目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

紅葉の榛名富士・烏帽子岳・鬢櫛山Part2

2016-11-27 | 山行~上州

Part1のつづき

鞍部で休憩している隙に、先ほど追い越した単独の年配者が横をすりぬけていった。

5分後に山の神とともに烏帽子岳へと腰を上げた。まずは加護丸稲荷の鳥居をくぐる。台風のせいなのか向かって右手の狛犬が登山道にズレ落ちてきていた。少し進むと、すぐに榛名富士から見えていた通りのきつい斜面に変わる。視線を上にやると、先ほどの単独者がゆっくりと登っているのが見えた。追いつけそうだなといいながら、息を切らし、急登にとりつく。傍らには目を引く、黄色く色づいた美林が広がっていた(右下の写真)。来た甲斐があるというものだ。

 
左:加護丸稲荷の参道。右手の狛犬が登山道にはみだしてきていた 右:一幅の絵のような紅葉 

よく整備された道を上がっていくと、巨岩と小さな鳥居が見えた。 加護丸稲荷だ。岩場をよじって、鳥居のところに上がると、大量の陶器のおキツネ様が奉納されていた。ほとんどが壊れていてちょっと怖い感じもある。岩の穴につくられた祠にお参りし、先に進む。

 
左:加護丸稲荷 右:烏帽子岳山頂に広がる笹原

すぐに笹原に出た。山頂はどこだと山の神に言いながら広い笹原を進み、端っこのほうに来て、ようやく山頂の標示を見つけた(11:10)。先行していた単独者がそこで休んでいた。

昼食にしようというと、山の神がそこにレジャーシートを広げた。おにぎりをほおばり始めると、後からおじいちゃんと孫が到着する。しかし、この先に何かあるようなことを言いながら、笹原を奥へと分け入っていくではないか。その後すぐにまた別のパーティが来たが、同じようにこの山頂を通過していく。なぜ?


烏帽子岳の展望台から榛名富士・榛名湖・氷室山を望む

この笹原の奥にはもしかして、ビューポイントがあるんじゃないか。山頂を素通りしていった登山者は行ったきり戻って来ない。11:53昼食を終え、山の神とさっそく探検に出た。獣道のような笹原の細い道筋をたどっていくと、狭いながらも展望台が出てきた。ほお、見晴らし抜群だ。先ほどの登山者たちは、肩を寄せ合うようにここで昼食をとっていた。


これも烏帽子岳展望台から。相馬山と二つ岳

こんないい場所があったのか。知っていれば、ここで絶景を見ながらご飯にしたのに……。後ろ髪引かれながらも、狭い展望台を後にした。

 
左:鬢櫛山山頂 右:鬢櫛山の紅葉

サクサク下って12:13鞍部に戻る。ここで山の神が膝の違和感を訴え、下ることになった。最初はいっしょに下ろうと思ったのだが、予定していた鬢櫛(びんくし)山もやはり行きたい。山の神に行ってもいいよ、下でお茶して待っているからといわれ、それなら全速力で登って下りてくるわといって、別行動をとることになった。

トップギアでガンガン登る。樹間から見える紅葉がきれいだ。心臓をバクバク言わせながら、やがて超地味な人っ子一人いない狭い山頂に到着した(12:36)。ここで一息つき、来た道をトンボがえりだ。


鬢櫛山下山後、湖畔から紅葉の榛名富士を望む

山の神と別れた鞍部までは戻らず、その途中の分岐から榛名湖畔へと下った。誰にも会わずに湖畔に出る。湖畔は予想外に紅葉が美しかった。観光客がそぞろ歩きをしている。山の神に「いま湖畔に出た」とメールをすると、喫茶店には入らずに烏帽子岳の登山口にいるという。

 
左:榛名湖畔の遊歩道を行く 右:湖畔の紅葉は庭園のようだった

13:08山の神と合流。ここから湖畔の紅葉地帯をぐるりとめぐる。湖面を渡ってくる風は冷たく、寒さでぶるぶるふるえそうなくらいだ。この冷たい風がきれいな紅葉をつくりだしているのだろうけど、寒すぎた。けっこう長い遊歩道を歩き続け、やっと榛名湖ビジターセンターにたどり着いた。自販機で熱いレモネードを買い、紅葉狩りの観光客だらけの湖畔のベンチで山の神とまったりする。

14:10頃ビジターセンターの駐車場に戻って帰途につく。まだまだ榛名湖を目指して上がってくる対向車を横目に見ながら、カーブの多い道を下っていくと、なんと伊香保の手前で渋滞にはまってしまった。もう、こんなところから渋滞するのか。のろのろ走っているうちに時間はどんどん過ぎていく。それでも、最近高騰している野菜が安いかもしれないからと、伊香保の食の駅に寄りたいと山の神。それなら地酒も買っていくかと寄り道してしまった。ちなみに山の神は、東京より安い野菜を大量に買い込み、地酒は永井酒造の谷川岳をゲットした(谷川岳はすぐに全部飲んでしまった。うまかった)。

食の駅の後は、まっすぐ関越道に上がったのだが、関越では恐ろしい事態が待ち受けていた。渋滞といっても止まらずにいつも流れている関越は、この日だけはまるで違っていた。中央道みたいな大量の交通量と事故で駐車場状態に陥った。伊香保から家につくまでになんと、ちょっぴりの休憩を入れて、5時間40分。おかげで翌日から腰に違和感を覚えることになった。

Part1に戻る

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紅葉の榛名富士・烏帽子岳・鬢櫛山Part1

2016-11-23 | 山行~上州

標高 榛名富士 1390.3m 烏帽子岳 1363m 鬢櫛(びんくし)山 1350m 群馬県

2016年11月6日(日) 晴れときどき曇り

メンバー 山の神と私

コースタイム 8:35榛名湖ビジターセンター駐車場8:55--9:35榛名山ロープウエイ山頂駅9:40--9:45榛名富士山頂9:50--10:20烏帽子岳登山口--10:38鞍部(分岐)10:43--11:10烏帽子岳山頂(昼食)11:53--展望台ピストン--12:13鞍部(分岐)--12:36鬢櫛山山頂--手前の分岐を下る--13:03車道--13:08烏帽子岳登山口鳥居--13:12榛名湖畔遊歩道--13:55榛名湖ビジターセンター

榛名湖周辺の山に行くときは、伊香保温泉とセットだ。近いからいつでも行けるのだからと、この山域は封印しておいたのだが、どうやら一遍に歩くには、たいへんそうだということが、だんだんわかってきた。きちんと調べてみると、1日では歩ききれない楽しそうな山がいくつもあるではないか。ならば日帰りで行ってみるかと山の神を誘うと、常々私が言っていた、伊香保温泉とセットじゃないのと逆に聞かれてしまった。めぼしい山はこれだけあって、こんなに時間がかかるのだと山地図を指し示し、さらにネットにいま、紅葉真っ盛りと出ているというと、それならとなった。


榛名湖ビジターセンター駐車場より榛名富士を望む

ちょっと寝坊したこともあって、自宅を出たのは、5:45になっていた。いつもより遅いせいか、関越の上里SAに入る頃には、もう観光客で混んでいた。空いているテーブルの一画を山の神と占め、昨日スーパーで買っておいた菓子パンで朝食にした。高速を下りて、コンビニで昼食おにぎりなどの買出し。上毛三山パノラマ街道に入り、まっすぐ進んでいく。

8:35榛名湖ビジターセンターの駐車場に到着した。もうすでに車は何台も停まっている。支度を済ませトイレに寄って、8:45山の神とともに駐車場を後にした。

 
左:榛名湖畔では乗馬を楽しむ人もいた 右:榛名山ロープウエイ山頂駅横にある東屋

登山口には、もう下山してきた人たちがいて記念撮影をしていた。榛名山ロープウエイを使って上がり、下りを歩きにしたようだ。登り始めると、期待したほど紅葉はきれいではなく落胆。緑の葉もあれば、枯れてくしゃくしゃになった葉、すでに散ってしまって枝ばかりになっているところもある。紅葉しているところもあるにはあるが、それほどすばらしくはない。

高度を稼いでいくと続々とハイカーが下ってくるものの、かたや登っている人はその半分もいない。ちょっと汗ばんだ頃、ロープウエイの山頂駅に着いた。思った以上に観光客が多い。

 
左:榛名富士神社参道と山の神 右:山頂の榛名富士神社。皆神妙にお参り

5分ばかり水分補給で休憩し、榛名富士神社の参道をたどった。9:45榛名富士山頂の神社に到着。山行の無事を祈願して、社の横のちょっとした展望台で相馬山方面を見渡す。すばらしい景色が広がっていた。

 
左:ひと際そそり立っていて目立つ相馬山 右:榛名湖温泉ゆうすげに向けて下る

9:50人が多いのを避け、山の神とともに早々に山頂から退散した。次の烏帽子岳へ向けて、北側斜面に付けられた登山道を下っていく。日影でしかも少し風があって、一気に冷え込んでくる。山の神はすぐに上に1枚はおって寒さ対策をとった。

 
左:次に登る烏帽子岳が見えた 右:烏帽子岳登山口の小さな鳥居

北側斜面の木はほとんど葉を落としていたが、下っていくとちらほらと紅葉が目につくようになる。車道に出て榛名湖温泉ゆうすげまで下ると、真っ赤に色づいた見事なもみじがあった(冒頭写真)。

10:20紅葉真っ盛りの公園に向かう観光客たちの横をすり抜けて、烏帽子岳の登山口である鳥居をくぐった。

 
左:登山道から見上げると、なかなかの紅葉 右:烏帽子岳・鬢櫛山分岐の鞍部に出る

こちらの山は、登山者だけの世界で、観光客がいない分、静寂が守られている。息を切らしながら、一所懸命登っていくとやがて鞍部に出た(10:38)。鬢櫛(びんくし)山と烏帽子岳の分岐だ。指導標が立てられていて、圧倒的に烏帽子岳へ行く人のほうが多いと思うのだが、なぜか鬢櫛山のほうが大きく表示されていた。ここで水分補給のため、山の神と休憩にした。

Part2につづく

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ヒマラヤの未踏峰に挑むドキュメンタリー映画『MERU(メルー)』

2016-11-13 | テレビ・映画

先日映画『MERU(メルー)』を観る機会があった。ヒマラヤ山脈メルー中央峰にそびえる未踏峰、通称“シャークスフィン”を登るドキュメンタリー映画だ。未踏峰に登るのに、カメラを持ち込んで映像を撮り続けるとは、、、とまず思ったのだが、登るご本人、ジミー・チンは、「ナショナルジオグラフィック」に写真や動画を寄稿するほどの人物。自ら監督を務め、この映画をつくった。

 大きな写真は、監督のジミー・チン

この未踏峰にチャレンジしたのは、コンラッド・アンカー(Conrad Anker)、ジミー・チン(Jimmy Chin)、レナン・オズターク(Renan Ozturk)の3人。驚くほどの強い意志とスキルと体力を兼ね備えた屈強なクライマーたちだ。なかでもコンラッド・アンカーは、1997年南極大陸ドローニング・モード・ランドRakekniven峰にジョン・クラカワーらとともに初登を果たしているつわもの。「ナショナルジオグラフィック」1998年2月号に掲載されているというから、書棚のバックナンバーを引っ張り出してみたら、たしかに掲載されていた。また1999年エベレストでのジョージ・マロリー遺体捜索隊にも参加していて、世紀の発見をしている。

 有名なトップクライマー、コンラッド・アンカー

彼らのシャークスフィン最初のトライは2008年。惜しくも山頂の100メートル手前で断念することになる。その3年後再びチャンスがめぐってくる。しかしそれは、多難な挑戦になった。家族との感情の軋轢を生み、危険を冒すことへの苦悩を強いられる。加えて、出発前に、ジミーとレナンが雪崩に遭い、深刻な事態をもたらした。

それでも彼らは屈することなく、数々のトラブルを乗り越え、ヒマラヤへ飛ぶ。登り始めたら最後、クラックや足場のない垂直の壁をただひたすらよじっていくことになる。

 山野井夫妻のコメントと、泰史さんの寄稿文

映画ではこの3人だけを追いかけるのではなく、家族や関係者をも登場させ、第三者からの視点も入れる。とくに「ナショナル・ジオグラッフィック」に何度も寄稿しているジョン・クラカワーの存在感がすごい。ジョン・クラカワーもトップクライマーの一人だ。あの1996年のエベレスト大量遭難事故の現場に居合わせていて、壮絶なルポを書いている(『空へ(into the Thin Air)』)。うちの書棚を見たら、BOOK OFFに旅立つことなく、前作の『荒野へ(into the Thin Air)』や、『エベレストより高い山(A Mountain Higher Than Everest?)』 とともに鎮座していた。そんな山を知り尽くし、経験豊富な彼の鋭い解説や批判が、映画にアクセントをもたらしている。

山好きのあなたには必見の映画。きっと壮大な映像美と、彼らの内面の葛藤やチャレンジ精神に圧倒され、感動を覚えるはず!

注:シャークスフィンは、厳密にいうとロシア人クライマーが別ルートですでに登頂している。ただ垂直の壁を登っていないということで、世界のクライマーたちが競っていた。

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分水嶺と笠取山

2016-11-03 | 山行~奥多摩・奥武蔵

標高 1953m 埼玉・山梨県

2006年9月10日(日) はれ

メンバー 山の神と私

コースタイム 8:30作場平駐車場8:40--9:38笠取小屋直下9:50--10:15笠取小屋10:20--11:02笠取山山頂--11:30水干(みずひ)・水神社(昼食)12:30--12:50笠取小屋--13:25一休坂ベンチ13:35--14:00作場平駐車場

山梨百名山の笠取山を直近で訪れたのは、もう10年前になる。その前に単独で登っていたのだが、2006年まで結構な間が空いていたのは、国道411号から狭い道を上がっていくのがちょっとなあと思い、敬遠していたかもしれない。

この日は5:00に起床し、さくっと準備、5:20に自宅を出発した。吉野街道に入る手前のガソリンスタンドで給油し、そののち街道沿いのセブンイレブンで買出し。7:00過ぎツーリングのバイクで賑わう小河内ダムの駐車場に入って朝食をとった。

 
左:作場平の駐車場。現在はトイレ完備 右:登山口

7:40小河内ダムを後にして、先場平の駐車場には8:30。すでにもう登山者の車が何台か停まっていた。身支度を整え8:40山の神とともに駐車場を出発した。車道を少し歩くと、すぐに登山口が出てきた。さっそく森の中に入っていく。すぐにアミタケらしきものを採っている2人に出会う。9月初旬なのに、もうキノコが生えているのかといぶかしく思う。

 
左:一休坂分岐 右:笠取小屋直下の休憩ポイントにて

やがて「源流のみち」と書かれた一休坂分岐に差し掛かる。まだ休憩するには早いよなと山の神と通過。しばらく歩いて、駐車場から1時間ほどが経ち、まだ笠取小屋までは少しあるから、そろそろ休憩にしようと、ミズナラの樹林帯の中で腰をおろした。

 
2点とも:笠取小屋

その休憩ポイントから笠取小屋までは、25分くらいだった。突然目の前が開け、ちょっとした広場に出ると、そこに笠取小屋があった。小屋の前では、話し込んでいる2人組がいて、1人は年配の方で捕虫網を持ち、もう1人も同年輩くらいでやたらと声が大きい人だった。捕虫網の年配者は、蝶の研究者なのか、下山時に再びこの小屋前で見かけた時には、息を切らしながら蝶を追いかけていた。


気持ちのいい道が続く

小屋から少し進むと、防火帯のような場所に出た。以前一度訪れたときには、もっと木が生い茂っていたような気がする。切り株が散見されるのは、その証拠だろうか。直射日光を受けながら、暑い暑いとあえぎながら進み、やがて最後の急登にさしかかる。


最後の超ド級急勾配を上がる山の神

ほとんど壁のようなところを攀じり、11:02笠取山山頂に着いた(冒頭写真)。昼メシはどうしようかと山の神に声をかけると、なんかここは暑いし、それほど腹も減ってないから先へ進もうと。それなら、とりあえず水干(みずひ)まで下ろうということになった。

 
左:水干(みずひ) 右:水神社。左手にある、溝の彫られた玉は何なのだろうか。何かを象徴しているような?

11:30水干まで下って、誰もいないなか、山の神とのんびりと昼食にした。

昼食後、ここより少し上に水神社があるので、そこまで行こうと、山の神を誘うと、キッパリと行かないという。それならと一人でよじ登ると、小さな祠があるだけだった。お参りをして、踏みあとがはっきりしない道を下った。山の神と合流し、12:30水干を後にする。

 
左:山の神は水神社をお参りせず、下で休憩 右:分水嶺の案内板にあった図解

その後、上り時にパスした分水嶺に立ち寄って写真撮影。ここが起点になって、降った雨は3つの河川、荒川・多摩川・富士川に分かれるというから不思議な感じがする。

  分水嶺の碑。ここを起点に荒川、富士川、多摩川へ

あとはひたすら来た道を引き返すだけだ。12:50笠取小屋まで戻り休憩。13:25には、ベンチが置かれていた一休坂で休憩。14:00蒸し暑い駐車場にたどりついた。

道路が混まないうちに早く帰ろうと、14:10には帰途につく。とはいっても、道中は長い。途中新奥多摩街道沿いのファミレスで、パンケーキとドリンクバーでゆるゆるとティータイム。自宅には18:30に到着した。

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