目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

お散歩の山、遠笠山・大室山

2012-11-24 | 山行~伊豆・箱根と富士山周辺

遠笠山 標高 1196.9m 大室山 579.6m 静岡県

2012年10月27日(土) くもり

メンバー 山の神と私

コースタイム 遠笠山登山口駐車場10:15--10:55遠笠山山頂11:10--11:37駐車場
大室山第3駐車場12:50頃--13:10頃大室山山頂--お鉢めぐり--13:50頃 駐車場

結婚記念日ディナーをどこで食べようかと山の神と相談していた。近所においしいフレンチはないし、かといって都心部に出て、ワインをしこたま飲むと、家に帰るのがつらいし。おお、そうだ。前に検索して調べていた伊豆高原のオーベルジュに行こう! ついでに周辺の低山に行こうとなった。伊豆の山地図を眺めていたら、3時間くらいで手軽にいけそうな矢筈山が目に飛び込んできた。これだ。

5:40頃家を出て、久々に東名を走った。海老名SAで朝食をとり、小田原厚木道路へ。伊豆スカイラインに入り終点まで行く。ここから矢筈山の登山口、鹿路庭(ろくろば)峠へ下っていく。この峠にはそばやがあって、その反対側の路肩あたりから山に取り付くようだが、登山口らしき指導標がなかった。

とりあえずコンビニで買出しをしようということになり、海岸線へ向けて、道を下っていく。135号線沿いのコンビニに入り、おにぎりを買い、再び峠に舞い戻ってきたが、登山口がわからない。あとから2010年の伊豆の山地図を見てみたが、「崩壊のため通行禁止」と書かれていた。安全のため、指導標を撤去したようだ。

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左:遠笠山林道前の駐車スペース 右:遠笠山登山口

矢筈山は無理だな。やぶこぎで強引に上がるのも嫌だしとなって、いとも簡単にあきらめる。今回は山メインではないから、あきらめが異常なほど早い。山の神は、家から持ってきた99年の昭文社の地図を眺めながら、遠笠山に行こうかといいだす。天城高原ゴルフ場手前のハイカー用駐車場(立派なトイレあり)へ行って、そこで考えようと、車を移動させる。移動中、山の神が遠笠山の登山口を発見した。今通り過ぎた緑のゲートのところか。

ハイカー用駐車場に入ると、すでに車が多く停まられていて、これから万二郎へ向けて出発する人もいる。万二郎でもいいかと思い始めたのだが、ふと見上げると、万二郎は真っ白なガスに包まれている。気分は急降下。伊豆の地図を山の神から渡されて、やはり遠笠山だなとなる。

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左:終始林道歩き 右2点:こんな時期にもお花が

さっそく戻って、10台くらいは停められそうな駐車スペースに車を置く。人っ子一人いないゲートの閉まった林道に入っていく。単調な道だ。途中野鳥のたまり場みたいなところがあり、さえずりながら一斉に逃げていく。上に行くほど、ガスが立ち込めてくるようだ。ガスがなければ、海を見渡せて爽快な景色を堪能できそうなのだが、いっこうに晴れてくる気配はない。しかも寒気が入り込んでいるようで、冷え込んだ風が耳を刺す。息も白くなる。

003img_6324 山頂は電波塔だらけ

10:55山頂に着いたが、電波塔があるだけで、ほかには何もない。ガスっているから相変わらず展望はきかないし、何の風情もない。山の神がもってきた山地図では、ぐるりと周遊できるように記載されているのだが、そのようなコースはない。2010年の山地図では、そのコースは消えていたから、もう廃道になっているのだ。こんなところでごはんというのも味気ないし、寒いだけだ。さっきのハイカー用駐車場に戻り、車の中でごはんにしようとなった。

下山を始めると、物好きなことに夫婦らしき2人組が登ってくる。われわれと同じで、この山を知らないんだろうな。駐車場まで来ると、今度は単独の方が登る準備を始めている。何も聞かれていないのに、つまらないですよなどとは、さすがにいえなかった。

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左:大室山リフト乗り場 右:お鉢の中のアーチェリー場

昼ごはんを食べても、まだなおオーベルジュへのチェックインまでには時間がある。ということで、今度は大室山をお散歩することにした。車を走らせていくと、目の前に、まさに聳え立つという表現がぴったりの大室山が現れる。そして公園の駐車場を超えて、その次に出てきた駐車場になんの違和感もなく、おお1台分空いていると車を停めてしまったが、そこは大室山第3駐車場だった。リフトからちょっと離れていた。まあ、ちょっと歩いたほうが散策気分が出ていいか。

隣にそびえる大室山を見上げながら、車道沿いをリフトを目指して歩いていく。斜面一帯に群生しているすすきの穂が風に揺れているのは、壮観だ。遠笠山は真冬の体感気温で、しかもガスっていたが、ここ下界はうす曇でそんな極端には寒くない。ただ風は強い。

004img_6332_2 小室山が見える

リフトで斜度35度くらいはありそうな斜面をぐんぐん上がって、大室山の山頂に到着する。思ったより眺めはいいし、草原のお鉢めぐりは面白かったし、気持ちがいい。

005img_6333_2 伊東方面を見る

お地蔵さんたちにお参りして、下りのリフトに乗る。まだまだ数珠つなぎに観光客が上がってくる。人気の観光スポットなのだ。

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左:五智如来地蔵尊 右:見晴らしのいい下りのリフト。高所恐怖症の人は注意

さて、オーベルジュチェックインまで、まだ時間があるということで、伊豆高原旅の駅に寄って、お土産を物色した。伊豆といえば海産物。豊富な品揃えの中から、海苔の佃煮や海産物入りのせんべいやお菓子の類を購入。それから緑茶好きの山の神につきあって、ぐり茶の杉山へ。お店に入ると、やにわに、ぐり茶を供される。うまい。まろやかで、濃厚なお茶の味が体に染みとおる。

15:00すぎ、オーベルジュ・アルシオンに到着。ここのフレンチは評判が高く、期待して予約していた。その評判にたがわぬ味に大満足だった!

参考:山中湖・三国山とフレンチの宿http://blog.goo.ne.jp/aim1122/d/20101025

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川苔山~赤杭(あかぐな)尾根

2012-11-18 | 山行~奥多摩・奥武蔵

川苔山 標高 1363.3m エビ小屋山 1147m 東京都

2012年10月8日(月) くもり

メンバー 山の神と私

コースタイム 古里駅7:23--8:11住宅街から上がった杉林8:20--9:17赤杭山手前雑木林9:26--赤杭山10mの道標--10:30エビ小屋山山頂直下10:40--エビ小屋山--11:40川苔山山頂(昼食)12:20--13:15急坂途中杉林13:20--大根ノ山ノ神--14:45鳩ノ巣駅

5:00過ぎに家を出発。途中コンビニで買出しをして、6:20頃吉野街道沿いの寒山寺駐車場に入る(トイレつき)。ここで朝食だ。周囲には、カヌーの人たちなのか、早朝から車が何台も停まっている。われわれと同じように山に登ろうと、ザックを準備している人もいるが、ここからいったいどこへ登るというのだろうか。

山の神と私は、朝食を済ませ、急ぎ鳩ノ巣の町営駐車場に向けて出発した。鳩ノ巣駅を越えて、トンネル手前を右折する。右折してすぐのところに立派なトイレつきの無料駐車場がある。すでにもう10台以上は停まっていて、まさに今出発しようとしている人たちであふれていた。

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左:古里駅を振り返る 右:赤杭尾根に出る

登山靴にはきかえ、荷物を手早くまとめて、小走りで鳩ノ巣駅に向かう。ひと駅分電車で移動し、古里駅から登って、鳩ノ巣の町営駐車場に下る予定なのだ。駅に駆け込むと、ちょうど電車が停まっていて、間に合ったと乗り込もうとすると、山の神に止められる。おお逆だ。危うく逆方向の電車に乗るところだった。反対側ホームへいって無事7:11発の電車にすべりこんだ。

古里の小さな駅舎を出て、線路沿いに鳩ノ巣方向へ戻る。指導標に従って、山側へ折れていく。住宅街を抜け、すぐに取り付き点にやってきた。ここからは薄暗い杉林が続く。

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左:明るい雑木林 右:栗がいたるところに落ちていた

駅から小一時間ほど歩いて、本日1回目の休憩。追いついてきた年配の方には先に行ってもらう。ちなみにこの長い赤杭尾根を歩いている人は当初から少ないとは思っていたが、上りに使っていたのは、少ないどころかこのときに会った年配のおじさん1人だけだった。

8:20歩き始めてちょっとしたピークに出ると、明るい雑木林になる。しばらくしてから赤杭山手前で再び休憩をとった。栗の木が多くあり、いたるところに毬栗(いがぐり)が落ちていた。

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左:赤久奈(赤杭)山まで10m地点 右:ピンクテープの道を強引に上る

再び歩き始めると、すぐに赤杭(赤久奈)山まであと10mという指導標が出てくる。その方向を見ると、あまり歩かれていないようで、草が伸び放題だ。たった10mで行ける山頂だが、山の神も私も関心がなく素通り。

しばらく進むと林道が出てきた。家からもってきた2007年の奥多摩の地図には載っていない。最近つくったんだろうね。林道上部の尾根筋を歩いていくと、しだいに下りになり林道に合流した。ここで惑わされた。道挟んだ反対側の斜面にピンクのテープがついている。山の神がそれを見つけ、こっちだよという。ちょっと上がってみるが、どうも斜度がありすぎるし、踏み跡が林業関係者のもののような気がしてならない。

強引に三角点まで行ったが、明らかに間違いのようだ。山の神に、この道は違う、戻ろうと声をかけると、こんな急なところはもう下れないと訴える。えー、じゃあ進むしかないかとなった。上に向かって登っている分には、いずれは正規ルートにぶつかるはずだ。

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左:あまりにも急な上り 右:エビ小屋山山頂

急斜面をガツガツ上っていく。山の神はだいぶ遅れ気味だ。延々とつづく斜面を上がっていくと、ピークにたどり着いた。そこはエビ小屋山だった。90年代の山地図では、エビ小屋山を通過していくのが、赤杭尾根ルートだったから、まさしく90年代のルートをたどったことになる。

やれやれといいながら、エビ小屋山から下り、現在の赤杭尾根の正規ルートに合流した。

09img_6296 明るく快適な赤杭尾根上部。薄日が差す

この急な上りで、だいぶ体力を消耗したようだ。先日立山を縦走してきたばかりだから、体力、気力とも充実しているはずだったのだが。バテ気味で足取りが急に重くなってくる。

川苔山が近づいてくると、赤杭尾根は開けた明るい道になる。そのうち下山してくるカップルや単独者がやってくる。この尾根は長いから、下山路に使うのが一般的なのだろう。

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左:川苔(乗)山山頂 右:山の神の嫌いな羽ばたきものが…

曲ヶ谷に出ると、もうそこは今までの赤杭尾根の静寂の世界はうそのように、喧騒に包まれていた。そして上っていく先には、カラフルなザックが。山頂付近には栗の木がまた多く自生していて、栗拾いに勤しむパーティもいる。

登山者でにぎわう山頂には11:40に到着した。4時間を超える長丁場、しかも長い尾根で疲労を募らせた分、よけい長旅に感じた。山頂標示板付近で山の神と昼食にした。空を見上げると、どす黒い雲があるが、青空も覗いている。天気予報では、晴れマークがついていたのだが、空はほとんど雲ばかりだ。

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左:大根ノ山ノ神 右:元気のいい若者たちはどんどん先へ下りていく

12:20下山開始。まだまだ登ってくる人は大勢いる。交通の便もよく、登りやすい山だから、訪れる登山者は多いのだ。下山路は、最短(?)コースをとり、車を置いてきた鳩ノ巣へ下る。

20代のパーティが多くいて、どんどん後ろから追いついてくる。追いつかれるたびに道を譲る。というかヨレていてくたくただから譲らざるをえない。しかし大根ノ山ノ神まで下ると、彼らが休憩していた。山の神と私が追いつくと、追い越されまいとすかさず出発していく。瞬く間に距離が広がっていく。サクサクと快調な足取りはうらやましい。

薄暗い杉林に入り、この味気ない道を、山の神となじりながら一歩一歩下っていった。一度休憩をはさんで14:45鳩ノ巣駅に到着。なぜ鳩ノ巣駐車場を越えて駅にかといえば、駅のすぐそばにある喫茶店でくつろぐためだ。ログハウス調の山鳩に山の神と入る。シフォンケーキとコーヒーのセット¥740をオーダーする。ここで長旅の疲れをちょっとだけいやして帰途についた。

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階段でいえば、踊り場にいる~竹内洋岳講演会

2012-11-11 | イベント

立正大学公開講座 竹内洋岳「挑戦し続ける想い~14座の軌跡を語る~」

2012年11月10日(土) 15:00~17:00

【プログラム】
立正大学学長挨拶/8000メートル峰14座完全登頂の軌跡映像竹内さん講演/立正大学在校生の質問コーナー

001img_6347五反田の立正大学で、竹内洋岳さんの講演を聞いてきた。こんなに弁がたつ人とは思っていなかったので、非常に驚いた。

冒頭、いきなり地球の太古の生物の話を引く。海から陸へ上がり始めた生物は、海から這い上がって2,3歩で苦しいといって海に帰り、次は5,6歩で苦しいといって海に帰り、結果陸にあがる。8000メートル峰の登山もそれと同じで、高度馴化のために、C1やC2に上がっては、BCに戻る。ちょっとずつ高度に体をならしていく。

人間のもつ潜在能力という面から、ジャック・マイヨールを引いたのも面白い。すでに故人であるが、海洋の潜水世界記録をもつフランス人だ。彼が生前いっていたのは、人間は人間に進化する前に海にいた記憶が機能として身体に刻み込まれている。だから自分は潜在能力としてのその機能を呼び覚ますことで、潜水記録を打ち立てることができたのだと。このエピソードから人間は、環境の変化によっては、鯨が陸から海へ生活の場を変えたように、人間も海に生活の場を変えるかもしれないというのだ。

印象深かったのは、ラルフやガリンダとの出会い。きっかけはラルフの公募隊への参加だ。それから毎年いっしょにヒマラヤの山を登るようになり、8000メートル峰をいくつも登った。そしていっそのこと14座すべてを目指そうとなる。ラルフはドイツで初めてのサミッター、ガリンダは世界で女性初のサミッター、竹内氏は日本で初めてのサミッターになるという目標がこの3人の中でつくられた。結果はご存知のとおり、全員がその目標を達成した。

圧巻は、あちこちで書かれたり、語られてきたガッシャーブルムⅡ峰で雪崩に巻き込まれた話だ。ついこの間の出来事のように、よどみなく語られていく。塩野米松さんの本にも書かれていたと思うが、入院中に毎日見舞い客が訪れ、雪崩のいきさつを説明するものだから、どんどん話なれてうまくなった。会場を沸かせたのは、「そのとき!」などと盛り上げ方もうまくなったと白状したときだった。

ガッシャーの事故は傾斜50度くらいのところを登高中のときだった。アックスを2本突きたてながらのルートファインディング中に足元の雪がどっと動いて300メートル落下した。同行していたドイツ人2人が亡くなっているから、よほど運がよかったのだろう。

このとき、竹内さんは「運」についての見解を披露した。「運」などという言葉で人の命を軽々には語れないと。自分はこの現場にいた山仲間に命を分けてもらって今ここにいる。本来なら自分の足で下山していないということは、もう死んでいるということなんだ。だからこの命は山に行くことで、その仲間たちに、たしかにここに存在するということを示さなければならない。

14座目のダウラギリのエピソードもまた強烈な印象を受けた。中島ケンロウさんが途中6800メートル地点で高山病でリタイアしたわけだけど、このとき中島さんはこういったという。「竹内さん、必ず迎えに行きます」。その言葉を信じて、竹内さんはダウラギリ登頂を、日没前のギリギリの時間まで粘ることになった。当初の山頂到着予定は12:00だったのだが、17:30の登頂と大幅に遅れた。それは下山途中で、仮にヘトヘトになっても、中島さんが来てくれるという安心感そして彼への信頼からだった。それに登るときに、道々ビバークポイントをチェックしていたというから恐れ入る。

締めは、よく聞かれる質問「14座の次は何をする? どこへ登る?」についてコメントした。14座完登は、自分にとってはたんなる通過点にすぎない。階段の踊り場みたいなもの。14座の目標を遂行するにあたって、排除してきた7000メートル級の山もあると添え、そうした山も視野にあるとした。また店頭でのケーキ選びにたとえて、とにかくどこの山に行くかあれこれ考えるのは楽しい時間であると。

行き先や時期は、内緒。それは決めて公言した時点で、セレクトしている楽しい時間の終わりを意味するだろうし、その山が日本人の登山者だらけになるかもしれないからだろう。

まだまだプロ登山家竹内洋岳さんの挑戦は続くのだ。

参考
竹内洋岳の友人が挑む「K2」の頂~ナショジオ2012年4月号
ついに8000メートル峰14座制覇! 竹内洋岳

写真は会場で配布された「立正大学学園新聞2012年7月1日発行 Vol.118」 

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