四旬節第3日曜日(復活節前第4日曜日)にきくのは、ポール・アントワーヌ・ベノス・ジアンとマ・ノン・トロッポ(コレクティフ・マ・ノン・トロッポ)による「罪に手むかうべし」(BWV54)です。四旬節の期間中のカンタータで、いまに伝承されているのはこのカンタータのみ。初演年には、1713年、1714年、1715年などがあります。四旬節第3日曜日用という用途も、ゲオルク・クリスティアン・レームスの台本がその日を指定しているためで、1714年の三位一体節後第7日曜日とする節などがあります。
ベノス・ジアンとマ・ノン・トロッポの録音は2020年。ベノス・ジアンは、フィリップ・ジャルスキー、アンドレアス・ショル、ラファエル・ピションに学んだカウンターテナー歌手。おそらく、両者とも、これがデビュー・アルバムとみられます。なお、アルバムにはBW54のほかに、「悲しみのいかなるかを知らず」(BWV209)と「消し去りたまえ、いと高き者よ、わが罪を」(BWV1083)が収録されており、後者の録音には、五味敬子(チェロ)が参加しています。
CD : Sonanero 17(Son ar mein)