目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

富士の山旅

2014-07-19 | 山・ネイチャー・冒険・探検の本

001 『富士の山旅』服部文祥〔編〕(河出文庫)

どういう基準で選ばれたのかは、よくわからないラインナップになっている。富士山にまつわるいろいろな小編が集められている。あとがきを読むと、編者の服部文祥さんが知らない作品も入っているということだから、河出書房新社の編集者がほとんど選んできたものなのだろうね。ここのところの富士登山ブーム、そして世界文化遺産登録による盛り上がりで、一気呵成につくってしまったのだろうか。そして山登りやっている人にはちょっと名前の知れた服部氏の名を冠して。

冒頭の河東碧梧桐は、失敗だろう。こんな固いつまらない散文を、トップバッターにするなんて。でもトップにもって来られるものがないか。がまんして読んでいくと、そんなのあるのかと突っ込まれそうだが面白いもの(?)もある。個人的には、お中道の話や冬場の山頂での気象観測のエピソードは、秀逸に思う。

作家の名前だけ見ても、有名人が並んでいて、それだけでも楽しめるし、何が書かれているのだろうかと、わくわくさせられる。山のエッセイの走り、田部重治の親友にして、山仲間、小暮理太郎。誰もが知っている100名山の人、深田久弥。『孤高の人』のモデル、加藤文太郎。あちらこちらにある歌碑をみて思い出す、大町桂月。

ラフカディオ・ハーンの山行記は、時代を感じさせ非常に興味深い。当時の山登りがいかなるものだったかが窺い知れる。画家の竹久夢二の登場は意外だった。なよなよしすぎで、山登りのイメージとはかけ離れすぎている。俳人の飯田蛇笏、歌人ののんべ大将、若山牧水も出てくる。いっぽうでは、ほとんど無名といっていい方々も出てくる。

玉石混交のきらいがあるけれども、全体としてみれば、秀作だし労作といえる。これだけよくも富士山関係を集めましたとねぎらいたくなる。今度は、戦後生まれ以降の方々による現代文に限定して、富士山小編集をつくってほしいところだ。小編なら探せば、いくらでも出てきそうだ。日本人が愛して止まない山、それが富士山だからだ。

富士の山旅 (河出文庫)
クリエーター情報なし
河出書房新社
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ヤマヒルに悲鳴、丹沢山

2014-07-12 | 山行~丹沢・道志

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2014年7月6日(日) くもり

メンバー 山の神と私

コースタイム 7:15塩水橋駐車スペース7:23--わさび沢出合--8:37林道途中で休憩8:42--9:00堂平登山口--9:28砂防ダム手前指導標9:38--10:14天王子尾根分岐10:20--11:00丹沢山(昼食)11:50--12:56塩水林道出合(堂平登山口)13:05--14:18塩水橋駐車スペース

天気予報を見て、梅雨の晴れ間だと喜び勇んで丹沢に行ったのだが、天気は終始くもり。山頂一体は白いガスに覆われていた。やはりこの時期の山は雲が集まりやすい。

駐車スペースがすぐに埋まってしまうことを事前にネットでチェックしていたこともあり、近場ながら家を5:00過ぎに出発。しかし、途中で朝食タイムに50分も費やしてしまい、到着は予定の時間をオーバーしていた。

中央道から塩水橋へのアクセスは悪い。くねった狭い道を通ることになる。しかも宮ヶ瀬湖から離れると道は極端に狭くなり、すれ違いに難儀することになる。行きは1台だけだったのだが、帰りは何台もすれ違うことになった。行き止まりの道ではないので、たんなるドライブで走っている人もいるのだ。

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左:塩水橋。駐車スペースは10台分くらい 右:林道歩きが長い

虫よけのパッチを貼って、山の神とともに塩水橋を7:23に出発した。長い林道歩きの始まりだ。前を歩いていたおじさんにつられて、いきなり道を間違える。下山路に使う予定だった本谷林道(天王寺尾根方向)に進んでしまう。5分ほど歩いてそれに気づき引き返した。しかも本谷林道は、崩落していて通行止めの標示が出ていた。

野鳥の声を聞きながら塩水林道をいくと、わさび沢出合と小さく書かれた分岐があった。そこへ入っていくとコースタイムを10分短縮できるようだが、2013年版の昭文社地図では、点線になっている。荒れているのだろうか。もともとこのコースに入るつもりでいたのだが、そうと気づかずに通過してしまった。

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左:堂平登山口から上がってすぐの地点 右:天王子尾根分岐。本谷林道通行止めのロープ

9:00堂平から登山道に入る。久々の山行で、寝不足もたたってか、山の神も私も足取りは重い。ここに来るまでにすでに2パーティに追い抜かれた。

へばり気味で、何か口にしようと、9:28砂防ダムの上部を渡る道標地点で休憩にした。ザックを下ろして腰掛けたとたん、「きゃあ!」と山の神が尋常ならざる、どデカい悲鳴をあげた。マムシでも出たか!と思ったら、ヤマヒルだった。山の神がいうには、何かヒリヒリすると思ってパンツの裾をめくったら、茶色くて長ひょろい、ぬらりとしたものが足にへばりついていたと。瞬時に払いのけ、ヤマヒルはどこかにすっとんでしまった。このあたりは夏場に出るんだね。ヒルは血を吸うわけだけど、血が固まらないように酵素を出すから、出血が止まらない。しばらく血止めをしておかなければならない。

10:14天王子尾根分岐に着いた。天王子尾根への道にはロープが張られ通行止めになっていた。先ほどの本谷林道の崩落の影響だ。

 

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左:ブナの原生林が美しい 右:白いガスに覆われ幻想的な風景に

ここからしばらくは、ブナの原生林で落ち着いた雰囲気の森。非常になごみます。山頂に近くなってくると、ガスが濃くなってきた。

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左:山頂にある、みやま山荘 右:ピストンで元来た道をたどる

11:00丹沢山山頂に着いた。若者のパーティでにぎわっていた。どこの山も団塊の世代ばかりなのだが、この山域は例外で若者が比較的多いのかもしれない。

丹沢山といえば、富士山の絶景ポイントでもあるが、目の前は真っ白で、何も見えなかった。あとから来た人たちも、しきりに残念がっていた。山の神とそそくさと昼食をとり、下山開始だ。

 

002img_7586 唯一の鎖場を山の神、下山中

帰路は、天王寺尾根が通行止めになっていたので、予定変更でピストン。また長い長い林道を下ることになった。おかげで翌日には、足の付け根や、お尻のあたりが痛いという珍しい症状が出た。

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左:盛大に咲いていたウツギ 右:アカバナシモツケソウ

登山道には、きれいな白い花が咲き乱れていて、なんだろうと気になって家に帰って調べたところ、それはウツギだった。 通称卯の花。卯月に咲く花で卯の花なのだが(もちろん旧暦の4月で今でいえば5月)、この山域では6月に最盛期になるようだ。ウツギに対抗するように赤い花も咲いていた。鎖のあったガレ場に、アカバナシモツケソウを見つけた。

さて下山タイムは14:18。山の神も私もくたくたになって下山したのに、まだ駐車したままの車が多数あった。ということは、丹沢山のさらに奥、塔ノ岳まで足を延ばした元気な人たちがけっこういたのかもしれない。ただ丹沢山頂で寝転んでいる人もいたが。

帰りの中央高速は、圏央道開通の恩恵か、ここは駐車場かという、いつもの渋滞にはならずに比較的流れているほうだった。今後もこの程度の渋滞であってほしいものだ。

 

参考:当ブログ「丹沢縦走 鍋割山~塔ノ岳~丹沢山~蛭ヶ岳」
http://blog.goo.ne.jp/aim1122/d/20101127

 

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ニッコウキスゲの大群落、霧ヶ峰・車山

2014-07-02 | 山行~八ヶ岳とその周辺

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標高 1925m 長野県

2005年7月18日(月・祝) 晴れ

メンバー 山の神と私

コースタイム 7:53霧ヶ峰スキー場の駐車場8:05--9:20車山肩(コロポックルヒュッテ)9:35--10:05車山山頂10:20--10:55蝶々深山(ちょうちょうみやま)11:03--11:20物見岩(昼食)11:55--八島ヶ原湿原--13:05ヒュッテ御射山(みさやま)13:15--留塚--強清水(こわしみず)駐車場--14:20霧ヶ峰スキー場の駐車場

こんなにすごいとは思わなかった。もちろんニッコウキスゲ。北海道みたいなスケールで一面ニッコウキスゲの黄色い花が続く。訪れたのは9年前だが、毎年大勢の観光客がこの大群落目当てにやってくるようだ。写真愛好家も、ベストショットを狙って、三脚片手に早朝からかけつける。駐車場も下のほうに停めれば、問題ないが、最寄の車山肩の駐車場はたちまち満車になるので注意が必要だ。

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左:霧ヶ峰スキー場の駐車場 右:車山肩への道は身動きできないほどの大渋滞

5:03家を出た。いつものようにコンビニで買出しをし、中央高速に乗った。双葉SAで朝食をとり、7:53霧ヶ峰スキー場の駐車場に到着。まだ閑散としていたが、後から後から車はやってくる。8:05身支度をして山の神とともに車山を目指して出発する。まずはスキー場の草原のなかを上っていく。早くもニッコウキスゲのお花畑がつづく。

 

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みごとなニッコウキスゲの群落。写真愛好家のみなさんの数もみごと

しばらく歩くと、鐘(霧鐘塔)が出てきた。そしてビーナスラインの分岐、霧の駅が見える。当初の計画では、霧の駅に車を停める予定だったのだが、間違いに気づかずに車を手前に停めてしまった。まあ、たいして変わらないか。

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左:車山山頂の気象レーダー 右2点:車山山頂の標柱 

9:20少々遠回りになったが、予定より早く車山の肩に到着した。すでに大勢の観光客がいて驚かされる。3連休だからね。ここからだらだらと上り、10:05車山山頂。気象レーダーが景観を台無しにしている感もあるが、そんなことはおかまいなしに大勢の観光客とハイカーがくつろいでいた。中にはもうお弁当を広げている人もいる。山頂は、思いのほか気持ちのいい風が吹いていて居心地がよかった。

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白樺湖と蓼科山

10:20下り始める。目の前には、白樺湖と蓼科山、北八ツの山々の大パノラマだ。爽快な気分で進む。回り込んでいくと、またニッコウキスゲの群落が眼を楽しませてくれる。

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左:物見岩 右:八島ヶ原湿原

10:55蝶々深山(ちょうちょうみやま)に着いて、休憩にした。ここにも大勢のハイカー、登山者がたまっている。ふと視線を遠方に移すと、八島ヶ原湿原が望めた。

蝶々深山を後にして進んでいくと、1箇所草がまったくついていない場所が見えてきた。近づくにつれ、左手に岩が見えてくる。それが物見岩だった。ここにも大勢の人がいたのだが、スペースを見つけて、山の神と昼食にすることにした。

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2点とも:八島ヶ原湿原

八島ヶ原湿原は心洗われる風景が広がっていた。池塘となだらかな稜線、青々とした植生とブルースカイ。そんな風景をいつまでも見ていたいと思いながら、湿原をぐるりと1周した。ほどよく疲れてきた頃、休憩にはもってこいのヒュッテ御射山(みさやま)が出てきた。山の神と思わずそこに吸い込まれてしまった。

さて重い腰を上げて、最後のひと踏ん張りだ。トンネルをくぐると、強清水と書かれた指導標。用心深い山の神は、地図を出して見ているが、まず間違いない。そのとおり前進あるのみだ。留塚より防火帯に入る。再び山の神がこっちでいいのだろうかと疑り深く地図を出す。こっちでいいのだ。でも踏み跡はしっかりとはついていない。あまり歩かれているコースではないのだろう。しばらく下ると車道、そして朝日ビル社有地が出てくる。交通量の多い道に出て、左に折れると、強清水の駐車場に出た。売店でソフトクリームを買い、高原の風で涼む極楽のひととき。愛車への帰還は14:20となった。

この後、中央道に乗ったのだが、3連休というのは、普段運転をしていない御仁が大勢走っている。へとへとに疲れている人も大勢走っている。何がいいたいかといえば、そう、そんな御仁が運転しているせいで事故が起きてしまう確率が飛躍的に高まるのだ。結果事故渋滞にどっぷりとハマって、家に着いたのは20:30になってしまった。

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