目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

お花畑広がる夕張岳

2015-08-14 | 山行~北海道

標高 1667.8m 北海道

2015年7月24日(金) くもりのち晴れ 

メンバー 山の神と私

コースタイム 夕張岳ヒュッテ5:46--馬の背コース--6:36休憩6:46--冷水コース分岐--7:24石原平7:34--8:16憩沢8:22--9:28吹通し9:34--9:57夕張岳山頂(昼食)10:45--11:50憩沢12:00--13:05冷水コース水場下部13:10--13:33分岐--夕張ヒュッテ--13:57駐車場

前日昼頃夕張入りする。道すがら食べるところがないかと沿道を見てきたのだが、結局お店を見つけられず、夕張駅まで来てしまった。駅前にはゆうばり屋台村があり、その一画の鶴が亭で、串かつ定食(¥700安い!)を食べた。じつは夕張名物はカレーそばで、この屋台村でも幟を立てて宣伝していたのだが、わざわざ夕張に来て食べるものなのか?と思い、あえて違うものをオーダーしたのだ。たんにカレーそばを食べたくなかったということもあるが。

夕張メロンを物色したのち、市街地を出て約1時間ほどで林道のゲート地点にたどり着いた。連日の雨がそこここに水溜りをつくり、未舗装の林道を走ってきた愛車は泥だらけになっていた。ほんの少し前まではきれいだったのにと思わずため息がもれる。気持ちを切り替え、早く夕張ヒュッテに行ってゆっくりしようと、山の神を促した。今晩用のビールや札幌の大丸で買ってきた牛メシ弁当などの荷物をまとめて出発する。駐車場から15分ほどでヒュッテに着く。

 
左:ペンケモユウパロ川沿いの林道。ゲート地点の駐車スペース。 右:夕張岳ヒュッテ。向かって左手の炊事場には、朝方大きなクワガタムシがいた。右手の建設中の建物は、五右衛門風呂二つを設置する棟になる。

小屋番のおじいさんの話によると、前日は雨天にも関わらず、何人かが山頂目指して登っていった。今日は久々の晴れの予報だから、平日だけどそれなりに登山者はいるだろうとのことだった。しかし夕張岳ヒュッテに昨晩泊まったのは、われわれ以外には、単独行のおじさんのみだった。最近は車中泊の人も多いというから、あの駐車場で一夜を明かした人もいるのだろう。

この日は4:25に起床し、パンとスープの朝食をとった。5:30には小屋を出ようと準備を進めていたのだが、下だけゴアテックスの雨具をつけようと山の神が言い出す。検索して得た情報では、これから行く馬の背コースはヤブこぎになるから、かなり濡れるというのだ。そんなこんなでモタモタしているうちに出発は5:46になっていた。

 
左:馬の背コース 右:石原平

馬の背コースに入ると、たしかにヤブっぽいところがあって、雨具をつけていなければ、びしょびしょになるところだった。ぬかるんでいるところもあり、足場は悪い。天気がここのところずっと悪かったせいもあるだろう。辺りは白いガスにおおわれ、晴れてくる気配はいっさいない。そのうち単独行の方が山の神と私を軽々と追い抜いていく。北海道の山は、ロングコースばかりだからか、健脚者が多い。

歩き始めてそれほど経過していないのに汗がしたたる。気温は20℃もないが、やけに蒸し蒸ししていた。馬の背コースの途中でいったん水分補給をする(6:36)。そこからしばらく行くと冷水コースとの分岐に出た。相変わらず白いガスに覆われたままだ。わずかでも明るくなると、そのたびに晴れてきそうだと期待をにじませるのだが、すぐにまたガスに覆われてしまう。7:24早くも2回目の休憩を、シラネアオイの群生地、石原平でとる。休んでいるうちに、単独行の方が2人われわれの横をすり抜けていった。 

 
左:シナノキンバイ 右:イブキトラノオ

真っ白で何も見えない望岳台を通過し、単調な道を耐えて進むと、ようやく太陽が顔を覗かせ始めた。8:16憩沢に到着。一面黄色い花が沢の両端を埋めつくしている。シナノキンバイの群落だ。もういいだろうと、雨具の下を脱ぎ、日も照ってきたため、日焼け止めを塗る。

 
左:オタマジャクシがいたひょうたん池。上空の白い雲が映り込んでいる 右:ヒメエゾネギ

憩沢から少し上がると、森林限界を越え別世界になる。男岩やガマ岩などの奇岩を縫って進む。湿原には花があふれていて、まさしくお花畑だ。ヒメエゾネギにいたっては、驚くほどの大群落を形成していて、紫が延々と続く圧巻の眺めだった。グンナイフウロやイブキトラノオ、ユウバリリンドウ、マルバダケブキなど、次々に現れる高山植物の花、花、花。こんなに咲いているとは予想だにしなかった。 


快適な木道が続く

 
左:ユウバリリンドウ 右:マルバダケブキ

 
左:ヨツバシオガマ 右:エゾノクモマグサ

ヨツバシオガマや、鉢植えにして庭に置いたら、さぞかしきれいだろうなと思わせるエゾノクモマグサの可憐な白い花とにぎやかな道を進み、9:28吹き通しに出て休憩にした。名前の通り風が吹きぬける場所で、ちょっとガレている。ここには地べたを這うように、地味なグレー基調の葉を伸ばしているユキバヒコダイが群生していた。咲くとピンクで華やかなのだが、つぼみの状態だと黒い。まるで邪悪な魔女のような風体だ。山の神がその姿を見て、キモいと身震いしていた。あまりの不気味さに写真は撮らなかった。

 
左:下山しようとするとガスが湧いてきた 右:ユウバリアズマギク

吹き通しから一気に高度を上げていくと、上から何人もが下山してくる。その中には夕張岳ヒュッテでご一緒したおじさんもいて、その足の速さに驚かされた。山の神と私は、9:57夕張岳山頂に到着した。ガスが次から次へと湧いてきて、あまり見晴らしはよくない。それでも時折ガスが押し流されて、緑の山肌が見えた。


山頂から夕張岳神社を見下ろす

山頂で昼食をとり、10:45下山開始。山の神と私の後に山頂に上がってくる人がいなかったので、登山者はわれわれで最後かと思っていたところ、湿原まで下ると、まだまだ登ってくる人も多い。これだけのお花畑があれば、やはり人気が出て当然といったところか。再びお花を堪能し、来た道を戻った。最後往路にとった馬の背コースは下らずに、冷水コースを下った。蒸し蒸しとして単調な道だ。分岐に出て少し登り返し、ヒュッテに置かせてもらった荷物をピックアップ。林道のゲートには、13:57に到着した。

 

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お花の山返上? アポイ岳

2015-08-01 | 山行~北海道

標高 810.5m 北海道

2015年7月20日(月・祝) くもりのち晴れ 

メンバー 山の神と私

コースタイム 8:00前 アポイ岳ジオパーク ビジターセンター駐車場8:35--9:33第5休憩所9:42--5合目(山小屋)--馬の背--10:30 八合目10:35--11:00アポイ岳山頂(昼食)11:41--幌満のお花畑--12:36馬の背12:42--13:58駐車場

北海道に入ったのは、19日(土)の苫小牧着のフェリー。その日のうちに愛車エスクードで静内まで移動し、ビジネスホテルにチェックインした。日曜早朝から幌尻に向かう予定だったのだが、天候が安定しない。幌尻は延期と決め、1日観光&ドライブでつぶし、翌20日、襟裳岬周辺は晴れ間が出るという予報を信じて、アポイ岳を登ることにした。

静内を6:20に出て、霧雨が降る中海岸沿いの道路を移動した。8:00前にはアポイ岳ジオパークのビジターセンター前駐車場に到着。まだ時間が早いせいか閑散としている。山のほうを見ると、白いガスで覆われていて、すぐに出発する気はまったく起きなかった。山の神とともに少し待つことにした。駐車場にあった自販機の缶コーヒーを飲んで、時間をつぶしていると、後から来た人たちが出発していく。天気回復のきざしすら見えない空を見上げ、そろそろ行くかと山の神を促した。

 
左:アポイ岳ジオパーク ビジターセンター駐車場。近くにトイレがある 右:第5休憩所

8:35駐車場を後にした。登山口から広い林道を歩いていくと、登山届けのポストのあたりにアポイ岳の花案内があった。アポイ岳といえば、花の100名山だ。期待に胸を膨らませて林道から登山道へと足を踏み入れた。

雑木林のなかの登山道を進んでいくと、登山者がちらほらいる。もう下ってくる親子もいて、驚かされる。下のキャンプ場に泊まっていたのだろうか。そろそろ歩き始めて1時間というところで、第5休憩所が出てきた。ここでひと休み。地元の小学生の5・7・5の標語が掲げられていた。「アポイ岳小さな命が泣いている」様似小の児童作だ。高山植物の盗掘が多いようだ。登山口には、盗掘パトロール中の文字が踊っていた。

 
左:5合目の山小屋 右:まず現れたのが、イブキジャコウソウ

5合目の山小屋から開けた場所に出て、急登が始まる。同時にイブキジャコウソウ(右上)の花が目に飛び込んできた。ここから行っても行ってもイブキジャコウソウで、沿道を埋めつくしていた。

 
左:エゾシャクナゲ 右:キンロバイ

山の神がなんでシャクナゲが咲いているんだ?というので視線を上げると、たしかに咲いている。調べてみたら、本州のシャクナゲとは種類が違っていて、エゾシャクナゲ。それにしても7月の下旬にシャクナゲの花が見られるとは。次に目を引いたのは、鮮やかな黄色い花を咲かせていたキンロバイ。大きくて自己主張をする花だ。

登山道から見える草むらには、ところどころにエゾシカの食害調査と称して、ハエ帳もどきの網がかけてあった。見た感じ、それほど網の中の植物と周囲の植物の丈は変わらない。エゾシカの進出はあまりないようにも思える。

 山頂への最後の急登

馬の背を通過して、10:30八合目で休憩をとる。晴れていれば、道々景色を堪能できたはずだったのだが、相変わらず真っ白のままだ。気温は20℃くらいで決して高くはない。しかし湿度が高く、非常に蒸していた。

最後の急登を上がって、11:00アポイ岳山頂に到着した。地元の若者らしき3人パーティと年配の夫婦、単独行の方がいた。樹林帯の中で眺望はなく、面白みにかける山頂だ。

 
左:山頂から幌満へ下り始める 右:エゾルリムラサキ

山頂で簡単に昼食をとり、11:41幌満のお花畑に向けて下り始めた。このお花畑は、以前は、アポイ固有種のお花が大群落をつくっていたとガイドブックに出ていた。いまはといえば、かなりさびしい状態になっている。心無い人たちが片っ端から盗掘をした結果、こんなことに。さびしい状態ながらも、最近は回復傾向にあるようだ。スカイブルーの可憐な花、エゾルリムラサキ(右上)がひっそりと咲いていた。ちょっとだけなごみます。


馬の背で最後の休憩

幌満を回って、再び馬の背に出てくると、雲が切れて晴れ間が出てきた。やはり山は晴れていないと! 馬の背で最後の休憩をとる。

 
左:登山道には2箇所、熊よけの鐘が設置されていた 右:アポイ山麓ファミリーキャンプ場

馬の背から一気に下って13:58駐車場に戻った。本日のお宿は、アポイ山麓ファミリーパークキャンプ場。さっそくビジターセンターで大人2人分を申し込んだ(大人1人600円)。リヤカーで荷物一式をテントサイトに運んで設営する。張ったら、風呂だ。車ですぐ上にあるアポイ山荘に乗りつけ、日帰り入浴で汗を流した。大人1人500円。アポイ山荘で缶ビールを買い込み、テントに戻って山の神と夕餉となった。

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雄阿寒岳

2014-09-07 | 山行~北海道

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2007年7月13日(金) くもり

メンバー 山の神と私

コースタイム 8:30登山口8:40--9:40 二合目9:50--10:40四合目10:50--11:17五合目11:25--11:55八合目(観測所跡)12:00--12:15雄阿寒岳山頂(昼食)13:00--13:40五合目13:50--14:48二合目上洞窟14:58--15:40登山口

前泊はホテルエメラルド(2011年休業)。修学旅行生が泊まっていてにぎやかな中、バイキング朝食をとる。朝食後あわただしく山の神はホテルの目の前にあるコンビニへ行って、今日の昼食の買出し。その間私はフロントでチェックアウトの順番待ちをしていた。

 

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左:阿寒湖ビューの部屋。どんより曇ったままだった 右:雄阿寒岳登山口

阿寒湖畔のホテルから雄阿寒岳の登山口は近い。ホテルをチェックアウトして、すぐに鬱蒼とした森の中の登山口に到着した。もうすでに何台か駐車している。身支度を整え、8:40山の神とともに出発した。

歩き始めるとすぐに2つの湖が現れる。太郎湖、次郎湖だ。この湖を縫うように登山道はつけられている。ふと湖岸に目をやると、キタキツネが1頭さっそうと走り去っていく。昨日の雨で、どこもかしこもしっとりと濡れそぼっている。

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左:太郎湖 右:登山道に現れたおねだりキタキツネ

2合目で休憩して歩き始めると、ちょうど年配の夫婦が追いついてきた。一向に距離が開かないので、もしや健脚の持ち主なのかと、道を譲るとみるみる先へ行ってしまった。世の中は広い。外見で判断してはいけないのだ。

この辺りで、おねだりキタキツネに遭遇した。そういえば20年くらい前に合戦尾根で人馴れしたおねだり狐に遭遇したことがある。新聞ネタにもなったので、ご存知の方もいるだろう。登山者が食べ物をあげるから、こうなってしまうのだろうね。モノ欲しそうな目で、しばらくこちらの顔を覗き込んだり、周りをうろついていたが、山の神や私にその気がないことを察すると、そそくさと退散していった。

 

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左:五合目辺りから見上げる 右:高度を上げていくと高山植物が目立ち始める。ハクサンチドリ

10:40四合目少し上部で休憩する。空は雲で埋めつくされていたが、少し明るくなってきた。五合目まで来ると、薄日が差してくる。雌阿寒のときのように一気に晴れるかと期待が膨らんだ。ハエが多い小広い五合目を後にしハイマツ帯に入ると、さあっとガスがはれ、ついに青空が覗いた。野鳥のさえずりも聞こえ、気持ちよく登高する。

11:55八合目観測所跡で水分補給。ここで先に行ってもらった年配夫婦とすれ違った。もう山頂に行って下山だという。2時間40分で山頂に着いたというから速い! 山の神と私の山頂到着は、12:15。3時間35分もかかっている。いまから思えば、ちょっとバテていたかもしれない。

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左:八合目上部から山頂を望む 右:山頂。あれよあれよという間にガスってきた

山頂到着後、久々に三脚を立ててタイマーで記念撮影をした(冒頭写真)。撮影中にガスが一気に流れてきて、たちまち何も見えなくなってしまった。こんなことなら景色を堪能してから記念撮影をすればよかったと山の神と後悔しきり。晴れていれば知床まで見えたらしいのだが、もう後の祭りだ。気を取り直して、山の神がコンビニで買ってきたおにぎりを食べる。

13:00すぎ下山を始めると、単独行の方2名と2人パーティとすれ違う。まだまだ登る時間なのか。13:40五合目で休憩。腰を下ろしていると、ウグイスの声が聞こえてきて、ほのぼのする。13:50再び下り始めると、ガスが流れてきて、あたりは薄暗くなる。滑りやすいところがあって慎重に足を運んでいく。14:48二合目少し上の洞窟のあるところで最後の休憩。あとは下まで歩きとおして15:40登山口に戻った。

登山口には、釣り人が一人と、明日登るらしき人が一人いた。その登山者は、ここに泊まるように見受けられたが、ここのところの低温続き、ここに泊まったら寒そうだ。山の神と私は、16:00頃ここを出発し、川湯温泉へ移動した。17:00頃昨日予約を入れておいた湯の閣にチェックイン。予想外にいい温泉だった。硫黄臭がしていると、いかにも温泉に来たぜという感じだし、コストパフォーマンスもよかった。お勧めです!

 エピローグへつづく
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雌阿寒岳・阿寒富士

2014-08-25 | 山行~北海道

雌阿寒岳 標高 1499m 阿寒富士 1476.3m 北海道

2007年7月11日(水) くもり時々晴れ

メンバー 山の神と私

コースタイム 7:55雌阿寒温泉コース登山口8:15--9:05四合目上部9:10--9:55八合目--10:20雌阿寒岳山頂--11:00阿寒富士分岐11:10--11:43阿寒富士(昼食)12:40--14:10オンネトーキャンプ場14:30--15:20雌阿寒温泉

前泊は、桜ヶ丘森林公園キャンプ場。平日でしかも気温が10℃くらいしかなかったせいか、テントを張っている人は極端に少なかった。4:40起きだしてみると、小雨が降っている。予報では晴れ間が出るといっているので、予定どおりテントを撤収して雌阿寒に向け6:45キャンプ場を出発した。

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左:桜ヶ丘オートキャンプ場 右:雌阿寒温泉コース登山口

道すがら一般車両が入っていけない湖、パンケトーとペンケトーのふたつが見られる双湖台に立ち寄ってみた。霧雨が降っていたものの、その姿を遠望できた。この2つの湖は、ヒグマ生息域につき、登山道はつけられていない。そんな湖だけにちょっと神秘的ではある(注:パンケトーには関係者だけが通行可能な林道がつけられている)。

阿寒湖畔のコンビニで昼食の買出しをし、雌阿寒温泉の登山口には7:55到着した。ここには立派な駐車場やトイレがある。山の神と私の到着直後には登山者の団体バスがやってきて、たちまちにぎやかになった。

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左:二合目は樹林帯の中 右:四合目はハイマツ帯の中

手が冷えるなと軍手をはめる私。隣では風除けにとヤッケをはおる山の神。薄ら寒いなか歩き始めると、もう下ってくる集団がいた。雌阿寒温泉を2:00に出発し山頂まで行ってきたという。いまは白くガスっているが、山頂ではちょうどガスがはれたとか。われわれもそうなってくれるといいのだが。いまはガスがたれ込めている。

登っていく団体も前後に2組。皆おしゃべりに夢中で、たいへんにぎやかだ。比較的登りやすい百名山だから、人気の山なのだ。樹林帯を抜け、ハイマツの植生に変わった四合目上部でひとまずザックを下ろした。するとエゾシマリスが山の神と私の到着に驚いて、ハイマツの中に逃げ込んでいった。

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左:山頂への最後の上り 右:雌阿寒岳山頂

そのうちハイマツもなくなり、ガレ場になる。八合目で一息入れて、あとは一気呵成に直登。残念ながらあたりは白くガスっていて、何も見えない。風でうっすら青空が透けて見えることもあるが、すぐにまた真っ白けだ。

10:20雌阿寒岳山頂。濃いガスに包まれている。先着様が去ったあとに写真を撮って、すぐに出発した。

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左:下っていくと白いガスに覆われ始める 右:イワブクロ

下り始めると、青空が一瞬出る。一気に晴れるかと思ったら、またガスが流れてきた。11:00阿寒富士への分岐まで下り、そこで休憩にした。そここに咲き始めたばかりのまだみずみずしいイワブクロが山の神と私を迎えてくれた。

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左2点:阿寒富士山頂 右:雌阿寒岳の山頂だけがかろうじて見えていた

一歩踏み出すと半歩ずり落ちるような、砂礫の歩きにくい道を一気に上って11:43阿寒富士山頂に達した。残念ながら白いガスに視界は閉ざされ、何も見えない。昼飯を食べているうちに晴れるかもねと半ば諦め気分で腰かけていると、みるみるガスが風に流されていく。隣の雌阿寒岳が目の前にどかーんと現れた。そして雌阿寒から視線を移動すると、そこには見事な大雲海が広がっていた。絶景だ。

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奇跡的に雌阿寒岳のガスがはれた。火口からは蒸気が勢いよく噴き出していて、その音が阿寒富士山頂でも聞こえる

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山の神も見とれた一面の大雲海

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阿寒富士から下りて、振り返ると黒々とした山容が目の前にあった

思わぬ僥倖に下山が遅れてしまった。いつまでも雲海を眺めていたい気分には逆らえず、結局山頂には1時間くらい滞在してしまった。12:40重い腰を上げた。ふと雌阿寒を見やると、いくつもの点が斜面を移動していく。団体さんたちだ。先ほどまでのガスが嘘のようにその小さい点がはっきりと見えている。

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左:こうした砂礫にはやはりコマクサ 右:メアカンキンバイ

八合目の分岐から阿寒富士を回りこんでいく。しばらくは森林限界を越えた気持ちのいい道が続く。コマクサやメアカンキンバイ、先ほども咲いていたイワブクロの花が次々に登場する。花いっぱいの砂礫地を通過していくと、今度はジメジメした森の中に突入していく。

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2点ともオンネトー。エメラルドグリーンの水をたたえていた

暗い森を抜け、14:10オンネトーキャンプ場に到着した。水辺は蚊が多く閉口したが、エメラルドグリーンの湖面が美しく、蚊の存在も忘れるほどだ。透明度も高く、一見の価値がある。

しばらく休憩して14:30オンネトーキャンプ場を後にする。すぐのはずの分岐がなかなか現れず 、いらだったせいもあってか、そこからの道のりが非常に長く感じた。昭文社の山地図では、「歩きやすいハイキングコース」と記されていたが、そんなことはない。手入れがあまりなされておらず、倒木はあるし、ヤブ漕ぎにはなるしでなかなか大変な道だった。ただ地図は2000年版の古いものだったので、もうその記述は削除されているのだろう。

15:20雌阿寒温泉の駐車場に到着した。ピストンの登山者が多いのか、広い駐車場はがらんとしていた。

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暑寒別岳~暑寒沢コース

2014-08-10 | 山行~北海道

001img_7701_2 002img_7702 標高 1491.6m 北海道増毛山地

2014年7月24日(木) 晴れ

メンバー 山の神と私

コースタイム 暑寒荘5:16--6:10 2合目6:15--6:54 4合目6:59--7:53滝見台8:03--9:05 9合目9:11--箸別コース分岐--9:42暑寒別岳山頂(昼食)10:30--11:44滝見台11:52--13:00 2合目13:07--13:50暑寒荘駐車場

23日は留萌のビジネスホテルを出て、コインランドリーで洗濯、ショッピングセンターで買出し、黄金岬や千望台の景食ハウスなどで時間をつぶし、暑寒沢コースの登山口である暑寒荘を目指した。舗装されたきれいな道を順調にあがってきて、駐車場手前で2台の車(1台は管理人さん?)とすれ違う。林道終点の駐車場に15:00前に到着した。何台か車があるかと思いきや、1台もない。しかも着いたとたんに虻の襲来を受けた。ここはアフリカの奥地かと錯覚するほどの大量の虻がわが愛車に群がった。こんな経験は初めてだ。車を停めてみたものの、外に出るのをためらうほどの数。意を決してドアが開けると、周囲を飛び回るだけで、人を襲う気配はない。車の中に入ろうとする虻も少なく、ひとまずは安心した。

 

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左:暑寒別岳暑寒ルート登山口の駐車場 右:暑寒荘

暑寒荘に山の神とザックや食糧を運ぶ。広々とした山小屋にはだれもいなかった。一部屋を山の神と私で占領し、小屋の布団や毛布を運んだ。そのうちワゴン車が1台やってくる。山小屋にやってくると思っていたのだが、車中泊だった。車に荷物をとりにいったときに声をかけられ、その御仁いわく、いつも車中泊。それが気楽なんですと。

その後もう1台車が来た。しかし駐車場でそのままUターンして去っていった。虻の大群の洗礼は容赦ない。この車に乗っていた方々とは、翌日山頂で会うことになる。おじさんいわく、登山口まで偵察に来てびっくりした。あれじゃあ外には出られない。すぐに防虫ネットを買いに行ったよと。

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左:白樺も生える雑木林。すごい蚊だった 右:森林限界近く

24日朝、車中泊の方のバタンとドアを閉める音で目を覚まし、3:40頃起床した。朝食をとり、山小屋から撤収する。車に荷物を運んでいくと、車中泊の方がお先にといって、ちょうど出発していく。さあ、われわれも早く出発しよう。愛車のドアを開けると、昨日の虻が車内で静かにとまっていた。早朝はまだ活動していないのだ。手でつまみだす。ザックや帽子に防虫のパッチを貼り、虫除けのスプレーを腕に吹きかけ、つぎに手のひらにスプレーをかけて薬剤を溜め、顔や首筋にもまんべんなく塗りこむ。完璧だ。

そして山の神と私は、5:16駐車場を出発した。虫除け対策は完璧だと思ったのはつかの間だった。ぷ~んと耳の周りを容赦なく蚊が飛ぶ。どこから湧いてきたのかというほど、蚊や蜂や虻の類が身体中にまとわりついてくる。ひっきりなしにこいつらを追い払う羽目になり、自然と足早になった。薬剤が少ないところには、そのうち平然ととまるようになった。2合目で虫よけスプレーをもう一度かける。

足早に来たのがたたってか、4合目で山の神がバテて休憩にした。そこからだいぶ歩いて雑木林を抜けた頃、ようやく虫の数も減ってきた。

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左:6合目のロープの張られた急登。山の神が写真中央にいる 右:滝見台

森林限界を過ぎた辺りから、見晴らしがよくなる。振り返ると留萌の海岸が見える。遠くにはうっすらと利尻らしき姿も見える。

6合目のロープの張られた急な上りを越えてハイマツ帯に入ると、なにやらコケをぶちまけたような緑色の紙状のものがあった。なんだこりゃと思いながらもどんどん登ると、ヒグマの巨大糞が落ちていた。しかも真新しく、草食なのか緑色をしている。先ほどのコケをぶちまけたようなものは、糞が雨でバラバラになった状態だったのだ。地図にヒグマ注意と書かれているが、この辺りは完全にヒグマの生息地、活動域だ。

糞の先に、展望のきく滝見台が現れた。7:53

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扇風岩。左奥に登山道が見える

緑の山に一筋の生命線のように登山道が延びているのが見える。しばらく気持ちのいい道が続く。

もうすぐ山頂だが、いっきに行くには長い。9合目でいったん休憩をとることにした。山の神と行動食をつまんでいると、日本海側(西側)から大量の白いガスが流れてきた。一昨日に続いてまたかよ。このままというのは勘弁してほしいなとぼやきながら、最後の急登を上がっていく。

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暑寒別岳山頂から雨竜沼湿原(左奥)、南暑寒別岳(右手の雪渓のある山)を望む

箸別コースとの分岐で、車中泊の方が前からやってきた。もう下山なのだ。すこぶる健脚な方だ。山頂にいたらガスってきたので、下りることにしたと。

白いガスの中、9:42暑寒別岳の山頂に到着した(冒頭写真)。昼メシを食べているうちに、ガスはとれるんじゃないかと希望的観測をしつつ、山の神と腰を下ろす。そのうち反対側の登山道、南暑寒別側から年配の単独行の方が現れた。雨竜ゲートパークを4:00に出たという。この方もかなりの健脚だ。途中稜線から見えるところにヒグマが一頭いたとか。多いね、この山塊は。

ふいに僥倖は訪れた。少しずつガスがはれて、雨竜沼湿原が見え隠れしていたが、さあっと一気にガスが流れ、南暑寒別岳も全貌を現した。ツキに見放されてはいなかった。大展望、大パノラマだ。一昨日歩いたところが遠くに見えている。

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左上から時計回りに:チシマギギョウ、ミヤマアズマギク、エフデギク、ウメバチソウ

昼食をとり、10:30下山開始。帰途は、余裕綽々で花を愛でながら歩いた。上の写真の花は、ほんの一部だ。オトギリソウの群落や名を知らぬお花畑もあった。花を愛でられたのは、朝ほど蚊に遭遇しなかったおかげだろう。そういえば、場所によってはトンボも多くいて、私の目の前で、虫をキャッチしていた。弱肉強食の世界を至近距離で見られるのも、虫が多すぎるということか。

駐車場には、13:50到着。午後になって虻がまた活発に動き始めていた。

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