目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

ヤマビルから逃れて、竜ヶ岳へ

2016-10-29 | 山行~伊豆・箱根と富士山周辺

標高1485m 山梨県

2016年10月10日(月・祝) くもり

メンバー 山の神と私

コースタイム 10:25本栖湖キャンプ場駐車場10:35--11:13東屋(石仏)11:23--12:33竜ヶ岳山頂(昼食)12:57--13:26石仏13:33--14:20駐車場

〔貫ヶ岳のつづき〕
貫ヶ岳登山道のヤマビルから逃れ、山の神とともに車で移動を開始した。すでに山中でUターンを始めた頃から、このまま帰りたくはないからと次の行き先を考えながら下っていた。ここから近いところで、かんたんに登れるところ。そうだ、富士山大パノラマビューの竜ヶ岳だと頭に浮かんだ。とはいっても地図はないし、山頂までどのくらいだったか。自分のブログでチェックすればわかるはずと、スマホで「1122メートル 竜ヶ岳」で検索。思ったとおり、山頂まではそれほど時間はかからない。だいじょうぶだ。麓の本栖湖を目指すことにし、カーナビに本栖湖キャンプ場とセットした。

カーナビに誘導されて、本栖湖方面に進んでいくと、徐々に雲の量が増えていく。そのうち目の前に富士山が現れたが、山頂には雲がかかり、中腹も半分くらいが雲に隠れている。危うし富士山。やがて朝霧高原あたりで青空が消えうせ、完全な曇り空になってしまった。ああ、天気はダメだなと思いながら、国道139号を本栖湖へと左折。湖畔の道に入り、竜ヶ岳の登山者用駐車場を目指すが、いつのまにか通り過ぎてしまった。引き返して、登山者駐車場ってどこだっけと言いながら、ここでいいやと10:25本栖湖キャンプ場の駐車場に車を停めた。

 
左:本栖湖キャンプ場の駐車場 右:登り始めの杉林

どんよりと曇った空を見上げて、湖畔でご飯食べて帰ろうか、それともせっかくここまで来たのだから、竜ヶ岳山頂でご飯を食べて帰るか。10秒くらい思案したのち、このまま歩かずに帰るのは癪にさわるので、じゃあ行くかとなった。ザックを車から降ろし、準備を始めると、あれだけしらみつぶしに取り除いたはずのヤマビルが1匹、こんにちはと出てきた。指ではじき飛ばして、抹殺。しぶとい奴らだ。

10:35駐車場を後にする。キャンプ場内の公衆トイレを借りたのち、いざ出発。見覚えのある管理棟から、指導標に従ってキャンプ場内を抜け、車道を横断して、山中へ入っていく。登り始めは、薄暗い杉林で、陰気な登山道がつづく。

 
ベンチが置かれている休憩ポイントから本栖湖を望む 右:東屋から石仏が安置された祠を見る

やがて雑木林に変わるが、上空の雲は厚くなるばかりで、どんどん暗くなっていく。やがてベンチが置かれた休憩ポイントに到着。樹間からは本栖湖を望めたが、湖面もどんよりとした雲を反映していて、冴えない景色だ。

その休憩ポイントから少し登ると、石仏のある東屋が現れる。東屋の階段は壊れていて、前回訪れたときからの年数を思う。

 
2点とも:祠の中の石仏。全部で3体ある

東屋で山の神とお茶を飲んでいると、単独女子が登ってきた。こんな天気だけれども、登っている人はそこそこいて、この時点でもう何人かとすれ違っていた。


休憩した東屋を眼下に

東屋を後にして、登高を続けると、白いガスが見る間に山頂を覆い始めた。下からもガスが迫ってきて、視界ゼロになりそうだと気分は下降線をたどるばかりになる。

 
左:竜ヶ岳山頂 右:山頂は真っ白だった

山頂近くに来ると、ただただ白いだけ。そのうち下山してくる人たちの声が次々に聞こえてくる。山頂がガスに包まれたからだろう、親子連れから、いくつものパーティが数珠繋ぎに下ってくる。12:33山頂に到着すると、年配のパーティと単独者、まさに腰を上げようとする老夫婦だけだった。展望がないと、ただ広いだけのつまらない山頂だ。しかもガスのせいで、だいぶ冷え込んでいる。早く下ろうと山の神と相談し、真新しい山梨百名山の標柱の写真をとり、火も使わずに、そそくさと昼食をとった。

昼食を済ませ、12:57下山を開始した。だいぶ下って真っ白地帯を抜けた頃、野鳥の集団を低木の茂みの中に発見した。胸元の黄色が際立って鮮やかなキビタキだ。へえ、と山の神も茂みに目を凝らす。バカちょんデジカメでは到底撮影は無理と、撮影は早々に断念し、ならばとしばし立ち止まって観察した。登山者が少なくなったせいか、その直後には登山道を必死に走るヒメネズミも見かけた。急いでカメラを出したが、逃げられてしまった。

下山するにつれ、寒かったのが嘘のように温かくなる。上り時に休憩した東屋近くの石仏の前で水分補給をし、14:20駐車場に戻った。 

帰りは久々にベタベタの渋滞にはまった。河口湖ICから高速に上がったのだが、中央道に入ったところから、延々と渋滞。ほとんど駐車場状態だった。結果、自宅に戻ったのは19:00を回っていた。もうクタクタ。踏んだり蹴ったりの1日だった。

 

ヤマビルだらけの貫ヶ岳へ戻る
http://blog.goo.ne.jp/aim1122/e/2f48202d71bfc80fab1d59a742dedf4d

参考:
端足峠から竜ヶ岳・雨ヶ岳 2006年11月5日
http://blog.goo.ne.jp/aim1122/e/33cfb22435828b1725abca8f468e93a5
竜ヶ岳山行記録 2010年6月6日
http://blog.goo.ne.jp/aim1122/e/b0154c2dbaf13e9aba8afe3458fec48c

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヤマビル大量発生! 貫ヶ岳

2016-10-23 | 山行~南アルプスとその周辺

2016年10月10日(月) くもり

メンバー 山の神と私

雨ばかりで、今年は本当につまらない。体育の日3連休は、テントをもって会津方面に行こうと計画していたのに……。最終日、晴れの予報に勇んで、山梨百名山の貫ヶ岳と平治の段に登ろうと出発した。

4:30頃起床し、5:05自宅を出発した。東名の海老名SAで朝食をとり、新東名新清水ICで高速を下りた。登山口までで唯一のコンビニ、ローソンに入り、昼食の買出し。順調に進んで、目印の中沢公民館に到着した。公民館の前にあるドクターヘリ離着陸場の駐車場に車を停めた(7:55)。ここには、ゲートボール場もあって、普段はこの集落のご老人たちの憩いの場なのだろう。 

 
左:中沢ドクターヘリ離着陸場 右:中沢公民館。トイレが外についていて、登山者の利用可

前日貫ヶ岳の山行記録をチェックしていたら、ヤマビルがいるというので、山の神とともに普段は滅多に使わないスパッツを装着する。中沢公民館でトイレに入ると、親切な地元の方が用意したのだろう、登山者のためにと塩水入りのアンプル状のものが置かれていた。ヒルにかければ、ぽとりと落ちるらしい。山の神と私は、募金箱にお金を入れつつ、それぞれ1本もらっていくことにした。

 
左:貫ヶ岳登山道案内板。中河内峠からの下山は不可 右:登山口

まず中沢公民館の横の林道を上がっていくのだが、その入口に登山道の案内板があった。その案内板の左下に紙が貼られていて、現在中河内峠からの下山路は通行禁止になっていると出ていた。それなら、ピストンしかないよなと。十国展望台か平治の段、あるいは時間によっては、駿河展望台まで行って戻るかと山の神と話しながら、8:15林道を歩き始めた。民家を左手に見、竹林を右手に見、次にお墓を左手に見、薄暗い杉林に入っていく。

やがて貫ヶ岳の登山口が出てきた。「マムシ、ヤマビルに注意」 と嫌なことが書かれている。

 薄暗い杉林を縫って登山道が続く

ジグザグに登っていくと、落ち葉がだいぶ増えてきた。そろそろヤマビルが出るんだろうかと思い、地面に視線を落とすとさっそくいた。第一ヤマビル発見。細長い体をめいっぱい伸ばして、メトロノームのように左右に体を降っている。見るからに感じの悪い生き物だ。

第一発見から、すぐにまた次のヤマビルを見つけた。その後はもうひっきりなし。登山靴を見ると、常時2匹はいる状態になる。立ち止まって、指先で弾き飛ばしても、またいつの間にか、別のヤツは這い上がっている。ヤマビルだらけだ。落ち葉の隙間に数匹いるところも見た。スパッツを這い上がって来るやつを見ていると、動きの早いこと。あっという間に最上部に達する。スパッツの溝に丸くなって、ボクはヤマビルじゃないよと潜んでいるやつもいる。そのうち、背後で山の神の声が甲高くなってきた。「ヤダ~もうこれ、どうしたら、いいの」。弾き飛ばそうとしても、しっかりとしがみついているヤマビル。「そんなにしつこいなら、塩水を使えばいいじゃん」というと、もう全部使い切ったという。山の神はだんだん、鉄板の猫踊り状態になって、悲鳴をあげながら、ヤマビルを払いのけようと必死にもがいていた。

 
2点とも:次々に登山靴に這い上がってくるヤマビル

山の神のイヤー、キャーと立て続けに発する声に、これはもうダメだと私は観念した。登り始めて30分くらいしか経っていないから、まだ当分はヤマビル地帯が続くはずだ。振り向きざま、「もう戻ろうか?」というと、山の神はうなずき、脱兎のごとく猛スピードで下り始めた。それにしても、こんなにヤマビルがいるとは、、、ここのところずっと温かかった影響なのだろうか。

9:00駐車場に戻り、ヤマビル退治。引き返すときに足元にいたやつは、すべて取り除いたはずなのに、しかもあれだけ早足で下りてきたのに、もう数匹がへばりついていた。登山靴に飛びついてくるすばしこさは驚くほどだ。

やれやれ、でもまだ9:00だよ。このまま帰るのはなあ、どこか軽く登れるところは、、、ということで、富士五湖方面に車を走らせることになった。

つづく

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

田部井さん追悼

2016-10-22 | 山雑記

エベレストを女性で始めて登頂した登山家、田部井淳子さんが10月20日77歳で亡くなったというニュースが今晩日本中を、いや世界中をかけめぐった。非常に残念だ。ガンから回復したという元気な姿を、つい先日「徹子の部屋」で見たばかりだったのに……

つい最近までNHKの登山番組に出演し、ニコニコと笑顔をふりまき、山の魅力を視聴者に丁寧に語っていたのは印象的だった。あの笑顔を二度と見られないかと思うと胸が痛む。

NHKさん、追悼番組をつくってくださいね。
心からタベイさんのご冥福をお祈りいたします。


当ブログの田部井さん関連記事:
『タベイさん、頂上だよ』
http://blog.goo.ne.jp/aim1122/e/e42bb74687e08ecdbc88621322e4a880
『私には山がある』
http://blog.goo.ne.jp/aim1122/e/ced2737070cbf6aca4f8b83168b5f831/?cid=68ea91d587577709cf5f778451992693
見逃した「山番組」をDVDで!
http://blog.goo.ne.jp/aim1122/e/ad2e501f33c21ad04c5bf80dcde1f986

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『御嶽山噴火 生還者の証言』

2016-10-16 | 山・ネイチャー・冒険・探検の本

 『御嶽山噴火 生還者の証言 あれから2年、伝え繋ぐ共生への試み』小川さゆり(ヤマケイ新書)

著者の小川さゆりさんは、山岳ガイド。御嶽山には、ガイドの下見に来ていて噴火に遭遇、九死に一生を得た。御嶽山の噴火はまだ記憶に新しい、2年前の2014年9月27日(土)11:52の発生。なんと著者は、このとき、単独でお鉢めぐりをしていたという。

この本の前半は、生々しい噴火時の体験談となっている。噴石がすさまじい音を立てて高速で飛んでくる描写はすごい。砲弾が飛び交う戦場にいるようなものだ。噴石は、ごく小さなものから、冷蔵庫くらいの大きさ、果ては軽トラックくらいの大きさのものまであったというから驚きだ。硫黄臭のする火山ガスも流れ出して来て、命の危機を感じたほどだという。ちなみに死を招く硫酸ガスは無臭というから怖い。そこへ熱風も押し寄せてくる。

いったん収まったかに見えた噴火、その隙を狙って小川さんは移動するのだが、いつ再び噴火するとも知れない緊迫感が伝わってくる。山頂付近で会った登山者、けがをした人も見たママを描写している。灰が積もって登山靴に付着し、まるでアイゼンについた雪の塊のようになったともいう。読み進めるうちに、よくぞこの未曾有の危機を乗り越え、助かったものだと、感心させられた。

助かった要因は3つあると小川さんはいう。
●噴火時にいた場所
●登山の経験や知識・技術
●運

小川さんは、ちょうど岩陰に逃げ込めて、噴石の直撃を避けられた。場所によっては、噴石を避ける岩や建物など何もなかっただろうから、噴火時にいた場所が運命を左右したといっても過言ではない。2つ目については、小川さん自身、噴火に遭ったのは初めてだが、すぐに身の安全確保に行動を移せたことが大きかったと記している。それは長年の登山経験から来る危険察知の本能だろうか。そしてきちんとした装備で山に登っていたこと。これも経験と山の知識に由来するものだろう。装備は、ツェルトや防寒具、ファーストエイドキットは必携と書いている。怪我をして山頂付近に取り残された遭難者で、低体温症で亡くなった方もいるというから、備えあれば憂いなしと心に留め置くべきだろう。3000m級の山頂付近であれば、下界よりも18℃も低い、朝方零下になったことは予想がつく。日帰り山行だと、どうしても装備を省略しがちだけれども、高い山ほど緊急時のために、きちんとした装備をすることが求めらる。3つ目の運にいたっては、「神のみぞ知る」だろうか。噴火の合間を縫って移動、下山ができた幸運をはじめ、さまざまな幸運があったことを挙げている。

体験記のあとには、遭難の原因についても書いている。登山者が多かった剣ヶ峰などの場所では、正常性バイアス多数派同調バイアスが働いたと指摘している。正常性バイアスとは、目の前の危機的な状態を認めたくないという心理状態。多数派同調バイアスとは、皆と同じ行動をとればだいじょうぶだと信じ込む心理状態だ。遭難者はよくこれらの状態に陥ることで知られているけれども、まさしく今回の噴火も、遭難者に限らず、生還した登山者もこの心理状態になった人が多かったのではないかと推測される。

最初の爆発から、噴石が飛び始めるまで、60秒あったといわれるこの噴火で、まずカメラをもっている登山者で、写真を撮っていない人はいないというくらい、皆カメラを出してしまった。まさしく正常性バイアスと多数派同調バイアスだ。誰かが逃げろと大声を張り上げて、走り出せば、状況はだいぶ変わったかも知れない。災難は自分の身にだけは降りかからない、降りかかるはずがないという思い込みは、誰しもがもつ。ましてや、こんなに大勢の人がいるのだから、何かあってもだいじょうぶだと思い込んでしまう。山岳会であれば、パーティをつくるときは多くても5,6人、しかも経験豊富なリーダーを立てる。それは、こうしたバイアスを避ける意味あいが強い。

今回の噴火による遭難は、上記のような登山の知識ばかりでなく、活火山の知識をももつことを教訓に加えたようだ。この御嶽山噴火を概略しか知らない山好きのみなさん、ぜひこの本を読んで知識として蓄えておくことをお勧めします。

御嶽山噴火 生還者の証言 あれから2年、伝え繋ぐ共生への試み (ヤマケイ新書)
クリエーター情報なし
山と渓谷社
[ドイター] deuter ファーストエイドキットバッグ S D49243 5050 (ファイアー)
クリエーター情報なし
deuter(ドイター)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サードマン現る!NHKスペシャル「神の領域を走る~パタゴニア極限レース141Km~」

2016-10-10 | テレビ・映画

10/2(日)放送のNHKスペシャル「神の領域を走る~パタゴニア極限レース141Km~」を録画していて、ほぼ1週間遅れで見た。

パタゴニアといえば、人が住まない地、荒涼とした不毛の地で、年がら年中強風が吹き荒れているところというイメージがあって、そんなところで141Kmも走ると聞いただけで、身震いしてしまった。実際そうなのだが、番組の冒頭を見て、ちょっと様子が違うと思ってしまった。まずコース中に森があることがわかって、あれっと思った。意外にも緑豊かじゃないかと。参加者は、スタート地点から森を駆け上がる。その後に私の知る強風吹き荒れる何もない荒野を進むけれども、ここだけが大変なのではないかと勘違いした。そしてコースの残りは、平坦な大地をほぼまっすぐ走るだけだ。距離は長いけれども、1日を費やせば、なんとか完走できるだろうと、コース説明で思った。存外、いうほどにすさまじくはないのじゃないか。でも、実際はそんな印象は甘々で、すさまじいばかりの過酷さを見せ付けられる。

スタートは参加者全体が、オーバーペースで、後々これが体力の消耗を加速させる結果になる。上位に残った人たちは、皆オーバーペースにならずに、自分があらかじめ決めていたペースで走った人たちばかりだ。オーバーペース組は、森の中で早々に脱落していく。このレースは、棄権者が70%という恐ろしいレースなのだ。登り続ける森の中を越えると、樹木のまったくない、強風の吹きさらしの荒地を走ることになる。雪まで降りはじめて、体温を容赦なく奪っていく。

何とかここを通過すると、神の領域に入るという。なんだそりゃと思ったが、それは疲労の限界で、脳から走るのをやめろという指令が出ているのに、それに抗って走り続けるという状態だ。つまり体のリミッターを自らはずして、走り続ける。いわばガス欠だよとアラートが出ているのに、給油せずにどんどん走りつづけるようなものだ。だから、いつ体が壊れてもおかしくない。

この過酷なレースでトップを維持して走り続けたスイス人は、なんと50代。そして次を走ったのが日本人で、トレイルランナーとして輝かしい実績を残してきた鏑木毅(かぶらきつよし)さん、47歳だ。体力よりも経験がものをいう世界なのだろうか。中高年ががんばっている姿を見ると、私にも励みになる。それはさておき、神の領域に入り込んだ鏑木さんの体験が番組では紹介された。きついなと思って無理を承知で走っていると、途中から伴走してくれる人が出てきたという。それは奥さんのようでもあり、娘さんのようでもあったと。朦朧とした意識のなかで現れた、明らかな幻覚で、サードマン現象だ。以前このブログでもとり上げたサードマンだが、それは、人が苦境に陥ると、経験豊かな人には、サードマン(第三者)が現れて、その人を補佐して救うという。鏑木さんには、その現象が起きたのだ。それこそ、トップアスリートの証であると同時に、極限状態=神の領域に入ってしまったことを示すものだ。

このレース、こうして文章で読むよりも、映像を見たほうが、その過酷さが十二分に伝わる。ふらふらになって走る大勢のランナーたちや、彼らをとりまく厳しい自然を目(ま)の当たりにすれば、すべて得心がいくはずだ。いずれまた再放送をやるよね、NHK様。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする