毎日バッハをきいていこう!

一日一バッハ




『バロックのヴァイオリン奏法』(シンフォニア)は、『The Art of Playing on the Violin』(冒頭のみ。長題なので省略)の全訳本です。1751年、ロンドンで出版された譜例多数の原著は、アルカンジェロ・コレッリ(1653~1713年)の高弟、フランチェスコ・ジェミニアーニ(1687~1762年)の手になるもの。訳本には原著にくわえて、サイモン・モリス(イギリスのチェロ奏者)による「ジュミニアーニの『ヴァイオリン奏法』について」という解説が付されており、一愛好家にとってはジェミニアーニの原著部分より、モリスの解説のほうが有用かもしれません。

ジェミニアーニの原著でおもしろいのは「まえがき」のくだり。つまり、「おんどり、かっこうどり、ふくろうなどの鳥の鳴き声、ドラム、フレンチ・ホルン、トロンバ・マリーナなどを真似たり、また変な格好をして指板の一方の端から他の端まで手を急に移動したりするなど、音の芸術というよりもむしろ手品師や格好のよさを好むといった類いの音楽愛好家は、この本からは何も期待してはならない」との言です。アカデミックで品のよい音楽家だったコレッリの弟子らしい「いかにも」な批判で、ヴィヴァルディや、のちの時代のパガニーニ、さらには現代のパンクロッカーまで(そのファンたちも)耳が痛そうです。

バロックのヴァイオリン奏法

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『ヴァイオリン・ハンドブック』は、2013年、ミュージックトレード社から発刊された、題名どおりのヴァイオリン解説本です。著者の山口良三による月刊「ミュージックトレード」での連載を再構成しまとめたもので、ヴァイオリンの購入しようとされているかた、すでに所持されているかたに便利な本となっています。ヴァイオリン音楽のきき手にとって有用なのは、第1章の「ヴァイオリンの誕生と歴史」と第5章の「音色の秘密~オールドヴァイオリンの魅力」ぐらいでしょうが、それはこの本の主たる読者を「ヴァイオリンに興味をお持ちの方、ヴァイオリンを勉強されている学生の方、アマチュア奏者の方、総合楽器店のご担当者、スクールオーケストラの弦楽器指導者の方々」としているためです。

ヴァイオリン・ハンドブック

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『パイプオルガン入門 見て聴いて触って楽しむガイド』(春秋社)は、オルガン奏者、椎名雄一郎が著したオルガンの入門書。「15歳の時にオルガンの美しさに魅せられ」(まえがき)た著者が、5章にわたってオルガンについて平明に記しており、オルガン音楽を楽しむための良質のガイドブックとなっています。バッハはもちろん、それ以外の作曲家、またドイツ以外の地域のオルガンやその音楽についても幅広くあつかわれています。オルガン音楽というと、ともすれば、バッハ以外、ドイツ以外を軽視してしまいがちです。しかし、そうした広い視座はバッハ、そしてその演奏を理解するうえで、とても重要なことだと思われます。

パイプオルガン入門 見て聴いて触って楽しむガイド

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『楽譜から音楽へ』は、フルート奏者バルトルド・クイケンの著作で、2018年、道話書院から出版されました。副題として「バロック音楽の演奏法」とありますが、「古楽(Early Music)をどのように演奏するかを解説した実践的な手引書ではない」(同書「はじめに」)とのこと。このブログで紹介したトン・コープマン著の『トン・コープマンのバロック音楽講義』との共通性は、ここに唯一無二の「こたえ」がないところでしょうか。ともかく、一愛好家にも読みやすく、さまざまなテーマが論じられ、「聴衆の態度」という項目もあります。なお、この本で一番驚かされたのはⅢ頁にある、松尾芭蕉の「古人の跡を求めず、古人の求めたるところを求めよ」のことば。バルトルドが、これを前々から知っていて引用したものなのか、とても気になるところです。

楽譜から音楽

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トン・コープマン著の『トン・コープマンのバロック音楽講義』は、2010年、音楽之友社から発刊された、8講と補講からなるバロック音楽の教本です。原著は1985年の発刊で、「音楽院の学生を対象に書かれたもの」(日本語版への序文)。日本語版はその翻訳(風間芳之訳)ですが、訳者の要請という、原著にないオルガンについての補講が書き下ろされています。もともとが学生のためとはいえ、たんなる愛好家が読んでも、「一音楽家のいわば『厨房』」(訳者はしがき)がのぞけるようでおもしろく読むことができます。なお、この本には解答がないという批判もあるようです。しかし、それはこの本の目的が「既成の答を提示することではなく、読者が自ら資料によって結論を導き出し、自らを相対化することを学んで、さらなる探求へと誘うことにある」(序文)ということですから、解答がないのもとうぜんのことです。

トン・コープマンのバロック音楽講義

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塚谷水無子著の『バッハを知る バロックに出会う「ゴルトベルク変奏曲」を聴こう!』(音楽之友社)は、塚谷の二つの録音のうち、大オルガンでの録音の体験談などをまとめたバッハ本。大オルガンでの録音→同書の出版→小オルガンでの録音と順番になるそうですが、すごく矢継ぎ早ですね。同書についてくわしくは、「クラシック・ニュース 著者 塚谷水無子『「ゴルトベルク変奏曲」を聴こう!』」の、塚谷本人のインタビューをぜひ。個人的な感想をいえば、録音における奏者の脳内がのぞけたようで楽しく、階名も一般的になじみのあるイタリア語表記、つまりドレミファソラシです。途中放棄せずに読んでもらいたいという意思がみてとれ、好感がもてます。ただし、序章に第16変奏、第28変奏、第29変奏がツカミとしておかれているので、完全な順番どおりでないのが難ありというところでしょうか。けっして研究書ではない、というと塚谷に失礼なのでしょうが、著者のCD「ゴルトベルク変奏曲」が手元にあるかたは、読んで損はしないでしょう。

バッハを知る バロックに出会う「ゴルトベルク変奏曲」を聴こう!

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樋口隆一著の『バッハ カンタータ研究』(音楽之友社)は、1987年7月に発刊されたバッハ研究書。先日、『バッハの人生とカンタータ』(春秋社)を紹介するさいに、「さらなる情報をもとめるならば」(記事は「樋口隆一著『バッハの人生とカンタータ』」)と、『バッハ カンタータ研究』を推奨したのですが、肝心の紹介がまだでした。『バッハ カンタータ研究』は、発刊からすでに30年が経過していますので、バッハ研究の最新成果は反映されていません。しかし、実体験をもとにした校訂作業における資料批判(第3章の5)など、日本ではあまり評価されない研究について知ることができ、じつに読みごたえがあります。

バッハ カンタータ研究

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『バッハの人生とカンタータ』(春秋社)は、2012年11月に発刊されたバッハ本です。著者の樋口隆一は、高名なバッハ研究者ゲオルク・フォン・ダーデルセンの弟子で、「新バッハ全集」の校訂者。近年では指揮者としても精力的に活動されています。『バッハの人生とカンタータ』は、「あとがき」にあるように、同名の連続講座をもとにしたもので、著者によれば「これからバッハの音楽を真摯に聴こうという読者のための本」ということ。とりあげられた音楽はカンタータだけでなく、受難曲、オラトリオ、ミサ曲もふくまれ、13章からなっています。NHKの講座として回数に制限があったのでしょうが、あと1章追加すれば「14」章でした(「あとがき」を入れると「14」になりますが)。ともあれ、『バッハの人生とカンタータ』はバッハの声楽曲入門編といえるもので、さらなる情報をもとめるならば、ちょっと古くなりましたが、著者の『バッハ カンタータ研究』(音楽之友社)をおすすめします。

バッハの人生とカンタータ

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「新編 バッハのすべて」(音楽之友社)は、2016年11月に発売されたバッハのムック。音友社によると、2013年12月に発売された「バッハのすべて」が「好評」のため、「パワーアップして再登場」させたもので、「強力執筆陣による最新のバッハ研究の成果を反映させた“新しいバッハ像”が描かれ」たムックとのことです。しかし、新編となってもとくに目新しさはなく、たとえてみれば、博物館や美術館の一部展示替えといった趣向です(新編のみ第4章として「バッハ・ルネサンス 新しい演奏の潮流」が追加)。インタビューもほとんどが、「音楽の友」と「レコード芸術」が初出で、この新編のためにセッティングしたインタビュー(トン・コープマンがそうなのかもしれません)があってもよかったのでは、と思ってしまいます。ともあれ、あくまでもムックですので堅苦しいことはいわず、初見の展示物を楽しむことに徹すればよいのでしょう。

新編 バッハのすべて

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このところずっときいている、エリザベート・ジョワイエによる「インヴェンションとシンフォア」。このアルバムは、フランスのアルファ(Alpha)・レーベル(輸入販売元はマーキュリー)のCDで、アルファ・レーベルのアルバムについては、このブログでもすでにいろいろと紹介しています。そのアルファ・レーベルから、CD付きの書籍として発売されたのが、『バッハを愉しむとき』(フランス語原題はBach La chair et l'esprit)です。同書は、ブリュノ・コクセ、バンジャマン・アラールといった音楽家たちが執筆した豪華本(別冊の日本語訳書籍付き)に、アルファ・レーベル以外の録音を含む、6枚の再編集CDが付されたセット。

音源そのものは、すでに手持ちがほとんどだったのですが、新発見の肖像画の写真と解説、そして完全日本語訳(78頁)付きということもあり、入手しました。バッハの生涯についても簡便にまとめられ、そして多彩な視座の演奏論は、なかなか読みごたえがあります。ただし、頁数制約のためか、日本語としては行間がせまいため、多少読みづらいところが難点でしょうか。なお、日本語訳では書名が大きく変えられています(原題は直訳すれば「バッハ、肉と魂」)。おそらく、日本人の手にとりやすくするための配慮なのでしょう。

Alpha 889

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辻荘一著の『J.S.バッハ』は、1982年、岩波書店から刊行された古典的バッハ本。「岩波新書で『バッハ』を世に問うてからすでに二七年が経過し」、「筆者のバッハ観も変化した」ため、改めて世に問われたのがこの『J.S.バッハ』です。バッハの生涯とその以前以後を追ったコンパクな評伝といえ(序論、第1章から第7章)、さらに「バッハの宗教心をたずねて」という補論も掲載されています。この補論の「神秘主義への共感」はなかなか興味深く読みことができます。なお、「辻荘一・三浦アンナ記念学術奨励金」(第1回から第5回までは「辻荘一記念学術奨励金」)は著者の名を冠した賞で、「キリスト教芸術研究上の功績を記念し、キリスト教音楽またはキリスト教芸術領域の研究者を奨励するため、1988年に設置されました」(立教大学)。受賞者には、礒山雅、樋口隆一、三宅幸夫、小林義武といった、著名なバッハ研究者が名を連ねています。

J.S.バッハ

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淡野(たんの)弓子著の『バッハの秘密』は、2013年、平凡社から刊行されたバッハ本です。カバーのそでに「バッハを歌い、指揮者として永年活躍してきた」とあるように、著者(1938年生)は、ハインリヒ・シュッツ合唱団・東京やムシカ・ポエティカといった団体とともに、シュッツやバッハを歌い、かつ指揮してきました。そうした活動の中で育まれた成果をまとめたものが同書で、バッハの秘密、つまり「バッハ音楽の隠喩・数秘術・修辞学」(カバーそで)が解明されます。そのテーマは、著者の活動歴からも想像できるように、ほぼ教会作品に特化されており、そちらに興味があるかたには一読の価値はあると思います。

バッハの秘密

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ニコラウス・アーノンクール著の『音楽は対話である』(アカデミア・ミュージック)。原著は1984年に出版された『Der musikalische Dialog』で、以前に紹介した『古楽とは何か』(音楽之友社)の姉妹編とでもいうべき書です。翻訳は那須田務と本多優之で、1992年に出版されています。現在流通しているのは改訂版で、初版(写真)とは装丁がかわっていますが、掲載内容についてはほぼ同一といえます。著者のアーノンクールが序文でも述べているように、『音楽は対話である』は、「学問的研究論文」集ではなく、「実践的な作業」(レコード)の解説書などをまとめ、「多くの人々にわかりやすい形で紹介した」ものといえるかと思います。演奏実践にあたり、アーノンクールの問題意識がどのへんにあったのか。『音楽は対話である』は、それをうかがい知る良書といえるでしょう。

音楽は対話である

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音楽関係の雑誌を整理していたら、ピアノ音楽誌「月刊ショパン」の2013年11月号が出てきました。たぶん、「月刊ショパン」で手持ちなのはこれだけだと思うのですが、購入したのは特集の「バッハを学ぶ意味」を読みたいがため。有田正広や鈴木優人が寄稿しており、いわゆる古楽の広がり、深まりを感じさせました。もちろん、さきごろ亡くなられた中村紘子の寄稿など、視座はピアノ奏者におかれています。

ところで、表紙写真の男性ですが、この「月刊ショパン」の表紙を飾ったころからだったと記憶しているのですが、世間をずいぶん騒がせました。最近はどうしているのでしょう。写真のひとを知ったのは、お騒がせよりずいぶんまえのこと。そして、はじめて名前をみたとき、どこまでが姓で、どこからが名なのか、まさか、「さむら・かわちのかみ」じゃないだろうな、とか妙なところで悩んだことを思いだします。

月刊ショパン No.358

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『新装版 対訳 J.S.バッハ声楽全集』(慧文社)は、先日紹介した『対訳 J.S.バッハ声楽全集 補遺』(記事は「『対訳 J.S.バッハ声楽全集 補遺』」)の正編にあたる歌詞対訳本です。訳者は補遺と同じく若林敦盛。教会カンタータ、世俗カンタータ、モテット、ミサ曲、マニフィカト、受難曲、オラトリオといった、バッハの声楽作品が網羅されており、この本に漏れた作品は補遺のほうに収録されています。手もとにあるのは、2008年刊の新装版(写真も同じ)で、補遺ほどではありませんが重宝します。

新装版 対訳 J.S.バッハ声楽全集

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