燧ヶ岳 俎嵓(まないたぐら)2346m 柴安嵓(しばやすぐら)2356m 福島県
2017年8月28日(月) うすぐもり
メンバー 山の神と私
コースタイム 尾瀬沼ヒュッテ6:55--8:14 3合目手前8:22--9:10 6合目上部9:18--10:05俎嵓10:15--10:35柴安嵓(昼食)11:08--11:30俎嵓--12:28熊沢田代12:38--広沢田代--14:00御池
5:15頃隣の部屋で起きだすもの音がしていて、山の神も私も目覚めた。朝食は山小屋にしては遅めの6:00から。5分前には朝食の準備ができましたと館内放送があり、3分前に山の神とともに食堂に赴いた。一番のりかと思いきや2番目。お弁当(おにぎり2個、燻製卵とソーセージなどが付いて800円)も頼んであったので、席につくと、忘れてならじとばかりにすぐに出てくる。昨日夕飯時に食堂で見た面々が続々と現れる。なかには常連のおじいさんもいて、スタッフによく眠れましたかなどと声をかけられていた。
左:尾瀬沼ヒュッテのテラスから燧ヶ岳を望む 右:尾瀬沼ヒュッテを振り返る
あたふたと支度を済ませ、小屋の前で記念撮影(冒頭写真)。ヒュッテの巨大テラスからこれから登る燧ヶ岳の有姿を仰ぎ、6:55山の神とともに出発した。昨日休憩した長蔵小屋の売店の横を抜け、まずは大江湿原に出る。昨日愛でたお花を横目に進んでいくと、前方から単独行の方がこちらに向かって歩いて来る。後方からはわれわれと同じヒュッテから出発してくる2人組が見える。皆出発タイムか。
左:長英新道(燧新道)入口 右:汗をかいてレイヤー調整
湿原を離れて少し登ると、長英新道(燧新道)の分岐が出てきた。ここからが本格的な登山道になる。出発時に冷えていたこともあり、山の神も私も長袖のシャツを着ていたのだが、たちまち汗だくになって、長袖をザックに仕舞うことに。ザックを下ろしたついでにペットボトルのお茶をひと口飲む。間髪置かず出発し、シラビソの鬱蒼たる森を横移動していく。
左:シラビソの森を進む 右:3合目上部にあった遭難者用ソリ
1枚脱いでせっかくクールダウンしたのに、気温が低いようで露出した腕がやたらと冷えてくる。歩いているうちに気にならなくなったのだが、今度は適当な休憩場所が見当たらない。2合目を過ぎた辺りから、休憩しようと山の神と話していたのだが、まったくそうした場所がないのだ。でもいずれは出てくるもので、ベンチになりそうな倒木が目の前に現れた。ただすでに8:14にはなっていたが、、、
尾瀬沼と奥に日光白根山
休憩していると体が冷えてきて、早々に切り上げる。腰を上げて歩き出すと3合目の標示。やがて4合目に出て、展望が開ける。尾瀬沼の奥には雲を従えた日光白根山を遠望できた。
左:歩きにくい石ごろごろ道 右:ハシゴもあった
この辺りから急登地帯に突入だ。石がごろごろしていたり、ハシゴがかけてあったりで、難儀な道になってくる。登山道が狭くなった頃、学校登山とおぼしき15,6歳の少年たちが大挙下山してきた。だいじょうぶなんだろうかねと心配になるくらい皆軽装。尾瀬は観光地だから、油断しがちだけど、せめて学校行事で訪れるなら、先生にはちゃんとしてもらいたいものだ。
左:リンドウとアキノキリンソウ 右:5合目上部にちょうどいい休憩地
さて、急登を越えると、一服してってよといわんばかりの小広い場所に出た(9:10)。腰かけてってよという倒木まであって、休まないわけにはいかない。すぐ目の前には俎嵓。そして、リンドウやアキノキリンソウ、マルバダケブキなど、ちょっとしたお花畑が広がっていて目を楽しませてくれる。
7合目を過ぎると森林限界。尾根に出て一気に展望が開ける
休憩地からひと登りすると、ナデッ窪からの道と合わさり、森林限界になる。ハイマツとシャクナゲが密生している。見上げると、点々と登山者が山頂に向かっているのが見えた。
左:俎嵓(まないたぐら)、左端に柴安嵓(しばやすぐら) 右:柴安嵓の石碑
最後の急登をよじり、10:05俎嵓に到着した。祠のある山頂にはすでに数人の登山者がいて、展望を楽しむ人、食事中の人、記念撮影に勤しむ人と思い思いの山頂を楽しんでいた。われわれもひとしきり展望を楽しみ、さあ、隣にも行こうかねと山の神に声をかけると、なぜか渋る。ええっという感じだ。まさか行かないの?と聞くと、どうしようかなと。柴安嵓に行けば、尾瀬ヶ原と至仏山が真正面に見えるはずだよ、それからあっちで昼食のほうがよさそうだというと、なんとなく行くことに落ち着いたのだった。
下って、登り返して10:35柴安嵓到着。思ったとおり、絶景が広がっていた。やはり来てよかった。しかも広い山頂で、開放感抜群。さっそく尾瀬沼ヒュッテでつくってもらったお弁当を広げ、おにぎりをほおばる。副菜の燻製卵は絶品だった。
柴安嵓からの尾瀬ヶ原と至仏山
手前から2列目左のなだらかな山容を見せるのが平ヶ岳。日本海側は青空が覗く
昼食後は、再び下って登り返し、11:30まだ多くの登山者がいる俎嵓に戻った。休むにはまだ早いから素通りだと、御池(みいけ)に向けて下山開始。御池への道をとると、かなりのご高齢のおじいちゃんがあえぎながら、ちょうど登ってくるところだった。こちらの道も長いから大変だったろう。
左:熊沢田代へ下りていく 右:モウセンゴケの群生地、広沢田代
楽しみにしていた熊沢田代は山頂付近からもう見えている。しかし、歩けども歩けども到着はしない。柴安嵓から休憩なしで1時間20分も歩き、ようやく池塘にはさまれた熊沢田代のベンチに到着した。クタクタで座りたいと念じながら、ベンチの前まで来たのだけれど、満席。と、驚きの瞬間が訪れた。休憩していた年配の方2人が突如として席を立ち譲ってくれたのだ。私たちはだいぶ休憩したから、どうぞ、どうぞと。ありがたいことだ。
12:38次は広沢田代だと木道を再び歩き始めた。だいぶ消耗して、山の神も私も疲れた、疲れたと口をついて出始めていたけれど、再び湿原に出ると、ちょっと心やすらぐ。よく見ると、モウセンゴケがいたるところに自生していた。
左:ガラガラの御池駐車場に下山 右:七入では愛車エスクードがぽつねんと1台きり
石ころだらけのすごい急な坂をバンバン下らされて、足がジンジンして、そろそろ動かなくなるんじゃないかと危惧し始めた頃、ようやく温泉小屋と御池の分岐に出た。もう終着点まで目と鼻の先だ。登山者をカウントするセンサーを通過し、駐車場に上がる。おお、着いたよと。月曜だけあって、駐車している車は非常に少ない。もう8月も終わりだしね。
14:00御池着。自販機で買ったジュースをグイグイ飲み、バスが来るのを待つ。会津高原駅まで行くバスが14:40発だ。車を置いてきた七入にも止まる。お待ちかねのバスが来ると、大半の登山者が御池に車を停めていたのだろう、ほとんどが降りて、がら空きになった。山の神とバスに乗り込むと、すぐに発車し山道を下っていく。対向車はほとんどない。やがて15分ほどで七入に着いた。降車して人の喧騒がなくなっているのに気づいた。そして自分の車を見たときにはもう、あっけにとられてしまった。昨日の満車状態とは打って変わって、よもやの1台だけ。夏の終わりを痛感した。
エピローグJアラートが鳴りっぱなしにつづく
Part1七入から尾瀬沼へ戻る
燧ヶ岳、足ぼろぼろ下山コースへ戻る