毎日バッハをきいていこう!

一日一バッハ




2023年の大晦日にきくのは、ケネス・ワイスによる「フーガの技法」(BWV1080)です。ワイスはグスタフ・レオンハルトに学んだアメリカのチェンバロ奏者、指揮者。「フーガの技法」は2021年5月に録音されており、解説書でワイスは、2020年、コロナ禍がもたらした「隠遁の時間を利用して」はじめて「フーガの技法」を集中的に研究したことを語っています。使用楽器は、リスボンの国立音楽博物館所蔵のパスカル・ジョゼフ・タスカン製チェンバロ(1782年、2016年から修復)。解説書によると、コラリス侯爵夫人の所有地に保管されていたため、「コラリス・タスカン」と呼ばれているチェンバロで、とても美しい響きをもっています。なお、アルバムでの曲順は、コントラプンクトゥス第1番から第4番、カノン(拡大と反行)、コントラプンクトゥス第5番、第6番、カノン(12度)、コントラプンクトゥス第7番から第9番、カノン(8度)、コントラプンクトゥス第10番、第11番、カノン(3度)、コントラプンクトゥス第12番から第14番(未完)です。

CD : PTY12211115(PARATY)

PTY12211115

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これから楽しむのは、クリストフ・ルセの「フーガの技法」(BWV1080)。録音は2020年、パリにておこなわれており、還暦をすぎたルセのすぐれた演奏をきくことができます。録音における構成は、コントラプンクトゥス第1番から第13番、4曲のカノンで、3つの主題による4声のフーガ(未完)は収録されていません。ガエタン・ナーロー(おそらく音楽雑誌「ディアパゾン」の編集長)の解説によると、未完のフーガのあつかいについて、(1)未完のまま演奏、(2)補完して演奏、(3)演奏しない、3種の選択肢があるとし、バッハが未完のフーガを演奏するはずがないなどとして、ルセも演奏しないという選択肢を選んだとしています。個人的にはルセの未完、あるいは補完フーガもきいてみたかったと思いますが、奏者の選択ならしかたがないところです。ルセの演奏はテンポの速いコントラプンクトゥス第9番でも声部間の見通しがよく、けっして団子にないのはさずがです。使用楽器は作者不詳のジャーマン・チェンバロ。録音にはその響きが美しくとらえられており、ルセのすぐれた演奏に花をそえています。

CD : AP313(Aparte Music)

AP313

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これから楽しむのは、レ・レクレアシオンによる「フーガの技法」(2022年録音)です。レ・レクレアシオンは2010年にデビューした弦楽四重奏団で、「フーガの技法」では、マチュー・カミレリ、サンドリーヌ・デュペ、クララ・ミューレターラー、ジュリアン・アンスウォルト、五味敬子と、「拡大された」四重奏団(5名で4パートを分担)での録音です。

楽器はヴァイオリン属のヴァイオリン、ヴィオリーノ・ピッコロ、ヴィオラ、チェロ、ヴィオロンチェッロ・ピッコロで、曲によりさまざまなくみあわせでの演奏。コントラプンクトゥス第14番は、カミレリの再構成による演奏で、いったん途切れたところで休止し、あらためて展開されるかたちです。

レ・レクレアシオンは、「わたしたちもまた、弦楽器で『フーガの技法』を演奏したいという欲望に屈した」と述べていますが、佐藤俊介オランダ・バッハ協会は、ヴォカリーズをまじえて「フーガの技法」を演奏したいという欲望に屈しています。こういうことであるなら、ほかの演奏家、アンサンブルにもいろいろ屈してもらいたいところです。

CD : RIC 453(RICERCAR)

RIC 453

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これからきくのは、ジョルディ・サヴァールとエスペリオンXXによる「フーガの技法」(BWV1080)。とはいっても、2枚組CDのうち1枚をすでにききおえています。これは演奏時間が90分をこえるため、早朝に半分を楽しんでいたため。ですので、じっさいにきくのはCD2のみとなります。サヴァールは演奏にさいして、ソプラノ、アルト、テノール、バスのヴィオールと、コルネット、オーボエ・ダ・カッチャ、トロンボーン、ファゴットという編成をとっており、ヴィオール(2~4)のみ、管楽器(2~4)のみ、全楽器(8)と適宜編成を変更、増減しています。録音にはサヴァールをはじめ、コルネットのブルース・ディッキー、ヴィオールのクリストフ・コワンといった優秀な奏者が参加。録音年代は1986年と古くなりましたが、2001年に96kHz、24bitにリマスターれており、まだまだ鮮度はじゅうぶんです。

CD : AV9818 A+B(ALIA VOX)

AV9818 A+B

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これからきくのは、ザムエル・クンマーによる「フーガの技法」(BWV1080)です。クンマーは1968年生まれのドイツのオルガン奏者。「フーガの技法」の録音は2020年で、弾いているオルガンは、ツァハリアス・ヒルデブラントによる、ナウムプルクの聖ヴェンツェル教会のそれです。オルガンの建造は1743年から1746年、1993年から2000年にかけて修復が施されています。この録音で注目されるのは、その秀逸な録音。堂内をゆるがす音の偉容を堪能できます。そしてなにより、未完成の「3つの主題」によるフーガが補完されていること(収録は未完のフーガ、「汝の御座の前に、われいま進み出で」のあと)。補完はクンマーがおこなっており、「フーガの技法」のはじめの主題と結合され、「4つの主題」によるフーガとしています。

CD : AE-11291(AEOLUS)

AE-11291

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これからきくのは、ピーテル・ヤン・ベルダーが2018年に録音した「フーガの技法」です。使用楽器は、ティトゥス・クライネンの2013年製チェンバロ(ブランシェにもとづく)。未完のフーガはそのままの演奏で、一部の曲には即興的な挿入もあり、なかなか楽しめます。なお、コントラプンクトゥス13の2台のチェンバロのための編曲では、ヘーラルト・デ・ヴィットが共演しています。こちらの楽器は、ティトゥス・クライネンの2014年製チェンバロ(ルッカースにもとづく)です。

CDでの順は、

  1. コントラプンクトゥス1
  2. コントラプンクトゥス2
  3. コントラプンクトゥス3
  4. コントラプンクトゥス4
  5. 8度のカノン
  6. コントラプンクトゥス5
  7. コントラプンクトゥス6
  8. コントラプンクトゥス7
  9. 10度のカノン
  10. コントラプンクトゥス8
  11. コントラプンクトゥス9
  12. コントラプンクトゥス10
  13. コントラプンクトゥス11
  14. 12度のカノン
  15. コントラプンクトゥス12(正立形)
  16. コントラプンクトゥス12(倒立形)
  17. コントラプンクトゥス13(正立形)
  18. コントラプンクトゥス13(倒立形)
  19. 拡大・反行のカノン
  20. コントラプンクトゥス14
  21. コントラプンクトゥス13 2台のチェンバロ(倒立形)
  22. コントラプンクトゥス13 2台のチェンバロ(正立形)

です。

CD : 96035(BRILLIANT CLASSICS)

96035

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今宵きくのは、小糸恵のオルガンによる「フーガの技法」(1998年録音)です。小糸の弾くのは、1748年、ドン・フランソワ・ベドスによって、ボルドーのサンクロワ教会に建造されたオルガン。これをパスカル・クォワランが、1985年から1997年にかけて修復し、小糸の録音はその翌年におこなわれています。

CDでの収録順は、

  1. コントラプンクトゥス1
  2. コントラプンクトゥス3
  3. コントラプンクトゥス2
  4. コントラプンクトゥス4
  5. 12度のカノン
  6. コントラプンクトゥス5
  7. 拡大・反行のカノン
  8. コントラプンクトゥス6
  9. コントラプンクトゥス7
  10. 10度のカノン
  11. コントラプンクトゥス13(倒立形)
  12. コントラプンクトゥス13(正立形)
  13. コントラプンクトゥス12(正立形)
  14. コントラプンクトゥス12(倒立形)
  15. 8度のカノン
  16. コントラプンクトゥス9
  17. コントラプンクトゥス10
  18. コントラプンクトゥス11
  19. コントラプンクトゥス8
  20. コントラプンクトゥス14

です。

コントラプンクトゥス12と13では、小糸とケネス・ワイス(1963年生まれのアメリカの奏者)が二人で弾いており、12ではバスを小糸が、13ではワイスがバスを担当しています。また、コントラプンクトゥス14は未完のままでの収録です。

CD : TEM 316016/17(Tempéraments)

TEM 316016/17

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これから楽しむのは、ジャン・クロード・マルゴワールとラ・グランド・エキュリ・エ・ラ・シャンブル・デュ・ロワ(王室大厩舎・王宮付楽団)による「フーガの技法」です。マルゴワールたちの録音(1993年)は、11人の奏者が13種の楽器をもちいてのもの。編成は、チェンバロの独奏から9種の楽器による全員、つまり最大11人によるアンサンブルまでと多彩です。

マルゴワールは、2018年4月14日に亡くなってるのですが、「ジャン・クロード・マルゴワールたちの『水上の音楽』」で紹介したように、バッハというよりヘンデルというイメージが個人的には強く、このブログでは追悼記事も掲載しませんでした。最近CDの整理をしていたさいに再発見したので、遅ればせながら追悼もかねてきくことにしました。なお、未完のフーガは未完のまま演奏されています。

13種の楽器は以下のとおりです。

  • オーボエ
  • オーボエ・ダモーレ
  • オーボエ・ダ・カッチャ
  • ファゴット
  • ヴァイオリン
  • ヴィオリーノ・ピッコロ
  • ヴィオラ
  • ヴィオラ・ダモーレ
  • チェロ
  • ヴィオロンチェロ・ピッコロ
  • ヴィオラ・ダ・ガンバ
  • コントラバス
  • チェンバロ

CD : K617173(K617)

K617173

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これからきくのは、シット・ファストによる「フーガの技法」。シット・ファストは、チェロ、ガンバ奏者の酒井淳らによるヴィオール・コンソートで、この録音(2010年)では、酒井(トレブル)のほか、イサベル・サン・イヴ(トレブル)、トマ・ドゥピエルフ(テノール)、ジョッシュ・チーザム(バス)の四重奏でのぞんでいます。アルバムにはコントラプンクトゥス第1番から第11番(第8番をのぞく)、そして未完のフーガが収録されており、まったりとした、渋い演奏を楽しむことができます。

CD : Eloquentia(EL1125)

EL1125

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これからきくのは、アンドレ・イゾワールによる「フーガの技法」。イゾワールは1935年7月20日生まれのフランスのオルガン奏者で、2016年7月20日(奇しくも生年の月日が同一)に亡くなっています。バッハのオルガン作品も全曲録音しており、いずれそちらもきく機会があるかと思います。「フーガの技法」は、1999年、ペリゴールのサン・シプリアン教会のゲルハルト・グレンツィング製のオルガン(1982年)を弾いての録音。なお、コントラプンクトゥス第12番ではピエール・ファラゴが共演しています。

CD : CAL 3719(CALIOPE)

CAL 3719

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これから夕食までのひとときにきくのは、リナルド・アレッサンドリーニ(指揮とチェンバロ)とコンチェルト・イタリアーノによる「フーガの技法」(1998年録音)です。アレッサンドリーニはチェンバロ奏者でもあるので、チェンバロのみでの録音もできたでしょうが、このアルバムではアンサンブル編曲でのぞんでいます。弦楽のほか、フルート、オーボエ、オボーエ・ダモーレ、オボーエ・ダ・カッチャ、ファゴットといった木管楽器もふくめたアンサンブルで、曲におうじてさまざまな編成をとっています。未完のコントラプンクトゥス第15番は未完のままでの演奏です。

CD : OPS 30-191(OPUS 111)

OPS 30-191

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今日は四旬節第5日曜日ですが、バッハのカンタータは伝承されていません。それで今日は昨日の予告どおり、ニコラス・ジャクソン(チェンバロ)とコンチェルターテ・オブ・ロンドンによる「音楽の捧げもの」(BWV1079)を楽しむことにします。音源は一昨日、昨日と同じで、2007年録音のアルバム。この録音での「捧げもの」の演奏順は、3声のリチェルカーレ(チェンバロ)、5曲のカノン、6声のリチェルカーレ(フルート、ヴァイオリン、チェロ、チェンバロ)、5曲のカノン、トリオ・ソナタというものになっており、カノンによっては2種の解決法で演奏しています。なお、フルートを吹いているのは、リセテ・ダ・シウバです。

CD : SOMMCD 077(Somm Recordings)

SOMMCD 077

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今日これからきくのは、トン・コープマンとティニ・マトー、つまりコープマン夫妻による「フーガの技法」(BWV1080)です。録音は1993年。チェンバロは、夫妻ともにウィレム・クレースベルヘンの手になる楽器で、トンはリュッカース・モデル(1979年)、ティニはクーシェ・モデル(1987年)を使用しています。夫妻の共演でも、いつものトンは健在で、フーガの主題にも装飾をつけたりと、音楽をいききと躍動させています。そういえば、映像での夫婦共演では、コントラプンクトゥス第9番で、ものすごい疾走をみせていました。なお、未完のフーガは未完のまま演奏されています。

CD : 0630-16173-2(ERATO)

0630-16173-2

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これからきくのは、ベルリン古楽アカデミー(AAMB)による「フーガの技法」。AAMBは、ヤーコプス指揮下で、さまざまなバッハを録音をおこなってきた団体で、2014年にはバッハ・メダル(バッハ・メダルについては記事「バッハ・メダル」を参照ください)を受賞しています。「フーガの技法」の録音(2009年)にあたっては、弦楽16名と管楽5名、そしてオルガンおよびチェンバロ1名という編成でのぞみ、楽曲におうじてさまざまな編成をとっています。

最初にオルガン・コラール、次にフーガ、カノン、最後に未完のフーガがおかれた配列で、未完フーガはトゥッティでの演奏です。しかし、トゥッティといってもじっさいには編成をこまかく変化させ、第1主題は管楽のみ→トゥッティ、第2主題は弦楽のみ→トゥッティ、第3主題はトゥッティ→パート・ソロの弦楽、というふうです。公演でのプログラムを意識した配列、編曲といえるでしょうか。なお、AAMBの「フーガの技法」には、映像をおさめたDVDもあります。

CD : HMC 902064(Harmonia Mundi)

HMC 902064

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これからきくのは、イギリスのチェンバロ奏者ダヴィット・モロニーによる「フーガの技法」。モロニーは、チェンバロ奏者としてだけではなく、研究者としても名高く、このBWV1080では未完の4声3重フーガを、4声4重フーガに補完して弾いています。同じように補完して演奏している例は、ヘルムート・ヴァルヒャなど、いくつかありますが、個人的にはモロニーによるものが、いちばんしっくりきます。また、アルバムには未完のほうも収録されており、どちらもきくことができるのも魅力です。録音は1985年で、昨日まで楽しんだマリア・ジョアン・ピレシュのピアノ協奏曲と同じ時期。しかし、こちらのほうが録音の鮮度はまだしっかりしています。

CD : HMC 901169.70(Harmonia Mundi)

HMC 901169.70

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