先週後半から今週前半は、ルーカ・オベルティの「Johann Sebastian Bach an italian journey」を楽しんできました。これからきくのは、バッハとイタリアといえば「これ」といえる、大本命の「イタリア協奏曲」(「イタリア趣味による協奏曲」)です。ヘ長調からニ短調に転じた第2楽章のアンダンテでのオベルティは、比較的速めのテンポをとりながらも旋律をよく歌わせており、オベルティがイタリア生まれの奏者だと実感させてくれます。なお使用楽器はキース・ヒルの2005年製チェンバロ(パスカル・タスカン)で、録音は2016年です。
先週後半に続き今週前半もきいていくのはルーカ・オベルティの「Johann Sebastian Bach an italian journey」(2016年録音)で、今日きくのはカプリッチョ「最愛の兄の旅立ちに寄せて」です。このBWV992は「メラー手稿譜集」によって伝承されており、一般的にはバッハの3歳年長の兄、ヨーハン・ヤーコプとの別れを描写したとされています。
これからきくのは、ルーカ・オベルティによるニ短調の協奏曲です。この独奏チェンバロのためのBWV974は、映画「ベニスの愛」のもちいられ有名になった、アレッサンドロ・マルチェッロのオーボエ協奏曲を原曲とする編曲。奏者のオベルティは、1982年、イタリア生まれで、クリストフ・ルセやピエール・アンタイに学んでおり、「Johann Sebastian Bach an italian journey」(2016年録音)は、初のバッハ・アルバムとなります。アンサンブルとしては、マルク・ミンコフスキの「ヨハネ受難曲」の録音にも参加していますね。
昨日からききはじめたルーカ・オベルティの「Johann Sebastian Bach an italian journey」、今日これからきくのはイ短調のファンタジーとフーガです。このBWV904は、オルガンでの演奏も多数あるのですが、このアルバムではチェンバロで演奏。楽器選択のみならず、ファンタジーの演奏では、雄渾な筆致か、繊細な筆致か、どちらかを強調したものに大別でき、演奏によってうける印象はおおきくかわります。オベルティのファンタジーは、雄渾さを基調にしながらも繊細な側面もあり、なかなか楽しめます。使用楽器はキース・ヒルの2005年製チェンバロ(パスカル・タスカンによる)で、録音は2016年です。
今週後半から来週前半にかけてきいていくのは、ルーカ・オベルティのチェンバロ。「Johann Sebastian Bach an italian journey」(2016年録音)と題されたアルバムから、6曲の収録曲を順番に楽しみます。収録されているのは、「an italian journey」とあるように、イタリアと直接的、間接的に関係した作品。まず今日きくのは独奏チェンバロのためのニ長調の協奏曲(BWV972)で、これはアントニオ・ヴィヴァルディの「調和の霊感」作品3第9番を原曲とする編曲です。オベルティの演奏でおもしろいのはラルゲット。速めのテンポ設定の中、レジストレーションとアーティキュレーションによって、リピエーノ(左手)とコンチェルティーノ(右手)をくっきりと対比させています。使用楽器は、キース・ヒルの2005年製チェンバロ(パスカル・タスカンによる)です。
先週からきいてきたコリン・ティルニーによるクラヴィーアのためのトッカータ。1988年に録音された「Bach:Toccatas for harpsichord」から収録順に楽しんできて、今日は最後のニ長調のトッカータ(BWV912)です。いかにもトッカータらしい即興的な部分にはじまり、アレグロ、アダージョ、フーガ、(トッカータ)、フーガ、(トッカータ)というふうに進められます。ティルニーは、グスタフ・レオンハルトの高弟のひとりで、1933年、ロンドン生まれ(1979年からはカナダのトロントを拠点)。演奏はきわだった個性を感じさせるものではありませんが、手堅くきかせてくれます。使用楽器は、イタリアの不明の製作者による18世紀のチェンバロです。
今週前半にきくのは、先週からきいているコリン・ティルニーの「Bach:Toccatas for harpsichord」で、これから楽しむのはニ短調のトッカータです。このBWV913は、いってみれば、トッカータとフーガがくり返され、曲のおわりにトッカータが回帰する構造。トッカータとフーガを2曲続けてきいているようでもあり、ティルニーの録音でも、7曲中このBWV913の演奏時間が最長となっています。使用楽器はイタリアの製作者不詳のチェンバロで、録音は1988年です。