目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

コロナ禍で高まる「低山登山のリスク」

2021-04-29 | 山雑記


イメージ画像 2006年静岡県の白水山で山の神とともに道に迷った。

NHKの「ニュースセンター9時」を見ていたら、コロナ禍で低山登山のリスクが高まっているので注意と警鐘を鳴らしていた。

最近山行記録を検索をすると、よくヒットするのがヤマレコと並んでYAMAPであるが、そのYAMAPのデータサイエンティスト、斉藤大介氏が発言していた。コロナ禍以降、自社の登山記録を解析すると、自宅より100Km超の距離にある山へ行くことは減少、50Kmくらいの距離にある山へ行くことが増加しているという。すなわち近くて低い山に行く傾向が顕著であると。たしかにコロナ禍で遠くに行ってはいけないという縛りがかかっているので納得のデータだ。

そこで起きているのは遭難リスクの高まりだという。「ニュースセンター9時」では、2パターンをとり上げていた。一つは、経験の浅い人の無知から来ているケース、もう一つは経験があっても油断禁物であるというケース。

無知から来ているケースは、丹沢の大山に14:30に入山、17:00下山予定だったのが、膝を痛めて思ったように歩けなくなり、それでも自力で19:00に下山したというもの。山に入れば、何が起こるかわからない。通常午前中に入山するのが山の鉄則であって、昼食をとったあとに思い立って行くものではない。装備も不十分で、軍手と水くらいしか持っていなかったようでまったくの論外だ。まさかの時のためのヘッデンや予備の食料、突然の雨に対応するために雨具は最低限必要だ。

次のケースは、豊富な登山経験者ではあったけれども、山をなめていたケース。10か月ぶりの登山だったという。久々の登山のため下山時に足がつり、40分ほどマッサージしたのち這う這うの体で下山したということだった。事前に少し歩かないとね。

前にもちらっと書いたけれども、コロナ禍で地元の山岳会や自治体、山小屋関係者が登山道整備を行っていないことが予想される。そのせいもあってか一昨年の巨大台風で崩れたままの登山道、倒木が横たわったままというところもある。手入れしない登山道は、あっという間に草ぼうぼうで道ではなくなるので注意が必要だ。

また低山は、手軽に登れるけれども、道標が未整備なところも多い。林業関係者が作業道をつくり、テープをはっていたりすると、登山道と勘違いして道迷いの原因にもなる。地図で充分に確認するのはもちろんのこと、事前にWebで最近そこを登った人の記録をチェックしておくことに越したことはない。

参考:当ブログ ルート不明瞭な白水山

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20-21冬シーズンはお山ナッシングだった。

2021-04-18 | 山雑記


吾妻耶山山頂手前にて。2020年2月24日

この冬のシーズンは、コロナで自粛しているうちに結局雪のあるところにはどこにも行けずに終了とあいなった。

車もスタッドレスタイヤにはき替えて準備万端ではあったのだが……。これをお読みの方でも、わざわざスタッドレスにはき替えたのに、どこにも行けなかったという東京ないしは東京近郊の方は多いだろう。そもそも緊急事態宣言が解除になるのが2週間も延びて遅かったし、その後すぐに温かくなって、スキーだ、スノボだ、スノーシューだという気分はどこかに吹き飛んでしまった。

それにしても嫌なニュースが続いている。東京では感染者の増加傾向が続き、昨日の報道では、先週に比べ24%増という。大阪では東京の感染者数をはるかに超えて1000人超えといっていたしね。現在、蔓延防止等重点措置が取られているけれども、あまり効果が出ていない。緊急事態宣言と内容がほとんど変わらない気がするのだが、たんなる名称の言い換えをして意味があるのか。わけがわからない措置だから、もう真面目に外出はよそうと思っている人は皆無ではないのか。

外出すれば、当然出先で食事をすることが多いだろうから、飛沫感染の可能性は高まる。ましてやアルコールが入ったりすると、饒舌になり、声は大きくなり、話がはずんで時間を忘れる。ますます感染の可能性は高まることになる。

この調子だと、夏場もダメだろう。抜本的な解決策であるワクチン接種が思うように進んでいないのは明白なのだから。だいぶ前に1億回分のワクチンを確保といっていたのが虚偽とわかって、愕然としたけれども、本日の河野ワクチン接種担当大臣の発言にも愕然とした。9月末までに国民のワクチン接種対象者に行き渡るだけの供給をファイザー社から受けられるという。ということは、一般の国民は、10月~12月に接種できるということか。てっきりお盆明けくらいから一般の人はスタートと思っていた。

このままで推移すれば、コロナ収束は年末に間に合うかどうかか。

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8000メートル峰14座の登頂後に焦点を当てた『下山の哲学』

2021-04-10 | 山・ネイチャー・冒険・探検の本

この本は、登山の記録で省略しがちな「下山」にスポットライトを当てている。山岳系のテレビ番組では、なぜ省略するかというくらい不自然な下山とばしが横行しているが、登ったら必ず下りるのが当たり前。

昔の登山家で命を落とす人が多かったのは、下山を度外視したことから来ているのではないか。どうしても山頂を極めたいという欲求にあらがえずに、自らの体力や天候を顧みず、無謀にも山頂を踏むことにこだわる。次のチャンスが一体いつになるのかという焦燥もあっただろう。しかし無謀な登山はそれだけ代償も大きい。

登山の行程で下山は重要なのだ。本書で指摘されているように、登山は登って下りてでひと行程なのだから。イッテQのイモトのようにヘリで下山なんてことは例外なのだ。

この本で個人的に読みでがあったのは3つ。まずはエベレストで高山病になった顛末。竹内氏の山仲間としてはおなじみのラルフ(ドイツ初の8000メートル14サミッター)と、ガリンダ(女性初の14サミッター)が同行していた。竹内氏は体調の異変を感じつつも登高を続け、突然頭痛を覚え、挙句意識を失う。けれど天の配剤か、なんとラルフは元薬剤師で、ガリンダは元看護士。高山病の薬を吐いてしまう竹内氏に、対処してもらうために衛星電話でドクターの指示をあおいだ。ステロイド系の抗炎症薬を注射し、命の危険を脱する。高度順化をないがしろにしたのが原因だった。

2つめは、日本でもだいぶ報道されたガッシャ―Ⅱで雪崩にのまれた事故だ。14サミッターを目指す日本人登山家が10座めで遭難死するというジンクスができつつあったときで、竹内氏もかと。このときは背骨や肋骨が折れ、肺にもダメージを受けて、車いすの生活を余儀なくされるのではと危ぶまれたが、奇跡の復活を遂げている。

この時治療にあたった医師が竹内氏の体を調べ、驚くべき数値を見出した。それはヘモグロビンの値。普段から普通の人の値13.8~16.9g/dLよりも高く、高所順応がまだ残っている状態だと20に迫る値になるという。何を意味するかといえば、ヘモグロビンは酸素を運ぶはたらきをしていて、値が高いということは、高所でも効率よく酸素を運んでいるということだ。常人よりも高所で早く歩けるのは、こうした身体能力によるものなのだ。

3つめは、チョ・オユー。消耗と疲労で幻覚を見ながらの下山をした記録はすごい。実際にはそこにない、テントを見たり、人を見ているけれども、それを自らこれは現実ではないと自覚していたという。そんなことが可能なのか。下山路がわからなくなり登り返していくのは、これだけの高所では信じられない選択だ。そのまま死に向かっていくとしか思えないが、それだけ体力を温存していたということなのだろう。幻覚を見ているけど、、、

読了して思うのは、ヒマラヤの山は下山も用意周到にプランニングしないと、いとも簡単に遭難してしまうという厳然たる事実が横たわっているということだ。身近なことに引き寄せていえば、われわれのハイキング程度の登山でも、下山のプランニングを軽視すると、手痛いしっぺ返しをいずれ受けることになるだろう。

参考:チョー・オユーの顛末『登頂 竹内洋岳』

 

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稲葉香さん、植村直己冒険賞受賞!

2021-04-05 | 山雑記


イメージ(Maria BurkiによるPixabayからの画像)

フェイスブックで稲葉香さんをフォローしていて、この吉報を知った。なんと、稲葉さんが第25回植村直己冒険賞を受賞した!

評価されたのは、2019年11月~20年2月の100日間、ネパール・ドルポ地方で越冬したことにあるようだ。その記録は、このブログでもとり上げたけれど、日本山岳会の会報に掲載されている。

稲葉さんはこれまでにも、いにしえの探検家河口慧海の足跡をたどって彼の地を何度も訪れ、ヤマケイにレポートを書いているけれど、今回評価された厳冬期、標高4000メートルの村に長期滞在した難度は、今までの訪問の難度をはるかに超えて半端じゃなくスゴい。自然の厳しさ、荒々しさに直面したであろうと容易に想像がつく。

18歳からリウマチを患っているというし、彼女のガッツ、好奇心の強さ、行動力には敬服する。

参考:
稲葉香さん「女ひとりドルポ越冬記」
日本の偉大な探検家、河口慧海

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昨年の二の舞? 2021年GW山行計画

2021-04-03 | 山雑記


イメージ(Andrea BohlによるPixabayからの画像)

自分のブログの記録を調べてみると、昨年のゴールデンウィーク山行は、4月16日にすべてをあきらめ、1泊分だけ残していた宿の予約もキャンセルしていた(2020年4月18日のあきらめないぞGW山行、一転断念)。そして5連休は、家の周辺にしか行っていないという、まさかの過ごし方をしていた。そのまさかがまた今年もやってきそうだ。感染者数がこのままの増加傾向で推移していくと間違いなく、GWは外出するなとなる。

でも、少しだけ昨年と状況が異なることがある。それは感染は接触ではほとんど起きることはなく、飛沫によって起こることがはっきりしたことだ。であれば、マスクをはずす飲食時に気をつければいいということになるだろう。ただ、だからといって、自粛ムードが高まる中で警戒を解き大移動するのは白眼視されるだろうし、顰蹙ものだろう。移動先では必ず飲食するわけだから。

ということで、今年は近場に行くことにし、本日1泊だけ山の中の一軒宿に予約をとった。

果たして、来週の東京の感染者は500人台、あるいは600人台にのってしまうのか。非常事態宣言が出たら、またキャンセルか。

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