目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

初秋の京都~嵐山へ

2019-10-19 | まち歩き

2019年10月5日(土) 晴れ

出張に行く予定があり、チケットショップで京都の回数券を2枚買っていたのだが、取りやめになってしまった。なんとその回数券は11月上旬までしか使えない。転売するよりは、2枚買い足して観光に行こうかと山の神に提案すると大賛成。2年ぶりの京都観光とあいなった。

今回は山の神のたっての願いを聞き入れて、比叡山と嵐山。あとは漠然とした候補はあったが、行き当たりばったりで3日目の予定をとくには決めずに出発した。比叡山は行程が長いので、2日目とし、まずは嵐山に足を向けた。


大河内山荘の抹茶と菓子(最中)

7:47東京発ののぞみに乗り込み、まずは朝食。駅構内の弁当屋で買った包みを開ける。私はサンドイッチで軽く済ませるも、山の神はごはんがぎっしりつまった弁当を突ついていた。朝から食欲旺盛だ。

10:05京都駅に到着し、今晩泊まる宿へ向かう。チェックイン前でも、チェックアウト後でも荷物を無料で預かってくれるホテルなのだ。地下鉄で四条に出て、そこから徒歩で5,6分くらいにその宿、スマイルホテル京都四条はある。

身軽になって、ふらふらと山の神と四条大宮まで歩く。そこから京福電車に揺られて嵐山へ。

とりあえず渡月橋は渡っておかなければと観光客の波にのまれながら、散策開始。紅葉の季節になったら、半端じゃない人が押し寄せるのだろうけど、この日はそれほどでもなかった。渡月橋から彩りなしの緑の山を眺めて引き返し、今まで高すぎるとスルーしつづけてきた大河内山荘に向かった。

竹林の情緒ある(人が少なければもっといいのだが)小路を歩き、抹茶つきの入園料1000円を支払って山荘の建つ小倉山に入る。さっそく山の神と茶屋に入り、抹茶とお菓子をいただいて(冒頭の写真2点)休憩した。とっても京都らしい場所だし、落ち着けていい。


庭園は手入れが行き届いている。緑のもみじと苔の絨毯がすばらしい


東屋ふうの展望台からは、比叡山(左のピーク)を遠望できる

山荘を出たあとは、秋の特別公開を行っている清涼寺に向かう。

途中トロッコの駅近くのO茶屋でうどんでも食べようと暖簾をくぐったのだが、大失敗の店だった。最初に出されたお茶を飲むと、変わった味がした。どくだみ茶と何かのブレンドなのか、ぎんなんのような香りもするなと私がいうと、山の神が怪訝な顔をして店員に聞いた。「このお茶はなんのお茶ですか?」 奥の厨房に声をかける店員。驚くなかれ、しれっと「麦茶ですよ」の回答。腐っとるわ、これ。後ろの客はよほどのどが渇いていたのか飲み干していたが、隣の客は、やはり一口飲んで、手をつけずにいた。その後腹を壊さなかったのは、不幸中の幸いか。

さて清涼寺(嵯峨釈迦堂)。このお寺は一般にあまり知られていないせいか、観光客が少なく居心地がよかった。特別公開していたのは、国宝の阿弥陀三尊像で、間近でご尊顔を拝すことができ、その迫力を十分に感じることができた。この仏像を見られただけで、来た甲斐があったというものだ。

いったん境内を出て、ちょっと休憩だなと、道すがら山の神があたりをつけていたAri Cafeに入る。今年オープンの新しいカフェで、マスターが気合を入れてコーヒーを供する。お客が自ら選んだカップで味わい深いコーヒーをいただけ、雰囲気のあるインテリアで落ち着ける店だ。


大覚寺大沢池

清涼寺の境内を横切り、次に大覚寺に向かった。私はほぼ30年ぶりくらいの再訪だ。大覚寺といえば、なんといっても大沢池。東映でアルバイトしていた頃にここにロケに来たことを思い出し、池の周囲をぐるりと歩いてみた。すると見覚えのある場所に出た。立入禁止と標示が出ていて、セットの家屋と撮影機材があった。ちょうど撮影が終わったところなのかと思って、近くにいたスタッフらしき人に声をかけると、これから撮影ですよという。日が暮れてきたら始まるのだろう。なつかしいなと思いながらも、当時のスタッフは、あの頃20代だった人以外はもう引退していると思い至ると、時の流れに少なからずショックを受けてしまった。

 祇園 天ぷら割烹 はせがわ

嵐山からホテルに戻って一息ついたのち、本日のメインイベントのお食事、豪華てんぷらのために祇園に繰り出した。河原町から四条大橋にかけての信じられないほどの観光客の波にもまれながら、5分ほど遅刻して祇園のはせがわに入店。先客2人がいるカウンターの席に山の神とともについた。

 
左:向付 右:穴子

真っ先に腕時計をはずしてくださいといわれ、なにか天ぷらに支障をきたすのかといぶかりながらはずしたのだが、なんのことはない、カウンターに傷がつくからという理由だった。

それはさておき、まず向付がカウンターに載せられ、山の神と私はその見栄えのよさから、この後の料理への期待が高まった。ビールでのどを潤しながら、天ぷらが始まるのを待つ。

やがて一口サイズの天ぷらがカラッと揚がり始めると、もう舌鼓の連打だ。レンコンのしゃきしゃき感に頬をゆるませ、京野菜の金時ニンジンの味わいに新鮮さを感じ、予想を上回るあま~いスイートコーンに驚き、あまりの肉厚シイタケに、食べたことな~いと口をついて出る。京都でいうグジ、東京でいうところの甘鯛のほっこり加減に感動。たれを塗った穴子にたっぷりのわさびをつけて食べる幸せ。このわさびは特製のようで、写真のように量が多いが、見た目ほどぴりぴりとしたわさび感はない。 

 
左:きのこの炊き込みごはん 右:デザートは番茶のシャーベットと焼きプリン

〆のごはんはきのこの炊き込みで、先ほどから目の前の黒い釜でずっと炊かれていた。演出たっぷりなのだ。最後は、さっぱりとした番茶のシャーベットと焼きプリン。甘いものと冷たいさわやかなデザートで大満足。京都の夜はこうして更けていったのだった。

比叡山につづく
京都の穴場と立体曼荼羅の東寺へとぶ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

青々とした苔に惹かれる!?『苔登山』

2019-10-14 | 山・ネイチャー・冒険・探検の本
苔に関する本が出版されてから一部でちょっとした苔ブームになっていて、ハマった女子は数知れず、「苔女子」なる言葉も登場するほどになっている。
 
率直にいえば、私はまったく興味がなかったけれども、図書館の棚に『苔登山――もののけの森で山歩き』があるのをたまたま見つけてしまい、タイトルに「登山」とあったのと、その薄さ(118ページ)もあって、思わず借り出してしまった。
 
 
まず全国の主だった苔の山、苔の森を紹介している。とり上げているのは、上の写真を除いて以下。
  • 樽前ガロー・苔の洞門
  • 雨竜沼湿原(暑寒別岳)
  • 屈斜路湖
  • 奥入瀬渓谷
  • 奥多摩
  • 八ヶ岳
  • 北・南アルプス
  • 大台ヶ原
  • 屋久島

ページを繰っているうちに訪れた山を反芻し、たしかに苔が繁茂していたなあと思い返してしまった。

 
次のパートでは、主だった苔を写真入りで、分布や特長について説明している。ふだんよく目にしていた苔がジャゴケという名前であることを知り、俄然興味をもった。ミズゴケ類、スギゴケ類など、結構目にしている苔も多く登場する。
 
そして最後のパートは、解説篇となる。苔の分類や生態、生息場所など、わかっているようでいて実は曖昧なことが明らかになっていく。
 
著者は福井県立大学学術教養センター准教授で、苔大好き人間、大石善隆先生だ。苔の本を多くものしている苔学者で、まだお若い。これからも続々と研究書や図鑑、一般向けの解説書などを書かれるていかれるのだろう。 
 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

岩手山への山旅~エピローグ

2019-10-13 | まち歩き

毎回あっという間に終わってしまう山旅。今回も例外ではなかった。当初は下北半島にも足を延ばして、恐山周辺も歩く予定だったのだが、雨で旅程が短くなったこともあり、あおもり犬を見ることを優先。恐山は次回むつに宿をとってゆっくり行くことにした。

さて、旅の終わりは温泉宿でゆっくりしたいものだ。今回の計画では、松川温泉に泊まることを考え、洞窟岩風呂で有名な松楓荘には泊まったことがあるので、ほかの宿にしようと調べていた。松川温泉は3軒のみで松楓荘を除けば2択となり、ほとんど直感で峡雲荘に決めた。

そして8月15日(木)三ツ石湿原から下ってきたその夕方、この宿にチェックインした。

この宿の売りは、なんといってもゆったり浸かれる露天風呂だ。渓谷沿いにつくられた広々とした白濁の湯。ただ混浴なので、女性は入りにくいかもしれない。

夕食は部屋食でお膳が運ばれてくる。山菜や岩魚など素朴ながら山の幸がすばらしい。山の神と私は短角牛のすき焼き(写真は撮っていなかった)もオプションでつけ、生酒をするすると飲みながら、料理を堪能した。

ぐっすり寝た台風一過の早朝、葉っぱや枝がぽつぽつと落ちている露天風呂に浸かったのち、ゆっくりと朝食。

名残を惜しみながら、8月16日(金)9:00前に宿をチェックアウトし、一路自宅へ向けて出発した。予定より早く出発したのは正解で、東北道の交通量は予想より多く、都内に入ってからは渋滞に巻き込まれた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

快楽の30日間山ごもり

2019-10-09 | 山雑記

岩手山麓の三ツ石山荘(上の写真)を訪れたときだ(前回のブログ記事参照)。明日から台風の影響で雨といっていたので、まさかこんなところに人がいようとはまったく思わなかった。

無人と思っていたその小屋には、3人の男がいた。話を聞いて驚いたが、一人は山ごもりを始めて2週間の登山者(以下山ごもらー)。記憶が定かではないが、埼玉県から来たといっていたような気がする。もう一人は、山岳ミステリーを読みふけっていた長身のがっちりした人で、なんと岩手県の山岳救助隊の人だった。2階で仮眠をとっていて、ひょっこり顔を出したもう一人もそうだった。

山の神と私がこの小屋で昼食をとり始めると、山ごもらーとミステリーを読んでいた山岳救助隊員が時折とつとつと会話を始めた。そこへ割って入る山の神。

「どちらから来たんですか?」

山ごもらーは、「茶臼」と答えた。山の神と私がとっさに思い浮かべたのは那須の茶臼だったせいで混乱した。

救助隊員が救助の手を差し伸べる。「八幡平の茶臼ですよ」。

そうなのだ。岩手山だけで救助活動をしているわけではなく、八幡平の岩手側も活動地域なので、この辺りの山塊には詳しいのだ。

山ごもらーは、毎年8月になると、避暑をかねてこの山塊に入るのだと語り始めた。ここ7,8年そうしているというから、かなりのつわものであり、自由人だ。八幡平から縦走し、この岩手山麓の三ツ石山荘にたどりついた。そして明日の雨天時はここで停滞するのだと。

今回は、3リットルのウィスキーをペットボトルに詰め込んで山に入ったと聞いてさらに驚いた。よくよく聞いてみると、ほぼ1ヵ月間山籠もりするため、1日100ミリリットルの消費として、掛ける30日で3リットルの計算をしたという。

ビールや焼酎を死ぬほど背負って登ってくる人はたまに見かけていたが、ウィスキー3リットルは、初めて聞いた。ただそう言っていた割には、広げた荷物に半分以上残っているはずのウィスキーがない。飲んじゃったんだね。残りの2週間強は酒なしだ。

さらに山ごもらーはウィスキーばかりか水も残り少ないとこぼし、最悪この小屋で溜めている雨水を使うんだとのたまう。それを聞いた山の神が大量にもってきていた水1.5リットルのうち1リットルを分けていた。

帰りがけに救助隊員から聞いた話では、この一帯の小屋はすべて、雨樋の下部に水を溜める小さなタンクがついていて、それを非常用に使えるようになっている。前回のブログに小屋側面の写真を載せていたが、向かって右側の軒先にハシゴで上がり、手を伸ばせば届くところにそのタンクはある。ふたをはずせば、溜まっている水を取り出せるようになっている。よく考えたものだ。

今回、山の神とともに偶然長期山ごもり登山者に会ってしまったけれど、じつは今までたまたま会っていなかっただけで、こうした登山スタイルの人は、意外といるのではないかと思った。 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする