毎日バッハをきいていこう!

一日一バッハ




今夜、しばしのあいだ楽しむのは、フォルテピアノ奏者、伊藤深雪の「モーツァルトの旅路」(TRITON OVCT-00038)です。なぜ唐突に伊藤深雪かというと、手すきのときに書棚のファイル整理をしていたら、伊藤の演奏会のチラシとプログラムを目にしたため。奥の方にしまっていたため、ひさびさに目にしたのですが、演奏会はケルンからの帰国直後(1991年)におこなわれたもので、前記アルバムの録音でももちいている、ヨハン・アンドレアス・シュタインのフォルテピアノ(ミヒャエル・ヴァルカーの1989年製)を弾いてのものでした。

そのときの演奏会はまだ伊藤の知名度の低かったこと、当時としてはフォルテピアノがあまりなじみのない楽器だったこともあり、お世辞にも盛況とはいえないものでした。また、聴衆の多くをしめていたのが、どうやら伊藤の家族縁戚、学友らしきかただったようで、なんだかひとり、場違いな感じもありました。が、プログラムの構成(解説も伊藤)、演奏ともにとてもすばらしく、興奮したことを憶えています。ここできくアルバムは2006年の録音。ピアノ・ソナタ第11番(K.331)とピアノ・ソナタ第8番(K.310)の2曲を選び楽しむことにします。

OVCT-00038

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昨日と今日きいた、ナディア・ツヴィーナー(ヴァイオリン)とヨハネス・ラング(オルガン)の「Nadja Zwiener & Johannes Lang - 1723」。このアルバムの主役ともいえるツヴィーナーですが、どうも見覚えがある顔だと思っていたら、ようやくおもい出しました。公式サイトで発売されたDVD(購入したのはDVD-Rだったかと)やBBC Four(ミッッキー・ホワイトの研究にもとづく)でのドキュメンタリーに出演し、ピエタのアンナ・マリーアを演じたヴァイオリン奏者でした。おもい出すのに時間がかかったのは、かれこれ20年ぐらいまえのことで、かつ、両日の記事を投稿するさいに、なぜかツヴィーナの名前を表記をまちがっていたため(すでに修正済)。

写真がたいへん小さく申しわけないのですが、上の中央、赤い服がアンナ・マリーア役のツヴィーナー。下はピエタ教会(ヴィヴァルディ死後の1761年に竣工)の金格子のはめられた回廊で歌うピエタの娘たち役の歌手たちです。映像はYoutubeで「Vivaldi's Women」と検索すればたくさん出てきます。なお、気になるのは公式サイトのリンクが切れてしまっていることです。合唱の4声部をすべて、つまり、ソプラノやアルト声部にとどまらず、テノールやバスの声部もそのまま女性が歌うという画期的な企画は、追従するものもないようで、どうなってしまうのでしょう。

Vivaldi's Women

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本流をはなれて今夜きくのは、ミクローシュ・シュパーニがタンジェント・ピアノを弾いて録音した「C.P.E. Bach: The Solo Keyboard Music, Vol. 36」(BIS Record BIS-2263)。アルバムのジャケット写真はクラヴィコードですが、この録音(2016年)で弾いているのは、ちゃんとタンジェント・ピアノです。使用楽器はギスライン・ポトフリーゲの1998年製で、バルダッサーレ・パストーレの1799年製にもとづいています。ここで楽しむのは収録曲中、ロンド2曲とファンタジア3曲。ついでに「スペインのフォリア」による12の変奏曲もききましょうか。

BIS-2263

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午後のひとときに楽しむのは、アンドレアス・シュタイアーフライブルク・バロック・オーケストラ(FBO)の「Carl Philipp Emanuel Bach: Sei concerti per il Cembalo concertato Wq43」(Harmonia Mundi HMC 902083.84)です。アルバムには表題のとおり6曲のチェンバロ協奏曲(1772年出版の「Sei concerti per il Cembalo concertato accompagnato da due Violini, Violetta, Basso」)が収録されており、シュタイアーのバッハ・メダル受賞記念として何曲か選んできいていきます。シュタイアーが弾いているのは、アンソニー・サイデイとフレデリック・バルによる2004年製(ヒエロニムス・アルブレヒト・ハスの1734年製にもとづく)のチェンバロ。共演のFBOは15名編成で録音に臨んでいます。録音は2010年です。

HMC 902083.84

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今宵楽しむのは、ヴェロニカ・カンヘミとウナ・ステッラ・アンサンブルの「Italia 1600 Argentina 1900」(naïve OP 30466)です。アルバムの録音は2008年。プログラムは表題にあるように、1600年ごろのイタリアと1900年ごろのアルゼンチンの作曲家の曲を同列に配したもの。1600年ごろも1900年ごろも演奏はピリオド楽器によっており、先月末にきいていた「バッハ × ピアソラ」と同趣向のアルバムです。これからきくのは、気のむくままに数曲。クラウディオ・モンテヴェルディ、ジューリオ・カッチーニといった16000年ごろの作曲家を中心に楽しみます。それからエイトル・ヴィラ・ロボスの「ブラジル風バッハ 第5番」も。

OP 30466

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今宵きくのは、今週きいているアンサンブル、テンペスタ・デ・マーレ(フィラデルフィア・バロック・オーケストラ)にちなんで、アントニオ・ヴィヴァルディの「海の嵐」(naïve/OPUS111 OP 30371)です。演奏はガリガリ、ゴリゴリ系のジャン・クリストフ・スピノージとアンサンブル・マテウス。ここできくのはヴァイオリン協奏曲(作品8第5番)の「海の嵐」ではなく、フルート協奏曲(作品10第1番、RV 433)のほうです。ただし録音での独奏楽器はリコーダー(セバスチャン・マルク)で、原曲である室内協奏曲「海の嵐」(RV 98)に準じた編成。録音は2000年です。

OP 30371

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今宵、バッハをはなれてきくのはファッシュの音楽。今週きいているテンペスタ・デ・マーレ(フィラデルフィア・バロック・オーケストラ)の、2007年録音のアルバム「Fasch: Orchestral Works, Volume 1」(Chandos Records CHAN 0751)から、大序曲ニ長調(FaWV K:D8)を楽しみます。大序曲は長大な序曲、リゴードン、シチリアーノ、メヌエットとトリオ、ポーランド風のアリアという5曲構成で、ホルン2部、フルート2部、オーボエ2部、ヴァイオリン2部、ヴィオラ、ファゴット、通奏低音という「大」序曲にふさわしい編成です。なお、この演奏は世界初録音ということです。

CHAN 0751

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今夜きくのは、イギリスの古楽声楽アンサンブル、スティレ・アンティコの「A Wondrous Mystery」(harmonia mun HMU 807575)から何曲か。アルバムの副題として「Renaissance Choral Music for Christmas」とあるように、ルネサンス時代のクリスマス音楽を歌ったもので、プログラムの中心となるのは、ヤコブス・クレメンス・ノン・パパのミサ曲「羊飼いたちよ、何を見たのか」です。ここできくのは、ミサ曲ではなくクレメンス・ノン・パパの同名モテットとほか数曲。スティレ・アンティコは指揮者なしで歌う12名のアンサンブルで、そのようすはYoutubeの公式チャンネル「Stile Antico」で視聴できます。

HMU 807575

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今夜きくのは、中丸まどかの「Wachet auf」(ETCETERA KTC 1735)です。アルバムは2022年の録音。収録されているのは、レギュラーできいている「Sechs Sonaten für Violine und obligates Cembalo」で言及した、ワウター・ドゥコーニンク作曲・編曲の音楽で、作曲はピリオド・アプローチによるものです。アルバム名は、無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ「目覚めよ、とわれらに呼ばわる物見らの声」によっており、ここではこのパルティータのみを楽しみます。

全4楽章からなるコラール・パルティータとでもいうべきこの曲は、フィーリップ・ニコライの有名なコラール旋律にもとづいたもの。2011年から2014年にかけて作曲され、中丸に献呈されたとのことです。パルティータはコラージュ的なところのある多面的な音楽で、とてもおもしろくきくことができます。収録曲のなかでは瀧廉太郎の「花」にもとづく「すみだの花」(この曲のみチェンバロとヴァイオリン)もすごく楽しめます。こちらは時代をクロスオーバーしており、バロックと明治が違和感なく共存しています。

KTC 1735

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今夜きくのは、ヴォルフガング・シュトックマイアーの「Johann Gottfried Walther: Organ Works」(CPO 999 131-2)から何曲か。アルバムは表題どおり、ヨーハン・ゴットフリート・ヴァルター(バッハの親戚)のオルガン作品集で、ドイツのオルガン奏者であるシュトックマイアーが、聖マルティン教会(ツェーテル)のオルガンを弾いて1990年に録音。オルガンはアルフレート・フューラーが1970年に改修建造したもので、録音後の2004年にはマルティン・ヴルムが修理をおこなっています。収録されたオルガン曲は、レギュラーできいているマティアス・ハヴィンガの「J.S. Bach: Italian Concertos」と同じ趣旨のものが多数。つまりアルビノーニやテレマンといった他者の協奏曲を編曲したオルガン曲で、これからその中から何曲か気のむくままに楽しみます。

CPO 999 131-2

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今夜きくのは、マクシム・エメリャニチェフ指揮、イル・ポ-モ・ドーロによる「Mozart - The Symphonies」(Aparté AP328)。これはイル・ポ-モ・ドーロによモーツァルトのシンフォニー集の第2集にあたるアルバムで、2023年の録音です。収録曲は、シンフォニー第29番(K201)、オーボエ協奏曲(K314)、シンフォニー第40番(K550)。ここでは収録曲中、シンフォニー第40番のみを楽しみます。イル・ポ-モ・ドーロの録音での編成は30名ほど。第1楽章あたりは速めのテンポでの演奏ですが、荒々しさも粗さもほとんどありません。第1集(シンフォニー第41番などを収録)でもそうでしたが、意外というか、さらにいえば期待はずれというか、とても洗練された演奏です。ちなみに、イル・ポ-モ・ドーロと共演のあるリッカルド・ミナージは、モーツァルトのシンフォニーの録音を、アンサンブル・レゾナンツとおこなっており、こちらは期待どおりのものでした(モーツァルトがこうした演奏を理想としたかは疑問ですが)。

AP328

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このところレギュラーできいているアイヴァー・ボルトンのチェンバロ。ですが、いまはチェンバロ奏者というより、すっかり指揮者です。手元にあるボルトンもほとんどがオペラで、ヘンデル、ラモー、モーツァルトの映像作品。今夜はその中からヘンデルの「ジューリオ・チェーザレ・イン・エジット」(Unitel Edition 807804)を楽しむことにします。エジプトにおけるジュリアス・シーザーという表題どおり、シーザーをプリモ・ウォーモ、クレオパトラをプリマ・ドンナとして展開されるオペラです。

演出のキース・ウォーナーは大型のスクリーンを利用するなど、現代的で斬新な舞台を創出。ヘンデルの音楽を下敷きにした芸術的発露としてみれば、なかなかおもしろい演出です。歌手はなかなかよい配役で、主役にはベジュン・メータ(カウンターテナー)とルイーズ・アルダー(ソプラノ)が起用されています。オーケストラはウィーン・コンツェントゥス・ムジクスで、映像は2021年12月のアン・デア・ウィーン劇場での公演の録画。いまからだと日付をまたぐことが確定ですが、ひさしぶりに夜更かしを楽しむことにします。

807804

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朝夕ずいぶん涼しくなってきて、音楽を楽しむにもよい季節となってきました。今宵きくのはフランソワ・クープランのチェンバロ(クラヴサン)曲。グスタフ・レオンハルトが1995年に録音した「Works for Harpsichord / Couperin / Gustav Leonhardt」(PHILIPS 454 470-2)には、複数の「クラヴサン曲集」から3組曲が収録されており、ここでは第1巻の第2組曲を楽しみます。使用楽器については不明ですが、30年近くまえの録音ながら、まだまだじゅうぶん美しさをとどめています。

454 470-2

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今夕きくのは、ソフィー・イェーツがヴァージナルを弾いて録音した「Elizabethan Virginals Music」(Chandos Records CH 0699)から、ウィリアム・バードの鍵盤音楽を4曲。「Elizabethan Virginals Music」は2002年に録音されたアルバム。表題どおりエリザベス朝のヴァージナル音楽を集めたもので、バードのほかオーランド・ギボンズ、ジョン・ブルらの鍵盤音楽も収録されています。バードは1623年に亡くなっており、今年、つまり2023年は没後400年という記念の年ということになります。イェーツの弾くのはデイヴィッド・エヴァンスおよびアラン・ゴットによる2台のヴァージルナルです。

CH 0699

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今宵、バッハをはなれて楽しむのは、ジルヴィウス・レーオポルト・ヴァイスのリュート・ソナタです。「バッハをはなれて」といっても、ヴァイスは1687年生まれ、そして1750年に亡くなっており、バッハとも親交があったので、たいして「はなれて」はいませんが。きくのは、ヴォルフガング・リュプサムが2019年に録音した「Weiss / Sonatas」(Brilliant Clasiics 95509)。解説書に「Sonatas for Lute transcribed by Wolfgang Rübsam」とあるように、リュプサムはリュート・チェンバロ(ラウテンヴェルク)のために編曲し、弾いています。弾いている楽器は、おそらくキース・ヒル製のリュート・チェンバロ。最はほとんど(というよりすべて)、この楽器で録音しているようです。バッハもリュートは弾けなかったようですから、同じようにしてヴァイスの曲を楽しんでいたかもしれません。

95509

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