目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

那須 平成の森スノーシュー

2017-02-26 | 山行~スノーシュー

平成の森 標高 約1000m 栃木県

2017年2月12日(日) 晴れ

メンバー 山の神と私

コースタイム 10:20平成の森フィールドセンター10:50--道間違いで戻る--道標2--四阿--道標3--道標4(分岐)--11:35駒止の滝観瀑台駐車場--駒止の丘--道標5--11:53四阿(行動食)12:05--12:13フィールドセンター

前泊は、山樹庵。どこかの企業の保養所を改装したようなこんぢんまりとした宿で6部屋しかない。静かで落ち着けていい。温泉が引かれていて、硫黄臭のする浴槽でゆっくり疲れを取れるし、オーナーがシェフということもあり、供されるのは本格的なコース料理。さらにワインもおいしくいただける贅沢な宿だった。

その宿を10:00頃にチェックアウトし、平成の森フィールドセンターに向かった。

 
左:平成の森フィールドセンター 右:平成の森 案内図

10:20フィールドセンターの駐車場に到着する。宿で朝食をとっているとき、窓から見える外の樹木が揺れまくっていて気になっていたのだが、風がやたらと強い。靴を履き替えていると、風で車のドアがあおられて、ドアを閉じんばかりに背中を押される。今日の行程は昨日の八幡園地に引き続き、お散歩程度だからとりあえずは出発だと、まずはフィールドセンターの建物に移動した。中に入ると、ずらりと最新型のスノーシューが並んでいた。ここでスノーシューレンタルやシュノーシューガイドをしているのは知っていたが、こんなに大量に用意しているとは。駐車場には車が何台も停まっていたから、相当数の雪遊び組が入山しているのだろう。

館内を通過し、事前に平成の森のサイトからダウンロードしておいた冬季版の案内図でルートを再確認。10:50スノーシューを装着して山の神と出発した。


道を間違って戻る。山の神の左手のピンクテープが上がっていく分岐

ルートを確認したばかりだというのにスタートしてすぐに道を間違った。何の疑いもなく駐車場上の広々とした林道をまっすぐ進んだのだが、なんと行き止まり。ああ、さっきの上方からトレースがあったところ、ピンクテープのところを上がるのだと気づき、戻り始めた。

 
左:ルートにはピンクテープがこれでもかと付いている 右:駒止の滝・フィールドセンター分岐

戻って、ピンクテープの箇所を上がっていくと、すぐにハイカー2人が休憩している四阿が出てきた。それを通過すると、今度はガイドさんとともに移動しているスノーシューツアーの団体がいた。かなりの人数が固まって立ち止まり、何かの説明を受けていた。山の神と私は、コースからはずれてツアーの団体を追い越した。団体に追いつかれてたまるかとピンクテープに沿って森の中のうねうねとしたトレースを足早にたどった。

 
左:冬眠中には必要ないが、熊除けの鐘。 右:駒止の滝観瀑台(積雪で手すりの位置が低くなるため冬季は閉鎖)

やがて駒止の滝とフィールド・センターの分岐(林道)に出る。時折風が激しく抜けていくので、トレースもうっすらとしか残っていない。分岐から滝方向に進んでまもなくゲートが出てきた。冬季には必要のない熊除けの鐘がくくりつけられていた。そういえば森の中でも同じ鐘を見た。夏場はこの一帯はツキノワグマの生活圏なのだろう。

そのまま林道をまっすぐ突き進むと、駒止の滝観瀑台駐車場に出た。何台か駐車していて、山の神とこの人たちはどこへ行ったのだろうと、「?」を抱えて歩いていくと、「日帰り入浴やってます」の看板と「北温泉旅館」の文字が目に留まった。温泉か!

 
左:北温泉旅館への道 右:観瀑台駐車場

温泉に向かう道は、ちょうど除雪作業をしていた。前日宿で地図を眺めていたときに、この道をまっすぐいけば、駒止の滝を見られるかもと思ったのだが、右側が樹林帯だから、それはかないそうもないなと引き返すことにした。冬季閉鎖中の観瀑台の横を通過し、相も変わらず強風が吹き抜けていく駐車場を後にした。

 
左:駒止の丘 右:フィールドセンター近くの四阿

駐車場から少し上がったところが駒止の丘。テーブルや椅子があるようだが、大半が雪の中に没していた。そこからグリセード気味に斜面を下って、先ほどの林道へ合流した。まっすぐ進み、屋根にたっぷりの雪を載せた四阿を発見。トレースから左へとそれて四阿で休憩&軽い食事にすることにした。山の神とどっかと腰を下ろし、甘いパンを食べ、お茶でのどを潤して人心地ついた。

12:05四阿を発ち、風が強いし森の小径はもういいかとカット。道標Cからフィールドセンターに戻った。時計を見ると、まだ12:13だった。山の神と昨晩チェックしていた那須の人気カフェにでも行こうとなった。

SHOZO CAFE で一服へつづく
那須 八幡園地スノーシューに戻る

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那須 八幡園地スノーシュー

2017-02-19 | 山行~スノーシュー

八幡(やはた)園地 標高 約1000m 栃木県

2017年2月11日(土・祝) 晴れ

メンバー 山の神と私

コースタイム 11:00那須高原自然の家駐車場11:30--11:40中央展望台(昼食)12:02--(外周をたどる)--四阿--つつじ吊橋13:07--13:27自然の家駐車場

当初の計画では、那須温泉ファミリースキー場に車を停め、峠の茶屋までスノーシューで歩くつもりだったのだが、10:00くらいに彼の地に到着すると、すでに満車。しかも路肩までも埋めつくされている。暗くて厚い雲がたれこめていて、帰れといわんばかりに雪が降っている。自宅を出たのが5:47と遅かったせいもあるが、こんなに混んでいるとは。天気も今いちだから、やめるかと山を下り、とりあえずビジターセンターに向かうことにした。

すぐにビジターセンターを見つけ、建物のなかでぬくぬくとしていた。たしかこの近所でもスノーシューで歩けるコースがあるはずと、センター内の地図を眺めていると、スタッフがおもむろに近づいてきて、ここも、こっちも歩けますと2,3コースを教えてくれた。親切にもガイドマップも渡してくれる。その中からネットで読んだ記憶のある八幡園地に行こうと即決した。雪も止んで、先ほどまでの盛り下がった気分はどこかに吹き飛んでいた。

 
左:那須高原自然の家の駐車場 右:自然の家のトイレ前にあった八幡園地の案内板

11:00那須高原自然の家に移動し、さっそく準備。目の前には冬季でも使用可能なトイレがある。スノーシューを装着し、八幡園地の地図を頭に叩き込んで山の神とともに出発した。

 
左:案内板の前でスノーシュー装着 右:昼食をとった中央展望台

まずは道路沿いの道を進むが、踏み跡はまったくない。こんなにきれいに整備されているのに誰も歩いていないのは不思議だ。告知不足? それからほんの10分ほどで中央展望台に着いてしまった。出発当初からすでに腹が減っていて、展望台に着いたらごはんにしようと言って、気合を入れて歩いたのはたしかだが、あまりにも早すぎるし、あっけなかった。

まっいいかと、冷たい風がビュービュー吹いているなか、早々に昼食をとった。


中央展望台からの眺め。茶臼のほうはガッツリ雲に覆われ雪が降り続いていたようだが、下界は好天

中央展望台というだけあって、見晴らしはいい。後ろ(山側)を振り返ると、先ほどのどんよりした雲が相変わらず垂れ込めているのに、前方は嘘のように青空が広がっていた。

 
左:コースは踏み跡なし 右:木陰と小動物の足跡がアートをつくる

12:02展望台を後にし、まっさらの雪の上を山の神と進んでいく。時折小動物の足跡が登山道を横切っているのを見かけた。

 
左:小川を渡る 右:開けた場所に出た

コースはどんどん下っていくので、帰りが大変じゃないかと言いつつも、森のお散歩は快適だ。相も変わらずビュービュー吹き付ける風さえなければ最高なのだが。そのうち小川が出てきた。川沿いを少し歩き、橋を渡る。この辺りからつぼ足の踏み跡が出てくる。けっこうな積雪があるから、かなり無理して歩いている。

四阿を越えて、園地の外周をぐるりとたどる。やがてスカっと開けた場所に出た。

 
左:吊橋近くに来ると踏み跡が多い 右:誰かがつくった雪だるまの頭にちょんまげをつけた山の神

踏み跡が格段に増えた。つつじ吊橋とセットでここまで来ているのだろう。家族連れも来るのか、雪だるまがあった。目や眉毛、口が付けられていて、さらには手を模した枝がそれらしく突き刺さっている。そこへ落ちていた松葉を拾ってすかさず頭にちょんまげよろしく飾ったのは山の神。へへへ。

すぐに吊橋への分岐が出てきて、車道からも見えるその大きな姿が目の前に現れた。


強風が吹き荒れていたつつじ吊橋

吊橋上には強風のせいかまったく雪がなかった。スノーシューを脱いで、向こう側へ渡る。途中足元に広がる谷がまる見えになる箇所があって、足元からぞわぞわ感が這い登ってくる。怖すぎるぞ、これ! 山の神も同じことを言い、再び戻る際にも繰り返しこのぞわぞわに襲われた。

 
左:吊橋横にあった吹流しは強風でズタズタに 右:自然の家に向かう道は10mくらい踏み跡なし

再びスノーシューを装着し、13:07自然の家に向けて歩き出した。誰も歩いていないふかふかの雪を10mくらい歩く。自然の家からこちらへ歩いてきている人がまったくいないのだ。

20分ほどで自然の家駐車場に到着した。子どもたちがレクリエーションをまさに始めるところでにぎやかだった。ここの施設はこういう使われ方をしているんだね。山の神と私は、宿に行くにはまだ早すぎるなと道の駅へと向かった。

那須 平成の森スノーシューへ続く
那須 SHOZO CAFEで一服へ飛ぶ

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洞窟探検の魅力が詰まった『洞窟ばか』

2017-02-17 | 山・ネイチャー・冒険・探検の本

 『洞窟ばか すきあらば、前人未踏の洞窟探検』吉田勝次(扶桑社)

表紙を見ただけで、思わず吸い寄せられ、手にとってしまった。この引力はすごい。ページを開くと、洞窟のスケールの大きい写真、神秘の世界を切り取った写真と圧倒される。

口絵に続いて読み始めると、期待にたがわず面白い。著者の吉田さんは、いきなり洞窟探検にハマったわけではなく、スキューバや登山をやっていたそうな。その経験がいかんなく洞窟探検には活かされている。縦穴の洞窟には、登山のロープワークが必要だ。それも岩角でロープが傷まないような精緻なロープワーク。地底へ潜っていけば、水没していることもあるというから、その場合はスキューバだね。なかなか洞窟探検家でこの両方を兼ね備えた人は少ないらしく、吉田さんのような方は貴重な存在で、いわば洞窟探検界のスーパースターだ。

そんなスーパースターでも、地味な作業を延々こなしたこともある。岩手県安家洞(あっかどう)で、次なる広場や横穴があると確信して6日もただひたすら掘りまくったというからすごい。結果は貫通し、喜び炸裂、そのエキサイトぶりがストレートに伝わってくる。洞窟探検の醍醐味のひとつは、この新発見なのだという。誰もまだ見たことのない景色を見ること。一番乗り! 三重県の霧穴(きりあな)も一番乗りを果たしている。たんに土地所有者が否といって人を寄せ付けなかっただけなのだが、2度目に許可をとりに来たら、OKしようと所有者は考えていたという。吉田さんはあきらめずに2度目の交渉で、あっさりOKを勝ち取り、未踏の洞窟に入ることができた。

吉田さんは、こうして洞窟の魅力に取り付かれ、もともと自らが社長を務める建設会社、有限会社勝建内に、探検ガイド事業部「地球探検社」を設立する。それがどんどん膨れ上がって、JET(Japan Exploration Team)や洞窟探検ガイド集団「Ciao!」につながっていく。それだけ、洞窟の魅力を知ってしまった人が増えたということなのだろう。

この本の魅力は、吉田さんたちが編み出した洞窟探検のルールの紹介にもある。たとえば、メシや睡眠のルール。基本真っ暗闇の洞くつ内では夜昼の区別がなくなるので、疲れたら休み、腹が減ったらメシを食べ、眠くなったら、寝るを繰り返すという。人間の生理そのままに生きる原始人の生活みたいで面白いね。ほかには、糞尿の始末をどうしているかなど興味深く、過激(!)な話が出て来る。とくに便は、洞窟内に放置できないので、持って帰るというのだが、吉田さんだけが特異で、ヘルメットの下に入れるという。そうすれば、どんな狭いところを通過しようが、破裂の心配がない。ザックに入れているとそうはいかない。必ず狭いところで、圧迫されたり、摩擦を受ける。その結果……おそろしや。

狭いところの通過話が出たので、吉田さんの怖いエピソードを一つ。狭小の場所で頭を下方45度に向けた状態で全身がすっぽりとはまり、動けなくなった。パニックに陥ると、過呼吸になってしまうから、心を十分に落ち着かせ、対処法を考えた。そして両の手のひらで土を押さえて少しずつバックを試みた。わずかに動いた。それから気の遠くなるような30分をかけて窮地を脱出したという。

想像するだに恐ろしい。でも写真を見る限り、ちょっと行ってみたい気もする。

 
おまけ;本の小口に吉田さんの写真。最初汚れているのかと思った(笑)

洞窟ばか
クリエーター情報なし
扶桑社
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BRUTUS「星野道夫」特集

2017-02-05 | マガジン

 
なんともいい感じの表紙。BRUTUS 2016年9/1号

しばらくツン読になっていた「BRUTUS」に気づき、喫茶店でパラパラめくって眺めて読んだ。昨年は星野道夫さんの没後20年。このBRUTUSと同時期にcoyoteもとり上げていた。彼の著作では、『イニュニック』くらいしか読んでいない(読んだけれど、忘れているだけなのかもしれない)ので、まだまだ星野さんのことを知らないのだが、星野ワールドにはとっても惹かれるものがある。

この特集号では、星野さんの生い立ちからアラスカでの生活までをたどる。アラスカの土地に心奪われるきっかけになったのは、ナショジオ刊行の写真集『ALASKA』だという。何度もページを繰り、そのなかに掲載されていたShishmarefという村の村長に、何でもするから村に滞在させてほしいという趣旨の手紙を送ったというエピソードが出てくる。完全に魅入られていたし、一途だったんだね。その村長が見ず知らずの日本の若者の熱意に応えるところがまたすごい。

アラスカに定住してから撮影行には欠かせなかった、ブッシュパイロットとの付き合いについてもすごいエピソードが出てくる。アラスカの地では、夏でも天候の急変で突然吹雪になることがあるというから、その気候たるや想像を絶する。そんな時は運を天に任せ、いくつもの山を、そして谷を縫って飛び、町に戻ることになる。運が悪ければ、町のはるか手前の山中で視界が閉ざされてしまう。そんな事情を、星野さんは『旅する木』にしたためていて、抜粋がこの雑誌に掲載されている。ほかにも抜粋されていて目を引いたのは、イヌイットたちのクジラ狩の話。非常に原始的な狩りではあるけれども、ある種の荘厳さ、自然への畏敬が伝わってくる。

特集では、星野さんシンパの方々も登場している。それぞれが星野さんの人となり、思想、生き方、思い出話などを語っている。池澤夏樹さんや岩合光昭さんの話は、へえ、そうなのかと思わせるもの、膝を打って共感できるものなど読み応えがある。特筆すべきは、ナショジオの編集者だったロバート・ヘルナンデスさんが語る星野道夫さんとの出会いだ。そもそも彼が星野さんの写真を評価し、ナショジオ誌面に掲載しなければ、いまの星野道夫はなかったかもしれない。

BRUTUS1冊でだいぶ星野道夫さんのことを知ることができた。次は『旅をする木』を読んでみようかな。

BRUTUS(ブルータス) 2016年 9/1 号[こんにちは、星野道夫。]
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