9:13駐車場を後にした。巨大な鉾を左手に見ながら、舗装された林道を歩いていく。

 
左:尾崎喜八文学碑 右:投げ石峠

すぐに尾崎喜八の文学碑が出てくる。碑文には『神流(かんな)紀行』から抜粋した旨刻まれていた。聞いたことのない作家だったので、ネットで調べてみると、そこそこ有名な詩人であったようだ。1974年に亡くなられているから、それほど昔の人というわけでもない。

投げ石峠から登山道に入っていく。

 
左:新緑の道が続く 右:東御荷鉾山山頂

急登を上がって、新緑が目にまぶしい尾根筋に出る。ひとまずここで山の神と休憩にした。今日はぽかぽか陽気で、駐車場ですでに気温は20℃に達していた。この陽気で虫も活発に活動し始めていて、山の神と私の耳元で聞こえよがしに羽音を立てるやからがいて、何度も手で追い払うことになる。

10:20東御荷鉾山山頂に到着。ガイドブックには、樹林帯で展望なしと書かれていたが、それは昔。今は南面の木を伐採して展望を確保している。北面も低木の間から眺めを楽しめる。

 
左:東御荷鉾山の毘沙門天 右:つつじの花はまだだった

だいぶ日差しが強まり、暑い。おまけに先ほどの休憩ポイント以上にハチ、アブが多く、周りにどんどん集ってきてしまった。追い立てられるように、移動を開始した。


西御荷鉾山を望む

次は西御荷鉾山だ。登山道からきれいな円錐形の姿を望める。暑さのせいかバテ気味で、一度休憩を入れた。腰を下ろしていると、野鳥のさえずりが耳に心地いい。

  
3点とも:西御荷鉾山の毘沙門天

11:50西御荷鉾山の小広い山頂に到着した。木がなく、さえぎるものがない。山の神と直射日光は嫌だなと、木陰に移動し、昼食にした。近くにいた親子連れも同じことを考えたようで、やはり木陰に移動している。ほかに登山者は単独の方がいるくらいで思ったより少ない。おにぎりを食べていると、時折涼しい風が吹きぬけていく。

 
2点とも:西御荷鉾山山頂

12:44下山開始。 そこから駐車場までは指呼の間で、たちまちにして到着した(13:00)。

帰途は道の駅万葉(まんば)の里に立ち寄り、山の神のリクエストもあり、アイスクリーム休憩。これだけ暑いと、やはりアイスクリームが飛ぶように売れている。くつろいだ後に、関越のICまでをカーナビにセットしたのだが、その設定を失敗した。どこでどう間違えたのか、渋滞回避設定をしていて、しばらく走って変な道を指定するなと気づいた。だいぶ遠回りをして時間を無駄にしてしまった。花園ICから関越に上げると、事故渋滞が発生していた。とはいってもたいしたことはなく、プラス30分程度だった。

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鳥ってすごいのか?

2016-04-03 | 山・ネイチャー・冒険・探検の本

 『鳥ってすごい!』 樋口広芳(ヤマケイ文庫)

また鳥の本を読んでしまった。著者は鳥類学者で、ハチクマの研究者。ハチクマは、猛禽類なのだが、ハチを主食としている。ハチといっても成虫を食べるのではなく、幼虫やさなぎを主に食べているらしい。体から何か化学物質を発するのか、ハチの巣へ降り立つと、ハチの動きが鈍くなるようだ。攻撃が弱まれば、巣をつついて、お食事タイムになる。ハチにとっては恐ろしい天敵となる。

ハチクマもすごいがそれより何より、この本で驚かされたのは、カラスのエピソードだ。都市部に棲むカラスは、食糧に事欠かない。毎日のように人間が路上に出す残飯や生ゴミをたらふく食べ、一部をどこかに貯食している。自然に暮らす鳥が、一日中、あるいは年がら年中、エサ探しに忙殺されているのとはわけが違う。うらやましいことに都市部のカラスはもう食べる心配がなく、生活に余裕があるのだ。そこで何が生まれたか? 人間のように貧富の差ではない、念のため。余暇ができて、「遊び」が生まれた。冗談だと思うでしょう。しかし、研究者によって、カラスが遊んでいるとしか思えないシーンがいくつも目撃されている。

汚い話だが、おとなしいシカにいたずらをするのをある研究者は目の当たりにしている。シカのあの丸いコロコロした糞をくちばしでつまんで飛んでいき、シカの背中にちょこんと飛来。シカがまったく相手にしないと、シカの耳にその糞を詰める。たまったもんじゃないね。シカもやられ放題とは情けない。それだけではない。公園にやってきては、滑り台を何度もすべったり、雪が積もれば、斜面を楽しそうに滑降するカラスも目撃されている。そういえば、滑り台のカラスは、私も見た気がする。何をしているのだろうと不思議に思ったものだ。さらには、空中で小枝や小石を落とし、サッと飛んでそれを空中キャッチするカラスや、テニスボールを使って、人間がプレーするのを真似るような動きをするカラスがいるとしている。

余暇ができたカラス。これから人間のように文化を生み出すのだろう(笑)。  

鳥ってすごい! (ヤマケイ新書)
クリエーター情報なし
山と渓谷社
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